数学A / 数学と人間の活動(整数の性質)

頻出解法パターン

「整数の性質」は、覚える公式の数がそれほど多くない代わりに、「この形を見たらこう動く」という考え方のパターンを知っているかどうかで大きく差がつく単元です。ここでは、約数と倍数、最大公約数・最小公倍数、ユークリッドの互除法、1次不定方程式、n進法、座標や図形を利用した整数問題といったトピック全体から、テストでよく出る「型」を8つ取り上げます。「こんな問題を見たらこのパターンだ」という感覚を、具体例を通して一緒につかんでいきましょう。

パターン1: 約数の個数・総和は素因数分解して公式に当てはめる

こんな問題で使う

「Nの正の約数は何個あるか」「Nの正の約数の総和を求めよ」のように、1つの整数について、約数(その数を割り切る整数のこと)の個数や総和をまとめて聞かれる問題です。Nが360のような具体的な数値で与えられているのが特徴です。

解法の手順

  • まず、与えられた数Nを素因数分解します(素因数分解とは、整数をいくつかの素数だけの掛け算の形に表すことです)。$N = p^a \times q^b \times r^c$ のように、異なる素数 $p, q, r$ の累乗の積の形にします。
  • 約数の個数を求めるときは、次の公式を使います。

$(a+1)(b+1)(c+1)$

これは、それぞれの素因数を「0個使う、1個使う、…、$a$個使う」という選び方が $(a+1)$ 通りずつあり、それらを独立に選んで組み合わせると1つの約数ができる、という考え方にもとづいています。

  • 約数の総和を求めるときは、次の公式を使います。

$(1+p+p^2+\cdots+p^a)(1+q+q^2+\cdots+q^b)(1+r+r^2+\cdots+r^c)$

これは、それぞれのカッコの中から1つずつ項を選んで掛け合わせると、すべての約数がちょうど1回ずつ現れることを利用した式です。

具体例

360の正の約数の個数と総和を求めなさい。

解答: まず360を素因数分解します。

$360 = 2^3 \times 3^2 \times 5^1$

約数の個数は、それぞれの指数に1を足して掛け合わせます。

$(3+1)(2+1)(1+1) = 4 \times 3 \times 2 = 24$

よって、正の約数は24個です。

次に約数の総和を求めます。

$(1+2+4+8)(1+3+9)(1+5)$

それぞれのカッコの中を先に計算します。

$1+2+4+8=15, \quad 1+3+9=13, \quad 1+5=6$

これらを掛け合わせます。

$15 \times 13 \times 6 = 195 \times 6 = 1170$

よって、正の約数の総和は1170です。


パターン2: 最大公約数・最小公倍数の文章題は「$a=gA$, $b=gB$」とおく

こんな問題で使う

「最大公約数が○、最小公倍数が△であるような2つの自然数の組をすべて求めよ」のように、最大公約数(2つ以上の整数に共通する約数のうち最大のもの)と最小公倍数(共通する倍数のうち最小のもの)の両方が条件として与えられ、もとの2つの数を求めさせる問題です。

解法の手順

  • 求めたい2つの自然数を $a, b$ とし、最大公約数を $g$ とおきます。このとき、$a = gA$, $b = gB$ と表すことができ、$A$ と $B$ は「互いに素」(1以外に共通の約数を持たないこと)になります。
  • 最小公倍数は $gAB$ という形で表せることを利用します。
  • 与えられた最大公約数・最小公倍数の値を代入して、$A \times B$ の値を求めます。
  • $A \times B$ の値を、$A$ と $B$ が互いに素になるような整数の組に分解します(互いに素でない組は条件に合わないので除外します)。
  • 最後に $a=gA$, $b=gB$ に戻して、答えを求めます。

具体例

最大公約数が6、最小公倍数が72であるような2つの自然数の組 $(a, b)$ (ただし $a

解答: $a=6A$, $b=6B$ ($A, B$は互いに素、$A

$6AB = 72$

両辺を6で割ると、

$AB = 12$

$A

よって、

$(a,b) = (6\times1,\ 6\times12) = (6,72), \qquad (a,b)=(6\times3,\ 6\times4)=(18,24)$

求める組は $(a,b)=(6,72),\ (18,24)$ です。


パターン3: 最大公約数はユークリッドの互除法で求める

こんな問題で使う

2つの整数の最大公約数を求める問題で、数値が大きくて素因数分解がしにくいときに使います。「1071と462の最大公約数を求めよ」のように、パッと見て素因数分解が思いつかないサイズの数が出てきたら、このパターンを疑いましょう。

解法の手順

  • ユークリッドの互除法とは、「2つの整数 $a, b$($a>b$)の最大公約数は、$a$ を $b$ で割った余り $r$ と $b$ の最大公約数に等しい」という性質を繰り返し使う方法です。
  • 大きい方の数を小さい方の数で割り、余りを求めます。
  • 「割る数」と、今出た「余り」の組に対して、同じ操作(割り算をして余りを求める)を繰り返します。
  • 余りが0になったときの「割る数」が、最初の2つの数の最大公約数です。

具体例

1071と462の最大公約数を求めなさい。

解答: 大きい数を小さい数で割ることを繰り返します。

$1071 = 462 \times 2 + 147$

次に、462を147で割ります。

$462 = 147 \times 3 + 21$

次に、147を21で割ります。

$147 = 21 \times 7 + 0$

余りが0になったので、ここで終了です。最後に「割る数」として使った21が最大公約数です。

よって、1071と462の最大公約数は21です。


パターン4: 1次不定方程式は互除法を逆にたどって特殊解を作る

こんな問題で使う

「$23x+7y=1$ を満たす整数 $x, y$ の組をすべて求めよ」のように、文字が2つあるのに式は1本しかない方程式(このような方程式を1次不定方程式といいます)について、それを満たす整数の組をすべて求めさせる問題です。

解法の手順

  • まず、パターン3で使ったユークリッドの互除法を、係数(この例では23と7)に対して実行します。
  • その計算を、余りについての式に書き直し、下から上へさかのぼる(逆にたどる)ことで、方程式を満たす1組の解(これを特殊解といいます)を作ります。
  • 特殊解が $x=x_0, y=y_0$ だとわかったら、もとの方程式から特殊解の式(等しい1という値)を引き算して、$a(x-x_0) = -b(y-y_0)$ の形に変形します。
  • $a$ と $b$ が互いに素であることを利用すると、$x-x_0$ は $b$ の倍数でなければならないとわかるので、整数 $t$ を使って $x = x_0 + bt$ と表せます。これをもとの式に代入して、$y$ を $t$ の式で表します。

具体例

$23x+7y=1$ を満たす整数 $x, y$ の組をすべて求めなさい。

解答: まず、23と7にユークリッドの互除法を使います。

$23 = 7 \times 3 + 2$

$7 = 2 \times 3 + 1$

この2つの式を、余りについて整理しなおします。1つ目の式からは、

$2 = 23 - 7 \times 3$

2つ目の式からは、

$1 = 7 - 2 \times 3$

この2つ目の式に、1つ目の式で作った $2=23-7\times3$ を代入します。

$1 = 7 - (23-7\times3)\times3$

右辺を展開して整理します。

$1 = 7 - 23\times3 + 7\times9 = 23\times(-3) + 7\times10$

これで、$x=-3, y=10$ が1つの解(特殊解)であるとわかりました。実際に確かめると、$23\times(-3)+7\times10=-69+70=1$ となり、正しいです。

次に、もとの式 $23x+7y=1$ から、特殊解でできた式 $23\times(-3)+7\times10=1$ を辺々引きます。

$23(x-(-3)) + 7(y-10) = 0$

$23(x+3) = -7(y-10)$

23と7は互いに素なので、$x+3$ は7の倍数でなければなりません。そこで整数 $t$ を使って $x+3=7t$ とおくと、

$x = -3+7t$

これを $23(x+3)=-7(y-10)$ に代入します。

$23\times7t = -7(y-10)$

両辺を7で割ります。

$23t = -(y-10)$

$y = 10-23t$

よって、求める整数解は、$t$ を整数として、

$x=-3+7t, \quad y=10-23t$

と表せます。


パターン5: 「整数×整数=整数」の形に変形して約数の組で絞り込む

こんな問題で使う

「$xy-2x-3y=1$ を満たす整数 $x,y$ の組をすべて求めよ」のように、$x$ と $y$ の積($xy$)を含む式が1つだけ与えられ、それを満たす整数の組をすべて求めさせる問題です。$xy$ の項があるのに式が1本しかないときは、このパターンを疑いましょう。

解法の手順

  • 式を、$(x-\bigcirc)(y-\triangle) = (\text{ある整数})$ の形に変形することを目指します。
  • 展開したときに、$xy$ の項・$x$ の項・$y$ の項が元の式と一致するように、$\bigcirc$ と $\triangle$ の値を決めます。
  • 両辺を整理して、右辺が具体的な整数の値になるようにします。
  • 「整数×整数=その整数」という形になったら、右辺の数を2つの整数の積として表す組み合わせをすべて書き出します。マイナスの約数の組も忘れずに考えます。
  • それぞれの組み合わせから、$x$ と $y$ の値を1組ずつ求めます。

具体例

$xy-2x-3y=1$ を満たす整数 $x, y$ の組をすべて求めなさい。

解答: 左辺を $(x-3)(y-2)$ の形に近づけるために、両辺に6を足します。

$xy-2x-3y+6=1+6$

左辺は $(x-3)(y-2)$ に因数分解できます(実際に展開すると $xy-2x-3y+6$ になることを確かめてみてください)。

$(x-3)(y-2)=7$

7は素数なので、整数の積として7になる組み合わせは、$(1,7), (7,1), (-1,-7), (-7,-1)$ の4通りです。

$x-3=1,\ y-2=7$ のとき: $x=4,\ y=9$ $x-3=7,\ y-2=1$ のとき: $x=10,\ y=3$ $x-3=-1,\ y-2=-7$ のとき: $x=2,\ y=-5$ $x-3=-7,\ y-2=-1$ のとき: $x=-4,\ y=1$

よって、求める組は $(x,y)=(4,9),\ (10,3),\ (2,-5),\ (-4,1)$ の4組です。


パターン6: 割り切れる・割り切れないの証明は「余りで場合分け」する

こんな問題で使う

「$n$を整数とするとき、$n^2$ を3で割った余りは0または1であることを証明せよ」のように、特定の1つの数についてではなく、「すべての整数について成り立つこと」を証明する問題です。整数を1つに決めずに、一般的な $n$ について議論しなければならないときに使います。

解法の手順

  • 割る数(この場合は3)を決めたら、整数 $n$ を「その数で割った余り」によってグループ分けします。余りは必ず $0, 1, 2, \ldots$ のいずれかになるので、3で割るときは $n=3k$, $n=3k+1$, $n=3k+2$($k$は整数)の3つの場合に分けられます。
  • それぞれの場合について、問題で問われている式(この例では $n^2$)に代入し、計算します。
  • 計算結果を「3×(何かの整数)+余り」の形に整理し、余りがどうなるかを確認します。
  • すべての場合で結論が成り立つことを示せれば、証明が完成します。

具体例

$n$ を整数とするとき、$n^2$ を3で割った余りは0または1であることを証明しなさい。

解答: $n$ を3で割った余りで場合分けします。$k$ を整数として、$n=3k$, $n=3k+1$, $n=3k+2$ の3つの場合があります。

$n=3k$ のとき、

$n^2 = (3k)^2 = 9k^2 = 3(3k^2)$

$3k^2$ は整数なので、$n^2$ は3の倍数、つまり3で割った余りは0です。

$n=3k+1$ のとき、

$n^2=(3k+1)^2=9k^2+6k+1=3(3k^2+2k)+1$

$3k^2+2k$ は整数なので、余りは1です。

$n=3k+2$ のとき、

$n^2=(3k+2)^2=9k^2+12k+4=3(3k^2+4k+1)+1$

($9k^2+12k+4 = 9k^2+12k+3+1$ と分けてから3でくくりました。)$3k^2+4k+1$ は整数なので、余りは1です。

以上、すべての場合で $n^2$ を3で割った余りは0か1になったので、証明できました。


パターン7: n進法の問題はいったん10進法に変換して考える

こんな問題で使う

「5進法で ${234}_{(5)}$ と表される数を10進法で表せ」「10進法の100を5進法で表せ」のように、普段使っている10進法とは違う「〇進法」で表された数が出てくる問題です。n進法とは、ある数(この場合は5)を1つのまとまりとして、位が1つ上がるごとにその数のかけ算で桁の重みが増えていくような数の表し方です。

解法の手順

n進法から10進法に変換するとき:

  • 各位の数字に、その位の重み($n$ の累乗)を掛けて、すべて足し合わせます。

10進法からn進法に変換するとき:

  • もとの数を $n$ で次々に割っていき、そのたびに出る余りを記録します。
  • 商が0になるまで割り算を続けます。
  • 最後に出てきた余りから逆順に(下から上に)並べると、n進法での表し方になります。

具体例

5進法で ${234}_{(5)}$ と表される数を10進法で表しなさい。また、10進法の100を5進法で表しなさい。

解答: まず、${234}_{(5)}$ を10進法に変換します。それぞれの位の数字に、5の累乗を掛けて足し合わせます。

$2\times5^2+3\times5^1+4\times5^0$

それぞれ計算すると、

$2\times25+3\times5+4\times1=50+15+4$

これらを足し合わせると、

$50+15+4=69$

よって、${234}_{(5)}$ は10進法で69です。

次に、10進法の100を5進法に変換します。100を5で次々に割っていきます。100を5で割ると、商は20、余りは0です。

$100 = 5\times20+0$

次に20を5で割ると、商は4、余りは0です。

$20=5\times4+0$

次に4を5で割ると、商は0、余りは4です。

$4=5\times0+4$

商が0になったので終了です。余りを、最後に出たものから最初に出たものの順に並べると、$4,\ 0,\ 0$ の順になります。

よって、10進法の100は5進法で ${400}_{(5)}$ と表せます。


パターン8: 範囲がある整数問題は不等式で絞り込んでしらみつぶしに調べる

こんな問題で使う

「$x, y$ を自然数とする。$x^2+y^2=25$ を満たす $(x,y)$ の組をすべて求めよ」のように、式の形だけからは答えがズバリと求まらず、文字の動く範囲をいったん絞ってから1つずつ確かめる必要がある整数問題です。式を座標平面上の図形(この例では円)として捉えられると、範囲の見当がつけやすくなります。

解法の手順

  • 問題の式を見て、文字の1つ(ここでは $x$)に注目し、その文字がとりうる値の範囲を不等式で絞り込みます。
  • 絞り込んだ範囲の中の値を、1つずつ実際に代入していきます。
  • 代入した結果、もう一方の文字(ここでは $y$)が問題の条件(自然数である、整数であるなど)を満たすかどうかを確認します。
  • 条件を満たす組だけを解として採用します。

具体例

$x, y$ を自然数とするとき、$x^2+y^2=25$ を満たす $(x,y)$ の組をすべて求めなさい。

解答: $y$ は自然数なので $y \geqq 1$、つまり $y^2 \geqq 1$ です。よって、

$x^2 = 25-y^2 \leqq 25-1=24$

これより $x^2 \leqq 24 < 25$ となるので、$x$ は1以上4以下の自然数に絞られます($x=5$ だと $x^2=25$ となり $y^2=0$、$y=0$ となってしまい、$y$ が自然数であることに反するため除外します)。

$x=1$ のとき、$y^2=25-1=24$。24は整数の2乗ではないので不適です。 $x=2$ のとき、$y^2=25-4=21$。21は整数の2乗ではないので不適です。 $x=3$ のとき、$y^2=25-9=16=4^2$。$y=4$ で適します。 $x=4$ のとき、$y^2=25-16=9=3^2$。$y=3$ で適します。

よって、求める組は $(x,y)=(3,4),\ (4,3)$ です。