数学B / 数列

種々の漸化式(特性方程式・連立漸化式)

要点整理

前の単元では、漸化式の基本形(等差数列型・等比数列型・階差数列型)を学びました。この単元では、それらよりも少し複雑な形の漸化式の解き方を学びます。

$a_{n+1}=pa_n+q$ の形(特性方程式を使う解法)

$a_{n+1} = p\,a_n + q \quad (p\neq1, \ p,q\text{は定数})$

という形の漸化式を考えます。もし $q=0$ ならこれは等比数列型ですが、$q\neq0$ の場合はそのままでは等比数列になりません。そこで、次のような工夫をします。

まず、$a_{n+1}$ と $a_n$ を、どちらも同じ文字 $\alpha$ に置き換えた方程式

$\alpha = p\alpha + q$

を作ります。これを特性方程式と呼びます。この方程式を$\alpha$について解きます($p\neq1$ なので必ず解けます)。

$\alpha - p\alpha = q \ \Longrightarrow \ (1-p)\alpha = q \ \Longrightarrow \ \alpha = \frac{q}{1-p}$

この $\alpha$ を使う理由を説明します。もとの漸化式 $a_{n+1}=pa_n+q$ から、特性方程式 $\alpha=p\alpha+q$ を辺々引き算します。

$a_{n+1} - \alpha = (p\,a_n+q) - (p\alpha+q)$

右辺の $q$ どうしが打ち消し合います。

$a_{n+1} - \alpha = p\,a_n - p\alpha = p(a_n-\alpha)$

この式をよく見ると、新しい数列 $b_n = a_n - \alpha$ を考えると、

$b_{n+1} = p\, b_n$

となっていることが分かります。これは公比 $p$ の等比数列の関係式そのものです。したがって、$\{b_n\}$ は公比 $p$ の等比数列であり、

$b_n = b_1 \, p^{\,n-1} = (a_1-\alpha)\,p^{\,n-1}$

$b_n = a_n - \alpha$ だったので、$a_n = b_n + \alpha$ と書き直せます。

$a_n = \alpha + (a_1-\alpha)\,p^{\,n-1}$

これが、$a_{n+1}=pa_n+q$ の形の漸化式の一般項を求める公式です。手順としては、「特性方程式を解いて$\alpha$を求める」→「$a_n-\alpha$が公比$p$の等比数列になることを使う」という2ステップで考えると理解しやすいです。

連立漸化式

2つの数列 $\{a_n\}$、$\{b_n\}$ が、互いに関係し合う形の漸化式で定められている場合があります。たとえば、

$a_{n+1} = a_n + 2b_n, \quad b_{n+1} = 2a_n + b_n$

のような形です。このままでは $a_n$ だけ、$b_n$ だけを求めるのは難しいですが、2つの式を足したり引いたりすることで、それぞれが等比数列になるように工夫するのがよくある解き方です。具体的な手順は例題3で確認します。

例題

例題1(基本)

問題

$a_1=1$、$a_{n+1}=2a_n+3$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。

解答・解説を見る

この漸化式は $a_{n+1}=pa_n+q$ の形($p=2$、$q=3$)です。まず特性方程式を作ります。

$\alpha = 2\alpha+3$

これを解きます。両辺から $2\alpha$ を引きます。

$\alpha - 2\alpha = 3$

$-\alpha = 3$

$\alpha = -3$

次に、もとの漸化式から特性方程式を引きます。

$a_{n+1} - (-3) = 2a_n+3 - (2\times(-3)+3)$

右辺を計算すると、$2\times(-3)+3=-6+3=-3$ なので、

$a_{n+1}+3 = (2a_n+3)-(-3) = 2a_n+6 = 2(a_n+3)$

したがって、数列 $\{a_n+3\}$ は公比 $2$ の等比数列です。初項は、

$a_1+3 = 1+3=4$

なので、

$a_n+3 = 4\times2^{\,n-1}$

右辺を整理します。$4=2^2$ なので、$4\times2^{n-1}=2^{n+1}$ と書けます。

$a_n+3 = 2^{\,n+1}$

両辺から $3$ を引きます。

$a_n = 2^{\,n+1}-3$

したがって、一般項は $a_n = 2^{\,n+1}-3$ です。

(確認: $a_1=2^2-3=4-3=1$(初項と一致)。$a_2=2a_1+3=2+3=5$。公式では $a_2=2^3-3=8-3=5$ となり一致します。)

例題2(標準)

問題

$a_1=3$、$a_{n+1}=\dfrac{1}{2}a_n+1$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。

解答・解説を見る

この漸化式は $a_{n+1}=pa_n+q$ の形($p=\dfrac{1}{2}$、$q=1$)です。特性方程式を作ります。

$\alpha = \frac{1}{2}\alpha+1$

両辺から $\dfrac{1}{2}\alpha$ を引きます。

$\alpha - \frac{1}{2}\alpha = 1$

$\frac{1}{2}\alpha = 1$

両辺に $2$ をかけます。

$\alpha = 2$

次に、もとの漸化式から特性方程式を引きます。

$a_{n+1}-2 = \left(\frac{1}{2}a_n+1\right) - \left(\frac{1}{2}\times2+1\right)$

右辺の $\dfrac{1}{2}\times2+1 = 1+1=2$ なので、

$a_{n+1}-2 = \frac{1}{2}a_n+1-2 = \frac{1}{2}a_n-1 = \frac{1}{2}(a_n-2)$

したがって、数列 $\{a_n-2\}$ は公比 $\dfrac{1}{2}$ の等比数列です。初項は、

$a_1-2 = 3-2=1$

なので、

$a_n-2 = 1\times\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1} = \left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$

両辺に $2$ を足します。

$a_n = 2+\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$

したがって、一般項は $a_n = 2+\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}$ です。

(確認: $a_1=2+\left(\frac{1}{2}\right)^0=2+1=3$(初項と一致)。$a_2=\dfrac{1}{2}\times3+1=2.5$。公式では $a_2=2+\left(\frac{1}{2}\right)^1=2+0.5=2.5$ となり一致します。)

例題3(応用)

問題

$a_1=1$、$b_1=2$ とし、数列 $\{a_n\}$、$\{b_n\}$ が

$a_{n+1}=a_n+2b_n, \quad b_{n+1}=2a_n+b_n$

を満たすとき、一般項 $a_n$、$b_n$ を求めなさい。

解答・解説を見る

2つの漸化式を、まず足してみます。

$a_{n+1}+b_{n+1} = (a_n+2b_n)+(2a_n+b_n) = 3a_n+3b_n = 3(a_n+b_n)$

そこで、新しい数列 $p_n = a_n+b_n$ を考えると、

$p_{n+1} = 3p_n$

これは公比 $3$ の等比数列の関係式です。初項は $p_1=a_1+b_1=1+2=3$ なので、

$p_n = 3\times3^{\,n-1} = 3^{\,n}$

次に、2つの漸化式を引いてみます。

$a_{n+1}-b_{n+1} = (a_n+2b_n)-(2a_n+b_n) = -a_n+b_n = -(a_n-b_n)$

そこで、新しい数列 $q_n = a_n-b_n$ を考えると、

$q_{n+1} = -q_n$

これは公比 $-1$ の等比数列の関係式です。初項は $q_1=a_1-b_1=1-2=-1$ なので、

$q_n = -1\times(-1)^{\,n-1} = (-1)^{\,n}$

これで、$p_n=a_n+b_n=3^n$ と $q_n=a_n-b_n=(-1)^n$ という、$a_n$と$b_n$についての連立方程式が得られました。この2式を足すと $b_n$ が消去できます。

$p_n+q_n = (a_n+b_n)+(a_n-b_n) = 2a_n$

したがって、

$a_n = \frac{p_n+q_n}{2} = \frac{3^{\,n}+(-1)^{\,n}}{2}$

同様に、2式を引くと $a_n$ が消去できます。

$p_n-q_n = (a_n+b_n)-(a_n-b_n) = 2b_n$

したがって、

$b_n = \frac{p_n-q_n}{2} = \frac{3^{\,n}-(-1)^{\,n}}{2}$

(確認: $n=1$ のとき $a_1=\dfrac{3+(-1)}{2}=\dfrac{2}{2}=1$、$b_1=\dfrac{3-(-1)}{2}=\dfrac{4}{2}=2$ となり、どちらも問題文の初期値と一致します。$n=2$ のとき、漸化式から直接 $a_2=a_1+2b_1=1+4=5$、公式では $a_2=\dfrac{9+1}{2}=5$ となり一致します。)

したがって、$a_n = \dfrac{3^{\,n}+(-1)^{\,n}}{2}$、$b_n = \dfrac{3^{\,n}-(-1)^{\,n}}{2}$ です。

練習問題

問題1

$a_1=2$、$a_{n+1}=3a_n-4$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。

答え

特性方程式 $\alpha=3\alpha-4$ を解くと $\alpha=2$。$a_1-\alpha=2-2=0$ なので、$a_n-2=0$、つまり $a_n=2$(すべての項が$2$の定数数列)。

問題2

$a_1=0$、$a_{n+1}=\dfrac{1}{3}a_n+2$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。

答え

特性方程式 $\alpha=\dfrac{1}{3}\alpha+2$ を解くと $\alpha=3$。$a_1-\alpha=0-3=-3$ なので、

$a_n-3=-3\left(\dfrac{1}{3}\right)^{n-1}$、よって $a_n = 3-3\left(\dfrac{1}{3}\right)^{n-1}$

問題3

$a_1=1$、$b_1=3$ とし、$a_{n+1}=2a_n+b_n$、$b_{n+1}=a_n+2b_n$ を満たすとき、一般項 $a_n$、$b_n$ を求めなさい。

答え

2式を足すと $a_{n+1}+b_{n+1}=3(a_n+b_n)$ なので $p_n=a_n+b_n$ は初項 $4$、公比 $3$ の等比数列: $p_n=4\times3^{n-1}$。

2式を引くと $a_{n+1}-b_{n+1}=-(a_n-b_n)$ ではなく $a_n-b_n$ そのもの( $a_{n+1}-b_{n+1}=(2a_n+b_n)-(a_n+2b_n)=a_n-b_n$ )なので、$q_n=a_n-b_n$ は常に一定: $q_n=a_1-b_1=-2$。

$a_n=\dfrac{p_n+q_n}{2}=\dfrac{4\times3^{n-1}-2}{2}=2\times3^{n-1}-1$、$b_n=\dfrac{p_n-q_n}{2}=2\times3^{n-1}+1$