数学I / 数と式

章末問題

章末問題

この章末問題では、「数と式」の中で学んだいくつかのトピックを組み合わせた問題に挑戦します。1つの問題の中に複数の単元の知識が登場することもありますので、「これはどの公式を使う問題だったかな」と考えながら取り組んでみてください。わからないときは、慌てずに解答・解説を開いて、途中式を1行ずつ確認しましょう。

問題1

問題

次の式を展開して、できるだけ簡単な形に整理しなさい。

$(x+3)^2 - (x+1)(x-4)$

解答・解説を見る

この問題は、2つの式をそれぞれ展開してから、引き算をして整理する問題です。展開の公式(乗法公式)を思い出しながら、1つずつ計算していきましょう。

ステップ1:$(x+3)^2$ を展開します

$(a+b)^2 = a^2+2ab+b^2$ という乗法公式を使います。ここでは $a=x$、$b=3$ にあたります。

$(x+3)^2 = x^2 + 2\times x \times 3 + 3^2 = x^2+6x+9$

ステップ2:$(x+1)(x-4)$ を展開します

こちらは分配法則(かっこの中のそれぞれの項を、もう一方のかっこのすべての項にかけ合わせるやり方)を使って展開します。

$(x+1)(x-4) = x\times x + x\times(-4) + 1\times x + 1\times(-4)$

$= x^2 -4x+x-4$

$-4x$ と $x$ は「文字の部分がまったく同じ項」である同類項なので、まとめます。

$= x^2-3x-4$

ステップ3:ステップ1からステップ2を引きます

問題の式は $(x+3)^2 - (x+1)(x-4)$ なので、ステップ1の結果からステップ2の結果を引きます。ここで、引く式全体に $-1$ がかかることに注意してください(かっこを外すときに、かっこの中のすべての項の符号が変わります)。

$(x^2+6x+9)-(x^2-3x-4)$

$= x^2+6x+9-x^2+3x+4$

ステップ4:同類項をまとめます

$x^2$ の項どうし、$x$ の項どうし、定数項(文字を含まない項)どうしをそれぞれまとめます。

  • $x^2$ の項:$x^2-x^2=0$
  • $x$ の項:$6x+3x=9x$
  • 定数項:$9+4=13$

以上より、

$(x+3)^2-(x+1)(x-4)=9x+13$

問題2

問題

次の式を因数分解しなさい。

$6x^2+7x-3$

解答・解説を見る

$x^2$ の係数が $1$ でない2次式を因数分解するときには、「たすき掛け」という方法を使います。たすき掛けとは、$ax^2+bx+c$ を $(px+q)(rx+s)$ の形に分解するときに、$p\times r=a$、$q\times s=c$ が成り立ち、なおかつ「ななめにかけて足した値」が $b$ になるような $p,q,r,s$ を探す方法です。

ステップ1:$a\times c$ を計算します

まず、$x^2$ の係数 $a=6$ と定数項 $c=-3$ をかけます。

$a\times c = 6\times(-3)=-18$

ステップ2:かけて $-18$、足して $b=7$ になる2つの数を探します

いろいろな組を試すと、$9$ と $-2$ が見つかります。

$9\times(-2)=-18, \qquad 9+(-2)=7$

たしかに条件を満たしています。

ステップ3:真ん中の項 $7x$ を、$9x$ と $-2x$ の2つに分けます

$6x^2+7x-3 = 6x^2+9x-2x-3$

ステップ4:前半2項、後半2項でそれぞれ共通因数をくくり出します

前半の $6x^2+9x$ からは $3x$ をくくり出せます。後半の $-2x-3$ からは $-1$ をくくり出せます。

$6x^2+9x-2x-3 = 3x(2x+3)-1(2x+3)$

ステップ5:$(2x+3)$ が共通因数になっているので、これでくくります

$3x(2x+3)-1(2x+3) = (2x+3)(3x-1)$

以上より、

$6x^2+7x-3=(2x+3)(3x-1)$

検算:展開して元の式に戻るか確認します。

$(2x+3)(3x-1) = 6x^2-2x+9x-3=6x^2+7x-3$

一致しているので、正しいと確認できました。

問題3

問題

次の式を因数分解しなさい。

$(x^2-2x)^2-11(x^2-2x)+24$

解答・解説を見る

この式には $x^2-2x$ という同じかたまりが2か所に登場しています。このようなときは、そのかたまりを1つの文字で「置き換える」と、見た目がシンプルになり、因数分解しやすくなります。

ステップ1:$x^2-2x$ を $t$ とおきます

$t=x^2-2x$

とおくと、与えられた式は次のように書き直せます。

$t^2-11t+24$

ステップ2:$t$ についての2次式を因数分解します

かけて $24$、足して $-11$ になる2つの数を探すと、$-3$ と $-8$ が見つかります。

$(-3)\times(-8)=24, \qquad (-3)+(-8)=-11$

したがって、

$t^2-11t+24=(t-3)(t-8)$

ステップ3:$t$ を $x^2-2x$ に戻します

$(t-3)(t-8) = (x^2-2x-3)(x^2-2x-8)$

ステップ4:$x^2-2x-3$ をさらに因数分解します

かけて $-3$、足して $-2$ になる2数は $-3$ と $1$ です。

$x^2-2x-3=(x-3)(x+1)$

ステップ5:$x^2-2x-8$ をさらに因数分解します

かけて $-8$、足して $-2$ になる2数は $-4$ と $2$ です。

$x^2-2x-8=(x-4)(x+2)$

ステップ6:すべてをまとめます

$(x^2-2x)^2-11(x^2-2x)+24=(x-3)(x+1)(x-4)(x+2)$

置き換えを使う問題では、最後に必ず元の文字($t$)を消して、$x$ だけの式に戻すのを忘れないようにしましょう。また、途中で出てきた2次式($x^2-2x-3$ など)がさらに因数分解できないかも、必ず確認する習慣をつけてください。

問題4

問題

方程式 $|2x-3|=x+3$ を解きなさい。

解答・解説を見る

絶対値記号 $|\ \ |$ は、「かっこの中の数から $0$ までの距離」を表す記号です。かっこの中身が $0$ 以上のときはそのままの値になり、$0$ より小さいときは符号を反転させた値になります。つまり、$A\geq0$ のときは $|A|=A$、$A<0$ のときは $|A|=-A$ です。このように、絶対値を含む方程式は「かっこの中身が $0$ 以上かどうか」で場合分けをして解きます。

ステップ1:場合分けの基準を決めます

かっこの中身は $2x-3$ です。これが $0$ 以上になるのは、

$2x-3\geq0$

の両辺に $3$ を足して、

$2x\geq3$

両辺を $2$ で割って、

$x\geq\frac{3}{2}$

のときです。したがって、$x\geq\frac{3}{2}$ の場合と $x<\frac{3}{2}$ の場合に分けて考えます。

ステップ2:$x\geq\frac{3}{2}$ のときを解きます

このとき $2x-3\geq0$ なので、絶対値記号はそのまま外せます。つまり $|2x-3|=2x-3$ です。方程式は、

$2x-3=x+3$

両辺から $x$ を引くと、

$x-3=3$

両辺に $3$ を足すと、

$x=6$

これは $x\geq\frac{3}{2}$ を満たしているので、解として採用できます。

ステップ3:$x<\frac{3}{2}$ のときを解きます

このとき $2x-3<0$ なので、絶対値記号を外すときは符号を反転させて $|2x-3|=-(2x-3)$ となります。方程式は、

$-(2x-3)=x+3$

左辺のかっこを外すと(かっこの中のすべての項の符号が変わります)、

$-2x+3=x+3$

両辺から $3$ を引くと、

$-2x=x$

両辺から $x$ を引くと、

$-3x=0$

両辺を $-3$ で割ると、

$x=0$

これは $x<\frac{3}{2}$ を満たしているので、解として採用できます。

ステップ4:2つの解をまとめます

$x=0,\ 6$

検算:$x=0$ のとき、左辺は $|2\times0-3|=|-3|=3$、右辺は $0+3=3$ で一致します。$x=6$ のとき、左辺は $|2\times6-3|=|9|=9$、右辺は $6+3=9$ で一致します。どちらも成り立っているので、正しいと確認できました。

問題5

問題

不等式 $|x-2|+|x+1|\leq5$ を解きなさい。

解答・解説を見る

絶対値が2つ含まれる不等式なので、それぞれの絶対値の中身が $0$ になる $x$ の値、つまり $x=2$ と $x=-1$ を境目にして、数直線を3つの範囲に分けて考えます。それぞれの範囲では、絶対値の中身の符号が変わらないので、絶対値記号をそのまま外すことができます。

  • 範囲(i):$x<-1$
  • 範囲(ii):$-1\leq x<2$
  • 範囲(iii):$x\geq2$

ステップ1:範囲(i) $x<-1$ のときを考えます

この範囲では $x-2<0$ なので $|x-2|=-(x-2)=2-x$ であり、また $x+1<0$ なので $|x+1|=-(x+1)=-x-1$ です。不等式は、

$(2-x)+(-x-1)\leq5$

左辺を整理すると、

$1-2x\leq5$

両辺から $1$ を引くと、

$-2x\leq4$

両辺を $-2$ で割ります。ここで、負の数で割るときは不等号の向きが逆になることに注意してください。

$x\geq-2$

これと、この範囲の条件 $x<-1$ を合わせると、

$-2\leq x<-1$

ステップ2:範囲(ii) $-1\leq x<2$ のときを考えます

この範囲では $x-2<0$ なので $|x-2|=2-x$ であり、また $x+1\geq0$ なので $|x+1|=x+1$ です。不等式は、

$(2-x)+(x+1)\leq5$

左辺を整理すると、$-x$ と $x$ が打ち消し合って、

$3\leq5$

これは $x$ の値に関係なく、いつでも成り立つ式です。つまり、この範囲 $-1\leq x<2$ に含まれるすべての $x$ が不等式を満たします。

ステップ3:範囲(iii) $x\geq2$ のときを考えます

この範囲では $x-2\geq0$ なので $|x-2|=x-2$ であり、また $x+1>0$ なので $|x+1|=x+1$ です。不等式は、

$(x-2)+(x+1)\leq5$

左辺を整理すると、

$2x-1\leq5$

両辺に $1$ を足すと、

$2x\leq6$

両辺を $2$ で割ると、

$x\leq3$

これと、この範囲の条件 $x\geq2$ を合わせると、

$2\leq x\leq3$

ステップ4:3つの範囲の結果を合体させます

ステップ1〜3で得られた範囲は、

$-2\leq x<-1,\quad -1\leq x<2,\quad 2\leq x\leq3$

の3つです。これらは途切れることなく1本につながっているので、まとめて次のように書けます。

$-2\leq x\leq3$

検算:境目の値で確認します。$x=-2$ のとき、$|-2-2|+|-2+1|=4+1=5$ となり、$5\leq5$ は成り立ちます。$x=3$ のとき、$|3-2|+|3+1|=1+4=5$ となり、こちらも成り立ちます。範囲の内側、たとえば $x=0$ のときは $|0-2|+|0+1|=2+1=3$ となり、$3\leq5$ を満たします。以上より、答えは正しいと確認できました。

問題6

問題

$x=\sqrt{7}+\sqrt{5}$、$y=\sqrt{7}-\sqrt{5}$ とするとき、次の式の値を求めなさい。

(1) $x+y$ と $xy$ (2) $x^2+y^2$ (3) $x^3+y^3$

解答・解説を見る

$x,y$ の値をそのまま代入して計算しようとすると根号(ルート)がたくさん混ざって大変になります。そこで、まず $x+y$ と $xy$ という「対称式」(文字 $x$ と $y$ を入れ替えても、式全体の形が変わらない式)の値を先に求め、それを使って乗法公式から $x^2+y^2$ や $x^3+y^3$ を組み立てていきます。

(1) $x+y$ と $xy$ を求めます

$x+y$ は、$\sqrt{5}$ の部分どうしが打ち消し合うので、$\sqrt{7}$ の部分だけが残ります。

$x+y=(\sqrt{7}+\sqrt{5})+(\sqrt{7}-\sqrt{5})=2\sqrt{7}$

$xy$ は乗法公式 $(a+b)(a-b)=a^2-b^2$ を使います。ここで $a=\sqrt{7}$、$b=\sqrt{5}$ にあたります。

$xy=(\sqrt{7}+\sqrt{5})(\sqrt{7}-\sqrt{5})=(\sqrt{7})^2-(\sqrt{5})^2$

根号については、$(\sqrt{a})^2=a$($a\geq0$のとき)という性質があるので、

$=7-5=2$

以上より、

$x+y=2\sqrt{7},\qquad xy=2$

(2) $x^2+y^2$ を求めます

乗法公式 $(a+b)^2=a^2+2ab+b^2$ を、$a^2+b^2$ について解く形に変形すると、

$a^2+b^2=(a+b)^2-2ab$

という関係が得られます。この関係に $a=x$、$b=y$ をあてはめると、

$x^2+y^2=(x+y)^2-2xy$

(1)で求めた $x+y=2\sqrt{7}$、$xy=2$ を代入します。

$x^2+y^2=(2\sqrt{7})^2-2\times2$

$(2\sqrt{7})^2$ を計算します。かっこの中の数をそれぞれ2乗してかけ合わせます。

$(2\sqrt{7})^2=2^2\times(\sqrt{7})^2=4\times7=28$

これを代入して、

$x^2+y^2=28-4=24$

(3) $x^3+y^3$ を求めます

乗法公式 $a^3+b^3=(a+b)(a^2-ab+b^2)$ を使います。まず、$a^2-ab+b^2$ の部分を、すでにわかっている $a^2+b^2$ と $ab$ の値を使って書き直します。

$a^2-ab+b^2=(a^2+b^2)-ab$

$a=x$、$b=y$ として、(1)と(2)の結果を代入すると、

$x^2-xy+y^2=(x^2+y^2)-xy=24-2=22$

これを使うと、

$x^3+y^3=(x+y)(x^2-xy+y^2)=2\sqrt{7}\times22$

$=44\sqrt{7}$

以上より、

$x+y=2\sqrt{7},\quad xy=2,\quad x^2+y^2=24,\quad x^3+y^3=44\sqrt{7}$

このように、根号を含む式でも、$x+y$ と $xy$ さえ先に求めておけば、乗法公式を利用して次々と値を求めていくことができます。

問題7

問題

全体集合を $U=\{1,2,3,4,5,6,7,8,9,10\}$ とします。$U$ の部分集合 $A$ を「$U$ の中で3の倍数であるもの全体の集合」、$B$ を「$U$ の中で偶数であるもの全体の集合」とします。次の集合を、要素を書き並べて求めなさい。

(1) $A$、$B$ (2) $A\cap B$(共通部分) (3) $A\cup B$(和集合) (4) $\overline{A}$($A$ の補集合)、$\overline{B}$($B$ の補集合) (5) $\overline{A}\cap\overline{B}$ を求め、これが $\overline{A\cup B}$ と一致することを確認しなさい。

解答・解説を見る

(1) $A$、$B$ を求めます

$A$ は「$U$ の中で3の倍数であるもの」の集まりです。$U=\{1,2,\dots,10\}$ の中から3の倍数を探すと、$3,6,9$ が見つかります。

$A=\{3,6,9\}$

$B$ は「$U$ の中で偶数であるもの」の集まりです。$U$ の中から偶数を探すと、$2,4,6,8,10$ が見つかります。

$B=\{2,4,6,8,10\}$

(2) $A\cap B$ を求めます

共通部分 $A\cap B$ とは、「$A$ にも $B$ にも両方入っている要素」の集まりです。$A=\{3,6,9\}$ と $B=\{2,4,6,8,10\}$ を見比べると、両方に入っているのは $6$ だけです。

$A\cap B=\{6\}$

(3) $A\cup B$ を求めます

和集合 $A\cup B$ とは、「$A$ か $B$ の少なくとも一方に入っている要素」をすべて集めたものです。重複する要素($6$)は1回だけ数えます。

$A\cup B=\{2,3,4,6,8,9,10\}$

(4) $\overline{A}$、$\overline{B}$ を求めます

補集合 $\overline{A}$ とは、「全体集合 $U$ の中で、$A$ に入っていない要素」の集まりです。$U=\{1,2,3,4,5,6,7,8,9,10\}$ から $A=\{3,6,9\}$ の要素を取り除くと、

$\overline{A}=\{1,2,4,5,7,8,10\}$

同じように、$U$ から $B=\{2,4,6,8,10\}$ の要素を取り除くと、

$\overline{B}=\{1,3,5,7,9\}$

(5) $\overline{A}\cap\overline{B}$ を求め、$\overline{A\cup B}$ と比較します

$\overline{A}\cap\overline{B}$ は、$\overline{A}=\{1,2,4,5,7,8,10\}$ と $\overline{B}=\{1,3,5,7,9\}$ の両方に入っている要素です。見比べると、$1,5,7$ が両方に入っています。

$\overline{A}\cap\overline{B}=\{1,5,7\}$

一方、$\overline{A\cup B}$ は、(3)で求めた $A\cup B=\{2,3,4,6,8,9,10\}$ に入っていない要素なので、$U$ からこれらを取り除くと、

$\overline{A\cup B}=\{1,5,7\}$

たしかに、

$\overline{A}\cap\overline{B}=\overline{A\cup B}=\{1,5,7\}$

となり、一致しました。これは「ド・モルガンの法則」と呼ばれる、集合についていつでも成り立つ性質です。「和集合の補集合」は「それぞれの補集合の共通部分」に等しい、という関係になっています。

問題8

問題

(1) $n$ を整数とするとき、命題「$n^2$ が3の倍数ならば、$n$ は3の倍数である」の対偶を述べ、対偶を利用してこの命題が正しいことを証明しなさい。

(2) 実数 $x$ についての条件を、$p$:「$x=2$」、$q$:「$x^2-5x+6=0$」とします。$p$ は $q$ であるためのどのような条件か答えなさい。

解答・解説を見る

(1) 対偶を述べて証明します

命題「$P$ ならば $Q$」の対偶とは、「$Q$ でないならば $P$ でない」という命題のことです。もとの命題と対偶は、必ず真偽が一致するという性質があります。つまり、対偶が正しいことを示せば、もとの命題も正しいと言えます。

ここでは、$P$:「$n^2$ が3の倍数である」、$Q$:「$n$ は3の倍数である」です。対偶は $Q$ でないならば $P$ でない、つまり、

「$n$ が3の倍数でないならば、$n^2$ は3の倍数でない」

という命題になります。これを証明します。

$n$ が3の倍数でないとき、$n$ を3で割った余りは $1$ か $2$ のどちらかです。したがって、ある整数 $k$ を使って、次の2つの場合に分けられます。

場合1:$n=3k+1$ のとき

$n^2$ を計算します。

$n^2=(3k+1)^2$

乗法公式 $(a+b)^2=a^2+2ab+b^2$ を使って展開します。ここで $a=3k$、$b=1$ です。

$(3k+1)^2=(3k)^2+2\times3k\times1+1^2=9k^2+6k+1$

この式を、「3の倍数」の部分と「それ以外」の部分に分けて書き直します。$9k^2+6k$ の部分は $3$ でくくれるので、

$9k^2+6k+1=3(3k^2+2k)+1$

$3k^2+2k$ は整数なので、$3(3k^2+2k)$ は3の倍数です。それに $1$ を足した数は、3で割ると余りが $1$ になるので、3の倍数ではありません。

場合2:$n=3k+2$ のとき

同じように計算します。

$n^2=(3k+2)^2=(3k)^2+2\times3k\times2+2^2=9k^2+12k+4$

これも「3の倍数」の部分と「それ以外」の部分に分けます。

$9k^2+12k+4=9k^2+12k+3+1=3(3k^2+4k+1)+1$

$3k^2+4k+1$ は整数なので、$3(3k^2+4k+1)$ は3の倍数です。それに $1$ を足した数なので、これも3の倍数ではありません。

結論

場合1、場合2のどちらでも、$n^2$ は3の倍数にならないことが示せました。つまり、「$n$ が3の倍数でないならば、$n^2$ は3の倍数でない」という対偶は正しいと証明できました。対偶が正しいので、もとの命題「$n^2$ が3の倍数ならば、$n$ は3の倍数である」も正しいと結論できます。

(2) $p$ は $q$ であるための何条件かを調べます

まず、「十分条件」「必要条件」の意味を確認しておきます。$p\Rightarrow q$(「$p$ ならば $q$」)が真であるとき、$p$ を $q$ であるための十分条件と呼びます。反対に、$q\Rightarrow p$ が真であるとき、$p$ を $q$ であるための必要条件と呼びます。両方とも真であれば「必要十分条件」です。

次に、条件 $q$ の中身を具体的にします。$q$ は方程式 $x^2-5x+6=0$ です。左辺を因数分解します。かけて $6$、足して $-5$ になる2数は $-2$ と $-3$ なので、

$x^2-5x+6=(x-2)(x-3)$

したがって方程式は $(x-2)(x-3)=0$ となり、これを満たす $x$ は、

$x=2,\ x=3$

の2つです。

です。

「$p\Rightarrow q$」が成り立つか調べます

$p$ は「$x=2$」です。$x=2$ を $q$ の式に代入して確かめます。

$2^2-5\times2+6=4-10+6=0$

たしかに $0$ になるので、$x=2$ のとき $q$ は成り立ちます。つまり $p$ が成り立てば必ず $q$ も成り立つので、$p\Rightarrow q$ は真です。

「$q\Rightarrow p$」が成り立つか調べます

$q$ が成り立つ $x$ は $x=2$ または $x=3$ でした。ここで $x=3$ という反例を考えます。$x=3$ のとき、$q$ は成り立っています(上で求めたとおり)が、$p$($x=2$)は成り立っていません。したがって、$q$ が成り立っても $p$ が成り立つとは限らないので、$q\Rightarrow p$ は偽です。

結論

$p\Rightarrow q$ は真、$q\Rightarrow p$ は偽なので、$p$ は $q$ であるための十分条件ではあるが、必要条件ではない、ということになります。