数学C / 平面上の曲線と複素数平面
媒介変数表示
要点整理
媒介変数表示とは
これまで、曲線の方程式は $x^2+y^2=r^2$ や $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ のように、$x$ と $y$ の関係式として表してきました。これに対して、$x$ と $y$ の両方を、共通のもう1つの文字(たとえば $t$ や $\theta$)を使って、
$x = f(t), \qquad y = g(t)$
という形で表す方法を媒介変数表示といいます。この $t$ を媒介変数(パラメータ)と呼びます。$t$ の値を1つ決めるごとに、対応する点 $(x,y)$ が1つ決まり、$t$ をいろいろな値に変化させていくと、その点が曲線を描いていきます。
円の媒介変数表示
半径 $r$、中心が原点の円 $x^2+y^2=r^2$ を考えます。円周上の点 $\mathrm{P}(x,y)$ について、動径 $\mathrm{OP}$ と $x$ 軸の正の向きとのなす角を $\theta$ とすると、三角関数の定義(単位円を使った定義を、半径 $r$ の円に拡張したもの)より、
$x = r\cos\theta, \qquad y = r\sin\theta$
と表せます。ここで $\theta$ は $0\leq\theta<2\pi$ の範囲を動く媒介変数です。実際にこれが円の方程式を満たすことを確認すると、
$x^2+y^2 = (r\cos\theta)^2+(r\sin\theta)^2 = r^2\cos^2\theta+r^2\sin^2\theta = r^2(\cos^2\theta+\sin^2\theta)$
三角関数の相互関係 $\cos^2\theta+\sin^2\theta=1$ を使うと、
$x^2+y^2 = r^2\times1 = r^2$
となり、確かに円の方程式を満たしています。
楕円の媒介変数表示
楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ は、円の媒介変数表示を少し変形して、
$x = a\cos\theta, \qquad y = b\sin\theta \qquad (0\leq\theta<2\pi)$
と表すことができます。これが楕円の方程式を満たすことを確認します。
$\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2} = \frac{(a\cos\theta)^2}{a^2}+\frac{(b\sin\theta)^2}{b^2} = \frac{a^2\cos^2\theta}{a^2}+\frac{b^2\sin^2\theta}{b^2} = \cos^2\theta+\sin^2\theta = 1$
というように、$a^2$ と $b^2$ がちょうど約分されて消え、$\cos^2\theta+\sin^2\theta=1$ という関係だけが残るので、確かに楕円の方程式を満たしていることがわかります。
直線の媒介変数表示
点 $(x_0, y_0)$ を通り、方向ベクトルが $(l, m)$ である直線は、空間ベクトルのページで学んだのと同じ考え方で、
$x = x_0+lt, \qquad y = y_0+mt$
と媒介変数表示できます。$t$ を変化させると、直線上のすべての点を表すことができます。
媒介変数の消去
媒介変数表示された曲線から、$x$ と $y$ だけの関係式(見慣れた形の方程式)を作ることを、媒介変数の消去といいます。やり方は、$x=f(t)$ の式を $t=\cdots$ の形に解いて、それを $y=g(t)$ の式に代入する、というのが基本です。円や楕円の場合は、$\cos^2\theta+\sin^2\theta=1$ という関係式を使って $\theta$ を消去します。
媒介変数を消去するときは、媒介変数のとりうる値の範囲にも注意が必要です。媒介変数の範囲によっては、曲線全体ではなく、その一部分だけを表すことがあるからです(このページの例題や練習問題では、特に指定がない限り媒介変数はすべての実数値をとれるものとして考えます)。
例題
例題1(基本)
問題
媒介変数 $\theta$ を用いて $x=3\cos\theta$、$y=2\sin\theta$ と表される点 $(x,y)$ は、どのような曲線を描くか答えなさい。
解答・解説を見る
$x=3\cos\theta$ より $\cos\theta = \dfrac{x}{3}$、$y=2\sin\theta$ より $\sin\theta=\dfrac{y}{2}$ です。これらを、三角関数の相互関係 $\cos^2\theta+\sin^2\theta=1$ に代入します。
$\left(\frac{x}{3}\right)^2 + \left(\frac{y}{2}\right)^2 = 1$
左辺を整理します。
$\frac{x^2}{9}+\frac{y^2}{4} = 1$
これは、$a=3$、$b=2$ の楕円の標準形です。
答え: 楕円 $\dfrac{x^2}{9}+\dfrac{y^2}{4}=1$
例題2(標準)
問題
媒介変数 $t$ を用いて $x=t+1$、$y=t^2-2t$ と表される点 $(x,y)$ について、$y$ を $x$ の式で表しなさい。
解答・解説を見る
$x=t+1$ を $t$ について解きます。
$t = x-1$
これを $y=t^2-2t$ に代入します。
$y = (x-1)^2 - 2(x-1)$
$(x-1)^2$ を展開します。
$(x-1)^2 = x^2-2x+1$
$-2(x-1)$ を展開します。
$-2(x-1) = -2x+2$
これらを足し合わせます。
$y = (x^2-2x+1)+(-2x+2) = x^2-2x+1-2x+2$
同類項をまとめます。$x$ の項は $-2x-2x=-4x$、定数項は $1+2=3$ です。
$y = x^2-4x+3$
答え: $y=x^2-4x+3$(これは、頂点が $(2,-1)$ である放物線を表します。)
例題3(応用)
問題
円 $x^2+y^2=25$ 上の点 $\mathrm{A}(5, 0)$ を通り、方向ベクトルが $(-1, 2)$ である直線を考える。この直線と円のもう一方の交点の座標を、媒介変数表示を用いて求めなさい。
解答・解説を見る
直線を媒介変数表示します。点 $(5,0)$ を通り、方向ベクトル $(-1,2)$ なので、
$x = 5-t, \qquad y = 2t$
この直線上の点が円 $x^2+y^2=25$ 上にあるという条件を作ります。
$(5-t)^2+(2t)^2 = 25$
$(5-t)^2$ を展開します。
$(5-t)^2 = 25-10t+t^2$
$(2t)^2=4t^2$ なので、
$25-10t+t^2+4t^2 = 25$
左辺を整理します。
$5t^2-10t+25 = 25$
両辺から $25$ を引きます。
$5t^2-10t = 0$
左辺を $5t$ でくくります。
$5t(t-2) = 0$
これより $t=0$ または $t=2$ です。
$t=0$ のとき、$x=5-0=5$、$y=2\times0=0$ となり、これは点 $\mathrm{A}(5,0)$ 自身です(直線と円の1つ目の交点で、当然この直線が通る点です)。
$t=2$ のとき、
$x = 5-2=3, \qquad y=2\times2=4$
答え: もう一方の交点は $(3, 4)$
(検算: $3^2+4^2=9+16=25$ となり、確かに円の方程式を満たしています。)
練習問題
問題1
媒介変数 $\theta$ を用いて $x=4\cos\theta$、$y=4\sin\theta$ と表される点 $(x,y)$ は、どのような曲線を描くか答えなさい。
答え
原点を中心とする半径 $4$ の円($x^2+y^2=16$)
(解説: $\left(\dfrac{x}{4}\right)^2+\left(\dfrac{y}{4}\right)^2=\cos^2\theta+\sin^2\theta=1$ より $x^2+y^2=16$。)
問題2
媒介変数 $t$ を用いて $x=2t-3$、$y=t^2+1$ と表される点 $(x,y)$ について、$y$ を $x$ の式で表しなさい。
答え
$y = \dfrac{(x+3)^2}{4}+1$
(解説: $x=2t-3$ より $t=\dfrac{x+3}{2}$。これを $y=t^2+1$ に代入する。)
問題3
原点を通り、方向ベクトルが $(1,1)$ である直線と、放物線 $y=x^2$ の交点の座標を、媒介変数表示を用いて求めなさい。
答え
$(0,0)$ と $(1,1)$
(解説: 直線を $x=t$、$y=t$ と表し、$y=x^2$ に代入すると $t=t^2$、すなわち $t(t-1)=0$ より $t=0,1$。)