数学I / データの分析
章末問題
章末問題
この章末問題では、「データの分析」の中で学んだいくつかのトピックを組み合わせた問題に挑戦します。1つの問題の中に、代表値の計算と分散の計算が両方登場したり、散布図の読み取りと相関係数の計算が両方登場したりすることもあります。「これはどの考え方を使う問題だったかな」と一度立ち止まって考えながら取り組んでみてください。わからないときは、慌てずに解答・解説を開いて、途中式を1行ずつ確認しましょう。
問題1
問題
あるクラスの生徒10人が受けた小テストの得点(単位:点)は、次のとおりでした。
$3,\ 5,\ 5,\ 6,\ 7,\ 8,\ 8,\ 8,\ 9,\ 10$
このデータについて、次の値を求めなさい。
(1) 平均値 (2) 中央値 (3) 最頻値
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平均値・中央値・最頻値は、どれもデータ全体の特徴を1つの数字で表す「代表値」と呼ばれるものです。それぞれ意味が異なるので、順番に計算していきましょう。
(1) 平均値を求めます
平均値とは、「すべてのデータの値を足し合わせて、データの個数で割った値」のことです。まず、10人分の得点をすべて足し合わせます。
$3+5+5+6+7+8+8+8+9+10$
左から順番に、1つずつ足していきます。
$3+5=8$
$8+5=13$
$13+6=19$
$19+7=26$
$26+8=34$
$34+8=42$
$42+8=50$
$50+9=59$
$59+10=69$
したがって、合計は $69$ 点です。データの個数は $10$ 人なので、平均値は、
$69\div10=6.9$
平均値は $6.9$ 点です。
(2) 中央値を求めます
中央値とは、「データを小さい順(または大きい順)に並べたときに、ちょうど真ん中に来る値」のことです。この問題のデータは、すでに小さい順に並んでいます。
$3,\ 5,\ 5,\ 6,\ 7,\ 8,\ 8,\ 8,\ 9,\ 10$
データの個数が $10$ 個のように偶数個のときは、真ん中の値がちょうど1つに決まりません。この場合は、真ん中の2つの値(小さい方から $5$ 番目と $6$ 番目)を平均した値を中央値とします。
小さい方から $5$ 番目の値は $7$、$6$ 番目の値は $8$ です。したがって、中央値は、
$(7+8)\div2=15\div2=7.5$
中央値は $7.5$ 点です。
(3) 最頻値を求めます
最頻値とは、「データの中で、いちばん多く出てくる値」のことです。それぞれの値が何回出てくるかを数えます。
- $3$:1回
- $5$:2回
- $6$:1回
- $7$:1回
- $8$:3回
- $9$:1回
- $10$:1回
いちばん多く出てくるのは $8$ で、$3$ 回登場しています。したがって、最頻値は $8$ 点です。
以上より、平均値 $6.9$ 点、中央値 $7.5$ 点、最頻値 $8$ 点となります。このように、同じデータでも代表値の種類によって値が少しずつ違うことがわかります。
問題2
問題
あるサイトで販売されている9個の商品について、1個あたりの価格(単位:百円)を調べたところ、次のようになりました。
$2,\ 4,\ 4,\ 6,\ 7,\ 8,\ 9,\ 10,\ 25$
(1) 第1四分位数 $Q_1$、第2四分位数(中央値)$Q_2$、第3四分位数 $Q_3$ を求めなさい。 (2) 四分位範囲(IQR)を求めなさい。 (3) 「$Q_1$ から四分位範囲の $1.5$ 倍以上小さい値」または「$Q_3$ から四分位範囲の $1.5$ 倍以上大きい値」を外れ値と呼ぶことにします。このデータの中に外れ値があるかどうか調べなさい。
解答・解説を見る
四分位数とは、データを小さい順に並べたときに、全体を4つの等しい部分に分ける3つの区切りの値のことです。小さい方から数えて、$1$ 番目の区切りを第1四分位数($Q_1$)、$2$ 番目の区切り(ちょうど中央値と同じ位置)を第2四分位数($Q_2$)、$3$ 番目の区切りを第3四分位数($Q_3$)と呼びます。
(1) $Q_1$、$Q_2$、$Q_3$ を求めます
このデータは、すでに小さい順に並んでいます。データの個数は $9$ 個です。
$2,\ 4,\ 4,\ 6,\ 7,\ 8,\ 9,\ 10,\ 25$
まず、$Q_2$(中央値)を求めます。データの個数が $9$ 個のように奇数個のときは、真ん中の $1$ つの値がそのまま中央値になります。真ん中は小さい方から $5$ 番目の値なので、
$Q_2=7$
次に、$Q_2$ を境目にして、データを「下半分」と「上半分」に分けます。このとき、真ん中の値($Q_2$)自体はどちらのグループにも入れません。
下半分($Q_2$ より小さい方、$4$ 個):$2,\ 4,\ 4,\ 6$ 上半分($Q_2$ より大きい方、$4$ 個):$8,\ 9,\ 10,\ 25$
$Q_1$ は下半分の中央値です。下半分は $4$ 個(偶数個)なので、真ん中の2つの値($2$ 番目の $4$ と $3$ 番目の $4$)を平均します。
$Q_1=(4+4)\div2=4$
$Q_3$ は上半分の中央値です。上半分も $4$ 個(偶数個)なので、真ん中の2つの値($2$ 番目の $9$ と $3$ 番目の $10$)を平均します。
$Q_3=(9+10)\div2=9.5$
以上より、$Q_1=4$、$Q_2=7$、$Q_3=9.5$(単位:百円)です。
(2) 四分位範囲を求めます
四分位範囲(IQR)とは、$Q_3$ から $Q_1$ を引いた値のことで、データの中央付近 $50\%$ がどれくらいの幅に散らばっているかを表します。
$\text{IQR}=Q_3-Q_1=9.5-4=5.5$
四分位範囲は $5.5$(百円)です。
(3) 外れ値があるかどうか調べます
まず、外れ値を判定するための2つの境界線(これを「フェンス」と呼びます)を計算します。四分位範囲の $1.5$ 倍を計算すると、
$1.5\times5.5=8.25$
上側のフェンス(これより大きい値を外れ値の候補とする境界)は、$Q_3$ にこの値を足したものです。
$9.5+8.25=17.75$
下側のフェンス(これより小さい値を外れ値の候補とする境界)は、$Q_1$ からこの値を引いたものです。
$4-8.25=-4.25$
したがって、「$17.75$ より大きい値」または「$-4.25$ より小さい値」が外れ値ということになります。データの中を見ると、$25$ という値があり、これは上側のフェンス $17.75$ より大きいので、外れ値であると判断できます。
$25>17.75$
一方、それ以外の値($2,4,4,6,7,8,9,10$)はすべて $-4.25$ 以上 $17.75$ 以下の範囲に収まっているので、外れ値ではありません。
以上より、このデータには $25$ という外れ値が $1$ つ含まれていることがわかりました。箱ひげ図をかくときには、この外れ値を「ひげ」の先ではなく、点として別に表すのが一般的です。
問題3
問題
$5$ つのデータ $4,\ 6,\ 8,\ 10,\ 12$ について、分散と標準偏差を求めなさい。
解答・解説を見る
分散とは、「それぞれのデータの値が、平均値からどれくらい離れているか」を表す指標です。データの値と平均値との差(これを偏差と呼びます)を2乗してから平均をとることで求めます。2乗する理由は、偏差には正の値も負の値もあるので、そのまま平均をとると打ち消し合ってしまうからです。標準偏差は、分散の正の平方根をとった値で、分散を2乗する前の単位(この問題では点数などの単位)に戻したものです。
ステップ1:平均値を求めます
$4+6+8+10+12=40$
データの個数は $5$ 個なので、平均値は、
$40\div5=8$
ステップ2:それぞれの偏差(データの値 $-$ 平均値)を求めます
$4-8=-4$
$6-8=-2$
$8-8=0$
$10-8=2$
$12-8=4$
ステップ3:それぞれの偏差を2乗します
$(-4)^2=16$
$(-2)^2=4$
$0^2=0$
$2^2=4$
$4^2=16$
ステップ4:偏差の2乗を合計し、データの個数で割ります(これが分散です)
$16+4+0+4+16=40$
$\text{分散}=40\div5=8$
ステップ5:分散の正の平方根をとります(これが標準偏差です)
$\text{標準偏差}=\sqrt{8}$
$\sqrt{8}$ は、$8=4\times2$ と分解すると、
$\sqrt{8}=\sqrt{4\times2}=\sqrt{4}\times\sqrt{2}=2\sqrt{2}$
以上より、分散は $8$、標準偏差は $2\sqrt{2}$(約 $2.83$)です。
問題4
問題
次の(A)〜(C)は、3つの異なる2変数データの散布図(横軸に $x$、縦軸に $y$ をとった点の分布)の特徴を、言葉で説明したものです。それぞれの相関係数 $r$の値として最も適切なものを、下の選択肢 ①〜③ から1つずつ選びなさい。
(A) 点があまりばらつかず、右上がりの直線にほぼぴったり沿って並んでいる。 (B) 点は右下がりの傾向を示しているが、直線からのばらつきもそれなりに大きい。 (C) 点がバラバラに散らばっていて、右上がりとも右下がりとも言えない。
選択肢:① $r=-0.6$ ② $r=0.05$ ③ $r=0.95$
解答・解説を見る
相関係数 $r$ は、2つの変数 $x$、$y$ の間に「直線的な関係」がどれくらい強くあるかを表す数値で、必ず $-1$ 以上 $1$ 以下の値になります。$r$ の符号と絶対値には、それぞれ次のような意味があります。
- $r$ の符号:$r>0$ なら「$x$ が増えると $y$ も増える」という右上がりの関係(正の相関)、$r<0$ なら「$x$ が増えると $y$ は減る」という右下がりの関係(負の相関)を表します。
- $r$ の絶対値の大きさ:絶対値が $1$ に近いほど、点が1本の直線に近い形できれいに並んでいることを表します。絶対値が $0$ に近いほど、点がバラバラに散らばっていて、直線的な関係がほとんどないことを表します。
この考え方をもとに、(A)〜(C)を1つずつ見ていきます。
(A)について
「右上がり」なので符号は正、「あまりばらつかず、直線にほぼぴったり沿う」ので絶対値は $1$ に近い値になります。選択肢の中で、正の値でいちばん $1$ に近いのは③の $r=0.95$ です。
(B)について
「右下がり」なので符号は負、「傾向はあるが、ばらつきもそれなりに大きい」ので、絶対値は $1$ に近すぎず、かといって $0$ に近すぎない、中くらいの大きさになります。選択肢の中で、負の値は①の $r=-0.6$ だけです。
(C)について
「バラバラに散らばっていて、右上がりとも右下がりとも言えない」ので、直線的な関係がほとんどないと考えられます。つまり、絶対値が $0$ に近い値です。選択肢の中でいちばん $0$ に近いのは②の $r=0.05$ です。
以上より、(A)は③($r=0.95$)、(B)は①($r=-0.6$)、(C)は②($r=0.05$)となります。
問題5
問題
$5$ 人の生徒について、数学のテストの得点 $x$ と、理科のテストの得点 $y$ を調べたところ、次の表のようになりました(単位:点、実際には10点満点のテストの得点を簡単な数にしたものと考えてください)。
| 生徒 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
|---|---|---|---|---|---|
| $x$ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| $y$ | 3 | 5 | 4 | 6 | 7 |
$x$ と $y$ の相関係数 $r$ を求めなさい。
解答・解説を見る
相関係数は、次の式で計算できます。
$r=\dfrac{x\text{ と }y\text{ の偏差の積の合計}}{\sqrt{x\text{ の偏差の2乗の合計}}\times\sqrt{y\text{ の偏差の2乗の合計}}}$
ここでいう「偏差」とは、それぞれのデータの値から、その変数の平均値を引いたもののことです。順番に計算していきましょう。
ステップ1:$x$ の平均値を求めます
$1+2+3+4+5=15$
$15\div5=3$
$x$ の平均値は $3$ です。
ステップ2:$y$ の平均値を求めます
$3+5+4+6+7=25$
$25\div5=5$
$y$ の平均値は $5$ です。
ステップ3:$x$ の偏差(各値から平均 $3$ を引いた値)を求めます
$1-3=-2,\quad 2-3=-1,\quad 3-3=0,\quad 4-3=1,\quad 5-3=2$
ステップ4:$y$ の偏差(各値から平均 $5$ を引いた値)を求めます
$3-5=-2,\quad 5-5=0,\quad 4-5=-1,\quad 6-5=1,\quad 7-5=2$
ステップ5:$x$ の偏差の2乗の合計を求めます
$(-2)^2+(-1)^2+0^2+1^2+2^2=4+1+0+1+4=10$
ステップ6:$y$ の偏差の2乗の合計を求めます
$(-2)^2+0^2+(-1)^2+1^2+2^2=4+0+1+1+4=10$
ステップ7:$x$ の偏差と $y$ の偏差を、同じ生徒どうしでかけ合わせて、その合計を求めます
生徒1:$(-2)\times(-2)=4$ 生徒2:$(-1)\times0=0$ 生徒3:$0\times(-1)=0$ 生徒4:$1\times1=1$ 生徒5:$2\times2=4$
これらを合計します。
$4+0+0+1+4=9$
ステップ8:相関係数の式に当てはめます
$r=\dfrac{9}{\sqrt{10}\times\sqrt{10}}$
$\sqrt{10}\times\sqrt{10}$ は、同じ数どうしのかけ算なので、根号の中の数だけになります。
$\sqrt{10}\times\sqrt{10}=10$
したがって、
$r=\dfrac{9}{10}=0.9$
相関係数は $r=0.9$ です。$1$ に近い正の値なので、$x$(数学の得点)が大きい生徒ほど $y$(理科の得点)も大きい、という強い正の相関があると言えます。
問題6
問題
占い師のAさんは、「サイコロを振る前に、出る目を言い当てることができる」と主張しています。そこで、Aさんに6面のサイコロを $10$ 回振ってもらい、その都度、振る前に出る目を予想してもらったところ、$10$ 回のうち $5$ 回的中しました。
Aさんに本当に特別な能力があると言えるかどうかを、仮説検定の考え方を使って判断したいと思います。仮説検定とは、「本当は偶然にすぎないのではないか」という仮定(仮説)を立てたうえで、実際に起きた出来事がその仮定のもとでは「めったに起こらない」と言えるかどうかを調べ、めったに起こらないと判断できる場合には、その仮定の方がおかしいと考えて否定する、という考え方です。
いま、「Aさんに特別な能力はなく、$6$ 分の $1$ の確率で偶然的中しているだけだ」という仮説を立てます。この仮説が正しいと仮定して、コンピュータで「$10$ 回サイコロを振って、そのつど $6$ 分の $1$ の確率で当たるかどうか」というシミュレーションを $200$ 回繰り返したところ、$10$ 回中何回的中したかの結果は、次の表のようになりました。
| 的中回数 | 0回 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 回数(200回中) | 33 | 65 | 60 | 28 | 10 | 3 | 1 |
(1) この仮説のもとで、$200$ 回のシミュレーションのうち「$5$ 回以上的中した」回数は何回か求めなさい。また、それは全体の何パーセントにあたるか求めなさい。 (2) 仮説検定では、「起こったことが全体の $5\%$ 未満のときは、めったに起こらない」と判断する、というルールがよく使われます。このルールにしたがうと、Aさんが $10$ 回中 $5$ 回的中したことについて、どのように判断できるか説明しなさい。
解答・解説を見る
(1) 「$5$ 回以上的中した」回数と割合を求めます
表の中で、「$5$ 回以上」に当てはまるのは、「$5$ 回」の欄と「$6$ 回以上」の欄です。この2つの回数を足します。
$3+1=4$
したがって、$200$ 回のシミュレーションのうち、「$5$ 回以上的中した」のは $4$ 回です。これが全体の何パーセントにあたるかを求めるには、$4$ を $200$ で割ってから $100$ をかけます。
$4\div200=0.02$
$0.02\times100=2$
したがって、「$5$ 回以上的中した」割合は $2\%$ です。
(2) 判断を説明します
(1)で求めたとおり、「Aさんに特別な能力はなく、偶然的中しているだけだ」という仮説のもとでは、「$10$ 回中 $5$ 回以上的中する」ということが起こる割合はわずか $2\%$ です。
問題文にあるルールでは、「起こったことが全体の $5\%$ 未満のときは、めったに起こらないと判断する」とされています。ここで求めた $2\%$ は、$5\%$ より小さい値です。
$2\%<5\%$
したがって、「Aさんに特別な能力はなく、偶然に的中しているだけだ」と仮定した場合、実際にAさんが起こしたこと($10$ 回中 $5$ 回的中)は「めったに起こらない」出来事だったと判断できます。
めったに起こらないはずのことが実際に起きたので、最初に立てた仮説(偶然にすぎない)の方がおかしいと考え、この仮説を否定します。つまり、Aさんが $10$ 回中 $5$ 回的中したことは、単なる偶然とは考えにくく、何か特別な理由(能力など)があるのではないかと判断できる、ということになります。
ただし、これはあくまで「偶然ではなさそうだ」という統計的な判断であり、Aさんに本当に超能力のようなものがあると証明されたわけではない、という点にも注意しておきましょう。
問題7
問題
P班とQ班、それぞれ $5$ 人が同じ英語のテストを受けました。得点(単位:点)は次のとおりです。
P班:$60,\ 65,\ 70,\ 75,\ 80$ Q班:$40,\ 60,\ 70,\ 80,\ 100$
(1) P班、Q班それぞれの平均値を求めなさい。 (2) P班、Q班それぞれの分散と標準偏差を求めなさい。 (3) (2)の結果をもとに、どちらの班の方が得点のばらつきが大きいと言えるか、理由とともに答えなさい。
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(1) それぞれの平均値を求めます
P班の得点を合計します。
$60+65+70+75+80=350$
人数は $5$ 人なので、平均値は、
$350\div5=70$
P班の平均値は $70$ 点です。
Q班の得点を合計します。
$40+60+70+80+100=350$
人数は $5$ 人なので、平均値は、
$350\div5=70$
Q班の平均値も $70$ 点です。2つの班は、平均値だけを見ると同じです。
(2) それぞれの分散と標準偏差を求めます
まず、P班について計算します。それぞれの得点から平均値 $70$ を引いた偏差を求めます。
$60-70=-10,\quad 65-70=-5,\quad 70-70=0,\quad 75-70=5,\quad 80-70=10$
それぞれの偏差を2乗します。
$(-10)^2=100,\quad(-5)^2=25,\quad0^2=0,\quad5^2=25,\quad10^2=100$
偏差の2乗を合計します。
$100+25+0+25+100=250$
分散は、この合計を人数 $5$ で割った値です。
$\text{P班の分散}=250\div5=50$
標準偏差は分散の正の平方根です。
$\text{P班の標準偏差}=\sqrt{50}$
$50=25\times2$ と分解すると、
$\sqrt{50}=\sqrt{25\times2}=\sqrt{25}\times\sqrt{2}=5\sqrt{2}$
次に、Q班について計算します。それぞれの得点から平均値 $70$ を引いた偏差を求めます。
$40-70=-30,\quad60-70=-10,\quad70-70=0,\quad80-70=10,\quad100-70=30$
それぞれの偏差を2乗します。
$(-30)^2=900,\quad(-10)^2=100,\quad0^2=0,\quad10^2=100,\quad30^2=900$
偏差の2乗を合計します。
$900+100+0+100+900=2000$
分散は、この合計を人数 $5$ で割った値です。
$\text{Q班の分散}=2000\div5=400$
標準偏差は分散の正の平方根です。$400=20^2$ なので、
$\text{Q班の標準偏差}=\sqrt{400}=20$
以上より、P班は分散 $50$、標準偏差 $5\sqrt{2}$(約 $7.07$)点、Q班は分散 $400$、標準偏差 $20$ 点です。
(3) どちらのばらつきが大きいか判断します
分散も標準偏差も、値が大きいほどデータのばらつき(散らばり具合)が大きいことを表します。P班の分散は $50$、Q班の分散は $400$ なので、
$50<400$
同じように、標準偏差もP班が約 $7.07$ 点、Q班が $20$ 点なので、Q班の方が大きくなっています。
平均値はどちらの班も $70$ 点で同じでしたが、分散・標準偏差を比べると、Q班の方が大きい値になっています。したがって、Q班の方が得点のばらつきが大きい、つまり生徒によって得点の差が大きいクラスだと言えます。逆にP班は、平均値は同じでも、生徒どうしの得点差が比較的小さく、まとまった得点分布をしていると言えます。このように、平均値だけでは見えてこないデータの特徴が、分散や標準偏差を調べることで見えてくることがあります。
問題8
問題
あるレストランで、直近 $9$ 日間の1日あたりの来店客数(単位:人)を調べたところ、次のようになりました。
$32,\ 35,\ 33,\ 34,\ 36,\ 33,\ 35,\ 34,\ 120$
なお、$120$ 人という値は、たまたま近くでお祭りが開催されていた特別な日の記録です。
(1) このデータの平均値を求めなさい(答えは小数第2位を四捨五入して、小数第1位まで求めなさい)。 (2) このデータの中央値を求めなさい。 (3) (1)と(2)の結果を比べたうえで、「このレストランのふだんの来店客数」を代表する値として、平均値と中央値のどちらがより適切だと考えられるか、理由とともに述べなさい。
解答・解説を見る
(1) 平均値を求めます
$9$ 日分の来店客数をすべて足し合わせます。
$32+35+33+34+36+33+35+34+120$
左から順番に、1つずつ足していきます。
$32+35=67$
$67+33=100$
$100+34=134$
$134+36=170$
$170+33=203$
$203+35=238$
$238+34=272$
$272+120=392$
合計は $392$ 人です。データの個数は $9$ 日分なので、平均値は、
$392\div9=43.555\ldots$
小数第2位を四捨五入すると、平均値はおよそ $43.6$ 人です。
(2) 中央値を求めます
データを小さい順に並べ替えます。
$32,\ 33,\ 33,\ 34,\ 34,\ 35,\ 35,\ 36,\ 120$
データの個数は $9$ 個(奇数個)なので、真ん中の $1$ つの値、つまり小さい方から $5$ 番目の値がそのまま中央値になります。小さい方から数えると、$1$ 番目 $32$、$2$ 番目 $33$、$3$ 番目 $33$、$4$ 番目 $34$、$5$ 番目 $34$ です。
$\text{中央値}=34$
(3) どちらが適切か判断します
(1)の平均値はおよそ $43.6$ 人でしたが、これは $9$ 日間のうち $8$ 日分の来店客数($32$〜$36$人程度)と比べると、かなり大きい値になっています。これは、お祭りがあった特別な日の $120$ 人という値が、平均値の計算に大きく影響しているためです。平均値は、すべてのデータの値をそのまま計算に使うため、$120$ のように極端に大きい(または小さい)値が $1$ つ混ざっているだけで、全体の値が大きく引っ張られてしまう性質があります。
一方、(2)の中央値は $34$ 人でした。これは、お祭りの日を除いた $8$ 日分の来店客数($32$〜$36$人程度)の範囲にきちんと収まっている値です。中央値は「順番に並べたときの真ん中の値」を見るだけなので、$120$ のような極端な値が1つ混ざっていても、その値自体の大きさには影響されにくいという性質があります。
以上のことから、「このレストランのふだんの来店客数」を代表する値としては、極端な値の影響を受けにくい中央値($34$人)の方が適切だと考えられます。平均値($43.6$人)は、お祭りという特別な事情による影響を大きく受けてしまっており、ふだんの様子を正しく表しているとは言いにくいです。このように、データの中に外れ値(他の値から大きく離れた値)が含まれるときは、平均値だけでなく中央値も合わせて確認することが大切です。