数学II / 微分・積分の考え

定積分と面積

要点整理

定積分の定義

$f(x)$ の原始関数の1つを $F(x)$(つまり $F'(x)=f(x)$)とするとき、$a$ から $b$ までの定積分を、

$\int_a^b f(x)\,dx = \Bigl[F(x)\Bigr]_a^b = F(b)-F(a)$

と定義します。$\bigl[F(x)\bigr]_a^b$ は「$F(x)$ に $x=b$ を代入した値から、$x=a$ を代入した値を引く」という意味の記号です。不定積分のときと違い、$b$ と $a$ を代入して引き算までしてしまうので、答えには積分定数 $C$ が残らず、具体的な数値になります(実際、$F(x)+C$ を使っても $\{F(b)+C\}-\{F(a)+C\}=F(b)-F(a)$ となり $C$ は消えます)。

定積分の性質

$\int_a^a f(x)\,dx = 0, \qquad \int_b^a f(x)\,dx = -\int_a^b f(x)\,dx$

$\int_a^b f(x)\,dx + \int_b^c f(x)\,dx = \int_a^c f(x)\,dx$

定積分と面積の関係

区間 $a\le x\le b$ で常に $f(x)\ge0$ であるとき、曲線 $y=f(x)$ と $x$ 軸、および2直線 $x=a$、$x=b$ で囲まれた図形の面積 $S$ は、

$S = \int_a^b f(x)\,dx$

で求められます。逆に、区間内で常に $f(x)\le0$(グラフが $x$ 軸より下にある)場合は、定積分の値そのものは負(または $0$)になってしまうので、面積として答えるときは符号を反転させて、

$S = -\int_a^b f(x)\,dx$

とします(面積は必ず $0$ 以上の値になることに注意しましょう)。

2曲線で囲まれた図形の面積: 区間 $a\le x\le b$ で常に $f(x)\ge g(x)$(つまり $y=f(x)$ のグラフが $y=g(x)$ のグラフより上にある)とき、2曲線に囲まれた部分の面積は、

$S = \int_a^b \{f(x)-g(x)\}\,dx$

上の曲線から下の曲線を引いてから積分する、という考え方です。

面積の6分の1公式

放物線と直線、または2つの放物線で囲まれた面積を求めるとき、交点の $x$ 座標を $\alpha, \beta$($\alpha<\beta$)とすると、被積分関数(積分される式)は必ず $a(x-\alpha)(x-\beta)$ の形に因数分解できます。ここで、次の公式が成り立ちます。

$\int_\alpha^\beta (x-\alpha)(x-\beta)\,dx = -\frac{(\beta-\alpha)^3}{6}$

導出: $t=x-\alpha$ とおくと、$x=\alpha$ のとき $t=0$、$x=\beta$ のとき $t=\beta-\alpha$(これを $h$ とおきます)です。また $x-\beta = (x-\alpha)-(\beta-\alpha)=t-h$ となるので、

$\int_\alpha^\beta(x-\alpha)(x-\beta)\,dx = \int_0^h t(t-h)\,dt = \int_0^h(t^2-ht)\,dt$

積分を計算すると、

$= \left[\frac{t^3}{3}-\frac{ht^2}{2}\right]_0^h = \left(\frac{h^3}{3}-\frac{h\cdot h^2}{2}\right)-0 = \frac{h^3}{3}-\frac{h^3}{2}$

通分すると $\dfrac{2h^3}{6}-\dfrac{3h^3}{6}=-\dfrac{h^3}{6}$ なので、$h=\beta-\alpha$ に戻して、

$\int_\alpha^\beta(x-\alpha)(x-\beta)\,dx = -\frac{(\beta-\alpha)^3}{6}$

これを使うと、$a(x-\alpha)(x-\beta)$($a\neq0$)の形の式の、$\alpha$ から $\beta$ までの定積分の絶対値(=面積)は $|a|\times\dfrac{(\beta-\alpha)^3}{6}$ とすぐに計算できます。いちいち展開して積分するよりずっと速く計算できるので、覚えておくと便利です。

例題

例題1(基本)

問題 $\displaystyle\int_1^3(3x^2-2x)\,dx$ を求めなさい。

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まず原始関数を求めます。$\displaystyle\int(3x^2-2x)\,dx = x^3-x^2+C$ です(積分定数は定積分では最終的に消えるので、ここでは省略して構いません)。

$\int_1^3(3x^2-2x)\,dx = \Bigl[x^3-x^2\Bigr]_1^3$

$x=3$ を代入した値から $x=1$ を代入した値を引きます。

$= (3^3-3^2)-(1^3-1^2) = (27-9)-(1-1) = 18-0 = 18$

答え: $18$

例題2(標準)

問題 曲線 $y=-x^2+4x$ と $x$ 軸で囲まれた図形の面積を求めなさい。

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$x$ 軸との交点を求める: $-x^2+4x=0$ を解きます。共通因数 $-x$(または $x$)をくくり出すと、

$x(-x+4) = 0 \quad\Longrightarrow\quad x=0, \ 4$

符号を確認する: $x^2$ の係数が負なので、上に凸な放物線です。$x=2$(交点の間の値)を代入すると $-4+8=4>0$ となり、$0

面積を定積分で求める: 原始関数は $\displaystyle\int(-x^2+4x)\,dx=-\dfrac{x^3}{3}+2x^2+C$ なので、

$S = \int_0^4(-x^2+4x)\,dx = \left[-\frac{x^3}{3}+2x^2\right]_0^4$

$= \left(-\frac{4^3}{3}+2\times4^2\right)-(0) = -\frac{64}{3}+32$

通分して計算します。

$= -\frac{64}{3}+\frac{96}{3} = \frac{32}{3}$

6分の1公式で検算する: $-x^2+4x=-x(x-4)=-(x-0)(x-4)$ なので、$a=-1$、$\alpha=0$、$\beta=4$ です。

$S = |a|\times\frac{(\beta-\alpha)^3}{6} = 1\times\frac{4^3}{6} = \frac{64}{6} = \frac{32}{3}$

同じ答えになり、確かめられました。

答え: $\dfrac{32}{3}$

例題3(応用)

問題 曲線 $y=x^2$ と直線 $y=x+2$ で囲まれた図形の面積を求めなさい。

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交点を求める: $x^2=x+2$ より、

$x^2-x-2=0$

因数分解すると、

$(x-2)(x+1)=0 \quad\Longrightarrow\quad x=-1, \ 2$

上下関係を確認する: 交点の間、例えば $x=0$ で比べると、直線は $y=0+2=2$、放物線は $y=0^2=0$ なので、直線の方が上にあります。

面積を求める: 上の式(直線)から下の式(放物線)を引いて積分します。

$S = \int_{-1}^2 \{(x+2)-x^2\}\,dx = \int_{-1}^2(-x^2+x+2)\,dx$

6分の1公式を使う: $-x^2+x+2$ を因数分解します。$x^2-x-2=(x-2)(x+1)$ だったので、

$-x^2+x+2 = -(x^2-x-2) = -(x-2)(x+1) = -(x-(-1))(x-2)$

$a=-1$、$\alpha=-1$、$\beta=2$ です。$\beta-\alpha=2-(-1)=3$ なので、

$S = |a|\times\frac{(\beta-\alpha)^3}{6} = 1\times\frac{3^3}{6} = \frac{27}{6} = \frac{9}{2}$

答え: $\dfrac{9}{2}$

練習問題

問題 曲線 $y=x^2-2x$ と直線 $y=x$ で囲まれた図形の面積を求めなさい。

答え

交点: $x^2-2x=x$ より $x^2-3x=0$、$x(x-3)=0$ より $x=0,3$。$0

$S=\displaystyle\int_0^3\{x-(x^2-2x)\}dx=\int_0^3(-x^2+3x)dx$

6分の1公式($-x^2+3x=-x(x-3)=-(x-0)(x-3)$、$a=-1,\alpha=0,\beta=3$)より、

$S = 1\times\frac{3^3}{6} = \frac{27}{6} = \frac{9}{2}$