数学B / 数列
等差数列の和
要点整理
前の単元で、等差数列の一般項 $a_n = a_1 + (n-1)d$ を学びました。この単元では、等差数列の初項から第$n$項までを全部足した「和」を求める公式を学びます。数列の初項から第$n$項までの和のことを、記号 $S_n$ で表します。
和の公式の作り方
たとえば、初項 $1$、末項(最後の項)$10$、項数 $10$ の等差数列 $1, 2, 3, \ldots, 10$ の和を考えてみましょう。もちろん普通に足しても求められますが、次のような工夫をすると、どんな等差数列でも使える公式が見えてきます。
まず、和を $S$ とおいて、そのまま順番に書きます。
$S = 1 + 2 + 3 + \cdots + 9 + 10$
次に、同じ和を逆の順番に書きます。
$S = 10 + 9 + 8 + \cdots + 2 + 1$
この2つの式を、上下で対応する項どうし足し合わせます。
$1+10=11, \quad 2+9=11, \quad 3+8=11, \quad \ldots, \quad 10+1=11$
対応する項の和が、すべて $11$(つまり初項と末項の和)で一定になっていることが分かります。このような組が $10$ 個(項数の分だけ)できるので、
$2S = 11 \times 10 = 110$
したがって、
$S = \frac{110}{2} = 55$
このアイデアを、一般の等差数列(初項 $a_1$、末項 $a_n$、項数 $n$)にあてはめると、同じように和を逆順にして足すことで、
$2S_n = n(a_1 + a_n)$
という関係が得られます。両辺を $2$ で割ると、次の公式が得られます。
$S_n = \frac{n}{2}(a_1 + a_n)$
これが、初項と末項が分かっているときに使う和の公式です。
末項が分からないときの公式
末項 $a_n$ の代わりに公差 $d$ が与えられている場合は、$a_n = a_1 + (n-1)d$ を先ほどの公式に代入します。
$S_n = \frac{n}{2}\left\{a_1 + \bigl(a_1 + (n-1)d\bigr)\right\}$
かっこの中を整理すると、
$S_n = \frac{n}{2}\left\{2a_1 + (n-1)d\right\}$
という、初項と公差が分かっているときに使う和の公式が得られます。この2つの公式は、どちらを使っても同じ答えになります。分かっている情報(末項か公差か)に応じて、使いやすい方を選びましょう。
例題
例題1(基本)
問題
初項が $3$、公差が $4$ である等差数列の、初項から第10項までの和 $S_{10}$ を求めなさい。
解答・解説を見る
まず、第10項 $a_{10}$ を求めます。一般項の公式 $a_n = a_1 + (n-1)d$ に $a_1=3$、$d=4$、$n=10$ を代入します。
$a_{10} = 3 + (10-1) \times 4 = 3 + 36 = 39$
次に、初項と末項が分かったので、和の公式 $S_n = \dfrac{n}{2}(a_1+a_n)$ を使います。$n=10$、$a_1=3$、$a_{10}=39$ を代入します。
$S_{10} = \frac{10}{2}(3 + 39) = 5 \times 42 = 210$
したがって、$S_{10} = 210$ です。
例題2(標準)
問題
初項が $8$、末項が $50$、項数が $15$ である等差数列の和を求めなさい。
解答・解説を見る
初項と末項がすでに分かっているので、和の公式 $S_n = \dfrac{n}{2}(a_1+a_n)$ をそのまま使えます。$n=15$、$a_1=8$、$a_n=50$ を代入します。
$S_{15} = \frac{15}{2}(8+50)$
かっこの中を計算します。
$S_{15} = \frac{15}{2} \times 58$
$58$ を $2$ で先に割ると計算が楽になります。
$S_{15} = 15 \times 29$
$S_{15} = 435$
したがって、この等差数列の和は $435$ です。
例題3(応用)
問題
初項が $50$、公差が $-4$ である等差数列 $\{a_n\}$ について、初項から第$n$項までの和 $S_n$ が最大となるときの $n$ の値を求めなさい。
解答・解説を見る
公差が負の数($d=-4$)なので、この数列の項は初項から少しずつ小さくなっていき、やがて負の数になります。項が正の数である間は足すたびに和が増えていきますが、項が負の数になった後は足すたびに和が減っていきます。したがって、和 $S_n$ が最大になるのは、加える項がちょうど正の数から負の数に切り替わる直前、つまり最後に足す項がまだ正の数(または $0$)である場合です。
そこで、まず一般項 $a_n$ を求めます。
$a_n = 50 + (n-1) \times (-4)$
かっこを展開します。
$a_n = 50 - 4n + 4$
$a_n = 54 - 4n$
次に、この項が正の数($a_n \geq 0$)である範囲を求めます。
$54 - 4n \geq 0$
両辺から $54$ を引きます。
$-4n \geq -54$
両辺を $-4$ で割ります。負の数で割るので不等号の向きが逆になります。
$n \leq \frac{54}{4} = 13.5$
$n$ は正の整数なので、$a_n \geq 0$ となる最大の$n$は $n=13$ です。実際に確かめてみましょう。
$a_{13} = 54 - 4 \times 13 = 54 - 52 = 2 \ (\text{正の数})$
$a_{14} = 54 - 4 \times 14 = 54 - 56 = -2 \ (\text{負の数})$
たしかに第13項までは正の数で、第14項から負の数に変わります。つまり、第13項まで足したところで和は最大になり、第14項(負の数)を足すとかえって和が減ってしまいます。
したがって、$S_n$ が最大となるのは $n=13$ のときです。
参考までに、そのときの和 $S_{13}$ も計算しておきます。
$S_{13} = \frac{13}{2}(a_1 + a_{13}) = \frac{13}{2}(50+2) = \frac{13}{2}\times 52 = 13 \times 26 = 338$
練習問題
問題1
初項が $-2$、公差が $5$ である等差数列の、初項から第12項までの和を求めなさい。
答え
$a_{12} = -2+(12-1)\times 5 = -2+55=53$
$S_{12} = \dfrac{12}{2}(-2+53) = 6 \times 51 = 306$
問題2
初項が $6$、末項が $90$、項数が $15$ である等差数列の和を求めなさい。
答え
$S_{15} = \dfrac{15}{2}(6+90) = \dfrac{15}{2}\times 96 = 15\times 48 = 720$
問題3
初項が $30$、公差が $-3$ である等差数列 $\{a_n\}$ について、和 $S_n$ が最大となるときの $n$ の値を求めなさい。
答え
$a_n = 30+(n-1)(-3) = 33-3n$。$a_n \geq 0$ を解くと $n \leq 11$。
$a_{11}=33-33=0$、$a_{12}=33-36=-3$ なので、$n=11$($a_{11}=0$を含めても和は変わらないので $n=11$)のときに $S_n$ は最大となります。