数学I / 図形と計量
頻出解法パターン
この記事では、数学Iの「図形と計量」という単元でよく出題される解法パターンを8個、まとめて紹介します。それぞれのパターンには、「どんな問題文を見たらこのパターンだと気づけるか」「実際にどう手を動かせばよいか」を書いてあります。定期テストの前や、入試の演習を始める前の確認に使ってください。
パターン1: 三角比の相互関係を使って、1つの比から残り2つを求める
こんな問題で使う
問題文に「sinθ = ○○のとき、cosθ、tanθを求めよ」のように、sinθ、cosθ、tanθのうち1つだけ値が与えられていて、残りの2つを求めさせる問題です。このとき、θがどんな角度の範囲にあるか(鋭角だけなのか、鈍角も含むのか)が必ず書かれているので、そこも見落とさないようにします。
解法の手順
- 三角比の相互関係とは、sinθ、cosθ、tanθの間に成り立つ、次の関係式のことでした。
$\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$
$\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta}$
- 与えられている比の値を、1つ目の式($\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$)に代入して、残っているほうの比の2乗の値を求めます。
- 2乗の値から平方根をとってもとの値を求めるとき、根号の前に付ける符号(プラスかマイナスか)を、問題文で与えられたθの範囲を見て決めます。例えば、θが鋭角(0°より大きく90°より小さい角)だけなら、sinθもcosθもどちらも必ず正の値になります。
- 最後に、2つ目の式($\tan\theta=\dfrac{\sin\theta}{\cos\theta}$)を使ってtanθを計算します。
具体例
θが鋭角で、sinθ = 3/5 のとき、cosθ、tanθを求めなさい。
【解答】
$\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ に $\sin\theta=\dfrac{3}{5}$ を代入します。
$\left(\frac{3}{5}\right)^2 + \cos^2\theta = 1$
$\frac{9}{25} + \cos^2\theta = 1$
$\cos^2\theta = 1 - \frac{9}{25} = \frac{16}{25}$
θは鋭角なので、cosθは正の値です。よって、
$\cos\theta = \frac{4}{5}$
さらに、
$\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta} = \frac{\frac{3}{5}}{\frac{4}{5}} = \frac{3}{4}$
パターン2: sinθ+cosθ(またはsinθ-cosθ)が与えられたら、まず両辺を2乗する
こんな問題で使う
「sinθ+cosθ = ○○のとき、sinθcosθの値を求めよ」のように、sinθとcosθの「和」や「差」の値だけが与えられていて、そこから「積(sinθcosθ)」や、それを使った別の式の値を求めさせる問題です。sinθやcosθ単独の値は、問題文の中にどこにも書かれていない、というのがこのパターンの見分け方です。
解法の手順
- 与えられている等式の両辺を2乗します。
- 左辺を展開すると、$\sin^2\theta+2\sin\theta\cos\theta+\cos^2\theta$(差の場合は $\sin^2\theta-2\sin\theta\cos\theta+\cos^2\theta$)という形が出てきます。
- ここで、$\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ という関係式を使って、式の中の $\sin^2\theta+\cos^2\theta$ の部分を1に置き換えます。
- 残った項を移項して整理すると、求めたい $\sin\theta\cos\theta$ の値が出てきます。
具体例
0°<θ<180°で、sinθ+cosθ = 1/2 のとき、sinθcosθの値を求めなさい。
【解答】
$\sin\theta+\cos\theta=\dfrac{1}{2}$ の両辺を2乗します。
$(\sin\theta+\cos\theta)^2 = \left(\frac{1}{2}\right)^2$
左辺を展開すると、
$\sin^2\theta + 2\sin\theta\cos\theta + \cos^2\theta = \frac{1}{4}$
$\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ なので、
$1 + 2\sin\theta\cos\theta = \frac{1}{4}$
$2\sin\theta\cos\theta = \frac{1}{4} - 1 = -\frac{3}{4}$
$\sin\theta\cos\theta = -\frac{3}{8}$
パターン3: 90°-θ、180°-θの変換公式で、角度を書き換える
こんな問題で使う
三角比の値を求める問題で、三角比の表(0°、30°、45°、60°、90°などの代表的な角の値をまとめた表)には載っていない中途半端な角度(70°、100°、150°など)が出てきたときに使います。「180°-θの三角比を、θの三角比を使って表せ」のような、式を整理する問題にも使います。
解法の手順
- 出てきた角度が、90°より大きいか、あるいは45°より大きい半端な角かどうかを確認します。
- 次の変換公式のうち、どれが使えそうかを考えます。
$\sin(90^\circ-\theta) = \cos\theta,\qquad \cos(90^\circ-\theta)=\sin\theta$
$\sin(180^\circ-\theta) = \sin\theta,\qquad \cos(180^\circ-\theta) = -\cos\theta,\qquad \tan(180^\circ-\theta)=-\tan\theta$
- 与えられた角度を、「90°-○○」または「180°-○○」という形に自分で書き直します。
- 上の公式にあてはめて、見慣れた角度の三角比に変換します。
具体例1
sin70°を、20°の三角比を使って表しなさい。
【解答】
70°=90°-20° なので、
$\sin70^\circ = \sin(90^\circ-20^\circ) = \cos20^\circ$
具体例2
cos150°の値を求めなさい。
【解答】
150°=180°-30° なので、
$\cos150^\circ = \cos(180^\circ-30^\circ) = -\cos30^\circ = -\frac{\sqrt3}{2}$
パターン4: 三角方程式・不等式は、単位円をかいて考える
こんな問題で使う
「0°≦θ≦180°のとき、sinθ=○○を満たすθを求めよ」「cosθ>○○を満たすθの範囲を求めよ」のように、方程式や不等式そのものを解いて、θの値や範囲を求めさせる問題です。
解法の手順
- 半径1の円(単位円といいます)をかきます。
- 単位円の周上の点について、その点のy座標がsinθ、x座標がcosθを表す、という関係を利用します。
- 方程式を解く場合は、y座標(cosθの場合はx座標)がその値になる点を円周上ですべて探し、それぞれに対応するθを読み取ります。
- 不等式を解く場合は、まず等号が成り立つときのθを求めます。そのθを境目にして、円周上を動きながらy座標(またはx座標)が「その値より大きくなる範囲」「小さくなる範囲」がどこかを、図を見ながら判断します。
具体例
0°≦θ≦180°のとき、sinθ=√3/2 を満たすθをすべて求めなさい。
【解答】
単位円上で、y座標が $\dfrac{\sqrt3}{2}$ になる点は2つあります。1つは第1象限(x座標、y座標がともに正の範囲)にある点で、これはθ=60°に対応します。もう1つは第2象限(x座標が負、y座標が正の範囲)にある点で、これはθ=180°-60°=120°に対応します。よって、
$\theta = 60^\circ,\ 120^\circ$
パターン5: 正弦定理と余弦定理、どちらを使うかを条件で見抜く
こんな問題で使う
三角形の辺や角のうち、いくつかの値が与えられていて、残りの辺の長さや角の大きさを求めさせる問題です。図形問題の中で、もっともよく出てくるタイプの1つです。
解法の手順
- 与えられている条件を、「辺の長さが分かっているもの」と「角の大きさが分かっているもの」に分けて数えます。
- 2つの辺の長さと、その間にはさまれた角の大きさが分かっている場合、または3つの辺の長さがすべて分かっている場合は、余弦定理を使います。
$a^2 = b^2+c^2-2bc\cos A$
- 1つの辺の長さと、それに向かい合う角(対角といいます)の大きさのペアが分かっていて、さらに別の辺か角の情報がある場合は、正弦定理を使います。
$\frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} = \frac{c}{\sin C} = 2R$
(Rは、その三角形のすべての頂点を通る円である外接円の半径です。)
- 外接円の半径Rそのものを求めさせる問題では、必ず正弦定理を使います。
具体例
三角形ABCで、b=5、c=3、A=60°のとき、辺aの長さを求めなさい。
【解答】
2つの辺(b、c)と、その間にはさまれた角(A)が分かっているので、余弦定理を使います。
$a^2 = b^2+c^2-2bc\cos A$
$a^2 = 5^2+3^2-2\cdot5\cdot3\cos60^\circ$
$a^2 = 25+9-30\times\frac{1}{2}$
$a^2 = 34-15=19$
$a=\sqrt{19}$
パターン6: 余弦定理の符号から、角が鋭角か鈍角かを判定する
こんな問題で使う
「三角形の3辺の長さが与えられていて、最大の角は鋭角か、直角か、鈍角かを判定せよ」のように、角そのものの大きさではなく、角の種類(鋭角・直角・鈍角)を答えさせる問題です。三角形の中で、一番長い辺に向かい合う角が、その三角形の中でもっとも大きい角になる、という性質とセットで使います。
解法の手順
- 三角形の中で一番長い辺を見つけ、その辺に向かい合う角(最大角)に注目します。
- 余弦定理を、角について解いた次の形に変形して使います。
$\cos A = \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$
- この式の分母(2bc)は必ず正の数なので、符号を決めるのは分子($b^2+c^2-a^2$)だけです。分子がプラスならcosA>0となり角Aは鋭角、マイナスならcosA<0となり角Aは鈍角、0ならcosA=0となり角Aは直角です。
具体例
3辺の長さがa=7、b=5、c=3である三角形について、最大角(辺aに向かい合う角A)は、鋭角・直角・鈍角のどれか答えなさい。
【解答】
$\cos A = \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc} = \frac{5^2+3^2-7^2}{2\times5\times3} = \frac{25+9-49}{30} = \frac{-15}{30} = -\frac{1}{2}$
cosA<0なので、角Aは鈍角です。
パターン7: 面積公式 S=(1/2)ab sinC を使う
こんな問題で使う
「2つの辺の長さと、その間の角の大きさが分かっている三角形の面積を求めよ」のように、面積が関係する問題です。底辺の長さと高さが直接分からなくても、2つの辺の長さと、その間にはさまれた角さえ分かれば面積を求められる、というのがこの公式の便利なところです。
解法の手順
- 面積を求めたい三角形の中から、長さが分かっている2つの辺と、その2辺にはさまれた角を確認します。
- 次の面積公式にあてはめます。
$S = \frac{1}{2}ab\sin C$
(a、bは分かっている2つの辺の長さ、Cはその間にはさまれた角、Sは三角形の面積です。)
- 面積の値から逆に辺の長さや角の大きさを求めさせる問題では、この式に分かっている値を代入して、方程式として解きます。
具体例
2つの辺の長さが6、4で、その間にはさまれた角が30°である三角形の面積を求めなさい。
【解答】
$S = \frac{1}{2}\times6\times4\times\sin30^\circ = \frac{1}{2}\times24\times\frac{1}{2} = 6$
パターン8: 空間図形は、必要な平面を1つだけ抜き出して考える
こんな問題で使う
立方体や正四面体(4つの面がすべて合同な正三角形でできている立体のことです)、四角錐など、空間図形(立体図形)の辺の長さ・高さ・角度を求めさせる問題です。立体のままだと図が見にくく考えにくいので、求めたい部分を含む三角形だけを平面図として抜き出す、という発想がポイントです。
解法の手順
- 求めたい長さや角を含む三角形(できれば直角三角形)を、立体の中から1つ見つけます。
- 見つけた三角形だけを、平面の図として別にかき直します。
- かき直した平面図に対して、三平方の定理や、正弦定理・余弦定理を使います。
- 1回で答えが出ない場合は、別の三角形を抜き出す作業をもう一度くり返して、目的の値にたどり着きます。
具体例
1辺の長さが6の正四面体の高さを求めなさい。
【解答】
まず、底面にあたる正三角形(1辺の長さ6)を考えます。頂点の1つをA、その対辺(向かい合う辺)の中点をMとすると、AMは頂点Aから対辺BCの中点Mまで結んだ線分で、これを中線といいます。三角形ABMは、角Mが直角の直角三角形なので、三平方の定理より、
$AM^2 = AB^2 - BM^2 = 6^2-3^2=36-9=27$
$AM = \sqrt{27} = 3\sqrt3$
正三角形では、3本の中線が交わる点(これを重心といいます)が、頂点から中線を2:1に分けます。頂点Aから重心Gまでの距離は、中線AMの長さの $\dfrac{2}{3}$ 倍になるので、
$AG = \frac{2}{3}AM = \frac{2}{3}\times3\sqrt3 = 2\sqrt3$
正三角形では、この重心Gが、3つの頂点すべてを通る円(外接円)の中心にも一致します。よって、AGは底面の外接円の半径にあたります。
次に、正四面体の頂点(底面から一番離れている頂点)をPとすると、Pから底面までの高さは、線分PGの長さになります。PA=6(正四面体はすべての辺の長さが等しいので)であり、PGとAGは直角に交わるので、三角形PGAで三平方の定理を使うと、
$PG^2 + AG^2 = PA^2$
$PG^2 = 6^2 - (2\sqrt3)^2 = 36-12=24$
$PG = \sqrt{24} = 2\sqrt6$
よって、この正四面体の高さは $2\sqrt6$ です。