数学B / 数列

漸化式の基本形

要点整理

漸化式とは

これまでは、数列の一般項を「$n$の式」として直接与えられることが多かったですが、数列の決め方には、もう1つ重要な方法があります。それは、最初の項の値と、隣り合う項どうしの関係を表す式を使って数列を定める方法です。この関係式のことを漸化式(ぜんかしき)と呼びます。

たとえば、

$a_1 = 2, \quad a_{n+1} = a_n + 5$

という2つの情報が与えられたとします。1つ目の式は「初項が$2$である」という意味です。2つ目の式は「どの項番号$n$についても、次の項 $a_{n+1}$ は、今の項 $a_n$ に$5$を足したものである」という意味です。この2つの情報だけから、数列のすべての項を順番に計算していくことができます。

$a_1=2, \quad a_2=a_1+5=7, \quad a_3=a_2+5=12, \quad a_4=a_3+5=17, \ldots$

このように、漸化式は数列を1項ずつ「芋づる式」に決めていく仕組みだと考えると分かりやすいです。この単元では、漸化式が与えられたときに、それを1項ずつ計算するのではなく、一般項($n$の式)に直す方法を学びます。基本となるパターンは次の3つです。

パターン1: 等差数列型

$a_{n+1} = a_n + d \quad (d\text{は定数})$

この形は、「次の項は、今の項に一定の数$d$を足したもの」という意味なので、これはまさに公差$d$の等差数列の定義そのものです。したがって、一般項は等差数列の公式がそのまま使えます。

$a_n = a_1 + (n-1)d$

パターン2: 等比数列型

$a_{n+1} = r\, a_n \quad (r\text{は定数})$

この形は、「次の項は、今の項を$r$倍したもの」という意味なので、これはまさに公比$r$の等比数列の定義そのものです。したがって、一般項は等比数列の公式がそのまま使えます。

$a_n = a_1 \, r^{\,n-1}$

パターン3: 階差数列型

$a_{n+1} = a_n + f(n) \quad (f(n)\text{は}n\text{の式})$

この形は、パターン1に似ていますが、足す数が定数ではなく$n$によって変わる点が違います。この式を $a_{n+1}-a_n = f(n)$ と書き直すと、これはまさに前の単元で学んだ階差数列の関係式そのものです(階差数列 $b_n = f(n)$ を持つ数列だということです)。したがって、階差数列の単元で学んだ公式がそのまま使えます。

$a_n = a_1 + \sum_{k=1}^{n-1} f(k) \quad (n\geq2)$

計算した後は、この式が $n=1$ でも成り立つかどうかを必ず確認しましょう。

例題

例題1(基本)

問題

$a_1=5$、$a_{n+1}=a_n+3$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。

解答・解説を見る

漸化式 $a_{n+1}=a_n+3$ は、「次の項は今の項に定数$3$を足したもの」という形なので、パターン1(等差数列型)です。これは公差 $d=3$ の等差数列であることを表しています。

等差数列の一般項の公式 $a_n=a_1+(n-1)d$ に、$a_1=5$、$d=3$ を代入します。

$a_n = 5+(n-1)\times3$

かっこを展開します。

$a_n = 5+3n-3$

$a_n = 3n+2$

したがって、一般項は $a_n = 3n+2$ です。

(確認: $a_1=3\times1+2=5$(初項と一致)。$a_2=3\times2+2=8$。漸化式で計算すると $a_2=a_1+3=5+3=8$ となり一致します。)

例題2(標準)

問題

$a_1=2$、$a_{n+1}=3a_n$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。

解答・解説を見る

漸化式 $a_{n+1}=3a_n$ は、「次の項は今の項を$3$倍したもの」という形なので、パターン2(等比数列型)です。これは公比 $r=3$ の等比数列であることを表しています。

等比数列の一般項の公式 $a_n=a_1 r^{\,n-1}$ に、$a_1=2$、$r=3$ を代入します。

$a_n = 2 \times 3^{\,n-1}$

したがって、一般項は $a_n = 2\times 3^{\,n-1}$ です。

(確認: $a_1=2\times3^0=2\times1=2$(初項と一致)。$a_2=2\times3^1=6$。漸化式で計算すると $a_2=3a_1=3\times2=6$ となり一致します。)

例題3(応用)

問題

$a_1=1$、$a_{n+1}=a_n+2n+1$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。

解答・解説を見る

漸化式 $a_{n+1}=a_n+2n+1$ は、$a_{n+1}-a_n = 2n+1$ と書き直せます。右辺が定数ではなく$n$の式になっているので、これはパターン3(階差数列型)です。階差数列は $f(n)=2n+1$ です。

階差数列から元の数列を求める公式 $a_n = a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}f(k)$($n\geq2$)を使います。$a_1=1$、$f(k)=2k+1$ を代入します。

$a_n = 1+\sum_{k=1}^{n-1}(2k+1)$

$\Sigma$の中を、性質を使って分解します。

$\sum_{k=1}^{n-1}(2k+1) = 2\sum_{k=1}^{n-1}k + \sum_{k=1}^{n-1}1$

公式 $\displaystyle\sum_{k=1}^{m}k=\dfrac{m(m+1)}{2}$ を、$m=n-1$ として使います。

$\sum_{k=1}^{n-1}k = \frac{(n-1)n}{2}$

また、$\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}1 = n-1$ です。これらを代入します。

$\sum_{k=1}^{n-1}(2k+1) = 2\times\frac{(n-1)n}{2} + (n-1) = (n-1)n+(n-1)$

$(n-1)$ が共通因数なので、くくり出します。

$(n-1)n+(n-1) = (n-1)(n+1)$

これは $A^2-B^2=(A-B)(A+B)$ の形をしているので、$(n-1)(n+1)=n^2-1$ と展開できます。したがって、

$a_n = 1+(n^2-1) = n^2$

この式が $n=1$ でも成り立つか確認すると、$a_1=1^2=1$ となり、もとの初項と一致します。したがって、この式はすべての$n$で成り立ちます。

したがって、一般項は $a_n = n^2$ です。

(確認: 漸化式で直接計算すると、$a_2=a_1+2\times1+1=1+3=4=2^2$、$a_3=a_2+2\times2+1=4+5=9=3^2$ となり、たしかに $a_n=n^2$ と一致します。)

練習問題

問題1

$a_1=-3$、$a_{n+1}=a_n-2$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。

答え

公差 $-2$ の等差数列なので、$a_n=-3+(n-1)\times(-2) = -2n-1$

問題2

$a_1=3$、$a_{n+1}=2a_n$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。

答え

公比 $2$ の等比数列なので、$a_n=3\times2^{\,n-1}$

問題3

$a_1=2$、$a_{n+1}=a_n+3^n$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。

答え

$a_n = 2+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}3^k = 2+\dfrac{3(3^{n-1}-1)}{3-1} = 2+\dfrac{3^n-3}{2} = \dfrac{3^n+1}{2}$($n=1$でも $\frac{3+1}{2}=2$ となり成立)