数学III / 極限

頻出解法パターン

パターン1: 分数式の極限は「最高次の項で割る」

こんな問題で使う

数列や関数の極限で、分子・分母がともに $n$(または $x$)の多項式になっている分数の極限を求める問題。特に $n\to\infty$ や $x\to\pm\infty$ のとき。

解法の手順

  1. 分母の中で、次数が最も高い項を確認する。
  2. その項で、分子・分母の両方を割る。
  3. $\dfrac{1}{n}\to 0$、$\dfrac{1}{n^2}\to 0$ などを使って、割った後の各項の極限を求める。
  4. 分子の次数の方が高ければ発散、分子と分母の次数が同じなら最高次の係数どうしの比、分母の次数の方が高ければ $0$ に収束する、とまとめて結論づける。

具体例

$\lim_{n\to\infty}\frac{4n^2-n}{2n^2+3}$

分母の最高次の項 $n^2$ で分子・分母を割ると、

$\frac{4-\dfrac{1}{n}}{2+\dfrac{3}{n^2}} \to \frac{4-0}{2+0} = 2$

パターン2: $\infty-\infty$ の形は有理化する

こんな問題で使う

根号を含む式の引き算(または和)の極限で、そのままでは $\infty-\infty$ の不定形になってしまう問題。

解法の手順

  1. 共役な式(根号の前の符号を変えたもの)を、分子・分母の両方に掛ける。
  2. $(\sqrt{A}-B)(\sqrt{A}+B)=A-B^2$ を使って分子を展開し、根号のない簡単な式に整理する。
  3. 得られた分数式に対して、パターン1(最高次の項で割る)を適用する。
  4. $x\to-\infty$ を含む場合は $\sqrt{x^2}=|x|=-x$($x<0$ のとき)であることに注意する。

具体例

$\lim_{x\to\infty}\left(\sqrt{x^2+2x}-x\right)$

$\sqrt{x^2+2x}+x$ を分子・分母に掛けて有理化すると、

$\sqrt{x^2+2x}-x = \frac{(x^2+2x)-x^2}{\sqrt{x^2+2x}+x} = \frac{2x}{\sqrt{x^2+2x}+x}$

$x>0$ として分子・分母を $x$ で割ると、

$\frac{2}{\sqrt{1+\dfrac{2}{x}}+1} \to \frac{2}{1+1} = 1$

パターン3: 収束条件は不等式を立てて場合分け

こんな問題で使う

数列 $\{r^n\}$ や無限等比級数 $\sum ar^{n-1}$ の収束・発散を、文字を含む公比について調べる問題。

解法の手順

  1. 問題の中で、公比 $r$ にあたる式(文字を含む式であることが多い)を特定する。
  2. 「数列 $\{r^n\}$」の収束条件($-1
  3. 不等式を解いて、文字の値の範囲を求める。
  4. 各辺に負の数を掛けたり、負の数で割ったりするときは、不等号の向きが反転することを忘れない。

具体例

数列 $\{(3x-1)^n\}$ が収束する $x$ の範囲を求める場合、

$-1<3x-1\leq 1$

各辺に $1$ を足すと $0<3x\leq 2$、さらに $3$ で割ると

$0

パターン4: $\sin$・$\tan$ の極限は「形をそろえてから置換」

こんな問題で使う

$x\to 0$ のときの、$\sin$ や $\tan$ を含む分数式の極限を求める問題。

解法の手順

  1. 分母を、$\sin$(または $\tan$)の中身とまったく同じ形にそろえるように、定数を掛けたり割ったりする。
  2. 角の中身を $t$ などの文字に置き換える($x\to 0$ のとき $t\to 0$ になることを確認する)。
  3. 基本極限 $\lim_{t\to 0}\dfrac{\sin t}{t}=1$(または $\lim_{t\to 0}\dfrac{\tan t}{t}=1$)を当てはめる。
  4. 分子・分母の両方に $\sin$ や $\tan$ が混じっている場合は、分子・分母をそれぞれ $x$ で割ってから比を取る。

具体例

$\lim_{x\to 0}\frac{\sin 4x}{\tan 2x}$

分子・分母をそれぞれ $x$ で割ると、

$\frac{\sin 4x}{\tan 2x} = \frac{4\times\dfrac{\sin 4x}{4x}}{2\times\dfrac{\tan 2x}{2x}} \to \frac{4\times 1}{2\times 1} = 2$

パターン5: 直接求めにくい極限は「はさみうちの原理」

こんな問題で使う

$\sin$ や $\cos$ など、値が細かく変動して直接は極限が求めにくい部分を含む数列・関数の極限を求める問題。

解法の手順

  1. 変動する部分($\sin$、$\cos$ など)を、それが取りうる最大値・最小値(通常は $-1$ と $1$)を使って不等式で挟む。
  2. その不等式全体に、目的の式を作るための操作(正の数での掛け算・割り算)を行う。負の数を掛けたり割ったりするときは不等号の向きの反転に注意する。
  3. 挟んだ不等式の両端それぞれの極限を計算する。
  4. 両端が同じ値に収束するなら、はさみうちの原理より真ん中の式も同じ値に収束する、と結論づける。

具体例

$\lim_{n\to\infty}\frac{\cos n}{n^2}$

$-1\leq\cos n\leq 1$ の各辺を正の数 $n^2$ で割ると、

$-\frac{1}{n^2}\leq\frac{\cos n}{n^2}\leq\frac{1}{n^2}$

両端はともに $0$ に収束するので、はさみうちの原理より $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{\cos n}{n^2}=0$

パターン6: 「解の存在を示せ」は中間値の定理

こんな問題で使う

「方程式 $\bigcirc\bigcirc=0$ は $a

解法の手順

  1. 方程式を $f(x)=0$ の形に整理する。
  2. $f(x)$ が問題の区間 $[a,b]$ で連続であることを確認する(多項式・三角関数・指数関数などは基本的に定義域内で連続)。
  3. 区間の両端の値 $f(a)$、$f(b)$ を実際に計算する。
  4. $f(a)$ と $f(b)$ が異符号($f(a)f(b)<0$)であることを示し、中間値の定理より $f(c)=0$ となる $c$ が区間 $(a,b)$ の中に存在する、と結論づける。

具体例

方程式 $x^3-x-1=0$ が $1

$f(1)=1-1-1=-1<0,\qquad f(2)=8-2-1=5>0$

異符号なので、中間値の定理より $1

パターン7: 場合分け関数は左極限・右極限を必ず両方計算する

こんな問題で使う

絶対値を含む関数や、区間ごとに定義が変わる関数について、ある点での極限や連続性を調べる問題。

解法の手順

  1. 場合分けの境目の点で、絶対値の中身などの符号がどう変わるかを確認し、各区間での式を明らかにする。
  2. 右極限(境目の点より大きい側からの極限)を計算する。
  3. 左極限(境目の点より小さい側からの極限)を計算する。
  4. 両者が一致すれば極限が存在すると分かる。さらにその値が、境目の点での関数の値と一致するかどうかを確認して、連続か不連続かを判定する。

具体例

$f(x)=\dfrac{|x+1|}{x+1}$ の $x=-1$ における極限を調べる場合、$x>-1$ では $f(x)=1$、$x<-1$ では $f(x)=-1$ となる。右極限は $1$、左極限は $-1$ で一致しないため、$\displaystyle\lim_{x\to -1}f(x)$ は存在しない。