数学I / 二次関数
頻出解法パターン
「二次関数」の単元では、問題文を見た瞬間に「あ、このパターンだ」と気づけるかどうかが得点力に直結します。ここでは、関数とグラフの基本から2次関数のグラフと2次不等式の関係まで、この単元でくり返し出てくる解法パターンを8個、手順と具体例つきでまとめました。分からなくなったら、まずここに戻ってきてください。
パターン1: 頂点を求めるにはとにかく平方完成
こんな問題で使う
2次関数の式が $y=ax^2+bx+c$ のようにバラバラに展開された形で与えられていて、「グラフをかけ」「頂点を求めよ」「軸を求めよ」と聞かれたときに使います。この単元のほぼすべての問題の土台になる、いちばん基本の変形です。
解法の手順
- $x^2$の項と$x$の項だけを、$x^2$の係数($a$)でくくり出す(定数項$c$はそのまま外に残す)。
- くくり出したかっこの中を「$(x+\bigcirc)^2-\bigcirc^2$」の形に直す。これを平方完成と呼びます。
- かっこの外にある係数$a$を、かっこの中の$-\bigcirc^2$の部分に配り直し、定数どうしをまとめる。
- 最終的に $y=a(x-p)^2+q$ の形になったら、頂点は$(p,\ q)$、軸は直線$x=p$です。
具体例
$y=2x^2-8x+5$ を平方完成し、頂点の座標を求めよ。
解答
$y=2x^2-8x+5$
$=2(x^2-4x)+5$ ($x^2$の係数$2$でくくりました。かっこの中は$x^2-4x$になります。)
$=2\{(x-2)^2-4\}+5$ (かっこの中を平方完成します。$x$の係数$-4$の半分は$-2$なので、$x^2-4x=(x-2)^2-(-2)^2=(x-2)^2-4$です。)
$=2(x-2)^2-8+5$ (外側の$2$をかっこの中に配り直します。$2\times(-4)=-8$です。)
$=2(x-2)^2-3$ ($-8+5=-3$と定数をまとめました。)
よって、頂点は$(2,\ -3)$、軸は直線$x=2$です。
パターン2: 軸が文字で動くときの最大・最小は「軸と区間の位置関係」で場合分け
こんな問題で使う
「$f(x)=x^2-2ax+3$の$0\le x\le 2$における最小値を求めよ」のように、$x$の動く範囲(定義域)は固定されているのに、式の中に文字定数(たとえば$a$)が入っていて、グラフの軸の位置がその文字によって動いてしまう問題です。
解法の手順
- 平方完成して、頂点の座標(と軸の位置)を文字を使って表す。
- 軸が、決められた区間のどこにあるかで場合分けをする。ふつうは「軸が区間より左」「軸が区間の中」「軸が区間より右」の3通りです。
- 下に凸なグラフなら、軸が区間の中にあるときは頂点で最小、軸が区間の外にあるときは軸に近い方の端点で最小になります。
- それぞれの場合について、実際に値を計算する。
- 場合分けの境目(軸がちょうど区間の端に来るとき)で、隣り合う場合の答えが一致するか確認する。
具体例
$f(x)=x^2-2ax+3$($a$は定数)の$0\le x\le 2$における最小値を、$a$の値によって場合分けして求めよ。
解答
まず平方完成します。
$f(x)=x^2-2ax+3=(x-a)^2-a^2+3$
これは下に凸な放物線で、頂点は$(a,\ 3-a^2)$、軸は直線$x=a$です。区間$0\le x\le2$に対する軸$x=a$の位置で、3つの場合に分けます。
(i) $a<0$のとき
軸が区間$0\le x\le2$より左側にあるので、この区間の中で$f(x)$はずっと増加しています。よって最小値は左端の$x=0$でとり、
$f(0)=3$
(ii) $0\le a\le 2$のとき
軸が区間の中に入っているので、頂点そのものが最小値になります。
最小値は $3-a^2$
(iii) $a>2$のとき
軸が区間$0\le x\le2$より右側にあるので、この区間の中で$f(x)$はずっと減少しています。よって最小値は右端の$x=2$でとり、
$f(2)=2^2-2a\times2+3=4-4a+3=7-4a$
境目のチェック: $a=0$のとき、(i)の式は$3$、(ii)の式は$3-0^2=3$で一致します。$a=2$のとき、(ii)の式は$3-2^2=-1$、(iii)の式は$7-4\times2=-1$で一致します。答えがつながっているので安心できます。
パターン3: 区間の端が文字で動くときの最大・最小
こんな問題で使う
「$f(x)=x^2-2x+3$の$0\le x\le t$($t>0$)における最小値を$t$を用いて表せ」のように、軸は動かないのに、区間(定義域)の端の方が文字$t$で動いてしまう問題です。パターン2とは「動くもの」が逆になっている点に注意してください。
解法の手順
- 平方完成して、軸の位置(固定された数)を求める。
- 動く区間の右端$t$が、軸より左にあるか、軸を越えているかで場合分けする。
- 軸が区間に含まれる場合は頂点で最小(下に凸のとき)、含まれない場合は区間の端点で最小になる。
- 各場合の値を計算し、境目で答えがつながることを確認する。
具体例
$f(x)=x^2-2x+3$の$0\le x\le t$($t>0$)における最小値を、$t$の値によって場合分けして求めよ。
解答
平方完成すると、
$f(x)=x^2-2x+3=(x-1)^2+2$
頂点は$(1,\ 2)$、軸は直線$x=1$です。下に凸な放物線なので、軸$x=1$が区間$0\le x\le t$に含まれていれば、そこで最小値をとります。
(i) $0 区間$[0,\ t]$は軸$x=1$よりも左側にあるので、この区間の中で$f(x)$はずっと減少しています。よって最小値は右端の$x=t$でとり、 $f(t)=(t-1)^2+2$ (ii) $t\ge1$のとき 区間$[0,\ t]$の中に軸$x=1$が含まれるので、頂点で最小値をとります。 最小値は $2$ 境目のチェック: $t=1$のとき、(i)の式は$(1-1)^2+2=2$、(ii)の式は$2$で一致します。 こんな問題で使う 「方程式が異なる2つの実数解を持つように」「実数解を持たないように」「重解を持つように」というように、方程式の解の"個数"に関する条件から文字定数の範囲を求める問題です。グラフとx軸の共有点の個数を聞かれたときも、まったく同じ考え方を使います。 解法の手順 具体例 方程式$x^2-6x+k=0$が異なる2つの実数解を持つような定数$k$の値の範囲を求めよ。 解答 $a=1,\ b=-6,\ c=k$として、判別式を計算します。 $D=b^2-4ac=(-6)^2-4\times1\times k=36-4k$ 異なる2つの実数解を持つ条件は$D>0$なので、 $36-4k>0$ 両辺から$36$を引きます。 $-4k>-36$ 両辺を$-4$で割ります(負の数で割るので不等号の向きが変わることに注意してください)。 $k<9$ こんな問題で使う 「$x^2-x-6<0$を解け」のように、2次不等式そのものを解く問題全般で使います。因数分解できる2次不等式の、いちばん基本の解き方です。 解法の手順 具体例 不等式$x^2-x-6<0$を解け。 解答 まず、等式$x^2-x-6=0$を解きます。左辺を因数分解すると、 $x^2-x-6=(x-3)(x+2)$ なので、$(x-3)(x+2)=0$より、 $x=3,\ -2$ $y=x^2-x-6$のグラフは、$x^2$の係数が正なので下に凸な放物線で、x軸と$x=-2,\ 3$の2点で交わります。下に凸なグラフでは、2つの交点の間の部分でグラフがx軸より下(つまり$y<0$)になるので、$x^2-x-6<0$となる$x$の範囲は、 $-2 こんな問題で使う 「すべての実数$x$について$ax^2+bx+c>0$が成り立つように、定数の値の範囲を求めよ」のように、不等式が"どんな$x$を代入しても"成り立つための条件を求める問題です。 解法の手順 具体例 すべての実数$x$について、$x^2-2kx+k+2>0$が成り立つような定数$k$の値の範囲を求めよ。 解答 $x^2$の係数はもともと$1$で、$a=1>0$(下に凸)なので、あとは判別式$D<0$の条件だけを考えれば十分です。 $a=1,\ b=-2k,\ c=k+2$として、判別式を計算します。 $D=b^2-4ac=(-2k)^2-4\times1\times(k+2)=4k^2-4k-8$ $D<0$の条件から、 $4k^2-4k-8<0$ 両辺を$4$で割ります。 $k^2-k-2<0$ 左辺を因数分解します。 $(k-2)(k+1)<0$ $2$つの数の積が負になるのは、一方が正で他方が負のときなので、 $-1 こんな問題で使う 「$y=2x^2$のグラフを平行移動して 解法の手順 具体例 $y=2x^2$のグラフを平行移動して、頂点が$(3,\ -1)$になるようにした。この放物線の式を求めよ。さらに、その放物線をx軸に関して対称移動した式を求めよ。 解答 $y=2x^2$の頂点は原点$(0,\ 0)$です。これを頂点が$(3,\ -1)$になるように動かすので、x軸方向に$3$、y軸方向に$-1$だけ平行移動したことになります。頂点をそのまま$(3,\ -1)$に置き換えて、 $y=2(x-3)^2-1$ 次に、この放物線をx軸に関して対称移動します。x軸対称移動は「$y$を$-y$に置き換える」操作なので、 $-y=2(x-3)^2-1$ 両辺に$-1$をかけます。 $y=-2(x-3)^2+1$ こんな問題で使う 「2次方程式が異なる2つの正の実数解を持つように、定数の値の範囲を求めよ」のように、解の個数だけでなく、解の"符号"や"範囲"まで指定されている問題です。難しく感じる問題ですが、チェックすべき点はいつも同じ3つなので、手順さえ覚えれば怖くありません。 解法の手順 具体例 方程式$x^2-2ax+a+2=0$が異なる2つの正の実数解を持つような定数$a$の値の範囲を求めよ。 解答 $f(x)=x^2-2ax+a+2$とおきます。$x^2$の係数は$1>0$なので、グラフは下に凸です。 (1) 判別式の条件 $f(x)$の$x$の係数(方程式の$b$にあたる部分)は$-2a$なので、判別式は、 $D=(-2a)^2-4\times1\times(a+2)=4a^2-4a-8$ 異なる2つの実数解を持つには$D>0$が必要なので、 $4a^2-4a-8>0$ 両辺を$4$で割ります。 $a^2-a-2>0$ 左辺を因数分解します。 $(a-2)(a+1)>0$ $2$つの数の積が正になるのは、両方とも正か、両方とも負のときなので、 $a<-1$ または $a>2$ ……① (2) 軸の位置の条件 平方完成すると$f(x)=(x-a)^2-a^2+a+2$なので、軸は直線$x=a$です。2つの解がともに正であるためには、軸が原点より右になければならないので、 $a>0$ ……② (3) 端点の符号の条件 下に凸なグラフで2つの解がともに正であるためには、$x=0$のときの値$f(0)$が正でなければなりません。 $f(0)=0^2-2a\times0+a+2=a+2$ $f(0)>0$より、 $a+2>0$ $a>-2$ ……③ (4) ①②③をすべて満たす範囲 ①は「$a<-1$ または $a>2$」、②は「$a>0$」、③は「$a>-2$」です。②の「$a>0$」は③の「$a>-2$」を自動的に満たしているので、②と③をまとめると「$a>0$」になります。これと①の共通範囲を考えると、 $a>2$ これが求める$a$の値の範囲です。パターン4: 実数解の個数は判別式$D$の符号で決まる
パターン5: 2次不等式は「$=0$の解を求めてからグラフの上下」で解く
パターン6: 「すべての実数で成り立つ」は上に凸・下に凸+判別式の合わせ技
パターン7: 平行移動・対称移動は「頂点がどこに動くか」で考える
」「x軸(またはy軸、原点)に関して対称移動して」のように、グラフを動かしたあとの式を求める問題です。移動の公式を丸暗記しようとすると混乱しやすいですが、「頂点がどこに動くか」で考えると迷いません。
パターン8: 解の配置問題は「判別式・軸の位置・端点の符号」の3点セットで攻める