数学I / 数と式

整式の加法・減法・乗法

要点整理

前のページでは、整式(文字と数の積や和で作られた式。例:$2x^2+3x-5$)を「次数」「係数」「同類項」といった言葉を使って整理する方法を学びました。このページでは、その整式どうしを実際に「たす(加法)」「ひく(減法)」「かける(乗法)」という3つの計算のやり方を、一歩ずつ確認していきます。

1. 整式の加法(たし算)

整式の加法は、同類項(文字の部分がまったく同じ項)をまとめるだけで計算できます。

例として、次の2つの整式を考えます。

$A = 2x^2+3x-5, \quad B = -x^2+4x+1$

$A+B$ を計算するときは、まずかっこを外して、同じ種類の項どうしを並べ直します。

$A+B = (2x^2+3x-5)+(-x^2+4x+1)$

かっこの前が $+$ のときは、かっこを外してもすべての項の符号はそのままです。

$= 2x^2+3x-5-x^2+4x+1$

ここから、$x^2$ の項どうし、$x$ の項どうし、数だけの項(定数項)どうしをそれぞれまとめます。

$= (2x^2-x^2)+(3x+4x)+(-5+1)$

$= x^2+7x-4$

このように、加法は「同じ仲間の項をまとめる」だけの作業です。

2. 整式の減法(ひき算)

減法でいちばん注意しなければいけないのは、かっこを外すときの符号です。かっこの前が $-$ のときは、かっこの中のすべての項の符号が入れ替わります。これは、$-($ かっこの中 $)$ が「かっこの中の式全体に $-1$ をかける」という意味だからです。

先ほどと同じ $A, B$ を使って、$A-B$ を計算してみましょう。

$A-B = (2x^2+3x-5)-(-x^2+4x+1)$

かっこの前が $-$ なので、$-x^2+4x+1$ のすべての項の符号を逆にしてからかっこを外します。

$= 2x^2+3x-5+x^2-4x-1$

同類項をまとめます。

$= (2x^2+x^2)+(3x-4x)+(-5-1)$

$= 3x^2-x-6$

「ひく式のすべての項の符号を変える」のを1項でも忘れると答えが変わってしまいます。慣れるまでは1つずつ丁寧に符号を書き出すようにしましょう。

3. 整式の乗法(かけ算)

乗法には、掛け合わせる式の種類によって3つのパターンがあります。

(1) 単項式 × 単項式

単項式(項が1つだけの式。例:$3x^2$)どうしをかけるときは、数の部分(係数)どうしをかけて、文字の部分は指数法則を使ってまとめます。指数法則とは、同じ文字どうしをかけるときに指数(右上の小さい数字)を足し合わせるという規則です。

$x^m \times x^n = x^{m+n}$

例えば、次のように計算します。

$3x^2 \times 4x^3 = (3\times4)\times(x^2\times x^3) = 12x^{2+3} = 12x^5$

(2) 単項式 × 多項式

単項式と多項式(項が2つ以上の式)をかけるときは、分配法則を使います。分配法則とは、次のように、かっこの外の式をかっこの中のすべての項に1つずつかけていく計算のルールです。

$a(b+c) = ab+ac$

例えば、次のように計算します。

$2x(3x^2-4x+5) = 2x\times3x^2 + 2x\times(-4x) + 2x\times5$

$= 6x^3-8x^2+10x$

(3) 多項式 × 多項式

多項式どうしをかけるときも、考え方は同じです。分配法則を2回使って、前の式の項を1つずつ、後ろの式のすべての項にかけていきます。

$(x+2)(x+3)$

まず、$(x+2)$ を1つのかたまりだと考えて、$(x+3)$ のそれぞれの項にかけます。

$= (x+2)\times x + (x+2)\times 3$

それぞれをさらに分配法則で展開します。

$= x^2+2x+3x+6$

同類項($2x$ と $3x$)をまとめます。

$= x^2+5x+6$

このように、多項式どうしのかけ算は「すべての項どうしを1回ずつ、もれなくかけ合わせて、最後に同類項をまとめる」という手順になります。この計算を「展開する」と呼びます。次のページでは、この展開をもっと速く行うための公式(乗法公式)を学びます。

例題

例題1(基本)

問題

次の計算をしなさい。

$(3x^2-2x+4)+(x^2+5x-7)$

解答・解説を見る

かっこの前が $+$ なので、符号はそのままでかっこを外します。

$(3x^2-2x+4)+(x^2+5x-7) = 3x^2-2x+4+x^2+5x-7$

同類項どうしをまとめます。$x^2$ の項は $3x^2$ と $x^2$、$x$ の項は $-2x$ と $5x$、定数項は $4$ と $-7$ です。

$= (3x^2+x^2)+(-2x+5x)+(4-7)$

それぞれを計算します。

$= 4x^2+3x-3$

答え:$4x^2+3x-3$

例題2(標準)

問題

次の計算をしなさい。

$(2x^2-5x+3)-(x^2-3x+8)$

解答・解説を見る

かっこの前が $-$ なので、後ろのかっこの中のすべての項の符号を逆にしてから外します。$x^2-3x+8$ の符号をすべて変えると $-x^2+3x-8$ になります。

$(2x^2-5x+3)-(x^2-3x+8) = 2x^2-5x+3-x^2+3x-8$

同類項どうしをまとめます。

$= (2x^2-x^2)+(-5x+3x)+(3-8)$

それぞれを計算します。

$= x^2-2x-5$

答え:$x^2-2x-5$

例題3(応用)

問題

次の式を展開して整理しなさい。

$3x(x-2)-(x+1)(x-4)$

解答・解説を見る

この問題は「単項式×多項式」「多項式×多項式」「減法での符号処理」の3つを組み合わせた問題です。1つずつ順番に処理していきましょう。

ステップ1:$3x(x-2)$ を分配法則で展開する

$3x(x-2) = 3x\times x + 3x\times(-2) = 3x^2-6x$

ステップ2:$(x+1)(x-4)$ を展開する

$(x+1)$ をひとかたまりとして、$(x-4)$ のそれぞれの項にかけます。

$(x+1)(x-4) = (x+1)\times x + (x+1)\times(-4)$

それぞれをさらに分配法則で展開します。

$= x^2+x-4x-4$

同類項($x$ と $-4x$)をまとめます。

$= x^2-3x-4$

ステップ3:ステップ1とステップ2の結果を、もとの式に代入する

$3x(x-2)-(x+1)(x-4) = (3x^2-6x)-(x^2-3x-4)$

ステップ4:かっこの前が $-$ なので、符号をすべて変えてから外す

$x^2-3x-4$ の符号をすべて変えると $-x^2+3x+4$ になります。

$= 3x^2-6x-x^2+3x+4$

ステップ5:同類項をまとめる

$= (3x^2-x^2)+(-6x+3x)+4$

$= 2x^2-3x+4$

答え:$2x^2-3x+4$

練習問題

問題

次の計算をしなさい。

$(4x^2+x-6)-2x(x-3)$

答え

まず $2x(x-3)$ を分配法則で展開すると $2x^2-6x$ になります。

$(4x^2+x-6)-2x(x-3) = (4x^2+x-6)-(2x^2-6x)$

かっこの前が $-$ なので符号をすべて変えて外し、同類項をまとめます。

$= 4x^2+x-6-2x^2+6x = 2x^2+7x-6$

答え:$2x^2+7x-6$