数学II / 図形と方程式
直線の方程式
要点整理
数学IIの「図形と方程式」という単元では、座標平面上の点や図形を、方程式という「数式の言葉」で表すことを学んでいきます。前のトピックでは、2点間の距離の求め方や、線分を内分・外分する点の座標の求め方を学びました。今回はその知識を土台にしながら、座標平面上にひかれた「直線」そのものを、1つの方程式で表す方法を学びます。
傾きとは何か
直線の「傾き」とは、その直線がx軸に対してどれくらい斜めになっているかを表す数のことです。記号には主に $m$ を使います。
直線上の異なる2点 $(x_1, y_1)$ と $(x_2, y_2)$ をとります(ただし $x_1 \neq x_2$ とします。つまり、2点のx座標が同じではない場合です)。このとき、傾き $m$ は次の式で定義されます。
$ m = \frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1} $
この式の意味を確認しておきましょう。分子の $y_2 - y_1$ は「yの変化量」、つまりyがどれだけ増えたか(減っていればマイナスの値になります)を表します。分母の $x_2 - x_1$ は「xの変化量」です。ですから傾き $m$ は、
$ m = \frac{y の変化量}{x の変化量} $
という意味を持ち、「xが1増えたときにyがどれだけ変化するか」を表す数だとイメージしてください。
具体例:点 $(1, 2)$ と点 $(3, 6)$ を通る直線の傾きを求めてみます。
$ m = \frac{6 - 2}{3 - 1} = \frac{4}{2} = 2 $
つまりこの直線は、xが1増えるごとにyが2ずつ増える直線だということが分かります。
1点と傾きから直線の方程式を作る
それでは、ある1点 $(x_1, y_1)$ を通り、傾きが $m$ である直線の方程式を作ってみましょう。
考え方はこうです。求めたい直線上に、点 $(x_1, y_1)$ 以外の点 $(x, y)$ を1つとります(この $(x, y)$ が、直線上を自由に動く「一般の点」を表しています)。この2点 $(x_1, y_1)$ と $(x, y)$ を使って傾きを計算すると、それは直線全体の傾き $m$ と等しくなるはずです。式で書くと、
$ \frac{y - y_1}{x - x_1} = m $
となります。この式の両辺に $(x - x_1)$ をかけます。左辺は分母の $(x - x_1)$ が約分されて消えるので、
$ y - y_1 = m(x - x_1) $
という式が得られます。これが、点 $(x_1, y_1)$ を通り、傾きが $m$ である直線の方程式です。とても重要な式なので、必ず覚えておきましょう。
$ y - y_1 = m(x - x_1) $
具体例:点 $(2, 1)$ を通り、傾き $3$ の直線の方程式を求めてみます。公式に $x_1 = 2$, $y_1 = 1$, $m = 3$ を代入します。
$ y - 1 = 3(x - 2) $
右辺を展開します。
$ y - 1 = 3x - 6 $
両辺に $1$ を足して、yについて解いた形(これを「傾きと切片で表した形」と呼びます)にすると、
$ y = 3x - 5 $
となります。この形の $-5$ の部分は「y切片」と呼ばれ、直線がy軸と交わる点のy座標を表しています(つまりこの直線は点 $(0, -5)$ を通ります)。
2点を通る直線の方程式
次に、2点 $(x_1, y_1)$ と $(x_2, y_2)$ (ただし $x_1 \neq x_2$)を通る直線の方程式を求める方法を考えます。
やることは単純で、まず2点から傾きを求め、それを先ほどの「1点と傾きから作る公式」に代入するだけです。
まず傾きは、先ほど確認した通り、
$ m = \frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1} $
です。これを $y - y_1 = m(x - x_1)$ に代入すると、
$ y - y_1 = \frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1}(x - x_1) $
という式が得られます。これが2点を通る直線の方程式です。
具体例:2点 $(1, 2)$ と $(3, -2)$ を通る直線の方程式を求めてみます。まず傾きを計算します。
$ m = \frac{-2 - 2}{3 - 1} = \frac{-4}{2} = -2 $
次に、点 $(1, 2)$ を通り傾き $-2$ の直線として、公式に代入します。
$ y - 2 = -2(x - 1) $
右辺を展開します。
$ y - 2 = -2x + 2 $
両辺に $2$ を足すと、
$ y = -2x + 4 $
となります。
座標軸に平行な特別な直線
ここまでの式は、どれも「傾き」を使って直線を表してきました。しかし、y軸と平行な直線(まっすぐ縦にひかれた直線)には、傾きを定義することができません。なぜなら、y軸に平行な直線上の2点は必ずx座標が等しくなり、傾きの公式 $m = \dfrac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1}$ の分母が $0$ になってしまうからです(0で割ることはできません)。
そこで、y軸に平行な直線は、傾きを使わずに次のように表します。$k$ を定数(具体的な数)とすると、
$ x = k $
これは「x座標が常に $k$ である点の集まり」という意味の方程式で、y軸に平行な直線を表します。
同じように、x軸に平行な直線(まっすぐ横にひかれた直線)は、傾きが $0$ の直線と考えることができ、次のように表します。
$ y = k $
これは「y座標が常に $k$ である点の集まり」を表します。
直線の一般形
最後に、すべての直線をまとめて表す方法を紹介します。今まで見てきた $y = mx + b$ の形の式は、両辺を移項すると、
$ mx - y + b = 0 $
という形に書き直せます。これは $a = m$, $b$ はそのまま(定数項), $c = b$ と置き直せば、次の形をしています。
$ ax + by + c = 0 $
この形を直線の一般形と呼びます。一般形が便利なのは、$y = mx + b$ の形では表せなかった「y軸に平行な直線 $x = k$」も、この形に含めることができる点です。実際、$x = k$ という式は、
$ 1 \cdot x + 0 \cdot y + (-k) = 0 $
と考えれば、$a = 1$, $b = 0$, $c = -k$ の一般形になっていることが分かります。つまり、$ax + by + c = 0$ という1つの形で、座標平面上のどんな直線も表すことができるのです。
例題
例題1(基本)
問題
点 $(2, 3)$ を通り、傾きが $4$ である直線の方程式を、$y = (xの式)$ の形で求めなさい。
解答・解説を見る
点 $(x_1, y_1)$ を通り、傾き $m$ の直線の方程式は、
$ y - y_1 = m(x - x_1) $
でした。この式に $x_1 = 2$, $y_1 = 3$, $m = 4$ を代入します。
$ y - 3 = 4(x - 2) $
右辺を展開します。$4 \times x = 4x$、$4 \times (-2) = -8$ なので、
$ y - 3 = 4x - 8 $
両辺に $3$ を足して、yについて解きます。
$ y = 4x - 8 + 3 $
$ y = 4x - 5 $
検算:求めた式に $x = 2$ を代入すると、$y = 4 \times 2 - 5 = 8 - 5 = 3$ となり、確かに点 $(2, 3)$ を通っていることが確認できます。
答え:$y = 4x - 5$
例題2(標準)
問題
2点 $(1, 2)$, $(4, 8)$ を通る直線の方程式を、一般形 $ax + by + c = 0$ の形で求めなさい。
解答・解説を見る
まず、2点から傾き $m$ を求めます。傾きの公式は、
$ m = \frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1} $
でした。$(x_1, y_1) = (1, 2)$, $(x_2, y_2) = (4, 8)$ とすると、
$ m = \frac{8 - 2}{4 - 1} = \frac{6}{3} = 2 $
次に、点 $(1, 2)$ を通り傾き $2$ の直線として、公式 $y - y_1 = m(x - x_1)$ に代入します。
$ y - 2 = 2(x - 1) $
右辺を展開します。
$ y - 2 = 2x - 2 $
両辺に $2$ を足します。
$ y = 2x $
この式を一般形 $ax + by + c = 0$ の形に直すため、右辺の $2x$ を左辺に移項します。移項するときは符号が変わることに注意しましょう。
$ -2x + y = 0 $
両辺に $-1$ をかけて、xの係数を正の数にそろえます(一般形はこの形でなくても正解ですが、見やすくするための工夫です)。
$ 2x - y = 0 $
検算:$x = 1, y = 2$ を代入すると $2 \times 1 - 2 = 0$ となり成り立ちます。$x = 4, y = 8$ を代入すると $2 \times 4 - 8 = 0$ となり、こちらも成り立ちます。
答え:$2x - y = 0$
例題3(応用)
問題
3点 $A(1, 1)$, $B(3, 5)$, $C(a, 7)$ が一直線上にあるとき、$a$ の値を求めなさい。
解答・解説を見る
「3点が一直線上にある」とは、この3点をすべて通る1本の直線が存在するということです。言いかえると、点Aと点Bを通る直線の上に、点Cも乗っているということになります。
そこで、まず直線ABの方程式を求め、その式に点Cの座標を代入するという方針で解きます。
ステップ1:直線ABの傾きを求める
$ m = \frac{5 - 1}{3 - 1} = \frac{4}{2} = 2 $
ステップ2:直線ABの方程式を求める
点 $A(1, 1)$ を通り、傾き $2$ の直線として、公式 $y - y_1 = m(x - x_1)$ に代入します。
$ y - 1 = 2(x - 1) $
右辺を展開します。
$ y - 1 = 2x - 2 $
両辺に $1$ を足します。
$ y = 2x - 1 $
これが直線ABの方程式です。
ステップ3:点Cがこの直線上にあるという条件を使う
点 $C(a, 7)$ がこの直線上にあるということは、$x = a$, $y = 7$ をこの方程式に代入したときに、式が成り立つということです。代入すると、
$ 7 = 2a - 1 $
この方程式を $a$ について解きます。両辺に $1$ を足します。
$ 7 + 1 = 2a $
$ 8 = 2a $
両辺を $2$ で割ります。
$ a = 4 $
検算:$a = 4$ のとき $C(4, 7)$ です。直線ABの式 $y = 2x - 1$ に $x = 4$ を代入すると、$y = 2 \times 4 - 1 = 8 - 1 = 7$ となり、確かに点Cを通ることが確認できました。
答え:$a = 4$
練習問題
問題
点 $(-1, 4)$ を通り、傾きが $-3$ である直線の方程式を、一般形 $ax + by + c = 0$ の形で求めなさい。
答え
$y - 4 = -3(x - (-1))$ より $y - 4 = -3x - 3$、よって $y = -3x + 1$。これを移項して整理すると、
$ 3x + y - 1 = 0 $
答え:$3x + y - 1 = 0$