数学I / 二次関数

2次関数の最大・最小

要点整理

これまでのところで、2次関数 $y=ax^2+bx+c$ は平方完成という計算によって

$y = a(x-p)^2 + q$

という形に変形でき、そのグラフ(放物線)の頂点が点 $(p, q)$ になることを確認してきました。この単元では、その頂点の情報を使って「この関数はどこまで大きくなるのか」「どこまで小さくなるのか」を調べます。これが最大値・最小値を求めるということです。

最大値とは、その関数が実際にとることのできる $y$ の値の中で、いちばん大きい値のことです。同じように、最小値とは、いちばん小さい値のことです。「いちばん大きい・小さい」だけでなく、「そのときの $x$ の値がいくつか」もあわせて答えるのが基本です。

ここでは、$x$ の範囲(定義域)に制限がなく、$x$ がすべての実数を動く場合を考えます(範囲に制限がある場合は次のトピックで学びます)。

$a$ の符号で場合分けする

$y=a(x-p)^2+q$ の形になったとき、$(x-p)^2$ の部分に注目します。この部分は、どんな実数 $x$ を代入しても2乗の形なので、必ず $0$ 以上の値になります。つまり

$(x-p)^2 \geq 0$

が、$x$ がどんな値であっても成り立ちます。等号(イコール)が成り立つのは $x=p$ のとき、つまり $x-p=0$ のときだけです。

(1) $a>0$ のとき(下に凸な放物線)

$a>0$ なので、両辺に $a$ をかけても不等号の向きは変わらず、

$a(x-p)^2 \geq 0$

となります。さらに両辺に $q$ を足すと、

$a(x-p)^2 + q \geq q$

つまり $y \geq q$ となります。これは「$y$ は $q$ より小さくなることは絶対にないが、$x=p$ のときにちょうど $q$ になる」ということを表しています。したがって、

  • $x=p$ のとき、最小値 $q$ をとる
  • $x$ を $p$ から離していくと $(x-p)^2$ はどんどん大きくなるので、$y$ はいくらでも大きくなる。つまり最大値はない

(2) $a<0$ のとき(上に凸な放物線)

このときは $(x-p)^2 \geq 0$ の両辺に負の数 $a$ をかけることになるので、不等号の向きが逆になり、

$a(x-p)^2 \leq 0$

となります。両辺に $q$ を足すと、

$a(x-p)^2 + q \leq q$

つまり $y \leq q$ です。したがって、

  • $x=p$ のとき、最大値 $q$ をとる
  • $x$ を $p$ から離すと $y$ はいくらでも小さくなるので、最小値はない

手順としてまとめると

  1. $y=ax^2+bx+c$ を平方完成して $y=a(x-p)^2+q$ の形にする
  2. $a$ の符号を確認する
  3. $a>0$ なら「$x=p$ で最小値 $q$、最大値はなし」
  4. $a<0$ なら「$x=p$ で最大値 $q$、最小値はなし」

平方完成のやり方自体は前のトピックで学んだとおりなので、ここでは「求めた頂点をどう読み取るか」に集中して練習していきましょう。

例題

例題1(基本)

問題

2次関数 $y=x^2-6x+7$ の最小値を求めなさい。また、そのときの $x$ の値も答えなさい。

解答・解説を見る

まず、右辺を平方完成します。$x^2-6x$ の部分を「(何か)の2乗」の形に近づけるために、$x$ の係数 $-6$ を半分にした $-3$ を使って、次のように変形します。

$x^2-6x+7 = (x^2-6x+9) - 9 + 7$

ここでは、$(x-3)^2=x^2-6x+9$ となるように $+9$ を作り出し、式全体の値を変えないように同じ数 $9$ を引いています。$(x^2-6x+9)$ の部分を $(x-3)^2$ に書きかえると、

$y = (x-3)^2 - 9 + 7$

$-9+7$ を計算すると $-2$ なので、

$y = (x-3)^2 - 2$

となります。これで頂点形が完成しました。この式を $y=a(x-p)^2+q$ と見比べると、$a=1$、$p=3$、$q=-2$ です。

$a=1>0$ なので、下に凸な放物線です。要点整理で確認したとおり、$a>0$ のときは頂点で最小値をとり、最大値はありません。

したがって、

  • $x=3$ のとき、最小値 $-2$
  • 最大値はない

例題2(標準)

問題

2次関数 $y=-(x-1)(x+5)$ の最大値を求めなさい。また、そのときの $x$ の値も答えなさい。

解答・解説を見る

この問題は、まだ $y=ax^2+bx+c$ の形になっていません。右辺は $-(x-1)(x+5)$ という積の形なので、最初に展開して整理します。

まず $(x-1)(x+5)$ を展開します。分配法則(それぞれの項を掛け合わせて足す)を使うと、

$(x-1)(x+5) = x \cdot x + x \cdot 5 + (-1) \cdot x + (-1) \cdot 5$

これを計算すると、

$(x-1)(x+5) = x^2 + 5x - x - 5 = x^2 + 4x - 5$

これに全体のマイナス符号をつけると、

$y = -(x^2+4x-5) = -x^2-4x+5$

これで $y=ax^2+bx+c$ の形($a=-1$、$b=-4$、$c=5$)になりました。次に平方完成をします。$x^2$ の係数が $-1$ なので、まず $x^2$ の項と $x$ の項だけを $-1$ でくくり出します。

$y = -(x^2+4x)+5$

かっこの中の $x^2+4x$ を平方完成します。$x$ の係数 $4$ を半分にした $2$ を使って、

$x^2+4x = (x+2)^2 - 4$

となります(これは $(x+2)^2=x^2+4x+4$ なので、余分な $+4$ を引いて調整したものです)。これを代入すると、

$y = -\left[(x+2)^2-4\right]+5$

かっこの前にマイナスがついているので、かっこの中の両方の項に $-1$ をかけて外します。

$y = -(x+2)^2+4+5$

$4+5$ を計算して、

$y = -(x+2)^2+9$

これで頂点形が完成しました。$a=-1$、$p=-2$、$q=9$ です。

$a=-1<0$ なので、上に凸な放物線です。$a<0$ のときは頂点で最大値をとり、最小値はありません。

したがって、

  • $x=-2$ のとき、最大値 $9$
  • 最小値はない

例題3(応用)

問題

$x+y=4$ を満たす実数 $x$、$y$ について、$x^2+y^2$ の最小値を求めなさい。また、そのときの $x$、$y$ の値を求めなさい。

解答・解説を見る

この問題には文字が $x$ と $y$ の2つありますが、条件式 $x+y=4$ を使うと、どちらか一方の文字だけの式に書きかえることができます。ここでは $y$ を $x$ で表すことにします。

$x+y=4 \quad \Longrightarrow \quad y = 4-x$

これを $x^2+y^2$ に代入します。

$x^2+y^2 = x^2+(4-x)^2$

まず $(4-x)^2$ を展開します。

$(4-x)^2 = 4^2 - 2\cdot 4 \cdot x + x^2 = 16-8x+x^2$

これを代入すると、

$x^2+y^2 = x^2 + (16-8x+x^2) = 2x^2-8x+16$

これで、$x$ だけの2次関数になりました。これを $f(x)=2x^2-8x+16$ とおいて、平方完成します。$x^2$ の係数が $2$ なので、まず $x^2$ の項と $x$ の項を $2$ でくくり出します。

$f(x) = 2(x^2-4x)+16$

かっこの中を平方完成します。$x$ の係数 $-4$ を半分にした $-2$ を使って、

$x^2-4x = (x-2)^2-4$

これを代入すると、

$f(x) = 2\left[(x-2)^2-4\right]+16$

かっこの前の $2$ を、かっこの中の両方の項に掛けて展開します。

$f(x) = 2(x-2)^2-8+16$

$-8+16$ を計算して、

$f(x) = 2(x-2)^2+8$

これで頂点形が完成しました。$a=2$、$p=2$、$q=8$ です。

$a=2>0$ なので、下に凸な放物線です。$x$ は $y=4-x$ という条件式を満たす実数であればどんな値でもとれる(範囲に制限がない)ので、要点整理の結果がそのまま使えます。$a>0$ のときは頂点で最小値をとるので、

  • $x=2$ のとき、最小値 $8$

をとります。最後に、このときの $y$ の値も求めます。$y=4-x$ に $x=2$ を代入すると、

$y = 4-2 = 2$

したがって、$x=2$、$y=2$ のとき、$x^2+y^2$ は最小値 $8$ をとります。

念のため検算すると、$x^2+y^2 = 2^2+2^2 = 4+4 = 8$ となり、確かに一致します。

練習問題

問題

2次関数 $y=-3x^2+12x-7$ の最大値を求めなさい。また、そのときの $x$ の値も答えなさい。

答え

$x^2$ の係数 $-3$ でくくり出すと $y=-3(x^2-4x)-7$ となり、かっこの中を平方完成すると $x^2-4x=(x-2)^2-4$ なので、

$y=-3\left[(x-2)^2-4\right]-7 = -3(x-2)^2+12-7 = -3(x-2)^2+5$

$a=-3<0$ なので、$x=2$ のとき最大値 $5$。最小値はありません。