数学A / 場合の数と確率

場合の数と樹形図・積の法則

要点整理

これまでの単元で、集合の要素の個数を数える方法を学んできました。ここからは、「硬貨を投げる」「道を選ぶ」といった具体的な出来事(こうした出来事の起こり方のことを「場合」と呼びます)が何通りあるかを数える、場合の数の考え方に入っていきます。

場合の数を数えるときの大原則

場合の数を数えるときにいちばん大切なのは、もれなく、重複なく数えることです。数え忘れ(もれ)があっても、同じものを2回数えてしまって(重複)も、正しい答えにはたどり着けません。この「もれなく、重複なく」を実現するための道具が、次に説明する樹形図です。

樹形図とは

樹形図(じゅけいず)とは、起こりうるすべての場合を、枝分かれする図で表したものです。たとえば、硬貨を1枚投げて表か裏かを決め、そのあとサイコロを1個投げて出る目を決めるとします。このときの場合の数を樹形図で表すと、次のようになります。

    • 1
    • 2
    • 3
    • 4
    • 5
    • 6
    • 1
    • 2
    • 3
    • 4
    • 5
    • 6

一番左に「表」「裏」という枝が2本あり、そのそれぞれから、サイコロの目に対応する枝がさらに6本ずつ伸びています。木の枝のように分かれていく図なので「樹形図」と呼ばれます。図の一番右端(枝の先端)の数を数えると、全部で12個あることが分かります。これが「硬貨の表裏とサイコロの目の出方を合わせた場合の数」です。

積の法則

樹形図を実際にかいてみると、あることに気づきます。「表」の枝から6本、「裏」の枝から6本と、同じ本数だけ枝が伸びていますね。これは、硬貨の結果(表か裏か)によって、そのあとのサイコロの目の出方の数(6通り)が変わらないからです。

このように、2つの事柄がどちらも「相手の結果に関係なく」起こるとき、全部の枝の数(場合の数)は、いちいち樹形図をかかなくても、かけ算だけで求めることができます。これを積の法則と呼びます。

事柄Aの起こり方が $m$ 通りあり、そのどの場合に対しても事柄Bの起こり方が $n$ 通りあるとき、AとBが続けて起こる場合の数は、

$ m \times n $

通りになります。

先ほどの硬貨とサイコロの例では、$m=2$(表・裏)、$n=6$(1から6の目)なので、

$ 2 \times 6 = 12 $

となり、樹形図で数えた結果と一致します。

さらに、事柄が3つ、4つと増えても同じ考え方が使えます。事柄Aが $m$ 通り、Bが $n$ 通り、Cが $l$ 通りのとき、場合の数は

$ m \times n \times l $

通り、というようにかけ算をどんどん続けていけばよいのです。

和の法則(積の法則との違いに注意)

積の法則とセットで理解しておきたいのが、和の法則です。積の法則は「Aが起こり、そのあとBも起こる」というように、2つの事柄が続けて(両方とも)起こる場合に使います。それに対して和の法則は、「AかBのどちらか一方だけが起こる」という場合に使います。

2つの事柄A、Bが同時には起こらない(このような関係を排反であるといいます)とき、Aの起こり方が $m$ 通り、Bの起こり方が $n$ 通りあれば、AまたはBが起こる場合の数は、

$ m + n $

通りになります。「AとBを両方選ぶ→かけ算(積の法則)」「AかBのどちらか一方だけを選ぶ→たし算(和の法則)」という違いを、これから解く例題を通してしっかり区別できるようにしましょう。

例題

例題1(基本)

問題 100円硬貨を1枚投げて表か裏かを決め、そのあとサイコロを1個投げて出る目を決めます。硬貨の表裏とサイコロの目の出方を合わせると、結果は何通りありますか。樹形図をかいて求めなさい。

解答・解説を見る

まず、硬貨の結果は「表」「裏」の2通りです。

次に、硬貨がどちらの結果であっても、そのあとに投げるサイコロの目の出方は「1, 2, 3, 4, 5, 6」の6通りで変わりません。

これを樹形図で表すと、次のようになります。

    • 1
    • 2
    • 3
    • 4
    • 5
    • 6
    • 1
    • 2
    • 3
    • 4
    • 5
    • 6

「表」から6本、「裏」から6本の枝が伸びているので、枝の先端の数(場合の数)は

$ 6 + 6 = 12 $

と数えることもできますし、「硬貨の結果(2通り)のそれぞれに対して、サイコロの目の出方が6通りずつある」と考えれば、積の法則から

$ 2 \times 6 = 12 $

と求めることもできます。どちらの方法でも同じ答え、12通りになることが確認できます。

例題2(標準)

問題 あるカフェには、ドリンクがコーヒー・紅茶・ジュースの3種類、ケーキがショートケーキ・チーズケーキの2種類あります。

(1) ドリンクとケーキを1つずつ選ぶとき、組み合わせは何通りありますか。 (2) 「ドリンクだけを1つ選ぶ」か「ケーキだけを1つ選ぶ」かのどちらか一方だけを選ぶとき(ドリンクとケーキの両方は選ばない)、選び方は何通りありますか。

解答・解説を見る

(1)について

ドリンクの選び方は3通り(コーヒー・紅茶・ジュース)です。

そのそれぞれに対して、ケーキの選び方は2通り(ショートケーキ・チーズケーキ)あります。ドリンクを何にしても、ケーキの選択肢の数(2通り)は変わりません。

「ドリンクを選ぶ」ことと「ケーキを選ぶ」ことは、両方とも続けて起こる出来事なので、積の法則を使います。

$ 3 \times 2 = 6 $

よって、組み合わせは6通りです。

(2)について

今度は、ドリンクとケーキを両方選ぶのではなく、「ドリンクだけ選ぶ場合」と「ケーキだけ選ぶ場合」のどちらか一方だけが起こります。この2つは同時には起こらない(排反である)ので、和の法則を使います。

ドリンクだけを選ぶ場合の数は3通り、ケーキだけを選ぶ場合の数は2通りなので、

$ 3 + 2 = 5 $

よって、選び方は5通りです。

(1)は「ドリンクとケーキを両方選ぶ」ので積の法則(かけ算)、(2)は「どちらか一方だけを選ぶ」ので和の法則(たし算)を使う、という違いをしっかり押さえておきましょう。

例題3(応用)

問題 0, 1, 2, 3, 4の5個の数字から異なる3個を選んで並べ、3桁の整数をつくります(同じ数字を2度使うことはできません)。このときできる3桁の整数は何通りありますか。

解答・解説を見る

3桁の整数は、百の位・十の位・一の位という3つの位置に、数字を1つずつ入れることでできます。それぞれの位に何通りの数字を入れられるかを、位ごとに順番に考えていきます。

百の位を決める

百の位に0を入れてしまうと、たとえば「012」のようになり、これは3桁の整数(百の位が0でない数)とは認められません。したがって、百の位に使える数字は、0を除いた1, 2, 3, 4の4通りです。

十の位を決める

十の位には、百の位で使った数字以外の数字を使うことができます。使える数字の全体は0, 1, 2, 3, 4の5個で、そのうち百の位ですでに1個使っているので、残りは

$ 5 - 1 = 4 $

より4通りです(このときは0を使ってもかまいません)。

一の位を決める

一の位には、百の位・十の位で使った数字以外の数字を使います。5個の数字のうち、すでに2個使っているので、残りは

$ 5 - 2 = 3 $

より3通りです。

積の法則でまとめる

百の位・十の位・一の位の決め方は、「その位を決めるまでにすでに使った数字を除いた、残りの数字の中から選ぶ」という関係でつながっています。百の位で何を選んでも十の位の選び方は必ず4通り、百の位・十の位で何を選んでも一の位の選び方は必ず3通りになるので、積の法則が使えます。

$ 4 \times 4 \times 3 = 48 $

よって、できる3桁の整数は48通りです。

練習問題

問題 Tシャツが4種類、ズボンが3種類、靴が2種類あります。この中からTシャツ・ズボン・靴を1つずつ選んでコーディネートをつくるとき、コーディネートは何通りできますか。

答え

積の法則により、

$ 4 \times 3 \times 2 = 24 $

24通り