数学III / 微分法
陰関数の微分・高次導関数
要点整理
陰関数の微分法
これまで扱ってきた関数は、$y=x^2+3x$ のように、$y$ が $x$ の式で直接表されている形でした。これを陽関数と呼ぶことがあります。一方、円の方程式 $x^2+y^2=25$ のように、$y$ を直接 $x$ の式に解くのが面倒(あるいは1つの式では表せない)場合の表し方を陰関数と呼びます。
陰関数のままでも、$\dfrac{dy}{dx}$ を求めることができます。ポイントは、「$y$ を $x$ の関数とみなして、方程式の両辺を $x$ で微分する」ことです。このとき、$y$ を含む項を微分するときには、$y$ が $x$ の関数である(つまり合成関数になっている)ことを意識して、連鎖律を使います。例えば $y^2$ を $x$ で微分するときは、$u=y$ とみなして $u^2$ を微分してから、$\dfrac{du}{dx}=\dfrac{dy}{dx}$ を掛けるので、
$\frac{d}{dx}(y^2) = 2y\times\frac{dy}{dx}$
となります。$y$ 単独ではなく、$\dfrac{dy}{dx}$(これから求めたいもの)が新たに登場することに注意してください。これを一般化すると、
$\frac{d}{dx}\left(y^n\right) = n\,y^{n-1}\times\frac{dy}{dx}$
という形になります。具体的な手順は次の通りです。
- 方程式の両辺を、それぞれ $x$ で微分する。$y$ を含む項は、$y$ を $x$ の関数とみなして連鎖律を使う($\dfrac{dy}{dx}$ が新しく出てくる)。
- 微分してできた式を、$\dfrac{dy}{dx}$ について解く。
高次導関数
関数 $f(x)$ を微分してできる導関数 $f'(x)$ を、もう一度微分することができます。これを第2次導関数といい、$f''(x)$、$y''$、または $\dfrac{d^2y}{dx^2}$ と書きます。
$f''(x) = \frac{d}{dx}\{f'(x)\}$
同じように、$f''(x)$ をさらに微分したものを第3次導関数 $f'''(x)$ といい、これを繰り返すことで、何回でも微分を重ねることができます。高次導関数は、関数の細かい形の変化(このあとの単元で学ぶ、グラフの凹凸や、物理での加速度・躍度など)を調べるのに欠かせない道具です。
計算のしかたは単純で、「1回微分した結果を、もう一度同じように微分する」だけです。
例題
例題1(基本)
問題
$y=x^4-2x^3+x$ について、$y''$、$y'''$ を求めなさい。
解答・解説を見る
まず1回微分して $y'$ を求めます。
$y' = 4x^3-6x^2+1$
$y'$ をもう一度微分して $y''$ を求めます。
$y'' = 12x^2-12x$
$y''$ をさらに微分して $y'''$ を求めます。
$y''' = 24x-12$
答え:$y''=12x^2-12x$、$y'''=24x-12$
例題2(標準)
問題
$x^2+y^2=25$ について、$\dfrac{dy}{dx}$ を求め、点 $(3,4)$ における値を求めなさい。
解答・解説を見る
前半:$\dfrac{dy}{dx}$ を求める
方程式の両辺を、$x$ で微分します。左辺は2つの項に分けて、それぞれ微分します。
$\frac{d}{dx}(x^2) + \frac{d}{dx}(y^2) = \frac{d}{dx}(25)$
$x^2$ の微分は $2x$、$y^2$ の微分は連鎖律を使って $2y\dfrac{dy}{dx}$、定数 $25$ の微分は $0$ です。
$2x + 2y\frac{dy}{dx} = 0$
この式を $\dfrac{dy}{dx}$ について解きます。まず $2x$ を右辺に移項します。
$2y\frac{dy}{dx} = -2x$
両辺を $2y$ で割ります($y\neq 0$ とします)。
$\frac{dy}{dx} = -\frac{2x}{2y} = -\frac{x}{y}$
後半:点 $(3,4)$ での値
$x=3$、$y=4$ を代入します。
$\frac{dy}{dx}\bigg|_{(3,4)} = -\frac{3}{4}$
答え:$\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{x}{y}$、点 $(3,4)$ では $-\dfrac{3}{4}$
例題3(応用)
問題
$x^2+y^2=1$ について、$y''$ を、できるだけ簡単な形(元の関係式 $x^2+y^2=1$ を使って整理した形)で求めなさい。
解答・解説を見る
まず $y'$ を求める
例題2と同じ手順で、両辺を $x$ で微分します。
$2x+2y\frac{dy}{dx}=0 \quad\Longrightarrow\quad y' = -\frac{x}{y}$
次に $y'$ をもう一度 $x$ で微分して $y''$ を求める
$y'=-\dfrac{x}{y}$ を、商の微分法を使って微分します。分子を $-x$、分母を $y$ とみなし、$y$ は $x$ の関数なので、分母を微分するときは $\dfrac{dy}{dx}=y'$ を使います。
$y'' = \frac{(-x)'\times y - (-x)\times y'}{y^2} = \frac{-y+xy'}{y^2}$
ここに、先ほど求めた $y'=-\dfrac{x}{y}$ を代入します。
$xy' = x\times\left(-\frac{x}{y}\right) = -\frac{x^2}{y}$
したがって、
$y'' = \frac{-y+\left(-\dfrac{x^2}{y}\right)}{y^2} = \frac{-y-\dfrac{x^2}{y}}{y^2}$
分子を通分して整理します。
$-y-\frac{x^2}{y} = \frac{-y^2-x^2}{y} = -\frac{x^2+y^2}{y}$
したがって、
$y'' = \frac{-\dfrac{x^2+y^2}{y}}{y^2} = -\frac{x^2+y^2}{y^3}$
最後に、問題で与えられた関係式 $x^2+y^2=1$ を代入します。
$y'' = -\frac{1}{y^3}$
答え:$y''=-\dfrac{1}{y^3}$
練習問題
問題1
$y=x^5-4x^3$ について、$y'''$ を求めなさい。
答え
$y'=5x^4-12x^2$、$y''=20x^3-24x$、$y'''=60x^2-24$ です。
問題2
$xy=4$ について、$\dfrac{dy}{dx}$ を求めなさい。
答え
両辺を $x$ で微分すると、積の微分法より $1\times y+x\times\dfrac{dy}{dx}=0$ となるので、$\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{y}{x}$ です。