数学II / 微分・積分の考え

関数の増減と極大・極小

要点整理

導関数の符号と関数の増減

微分係数 $f'(a)$ は、$x=a$ における接線の傾きを表すのでした。傾きが正であれば、その付近でグラフは右上がり(増加)、傾きが負であれば右下がり(減少)になります。この考え方を、ある区間全体に広げると、次のことが成り立ちます。

  • ある区間で常に $f'(x)>0$ ならば、$f(x)$ はその区間で増加する。
  • ある区間で常に $f'(x)<0$ ならば、$f(x)$ はその区間で減少する。

つまり、$f'(x)$ の符号さえ調べれば、もとの関数 $f(x)$ がどこで増えていて、どこで減っているかが分かるということです。

極大値・極小値

$f'(x)$ の符号が、ある点 $x=a$ の前後で

  • 正から負に変わるとき、グラフは山の形になり、$x=a$ で極大となる(このときの $f(a)$ の値を極大値という)。
  • 負から正に変わるとき、グラフは谷の形になり、$x=a$ で極小となる(このときの $f(a)$ の値を極小値という)。

極大値・極小値をまとめて極値と呼びます。注意したいのは、$f'(a)=0$ であっても、その前後で符号が変わらない($+\to+$ や $-\to-$)場合は、極大でも極小でもないということです(例えば $f(x)=x^3$ の $x=0$ がこのパターンです)。極値になるかどうかは、必ず符号が変わるかどうかを確認して判断します。

増減表の作り方

増減の様子を整理するために、次のような増減表を作るのが標準的な方法です。

  1. $f'(x)=0$ となる $x$ の値をすべて求める。
  2. 数直線上に、その $x$ の値を小さい順に並べる。
  3. 各区間で $f'(x)$ の符号を調べる(区間の中の適当な数を1つ代入してみるのが簡単です)。
  4. $f'(x)$ の符号から $f(x)$ の増減(増加は $\nearrow$、減少は $\searrow$ の矢印で書くことが多い)を記入する。
  5. $f'(x)=0$ となる点での $f(x)$ の値(極値)を計算して書き込む。

例えば、$f'(x)=3(x-1)(x+1)$ の場合の増減表は次のような形になります。

$x$ $\cdots$ $-1$ $\cdots$ $1$ $\cdots$
$f'(x)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$
$f(x)$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$ 極小 $\nearrow$

例題

例題1(基本)

問題 $f(x)=x^3-3x$ の増減表を作り、極大値・極小値を求めなさい。

解答・解説を見る

導関数を求める: $f'(x)=3x^2-3$

$f'(x)=0$ を解く: $3x^2-3=0$ の両辺を $3$ で割ると $x^2-1=0$、これを因数分解すると $(x-1)(x+1)=0$ より、

$x = -1, \ 1$

符号を調べる: $f'(x)=3(x-1)(x+1)$ について、

  • $x<-1$ のとき、例えば $x=-2$ を代入すると $(x-1)(x+1)=(-3)(-1)=3>0$ より $f'(x)>0$
  • $-1
  • $x>1$ のとき、例えば $x=2$ を代入すると $(x-1)(x+1)=(1)(3)=3>0$ より $f'(x)>0$

極値を計算する: $f(-1)=(-1)^3-3\times(-1)=-1+3=2$、$f(1)=1^3-3\times1=1-3=-2$

増減表

$x$ $\cdots$ $-1$ $\cdots$ $1$ $\cdots$
$f'(x)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$
$f(x)$ $\nearrow$ $2$ $\searrow$ $-2$ $\nearrow$

答え: $x=-1$ で極大値 $2$、$x=1$ で極小値 $-2$

例題2(標準)

問題 $f(x)=x^3-6x^2+9x+1$ の極大値・極小値を求めなさい。

解答・解説を見る

導関数を求める: $f'(x)=3x^2-12x+9$

因数分解する: 共通因数 $3$ をくくり出します。

$f'(x) = 3(x^2-4x+3)$

$x^2-4x+3$ を因数分解します。積が $3$、和が $-4$ になる2数は $-1$ と $-3$ なので、

$f'(x) = 3(x-1)(x-3)$

$f'(x)=0$ を解く: $x=1, 3$

符号を調べる:

  • $x<1$: 例えば $x=0$ で $(x-1)(x-3)=(-1)(-3)=3>0$ より $f'(x)>0$
  • $1
  • $x>3$: 例えば $x=4$ で $(x-1)(x-3)=(3)(1)=3>0$ より $f'(x)>0$

極値を計算する:

$f(1) = 1^3-6\times1^2+9\times1+1 = 1-6+9+1 = 5$

$f(3) = 3^3-6\times3^2+9\times3+1 = 27-54+27+1 = 1$

答え: $x=1$ で極大値 $5$、$x=3$ で極小値 $1$

例題3(応用)

問題 $f(x)=x^3+ax^2+bx$ が $x=-1$ で極大値、$x=3$ で極小値をとるように、定数 $a, b$ の値を定めなさい。

解答・解説を見る

方針: $x=-1$ と $x=3$ で極値をとるということは、少なくとも $f'(-1)=0$ かつ $f'(3)=0$ が成り立つ必要があります(極値であるためには符号が変わることも確認しますが、まずはこの2条件から $a,b$ の候補を絞ります)。

$f'(x)$ を求める: $f'(x)=3x^2+2ax+b$

条件を式にする: $f'(-1)=0$ より、

$3\times(-1)^2+2a\times(-1)+b = 0 \quad\Longrightarrow\quad 3-2a+b=0 \quad\cdots①$

$f'(3)=0$ より、

$3\times3^2+2a\times3+b = 0 \quad\Longrightarrow\quad 27+6a+b=0 \quad\cdots②$

連立方程式を解く: ②から①を引きます。

$(27+6a+b)-(3-2a+b) = 0-0$

左辺を計算します。$b$ の項は打ち消し合い、

$27+6a-3+2a = 24+8a$

よって、

$24+8a=0 \quad\Longrightarrow\quad 8a=-24 \quad\Longrightarrow\quad a=-3$

$a=-3$ を①に代入します。

$3-2\times(-3)+b=0 \quad\Longrightarrow\quad 3+6+b=0 \quad\Longrightarrow\quad b=-9$

確認する: $a=-3, b=-9$ のとき、$f'(x)=3x^2-6x-9=3(x^2-2x-3)=3(x-3)(x+1)$ となります。符号を調べると、$x<-1$ で正、$-13$ で正となるので、$x=-1$ で確かに極大(正→負)、$x=3$ で確かに極小(負→正)になっていることが確認できます。

答え: $a=-3$、$b=-9$

練習問題

問題 $f(x)=-x^3+3x^2$ の極大値・極小値を求めなさい。

答え

$f'(x)=-3x^2+6x=-3x(x-2)$。$f'(x)=0$ より $x=0, 2$。符号を調べると $x<0$ で負、$02$ で負。

$f(0)=0$(極小値)、$f(2)=-8+12=4$(極大値)