数学C / 平面上の曲線と複素数平面

複素数平面の基本

要点整理

数学IIでは、複素数 $z=a+bi$($a$、$b$ は実数、$i$ は $i^2=-1$ を満たす虚数単位)の四則演算を学びました。ここでは、複素数を座標平面上の点として図に表す、複素数平面(ガウス平面)という見方を学びます。

複素数平面とは

複素数 $z=a+bi$ に対して、座標平面上の点 $(a, b)$ を対応させます。この平面を複素数平面といい、横軸(実部 $a$ を表す軸)を実軸、縦軸(虚部 $b$ を表す軸)を虚軸と呼びます。

たとえば、$z=3+2i$ は点 $(3,2)$ に、$z=-1-4i$ は点 $(-1,-4)$ に対応します。実数 $a$(つまり $b=0$ の複素数)は実軸上の点に、純虚数 $bi$($a=0$、$b\neq0$)は虚軸上の点に対応します。

このように複素数を点として表すと、複素数の性質を、平面図形の言葉(距離や角度)で理解できるようになります。これが複素数平面の便利なところです。

複素数の絶対値(原点からの距離)

複素数 $z=a+bi$ の絶対値 $|z|$ は、数学IIで

$|z| = \sqrt{a^2+b^2}$

と定義されていました。複素数平面で見ると、これは点 $(a,b)$ と原点 $(0,0)$ の間の距離そのものです(三平方の定理と同じ形をしていることからもわかります)。つまり、$|z|$ は「複素数平面上で、原点から点 $z$ までの距離」を表しています。

共役複素数の図形的な意味

複素数 $z=a+bi$ に対して、虚部の符号だけを反転させた複素数 $a-bi$ を、$z$ の共役複素数といい、$\bar{z}$(バーゼットと読みます)と書きます。

$\bar{z} = a-bi$

複素数平面で見ると、点 $(a,b)$ に対して点 $(a,-b)$ を対応させることになるので、$\bar{z}$ は $z$ を実軸に関して対称移動した点です。

共役複素数については、次の性質が成り立ちます(数学IIの復習です)。

$z+\bar{z} = (a+bi)+(a-bi) = 2a \quad (\text{実数})$

$z\bar{z} = (a+bi)(a-bi) = a^2-(bi)^2 = a^2+b^2 = |z|^2$

$z\bar{z}=|z|^2$ という関係は、絶対値を含む計算をするときに非常によく使われます。

複素数の和・差と、複素数平面上の2点間の距離

複素数 $z_1=a_1+b_1i$、$z_2=a_2+b_2i$ の和・差は、成分(実部・虚部)ごとの計算になります。

$z_1+z_2 = (a_1+a_2)+(b_1+b_2)i, \qquad z_1-z_2 = (a_1-a_2)+(b_1-b_2)i$

これは、ベクトルの成分表示での和・差の計算とまったく同じ形をしています。実際、複素数平面上での複素数の足し算・引き算は、ベクトルの足し算・引き算とまったく同じ図形的な意味(平行四辺形の法則、始点をそろえた矢印の考え方)を持っています。

この対応から、複素数平面上の2点 $z_1$、$z_2$ の間の距離は、ベクトルの大きさの公式と同じように、

$|z_1-z_2| = \sqrt{(a_1-a_2)^2+(b_1-b_2)^2}$

で求められます。これは、$z_1-z_2$ という1つの複素数の絶対値を計算しているだけです。

例題

例題1(基本)

問題

$z=3-4i$ について、$|z|$ と共役複素数 $\bar{z}$ を求めなさい。

解答・解説を見る

絶対値の公式 $|z|=\sqrt{a^2+b^2}$ に、$a=3$、$b=-4$ を代入します。

$|z| = \sqrt{3^2+(-4)^2} = \sqrt{9+16} = \sqrt{25} = 5$

共役複素数は、虚部の符号を反転させるので、

$\bar{z} = 3+4i$

答え: $|z|=5$、$\bar{z}=3+4i$

例題2(標準)

問題

$z_1=2+3i$、$z_2=-1+i$ とするとき、複素数平面上の2点 $z_1$、$z_2$ 間の距離を求めなさい。

解答・解説を見る

2点間の距離は $|z_1-z_2|$ で求められます。まず $z_1-z_2$ を計算します。

$z_1-z_2 = (2+3i)-(-1+i) = (2-(-1))+(3-1)i = 3+2i$

この絶対値を求めます。

$|z_1-z_2| = \sqrt{3^2+2^2} = \sqrt{9+4} = \sqrt{13}$

答え: $\sqrt{13}$

例題3(応用)

問題

$|z-2| = |z+2i|$ を満たす複素数 $z$ が複素数平面上に描く図形を求めなさい。

解答・解説を見る

$|z-2|$ は「点 $z$ から点 $2$(複素数平面では点 $(2,0)$)までの距離」、$|z+2i|=|z-(-2i)|$ は「点 $z$ から点 $-2i$(複素数平面では点 $(0,-2)$)までの距離」を表しています。したがって、この方程式は「点 $(2,0)$ と点 $(0,-2)$ から等しい距離にある点の集まり」を表しており、これは2点を結ぶ線分の垂直二等分線になります。

実際に成分で確認してみましょう。$z=x+yi$($x$、$y$ は実数)とおきます。

$z-2 = (x-2)+yi$

$z+2i = x+(y+2)i$

絶対値の式にすると、

$|z-2| = \sqrt{(x-2)^2+y^2}, \qquad |z+2i| = \sqrt{x^2+(y+2)^2}$

これらが等しいという方程式を作ります。

$\sqrt{(x-2)^2+y^2} = \sqrt{x^2+(y+2)^2}$

両辺とも $0$ 以上なので、2乗しても同値です。

$(x-2)^2+y^2 = x^2+(y+2)^2$

左辺を展開します。

$x^2-4x+4+y^2 = x^2+(y+2)^2$

右辺も展開します。

$x^2+(y+2)^2 = x^2+y^2+4y+4$

したがって、

$x^2-4x+4+y^2 = x^2+y^2+4y+4$

両辺から $x^2+y^2+4$ を引きます。

$-4x = 4y$

両辺を $4$ で割ります。

$-x = y$

答え: 直線 $y=-x$(点 $(2,0)$ と点 $(0,-2)$ を結ぶ線分の垂直二等分線)

練習問題

問題1

$z=-5+12i$ について、$|z|$ と共役複素数 $\bar{z}$ を求めなさい。

答え

$|z|=13$、$\bar{z}=-5-12i$

(解説: $|z|=\sqrt{(-5)^2+12^2}=\sqrt{25+144}=\sqrt{169}=13$。)

問題2

$z_1=4-i$、$z_2=1+3i$ とするとき、複素数平面上の2点 $z_1$、$z_2$ 間の距離を求めなさい。

答え

$5$

(解説: $z_1-z_2=(4-1)+(-1-3)i=3-4i$。$|z_1-z_2|=\sqrt{9+16}=\sqrt{25}=5$。)

問題3

$|z-3| = |z-3i|$ を満たす複素数 $z$ が複素数平面上に描く図形を求めなさい。

答え

直線 $y=x$

(解説: $z=x+yi$ とおくと $(x-3)^2+y^2=x^2+(y-3)^2$。展開して整理すると $-6x+9=-6y+9$、つまり $x=y$。)