数学A / 場合の数と確率
組合せ
要点整理
これまで学んできた「順列」${}_{n}\mathrm{P}_{r}$は、$n$個の異なるものから$r$個を選んで1列に並べる、つまり順序を区別する選び方の総数でした。この単元で学ぶ「組合せ」は、同じように$n$個の中から$r$個を選びますが、並べる順序を考えません。選んだ$r$個の集まり(グループ)そのものだけに注目する、という点が順列との大きな違いです。
具体例で確認しましょう。A, B, Cの3人から2人を選ぶ場合を考えます。
- 順列(順序を区別する)の場合:AB, BA, AC, CA, BC, CBの6通り。
- 組合せ(順序を区別しない)の場合:「AとB」「AとC」「BとC」の3通り。
順列では AB と BA を別の並び方として数えますが、組合せでは「AとBの2人組」は1通りとしてしか数えません。つまり、組合せの数は、順列の数を「同じ組み合わせを何回重複して数えているか」で割ったものになります。
上の例で言うと、「AとBの2人組」から作れる並び方は AB と BA の2通り(これは $2! = 2 \times 1 = 2$ 通りです)。つまり、同じ2人組が順列では2回ずつ重複して数えられているのです。だから、(組合せの数) = (順列の数) ÷ $r!$ という関係が成り立ちます。実際に確認すると、
$ \frac{{}_{3}\mathrm{P}_{2}}{2!} = \frac{3 \times 2}{2 \times 1} = \frac{6}{2} = 3 $
となり、先ほど数えた3通りと一致します。
nCrの公式
異なる$n$個のものから、順序を考えずに$r$個を選ぶ場合の数を、記号 ${}_{n}\mathrm{C}_{r}$(エヌシーアールと読みます)で表します。上で確認した関係を一般の$n$, $r$についてまとめると、次の公式が得られます。
$ {}_{n}\mathrm{C}_{r} = \frac{{}_{n}\mathrm{P}_{r}}{r!} $
ここで、順列の公式 ${}_{n}\mathrm{P}_{r} = n \times (n-1) \times (n-2) \times \cdots \times (n-r+1)$ を代入し、さらに分子と分母に$(n-r)!$を掛けて整えると、次のように書き直すこともできます。
$ {}_{n}\mathrm{C}_{r} = \frac{n!}{r!(n-r)!} $
ここで、$n!$(エヌの階乗)は $n! = n \times (n-1) \times (n-2) \times \cdots \times 2 \times 1$ という意味の記号でしたね(順列のところで学習済みです)。
計算するときは、上の${}_{n}\mathrm{P}_{r}$を使う形の方が数値を代入しやすいことが多いです。
$ {}_{n}\mathrm{C}_{r} = \frac{n \times (n-1) \times \cdots \times (n-r+1)}{r \times (r-1) \times \cdots \times 2 \times 1} $
分子には$n$から始めて1ずつ小さくした数を$r$個かけ、分母には$r$から1までのすべての整数をかける、という形です。分子と分母の項の個数がどちらも$r$個であることに注意してください。
組合せの性質
組合せには、覚えておくと便利な性質がいくつかあります。
性質1:${}_{n}\mathrm{C}_{r} = {}_{n}\mathrm{C}_{n-r}$
これは、「$n$個の中から$r$個を選ぶこと」と「$n$個の中から選ばれない$(n-r)$個を選ぶこと」が、実は同じ選び方の裏返しになっているからです。たとえば5人から3人を選ぶことと、5人の中から(選ばれない)2人を選ぶことは、同じ組合せの数になります。
性質2:${}_{n}\mathrm{C}_{0} = 1$、${}_{n}\mathrm{C}_{n} = 1$
1つも選ばない選び方は1通り(何も選ばない、という1つの場合)、全部選ぶ選び方も1通りしかありません。
これらの性質は、計算を楽にするためにとても役立ちます。たとえば${}_{10}\mathrm{C}_{8}$を直接計算する代わりに、性質1を使って${}_{10}\mathrm{C}_{2}$に置き換えれば、計算量がぐっと減ります。
例題
例題1(基本)
問題
5人の生徒の中から3人を選んで掃除当番にするとき、選び方は何通りありますか。
解答・解説を見る
「3人を選ぶ」だけで、選んだ3人の中で役割の違いなどはありません。つまり順序を考えない選び方なので、組合せの考え方を使います。
$n=5$、$r=3$ として、公式 ${}_{n}\mathrm{C}_{r} = \frac{n \times (n-1) \times \cdots \times (n-r+1)}{r!}$ に当てはめます。
$ {}_{5}\mathrm{C}_{3} = \frac{5 \times 4 \times 3}{3 \times 2 \times 1} $
まず分子を計算します。
$ 5 \times 4 \times 3 = 60 $
次に分母を計算します。
$ 3 \times 2 \times 1 = 6 $
分子を分母で割ります。
$ {}_{5}\mathrm{C}_{3} = \frac{60}{6} = 10 $
よって、選び方は 10通り です。
(補足)性質1 ${}_{n}\mathrm{C}_{r} = {}_{n}\mathrm{C}_{n-r}$ を使うと、
$ {}_{5}\mathrm{C}_{3} = {}_{5}\mathrm{C}_{2} = \frac{5 \times 4}{2 \times 1} = \frac{20}{2} = 10 $
と、より少ない掛け算で確認することもできます。
例題2(標準)
問題
男子5人、女子4人の合計9人の中から、男子2人、女子2人の合計4人を選んで発表グループを作ります。選び方は何通りありますか。
解答・解説を見る
この問題は、「男子の中から2人を選ぶ」ことと「女子の中から2人を選ぶ」ことを、同時に行う場面です。「〜と〜を同時に行う」場合の数は、それぞれの場合の数をかけ算で求めます(積の法則)。
ステップ1:男子5人から2人を選ぶ組合せを求める
$ {}_{5}\mathrm{C}_{2} = \frac{5 \times 4}{2 \times 1} = \frac{20}{2} = 10 $
男子の選び方は10通りです。
ステップ2:女子4人から2人を選ぶ組合せを求める
$ {}_{4}\mathrm{C}_{2} = \frac{4 \times 3}{2 \times 1} = \frac{12}{2} = 6 $
女子の選び方は6通りです。
ステップ3:積の法則でかけ合わせる
男子の選び方1通りごとに、女子の選び方が6通りずつ組み合わさるので、全体の選び方の総数は、
$ {}_{5}\mathrm{C}_{2} \times {}_{4}\mathrm{C}_{2} = 10 \times 6 = 60 $
よって、選び方は 60通り です。
例題3(応用)
問題
男子4人、女子3人の合計7人の中から4人を選ぶとき、女子を少なくとも1人含む選び方は何通りありますか。
解答・解説を見る
「女子を少なくとも1人含む」という条件を直接数えようとすると、「女子が1人だけの場合」「女子が2人の場合」「女子が3人の場合」と、何通りにも場合分けが必要になり大変です。
こういうときは、全体の選び方から、条件に当てはまらない選び方を引くという考え方(余事象・補集合の考え方)を使うと簡単になります。「女子を少なくとも1人含む」の反対は、「女子を1人も含まない(=男子だけを選ぶ)」ことです。
ステップ1:7人から4人を選ぶ、全体の場合の数を求める
$ {}_{7}\mathrm{C}_{4} = \frac{7 \times 6 \times 5 \times 4}{4 \times 3 \times 2 \times 1} $
分子を計算します。
$ 7 \times 6 \times 5 \times 4 = 840 $
分母を計算します。
$ 4 \times 3 \times 2 \times 1 = 24 $
割り算をします。
$ {}_{7}\mathrm{C}_{4} = \frac{840}{24} = 35 $
全体の選び方は35通りです。
ステップ2:女子を1人も含まない(男子だけを選ぶ)場合の数を求める
男子は4人しかいないので、4人の中から4人全員を選ぶことになります。
$ {}_{4}\mathrm{C}_{4} = 1 $
(性質2「全部選ぶ選び方は1通り」を使いました。)
ステップ3:全体から引く
$ 35 - 1 = 34 $
よって、女子を少なくとも1人含む選び方は 34通り です。
練習問題
問題
8人の生徒の中から、委員長1人、副委員長1人、そして一般委員2人の、合計4人を選びます。委員長と副委員長はそれぞれ役職が異なる(区別がある)人を1人ずつ選び、一般委員2人は役職の違いがない(区別がない)ものとします。このとき、選び方は全部で何通りありますか。
答え
840通り
(考え方:委員長・副委員長は役職の違い(順序)があるので順列 ${}_{8}\mathrm{P}_{2} = 8 \times 7 = 56$ 通り。残り6人から一般委員2人を選ぶのは組合せなので ${}_{6}\mathrm{C}_{2} = \frac{6 \times 5}{2 \times 1} = 15$ 通り。積の法則により $56 \times 15 = 840$ 通りとなります。)