数学III / 微分法

媒介変数で表された関数の微分

要点整理

これまでは、$y=f(x)$ のように、$y$ が直接 $x$ の式で表されている関数を微分してきました。しかし、円や楕円、サイクロイド(後で扱います)のような曲線は、$y$ を直接 $x$ の式だけで表すのが難しい(あるいは1つの式では表せない)ことがあります。そこで、$x$ と $y$ をそれぞれ別の変数 $t$(媒介変数、パラメータと呼びます)を使って、

$x=f(t),\qquad y=g(t)$

のように表す方法を、媒介変数表示といいます。$t$ の値を1つ決めるごとに、対応する点 $(x,y)=(f(t),g(t))$ が1つ決まり、$t$ を動かしていくと、その点が曲線を描いていく、というイメージです。

媒介変数表示された関数の微分法

$x=f(t)$、$y=g(t)$ のとき、$\dfrac{dy}{dx}$ を求めたい場合、$t$ を挟んで次のように計算します。

$\frac{dy}{dx} = \frac{\dfrac{dy}{dt}}{\dfrac{dx}{dt}} = \frac{g'(t)}{f'(t)}\quad(f'(t)\neq 0)$

つまり、「$y$ を $t$ で微分したもの」を「$x$ を $t$ で微分したもの」で割り算すると、$\dfrac{dy}{dx}$ が求まる、ということです。

なぜこの式が成り立つのか

$t$ が少しだけ($\Delta t$ だけ)変化すると、それにともなって $x$ も $\Delta x$、$y$ も $\Delta y$ だけ変化します。$\Delta x\neq 0$ であるとして、次のように変形します。

$\frac{\Delta y}{\Delta x} = \frac{\Delta y}{\Delta t}\Big/\frac{\Delta x}{\Delta t} = \frac{\Delta y}{\Delta t}\times\frac{\Delta t}{\Delta x}$

$\Delta t\to 0$ のとき、$f$ が微分可能で $f'(t)\neq 0$ ならば $\Delta x\to 0$ にもなります。したがって、

$\frac{dy}{dx} = \lim_{\Delta t\to 0}\frac{\Delta y}{\Delta x} = \lim_{\Delta t\to 0}\frac{\Delta y}{\Delta t}\Big/\lim_{\Delta t\to 0}\frac{\Delta x}{\Delta t} = \frac{dy/dt}{dx/dt}$

となり、公式が得られます。計算の際は、$y$ を $t$ で微分した式と、$x$ を $t$ で微分した式を別々に求めてから、最後に割り算する、という手順を踏みます。

例題

例題1(基本)

問題

$x=t^2$、$y=2t+1$ のとき、$\dfrac{dy}{dx}$ を $t$ を用いて表しなさい。

解答・解説を見る

$x$、$y$ をそれぞれ $t$ で微分します。

$\frac{dx}{dt} = 2t,\qquad \frac{dy}{dt} = 2$

公式 $\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{dy/dt}{dx/dt}$ に代入します。

$\frac{dy}{dx} = \frac{2}{2t} = \frac{1}{t}$

答え:$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{1}{t}$

例題2(標準)

問題

$x=\cos t$、$y=\sin t$ のとき、$\dfrac{dy}{dx}$ を $t$ を用いて表しなさい。また、$t=\dfrac{\pi}{4}$ のときの $\dfrac{dy}{dx}$ の値を求めなさい。

解答・解説を見る

前半:$\dfrac{dy}{dx}$ を求める

$x$、$y$ をそれぞれ $t$ で微分します。

$\frac{dx}{dt} = -\sin t,\qquad \frac{dy}{dt} = \cos t$

公式に代入します。

$\frac{dy}{dx} = \frac{\cos t}{-\sin t} = -\frac{\cos t}{\sin t}$

後半:$t=\dfrac{\pi}{4}$ のときの値

$\sin\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$、$\cos\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$ なので、

$\frac{dy}{dx}\bigg|_{t=\frac{\pi}{4}} = -\frac{\cos\frac{\pi}{4}}{\sin\frac{\pi}{4}} = -\frac{\dfrac{\sqrt{2}}{2}}{\dfrac{\sqrt{2}}{2}} = -1$

答え:$\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{\cos t}{\sin t}$、$t=\dfrac{\pi}{4}$ のとき $\dfrac{dy}{dx}=-1$

(この $x=\cos t$、$y=\sin t$ は単位円を表す媒介変数表示です。$t=\dfrac{\pi}{4}$ での接線の傾きが $-1$ になる、ということが分かりました。)

例題3(応用)

問題

サイクロイド(円が直線上を転がるときに、円周上の1点が描く曲線)は、次の媒介変数表示で表されます。

$x=t-\sin t,\qquad y=1-\cos t$

$\dfrac{dy}{dx}$ を、できるだけ簡単な形に整理して求めなさい。

解答・解説を見る

まず $x$、$y$ をそれぞれ $t$ で微分します。

$\frac{dx}{dt} = 1-\cos t,\qquad \frac{dy}{dt} = \sin t$

公式に代入します。

$\frac{dy}{dx} = \frac{\sin t}{1-\cos t}$

この式を、半角の公式を使って簡単にします。2倍角の公式より $\sin t=2\sin\dfrac{t}{2}\cos\dfrac{t}{2}$、半角の公式より $1-\cos t=2\sin^2\dfrac{t}{2}$ です。これらを代入します。

$\frac{dy}{dx} = \frac{2\sin\dfrac{t}{2}\cos\dfrac{t}{2}}{2\sin^2\dfrac{t}{2}}$

分子・分母に共通する $2\sin\dfrac{t}{2}$ で約分します。

$\frac{dy}{dx} = \frac{\cos\dfrac{t}{2}}{\sin\dfrac{t}{2}}$

これは $\cot\dfrac{t}{2}$(つまり $\dfrac{1}{\tan\frac{t}{2}}$)と表せます。

答え:$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\cos\frac{t}{2}}{\sin\frac{t}{2}}\left(=\dfrac{1}{\tan\frac{t}{2}}\right)$

練習問題

問題1

$x=3t-1$、$y=t^2+2$ のとき、$\dfrac{dy}{dx}$ を $t$ を用いて表しなさい。

答え

$\dfrac{dx}{dt}=3$、$\dfrac{dy}{dt}=2t$ なので、$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{2t}{3}$ です。

問題2

$x=2\cos t$、$y=3\sin t$ のとき、$\dfrac{dy}{dx}$ を $t$ を用いて表しなさい。

答え

$\dfrac{dx}{dt}=-2\sin t$、$\dfrac{dy}{dt}=3\cos t$ なので、$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{3\cos t}{-2\sin t}=-\dfrac{3\cos t}{2\sin t}$ です。