数学C / ベクトル
頻出解法パターン
パターン1: ベクトルの大きさの最小値を求める
こんな問題で使う
「$\vec{p} = \vec{a} + t\vec{b}$ の大きさが最小になるように実数 $t$ の値を定めよ」のような、パラメータ $t$ を含むベクトルの大きさを最小化する問題。
解法の手順
- $\vec{p}$ を成分表示し、$|\vec{p}|^2$ を $t$ の式で表す(根号のままだと扱いにくいので、必ず2乗を考える)。
- $|\vec{p}|^2$ を展開・整理すると $t$ についての2次関数になるので、平方完成する。
- 2次の係数が正であれば下に凸の放物線なので、頂点の $t$ の値で最小になる。
具体例
$\vec{a}=(3,1)$、$\vec{b}=(-1,2)$ のとき、$\vec{p}=\vec{a}+t\vec{b}=(3-t,\ 1+2t)$ です。
$|\vec{p}|^2 = (3-t)^2+(1+2t)^2 = (9-6t+t^2)+(1+4t+4t^2) = 5t^2-2t+10$
平方完成すると $5t^2-2t+10 = 5\left(t-\dfrac{1}{5}\right)^2+\dfrac{49}{5}$ となるので、$t=\dfrac{1}{5}$ のとき最小値 $\dfrac{49}{5}$ をとります。
パターン2: 大きさとなす角から $|\vec{a}\pm\vec{b}|$ を求める
こんな問題で使う
成分がわからず、$|\vec{a}|$、$|\vec{b}|$、なす角 $\theta$ だけが与えられていて、$|\vec{a}+\vec{b}|$ や $|\vec{a}-\vec{b}|$ を求める問題。
解法の手順
- 内積の性質 $\vec{a}\cdot\vec{a}=|\vec{a}|^2$ を使って、$|\vec{a}\pm\vec{b}|^2 = (\vec{a}\pm\vec{b})\cdot(\vec{a}\pm\vec{b})$ を展開する。
- 展開結果は $|\vec{a}|^2 \pm 2\vec{a}\cdot\vec{b} + |\vec{b}|^2$ という形になる。
- $\vec{a}\cdot\vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta$ を使って内積の値を計算し、代入する。
- 最後に平方根をとる(大きさは $0$ 以上なので、必ず正の平方根)。
具体例
$|\vec{a}|=4$、$|\vec{b}|=3$、なす角 $60^\circ$ のとき、
$\vec{a}\cdot\vec{b} = 4\times3\times\cos60^\circ = 12\times\frac{1}{2}=6$
$|\vec{a}-\vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2-2\vec{a}\cdot\vec{b}+|\vec{b}|^2 = 16-12+9=13$
$|\vec{a}-\vec{b}| = \sqrt{13}$
パターン3: 内分点の公式で図形の点を求める(たすき掛け)
こんな問題で使う
「線分 $\mathrm{AB}$ を $m:n$ に内分(外分)する点の座標(位置ベクトル)を求めよ」という問題。
解法の手順
- 内分点なら $\vec{p}=\dfrac{n\vec{a}+m\vec{b}}{m+n}$、外分点なら $\vec{p}=\dfrac{-n\vec{a}+m\vec{b}}{m-n}$ の公式に当てはめる。
- 分子では、$\vec{a}$ に相手側の比 $n$、$\vec{b}$ に相手側の比 $m$ を掛ける「たすき掛け」の形になっていることを確認する。
- 成分ごとに計算し、最後に分母で割る。
具体例
$\mathrm{A}(2,3)$、$\mathrm{B}(8,-3)$ を $2:1$ に内分する点 $\mathrm{P}$ は、$m=2$、$n=1$ として、
$\vec{p} = \frac{1\times(2,3)+2\times(8,-3)}{2+1} = \frac{(2,3)+(16,-6)}{3} = \frac{(18,-3)}{3} = (6,-1)$
パターン4: 一次独立・係数比較で交点の位置ベクトルを求める
こんな問題で使う
三角形の中に引かれた2本の線分(セビアン)の交点の位置ベクトルを求める問題。
解法の手順
- 交点 $\mathrm{P}$ が1本目の線分上にあることから、実数 $t$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ を $\vec{a}$、$\vec{b}$ の式で表す。
- 交点 $\mathrm{P}$ が2本目の線分上にあることから、実数 $s$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ を別の式で表す。
- $\vec{a}$、$\vec{b}$ が一次独立であることを確認し(三角形をなす3点であればよい)、2つの式の $\vec{a}$ の係数どうし、$\vec{b}$ の係数どうしを比較して連立方程式を作る。
- 連立方程式を解いて $t$(または $s$)を求め、$\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ を確定する。
具体例
$\triangle\mathrm{OAB}$ で $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec{a}$、$\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec{b}$、$\mathrm{OP}:\mathrm{PA}=1:2$ となる点 $\mathrm{P}$、$\mathrm{OQ}:\mathrm{QB}=2:1$ となる点 $\mathrm{Q}$ とし、線分 $\mathrm{BP}$ と線分 $\mathrm{AQ}$ の交点を $\mathrm{X}$ とします。$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac{1}{3}\vec{a}$、$\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\dfrac{2}{3}\vec{b}$ なので、
$\overrightarrow{\mathrm{OX}} = \vec{b}+t\left(\frac{1}{3}\vec{a}-\vec{b}\right) = \frac{t}{3}\vec{a}+(1-t)\vec{b}, \qquad \overrightarrow{\mathrm{OX}} = \vec{a}+s\left(\frac{2}{3}\vec{b}-\vec{a}\right) = (1-s)\vec{a}+\frac{2s}{3}\vec{b}$
係数比較で $\dfrac{t}{3}=1-s$、$1-t=\dfrac{2s}{3}$ を連立させて解くと $t=\dfrac{3}{7}$、$s=\dfrac{6}{7}$ となり、
$\overrightarrow{\mathrm{OX}} = \frac{1}{7}\vec{a}+\frac{4}{7}\vec{b}$
パターン5: 共線条件で3点が一直線上にあることを示す
こんな問題で使う
「3点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$、$\mathrm{C}$ が一直線上にあることを示せ」という証明問題。
解法の手順
- $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、$\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ を、位置ベクトルの差(終点 $-$ 始点)として計算する。
- $\overrightarrow{\mathrm{AC}} = k\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ となる実数 $k$ が存在するかどうかを調べる(成分表示なら、対応する成分の比がすべて等しいかを確認する)。
- そのような $k$ が見つかれば、$\overrightarrow{\mathrm{AC}}\parallel\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ かつ点 $\mathrm{A}$ を共有するので、3点は一直線上にあると結論できる。
具体例
$\mathrm{A}(2,1)$、$\mathrm{B}(5,7)$、$\mathrm{C}(8,13)$ について、
$\overrightarrow{\mathrm{AB}} = (5-2,\ 7-1) = (3,6), \qquad \overrightarrow{\mathrm{AC}} = (8-2,\ 13-1) = (6,12)$
$(6,12) = 2\times(3,6)$ なので $\overrightarrow{\mathrm{AC}}=2\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ が成り立ち、3点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$、$\mathrm{C}$ は一直線上にあります。
パターン6: 空間の座標軸上で等距離になる点を求める
こんな問題で使う
「$x$ 軸(または $y$ 軸、$z$ 軸)上にあって、2点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$ から等しい距離にある点を求めよ」という問題。
解法の手順
- 求める点を、軸上にあることを利用して、1つの文字だけで表す(例: $x$ 軸上なら $\mathrm{P}(x,0,0)$)。
- 根号のままだと扱いにくいので、$\mathrm{PA}=\mathrm{PB}$ の代わりに $\mathrm{PA}^2=\mathrm{PB}^2$ という式を作る。
- 両辺を展開・整理し、1次方程式(文字が1つ)にして解く。
具体例
$x$ 軸上にあって $\mathrm{A}(1,2,2)$、$\mathrm{B}(3,0,-2)$ から等距離にある点 $\mathrm{P}(x,0,0)$ を求めます。
$\mathrm{PA}^2 = (x-1)^2+2^2+2^2 = (x-1)^2+8$
$\mathrm{PB}^2 = (x-3)^2+0^2+(-2)^2 = (x-3)^2+4$
$\mathrm{PA}^2=\mathrm{PB}^2$ より $(x-1)^2+8=(x-3)^2+4$ を展開すると $x^2-2x+9=x^2-6x+13$、整理すると $4x=4$ なので $x=1$。したがって $\mathrm{P}(1,0,0)$ です。
パターン7: 3点を通る平面の方程式を求める
こんな問題で使う
「3点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$、$\mathrm{C}$ を通る平面の方程式を求めよ」という問題。
解法の手順
- 平面上の2つのベクトル $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、$\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ を成分で求める。
- 求める法線ベクトルを $\vec{n}=(a,b,c)$ とおき、$\vec{n}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0$、$\vec{n}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}}=0$ という2つの式を連立させ、$a$、$b$、$c$ の比を求める(文字が3つ、式が2つなので、1つ値を仮定してよい)。
- 求めた法線ベクトルと、平面上の1点(たとえば $\mathrm{A}$)を使って、平面の方程式 $a(x-x_0)+b(y-y_0)+c(z-z_0)=0$ を作る。
具体例
$\mathrm{A}(1,0,0)$、$\mathrm{B}(0,1,0)$、$\mathrm{C}(0,0,1)$ を通る平面を求めます。$\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(-1,1,0)$、$\overrightarrow{\mathrm{AC}}=(-1,0,1)$ より、$\vec{n}=(a,b,c)$ について $-a+b=0$、$-a+c=0$ なので $a=b=c$。$a=1$ とすると $\vec{n}=(1,1,1)$。点 $\mathrm{A}(1,0,0)$ を通るので、
$1(x-1)+1(y-0)+1(z-0)=0$
整理すると、$x+y+z=1$ という、覚えやすい形の平面の方程式が得られます。