数学C / ベクトル

空間ベクトルと図形(平面の方程式など)

要点整理

空間における内分点・重心の位置ベクトル

平面のときに学んだ内分点・外分点・重心の位置ベクトルの公式は、空間でもまったく同じ形のまま成り立ちます。$\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$ の位置ベクトルを $\vec{a}=(a_1,a_2,a_3)$、$\vec{b}=(b_1,b_2,b_3)$ とすると、線分 $\mathrm{AB}$ を $m:n$ に内分する点の位置ベクトルは、

$\vec{p} = \frac{n\vec{a}+m\vec{b}}{m+n}$

であり、これを成分で計算するときは、$x$ 成分、$y$ 成分、$z$ 成分のそれぞれについて同じ計算をするだけです。三角形の重心の位置ベクトル $\vec{g} = \dfrac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3}$ も同様に成り立ちます。公式そのものは平面のときと同じなので、ここでは新しく学ぶ2つの図形、球面平面について詳しく見ていきます。

球面の方程式

中心が点 $\mathrm{C}(a, b, c)$、半径が $r$ の球面とは、点 $\mathrm{C}$ から距離がちょうど $r$ であるような点 $\mathrm{P}(x, y, z)$ 全体の集まりです。

「空間座標とベクトルの基本」のページで学んだ2点間の距離の公式を使うと、$\mathrm{CP} = r$ という条件は、

$\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2} = r$

と書けます。両辺は $0$ 以上なので、両辺を2乗しても同値な式になります。

$(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2 = r^2$

これが球面の方程式です。平面における円の方程式 $(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$ に、$z$ 座標の項が1つ増えた形になっています。

直線の媒介変数表示(空間)

点 $\mathrm{A}(x_0, y_0, z_0)$ を通り、零ベクトルでないベクトル $\vec{d} = (l, m, n)$ に平行な直線を考えます。この $\vec{d}$ を、直線の方向ベクトルと呼びます。

直線上の点を $\mathrm{P}(x, y, z)$ とすると、$\overrightarrow{\mathrm{AP}}$ は $\vec{d}$ に平行なので、ある実数 $t$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{AP}} = t\vec{d}$ と書けます。位置ベクトルで表すと、

$\overrightarrow{\mathrm{OP}} = \overrightarrow{\mathrm{OA}} + t\vec{d}$

これを成分で書き下すと、

$(x, y, z) = (x_0 + lt,\ y_0 + mt,\ z_0 + nt)$

つまり、

$x = x_0+lt, \quad y=y_0+mt, \quad z=z_0+nt$

という3つの式で直線を表すことができます。この $t$ を媒介変数(パラメータ)と呼び、$t$ の値を変化させると、直線上のすべての点を表すことができます。

平面の方程式

空間の中で1つの平面を決めるには、「平面上の1点」と「その平面に垂直なベクトル(法線ベクトル)」を1組指定すれば十分です。これは、ちょうつがいのように、1点を固定して法線ベクトルの向きに垂直な板を思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。

点 $\mathrm{A}(x_0, y_0, z_0)$ を通り、法線ベクトルが $\vec{n} = (a, b, c)$ である平面を考えます。この平面上の任意の点を $\mathrm{P}(x, y, z)$ とすると、ベクトル $\overrightarrow{\mathrm{AP}} = (x-x_0,\ y-y_0,\ z-z_0)$ は、平面上のベクトルなので、法線ベクトル $\vec{n}$ に垂直です。垂直条件「内積が $0$」を使うと、

$\vec{n} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AP}} = 0$

内積を成分で計算すると、

$a(x-x_0) + b(y-y_0) + c(z-z_0) = 0$

これが、点 $\mathrm{A}(x_0,y_0,z_0)$ を通り法線ベクトル $(a,b,c)$ を持つ平面の方程式です。左辺を展開して整理すると、

$ax + by + cz - (ax_0+by_0+cz_0) = 0$

$d = -(ax_0+by_0+cz_0)$ とおくと、平面の方程式は

$ax+by+cz+d = 0$

という形にも書けます。逆に、$a$、$b$、$c$ が同時に $0$ でないとき、方程式 $ax+by+cz+d=0$ が表す図形は、法線ベクトルが $(a,b,c)$ である平面になります。

平面の方程式を求める代表的な方法は2通りあります。

  1. 平面上の1点と法線ベクトルが直接わかっている場合は、そのまま公式に代入する。
  2. 平面上の3点(一直線上にない3点)がわかっている場合は、その3点から作れる2つのベクトルの両方に垂直なベクトルを、垂直条件(内積 $=0$)を2つ連立させて求め、それを法線ベクトルとして使う。

例題

例題1(基本)

問題

点 $\mathrm{A}(1, 2, -1)$ を通り、法線ベクトルが $\vec{n} = (2, -1, 3)$ である平面の方程式を求めなさい。

解答・解説を見る

平面の方程式の公式 $a(x-x_0)+b(y-y_0)+c(z-z_0)=0$ に、$a=2$、$b=-1$、$c=3$、$x_0=1$、$y_0=2$、$z_0=-1$ を代入します。

$2(x-1) - 1(y-2) + 3(z-(-1)) = 0$

$2(x-1) - (y-2) + 3(z+1) = 0$

かっこをそれぞれ展開します。

$2x - 2 - y + 2 + 3z + 3 = 0$

定数項をまとめます。$-2+2+3 = 3$ なので、

$2x - y + 3z + 3 = 0$

答え: $2x - y + 3z + 3 = 0$

例題2(標準)

問題

方程式 $x^2+y^2+z^2-4x+2y-6z+5=0$ が表す図形は球面である。この球面の中心の座標と半径を求めなさい。

解答・解説を見る

球面の方程式の標準形 $(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2=r^2$ に近づけるために、$x$、$y$、$z$ それぞれについて平方完成をします。

$x$ について: $x^2-4x = (x-2)^2 - 2^2 = (x-2)^2-4$

$y$ について: $y^2+2y = (y+1)^2 - 1^2 = (y+1)^2-1$

$z$ について: $z^2-6z = (z-3)^2-3^2 = (z-3)^2-9$

これらを元の方程式に代入します。

$(x-2)^2-4 + (y+1)^2-1 + (z-3)^2-9 + 5 = 0$

定数項をまとめます。$-4-1-9+5 = -9$ なので、

$(x-2)^2+(y+1)^2+(z-3)^2 - 9 = 0$

$9$ を右辺に移項します。

$(x-2)^2+(y+1)^2+(z-3)^2 = 9$

これは中心 $(2, -1, 3)$、半径 $r$ が $r^2=9$ を満たす球面の方程式です。$r>0$ なので $r=3$ です。

答え: 中心 $(2, -1, 3)$、半径 $3$

例題3(応用)

問題

3点 $\mathrm{A}(1, 0, 0)$、$\mathrm{B}(0, 2, 0)$、$\mathrm{C}(0, 0, 2)$ を通る平面の方程式を求めなさい。

解答・解説を見る

求める平面の法線ベクトルを $\vec{n} = (a, b, c)$ とします。この平面上には $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$、$\mathrm{C}$ の3点があるので、平面上のベクトルである $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ は、どちらも法線ベクトル $\vec{n}$ に垂直です。

まず、$\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、$\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ を成分で求めます。

$\overrightarrow{\mathrm{AB}} = (0-1,\ 2-0,\ 0-0) = (-1, 2, 0)$

$\overrightarrow{\mathrm{AC}} = (0-1,\ 0-0,\ 2-0) = (-1, 0, 2)$

$\vec{n} \perp \overrightarrow{\mathrm{AB}}$ より $\vec{n}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}} = 0$ なので、

$-a + 2b + 0 = 0 \quad \text{つまり} \quad a = 2b \quad \cdots \text{①}$

$\vec{n} \perp \overrightarrow{\mathrm{AC}}$ より $\vec{n}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}} = 0$ なので、

$-a + 0 + 2c = 0 \quad \text{つまり} \quad a = 2c \quad \cdots \text{②}$

①と②から $2b = 2c$ なので $b = c$ です。法線ベクトルは向きさえ合っていれば大きさは何倍でも構わない(平面の方程式は $\vec{n}$ を定数倍しても同じ平面を表す)ので、計算しやすいように $b = 1$ とおきます。すると①より $a = 2 \times 1 = 2$、$c = b = 1$ となるので、

$\vec{n} = (2, 1, 1)$

これを法線ベクトルとして、点 $\mathrm{A}(1,0,0)$ を通る平面の方程式を作ります。

$2(x-1) + 1(y-0) + 1(z-0) = 0$

かっこを展開して整理します。

$2x - 2 + y + z = 0$

$2x + y + z - 2 = 0$

答え: $2x + y + z - 2 = 0$(つまり $2x+y+z=2$)

(検算: $\mathrm{B}(0,2,0)$ を代入すると $2\times0+2+0=2$、$\mathrm{C}(0,0,2)$ を代入すると $2\times0+0+2=2$ となり、どちらも成り立つので正しいことが確認できます。)

練習問題

問題1

方程式 $x^2+y^2+z^2-4x+2y=0$ が表す球面の中心の座標と半径を求めなさい。

答え

中心 $(2, -1, 0)$、半径 $\sqrt{5}$

(解説: $x^2-4x=(x-2)^2-4$、$y^2+2y=(y+1)^2-1$、$z^2$ はそのままなので、方程式は $(x-2)^2-4+(y+1)^2-1+z^2=0$ となります。定数 $-4-1=-5$ を右辺に移項すると $(x-2)^2+(y+1)^2+z^2=5$ となるので、中心 $(2,-1,0)$、半径 $\sqrt{5}$ です。)

問題2

点 $(2, -1, 3)$ を通り、法線ベクトルが $(1, 2, -2)$ である平面の方程式を求めなさい。

答え

$x + 2y - 2z + 6 = 0$

(解説: $1(x-2)+2(y+1)-2(z-3)=0$ を展開すると $x-2+2y+2-2z+6=0$、整理すると $x+2y-2z+6=0$。)

問題3

3点 $\mathrm{A}(1, 1, 0)$、$\mathrm{B}(2, 0, 1)$、$\mathrm{C}(0, 1, 1)$ を通る平面の方程式を求めなさい。

答え

$x + 2y + z - 3 = 0$

(解説: $\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(1,-1,1)$、$\overrightarrow{\mathrm{AC}}=(-1,0,1)$。法線ベクトル $\vec{n}=(a,b,c)$ について $a-b+c=0$、$-a+c=0$。後者より $a=c$。前者に代入して $a-b+a=0$ より $b=2a$。$a=1$ とすると $b=2$、$c=1$。点 $\mathrm{A}(1,1,0)$ を通るので $1(x-1)+2(y-1)+1(z-0)=0$ を展開して $x+2y+z-3=0$。)