数学III / 微分法

頻出解法パターン

パターン1: 積・商の形の関数は、積の微分法・商の微分法をそのまま適用する

こんな問題で使う

2つの関数の積、または商になっている関数を微分する問題。

解法の手順

  1. 与えられた式が積の形か、商の形かを見極め、$f(x)$、$g(x)$ を明確に分ける。
  2. それぞれの導関数 $f'(x)$、$g'(x)$ を求める。
  3. 積なら $\{fg\}'=f'g+fg'$、商なら $\left\{\dfrac{f}{g}\right\}'=\dfrac{f'g-fg'}{g^2}$ に代入する。
  4. 必要であれば、共通因数でくくるなどして式を整理する。

具体例

$y=x^2\sin x$ を微分する場合、$f(x)=x^2$、$g(x)=\sin x$ として、

$y' = 2x\sin x + x^2\cos x$

パターン2: べき乗型の合成関数は「指数を下ろして、中身を微分したものを掛ける」

こんな問題で使う

$\{g(x)\}^n$ の形をした関数(根号や分数の形に隠れている場合を含む)の微分。

解法の手順

  1. 根号は分数の指数($\sqrt{\ }=\left(\ \right)^{\frac12}$)、分母にある式は負の指数の形に書き直す。
  2. 指数 $n$ を前に出し、指数を $1$ 減らす($g(x)^{n-1}$ にする)。
  3. 最後に、中身 $g(x)$ を微分した $g'(x)$ を掛ける。

具体例

$y=\sqrt{x^2+1}=(x^2+1)^{\frac12}$ を微分する場合、

$y' = \frac{1}{2}(x^2+1)^{-\frac12}\times 2x = \frac{x}{\sqrt{x^2+1}}$

パターン3: 三角・指数・対数の微分は「基本公式 → 合成関数の処理」の順で

こんな問題で使う

$\sin$、$\cos$、$\tan$、$e^x$、$\log x$ などを含む関数(単独、または合成関数)の微分。

解法の手順

  1. 使うべき基本公式を確認する($\sin\to\cos$、$\cos\to-\sin$、$\tan\to\dfrac{1}{\cos^2}$、$e^x\to e^x$、$\log x\to\dfrac{1}{x}$)。
  2. 中身が単なる $x$ ではなく、何らかの式 $g(x)$ になっている場合は、合成関数として中身の導関数 $g'(x)$ を最後に掛ける。
  3. 積や商が絡む場合は、パターン1と組み合わせて計算する。

具体例

$y=\log(\sin x)$ を微分する場合、$\log$ の中身が $\sin x$ なので、

$y' = \frac{1}{\sin x}\times\cos x = \frac{\cos x}{\sin x}$

パターン4: 媒介変数表示は $\dfrac{dy}{dt}$ と $\dfrac{dx}{dt}$ を別々に求めて割る

こんな問題で使う

$x=f(t)$、$y=g(t)$ の形で表された曲線について、$\dfrac{dy}{dx}$ を求める問題。

解法の手順

  1. $\dfrac{dx}{dt}$、$\dfrac{dy}{dt}$ を、それぞれ $t$ の関数として個別に求める。
  2. $\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{dy/dt}{dx/dt}$ を計算する。
  3. 三角関数の公式などを使って、できるだけ簡単な形に整理する。

具体例

$x=t-\sin t$、$y=1-\cos t$(サイクロイド)のとき、

$\frac{dy}{dx} = \frac{\sin t}{1-\cos t}$

パターン5: 陰関数の微分は「$y$ が出てくるたびに $y'$ を掛ける」

こんな問題で使う

$x$ と $y$ の関係式(円の方程式など)から $\dfrac{dy}{dx}$ を求める問題。

解法の手順

  1. 方程式の両辺を、$x$ で微分する。$y$ を含む項は連鎖律を使い、必ず $y'$(または $\dfrac{dy}{dx}$)を一緒に掛ける。
  2. $y'$ を含む項を左辺、それ以外の項を右辺に移項して整理する。
  3. 左辺を $y'$ でくくり出し、両辺を割って $y'$ について解く。

具体例

$x^2+y^2=25$ のとき、両辺を $x$ で微分して $2x+2yy'=0$ となり、

$y' = -\frac{x}{y}$

パターン6: 増減・極値を求める定番の流れ

こんな問題で使う

関数の増減表を作り、極大値・極小値やグラフの概形を求める問題。

解法の手順

  1. $f'(x)$ を求め、因数分解して $f'(x)=0$ となる $x$(極値の候補点)を求める。
  2. 候補点で区切られた各区間に、適当な代表値を代入して $f'(x)$ の符号を調べる。
  3. 増減表を作り、符号が「正→負」に変わる点を極大、「負→正」に変わる点を極小と判定する。
  4. 必要であれば $f''(x)$ も調べ、凹凸や変曲点の情報を増減表に追加する。

具体例

$f(x)=x^3-3x$ のとき、$f'(x)=3(x-1)(x+1)$ より、$x=-1$ で極大値 $2$、$x=1$ で極小値 $-2$ となる。

パターン7: 不等式の証明は「差を取って関数の増減を調べる」

こんな問題で使う

「$x>0$ のとき $A>B$ が成り立つことを示せ」のような、不等式の証明問題。

解法の手順

  1. 証明したい不等式を「(左辺)$-$(右辺)$>0$」の形に整理し、$g(x)=$(左辺)$-$(右辺)とおく。
  2. 範囲の端(多くの場合 $x=0$)での $g$ の値を計算する(多くは $g(0)=0$ になる)。
  3. $g'(x)$ を求め、証明したい範囲で $g'(x)$ の符号を調べる。
  4. $g(x)$ がその範囲で増加(または減少)することを示し、端の値と比較することで、目的の不等式を導く。

具体例

$x>0$ のとき $e^x>x+1$ を示す場合、$g(x)=e^x-x-1$ とおくと $g(0)=0$、$g'(x)=e^x-1>0$($x>0$ のとき)なので $g$ は増加し、$g(x)>g(0)=0$、すなわち $e^x>x+1$ が示される。