数学II / 微分・積分の考え
方程式・不等式への応用
要点整理
方程式の実数解の個数を調べる
方程式 $f(x)=k$($k$ は定数)の実数解の個数は、$y=f(x)$ のグラフと、直線 $y=k$(横に伸びる水平線)が何回交わるかを数えることと同じです。3次関数 $f(x)=ax^3+bx^2+cx+d$($a>0$)が、$x=p$ で極大値 $M$、$x=q$ で極小値 $m$ をとる($M>m$)場合、水平線 $y=k$ の高さによって交点の数は次のように変わります。
- $m
: 山を越え、谷を通り、また上がっていく途中で、水平線と3回交わるので、実数解は3個。 - $k=M$ または $k=m$ のとき: ちょうど山の頂上、または谷の底に水平線が接するので、交点は2個(1つは重解)。
- $k>M$ または $k
: 山や谷の高さの外側なので、水平線と交わるのは1回だけで、実数解は1個。
この考え方を使えば、いちいち方程式を解かなくても、グラフの極値の位置関係(符号)を調べるだけで、実数解の個数が分かります。
手順
- $f(x)-k=0$(または問題の形に応じてそのまま $f(x)$)の増減表を作り、極大値 $M$、極小値 $m$ を求める。
- $k$ の値(または $0$)が $M, m$ に対してどこにあるかを比べる。
- 上のルールに従って実数解の個数を判定する。
不等式の証明
「$x\ge a$ のとき、不等式 $f(x)\ge0$ が成り立つことを証明せよ」というタイプの問題は、次の方針で解きます。
- $f(x)$ の導関数 $f'(x)$ を求め、$x\ge a$ の範囲での増減を調べる。
- 増減表から、その範囲での $f(x)$ の最小値を求める。
- 最小値が $0$ 以上であることを示せれば、その範囲のすべての $x$ で $f(x)\ge0$ が成り立つと結論できる(最小値でさえ $0$ 以上なら、それより大きい他の値はなおさら $0$ 以上だからです)。
例題
例題1(基本)
問題 方程式 $x^3-3x+1=0$ の異なる実数解の個数を求めなさい。
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$f(x)=x^3-3x+1$ とおきます。$f'(x)=3x^2-3=3(x-1)(x+1)$ より、$f'(x)=0$ は $x=-1,1$。増減を調べると、$x<-1$ で増加、$-1
極大値は $f(-1)=-1+3+1=3$、極小値は $f(1)=1-3+1=-1$ です。
方程式 $f(x)=0$ の実数解の個数は、直線 $y=0$(つまり $x$ 軸)と $y=f(x)$ のグラフの交点の数です。極小値 $m=-1$ と極大値 $M=3$ の間に $0$ があるかどうかを調べると、
$m=-1 < 0 < 3=M$
が成り立つので、$x$ 軸はグラフの「谷」より下、「山」より上ではなく、ちょうど間にあります。よって、実数解は3個です。
例題2(標準)
問題 方程式 $x^3-3x+1=k$ が異なる3つの実数解を持つような、定数 $k$ の値の範囲を求めなさい。
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例題1と同じ $f(x)=x^3-3x+1$ を使います。極大値は $M=3$($x=-1$ のとき)、極小値は $m=-1$($x=1$ のとき)でした。
方程式 $f(x)=k$ が異なる3つの実数解を持つのは、水平線 $y=k$ が、グラフの「谷の底」より上、「山の頂上」より下にあるときです。つまり、
$m を満たすときなので、 $-1 < k < 3$ 答え: $-1
例題3(応用)
問題 $x\ge0$ のとき、不等式 $x^3+2\ge3x$ が成り立つことを証明しなさい。
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方針: $f(x)=x^3-3x+2$ とおき、$x\ge0$ の範囲で $f(x)\ge0$ が成り立つことを示せば、もとの不等式 $x^3+2\ge3x$(つまり $x^3-3x+2\ge0$)が証明できたことになります。
導関数を求める: $f'(x)=3x^2-3=3(x-1)(x+1)$
$x\ge0$ の範囲での符号を調べる: $x\ge0$ の範囲には $x=-1$ は含まれないので、考えるべき $f'(x)=0$ の解は $x=1$ だけです。
- $0\le x<1$: 例えば $x=0$ で $(x-1)(x+1)=(-1)(1)=-1<0$ より $f'(x)<0$(減少)
- $x>1$: 例えば $x=2$ で $(x-1)(x+1)=(1)(3)=3>0$ より $f'(x)>0$(増加)
増減表($x\ge0$ の範囲)
| $x$ | $0$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | |
| $f(x)$ | $2$ | $\searrow$ | 最小値 | $\nearrow$ |
$f(0)=0^3-3\times0+2=2$、$f(1)=1^3-3\times1+2=1-3+2=0$ です。
最小値を確認する: 増減表から、$x\ge0$ の範囲で $f(x)$ は $x=0$ から $x=1$ まで減少し($2$ から $0$ へ)、$x=1$ から先はずっと増加します。つまり、$x\ge0$ の範囲全体で $f(x)$ が最も小さくなるのは $x=1$ のときで、その値は $f(1)=0$ です。
結論: $x\ge0$ の範囲での $f(x)$ の最小値が $0$ なので、
$f(x) \ge 0 \quad \text{つまり} \quad x^3-3x+2 \ge 0$
がすべての $x\ge0$ で成り立ちます。これは $x^3+2\ge3x$ と同じことなので、証明できました(等号は $x=1$ のときに成り立ちます)。
練習問題
問題 方程式 $x^3-6x^2+9x-k=0$ が異なる3つの実数解を持つような定数 $k$ の値の範囲を求めなさい。
答え
$f(x)=x^3-6x^2+9x$ とおくと、$f'(x)=3x^2-12x+9=3(x-1)(x-3)$。極大値 $f(1)=1-6+9=4$、極小値 $f(3)=27-54+27=0$。
方程式は $f(x)=k$ と同じ形なので、$0