数学II / 指数関数・対数関数
頻出解法パターン
「指数関数・対数関数」は、指数と対数という2つの新しい道具を学ぶ単元です。一見複雑に見える問題も、実は決まった型(パターン)にはめて考えれば、見通しよく解けるものがほとんどです。ここでは、代表的な解法パターンを7つにまとめました。
パターン1: 累乗根の計算は、分数指数に直してから指数法則を使う
こんな問題で使う
$\sqrt[4]{8}\times\sqrt[3]{4}$ のように、異なる乗数の累乗根どうしをかけ算・わり算する問題で使います。累乗根のままでは計算しにくくても、指数の形に統一すれば、指数法則がそのまま使えます。
解法の手順
- それぞれの累乗根を、$a^{m/n}=\sqrt[n]{a^m}$ の関係を使って、分数指数の形に書き直す。
- できるだけ同じ底(たとえば $2$)にそろえる。
- 指数法則 $a^pa^q=a^{p+q}$ などを使って、指数どうしを計算する(分数の足し算・引き算になるので、通分を忘れない)。
具体例
問題:$\sqrt[4]{8}\times\sqrt[3]{4}$ を $2^{k}$ の形で表せ。
解答: $8=2^3$, $4=2^2$ なので、
$\sqrt[4]{8}=8^{\frac14}=(2^3)^{\frac14}=2^{\frac34}, \qquad \sqrt[3]{4}=4^{\frac13}=(2^2)^{\frac13}=2^{\frac23}$
指数法則を使ってかけ算します。
$2^{\frac34}\times2^{\frac23}=2^{\frac34+\frac23}$
分母を$12$にそろえて通分します。$\dfrac34=\dfrac{9}{12}$、$\dfrac23=\dfrac{8}{12}$ なので、
$\frac34+\frac23=\frac{9}{12}+\frac{8}{12}=\frac{17}{12}$
したがって、$\sqrt[4]{8}\times\sqrt[3]{4}=2^{\frac{17}{12}}$ です。
パターン2: 指数の大小比較・不等式は「底をそろえて指数を比較」、底<1なら向きに注意
こんな問題で使う
指数を含む数の大小を比べる問題や、指数不等式を解く問題で使います。
解法の手順
- 両辺(または比べたい2つの数)を、同じ底の累乗の形にそろえる。
- 底が $1$ より大きいなら、指数の大小関係がそのまま値の大小関係になる。
- 底が $1$ より小さいなら、指数の大小関係が反転して値の大小関係になる。
具体例
問題:不等式 $2^{3-x}\leqq\dfrac18$ を解け。
解答: $\dfrac18=2^{-3}$ なので、
$2^{3-x}\leqq2^{-3}$
底 $2$ は $1$ より大きいので、指数関数は単調増加、つまり不等号の向きはそのまま指数に引き継がれます。
$3-x\leqq-3$
両辺から $3$ を引きます。
$-x\leqq-6$
両辺を $-1$ でわります(不等号の向きが反転します)。
$x\geqq6$
パターン3: $a^{2x}, a^{x}$ が混ざった指数方程式は $t=a^x$ とおいて2次方程式に
こんな問題で使う
$4^x-6\cdot2^x+8=0$ のように、同じ底の異なる累乗が混ざった方程式・不等式で使います。
解法の手順
- 底をそろえたうえで、$t=a^x$($t>0$)とおく。
- もとの式を、$t$ についての2次式に書き直す。
- $t>0$ という条件をつけたまま、2次方程式(または2次不等式)を解く。
- 出てきた $t$ の値を、$a^x=t$ に戻して $x$ を求める。
具体例
問題:方程式 $4^x-6\cdot2^x+8=0$ を解け。
解答: $4^x=(2^x)^2$ なので、$t=2^x$($t>0$)とおくと、
$t^2-6t+8=0$
因数分解します。
$(t-2)(t-4)=0$
$t=2$ または $t=4$(どちらも $t>0$ を満たします)。$t=2$ のとき $2^x=2$ より $x=1$、$t=4$ のとき $2^x=4=2^2$ より $x=2$。したがって $x=1$ または $x=2$。
パターン4: 複雑な対数の式は、積・商・累乗の法則で1つの対数にまとめる
こんな問題で使う
$\log_a$ を含む複数の項が並んでいる式を、簡単な1つの数や1つの対数に整理する問題で使います。
解法の手順
- $k\log_aM$ の形があれば、累乗の法則を逆向きに使って $\log_aM^k$ の形に直す(係数を指数に押し込む)。
- 底がそろった対数どうしの足し算・引き算を、積・商の法則を使って1つの対数にまとめる。
- 最後にできた $\log_a(\text{数})$ の値を、対数の定義を使って求める。
具体例
問題:$\log_220-\log_25+\log_2\dfrac14$ を計算せよ。
解答: 商の法則と積の法則を使って、1つの対数にまとめます。
$\log_220-\log_25+\log_2\frac14 = \log_2\left(\frac{20}{5}\times\frac14\right)$
かっこの中を計算します。$\dfrac{20}{5}=4$、$4\times\dfrac14=1$ なので、
$= \log_21$
$\log_a1=0$ はどんな底でも成り立つので、
$= 0$
パターン5: 対数方程式・不等式は、真数条件を必ず先に確認してから解く
こんな問題で使う
$\log$ を含む方程式・不等式全般で使います。真数条件の確認を忘れると、存在しないはずの解を答えに含めてしまう危険があります。
解法の手順
- 方程式・不等式に含まれる、すべての $\log$ の真数について、正の数になる条件(真数条件)を先に書き出す。
- 対数の法則を使って、方程式・不等式を整理する。
- 底の単調性を使って、真数どうしの方程式・不等式に直して解く。
- 最後に、求めた解が最初に書き出した真数条件を満たしているか確認する。
具体例
問題:方程式 $\log_5(2x-3)=1$ を解け。
解答: 真数条件は $2x-3>0$、つまり $x>\dfrac32$ です。対数の定義を使って解きます。
$2x-3=5^1=5$
両辺に $3$ を足します。
$2x=8$
両辺を$2$でわります。
$x=4$
真数条件 $x>\dfrac32$ を確認すると、$x=4$ はこれを満たしています。したがって $x=4$。
パターン6: 底が異なる対数の比較・計算は、底の変換公式で底をそろえる
こんな問題で使う
$\log_9 27$ のように、底と真数がすぐには対応しない対数を計算したり、底が異なる複数の対数を比べたりする問題で使います。
解法の手順
- 底の変換公式 $\log_ab=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}$ を使って、計算しやすい共通の底 $c$(多くの場合、もとの数を作っている素数)にそろえる。
- そろえたあとの式を、対数の法則を使って計算する。
具体例
問題:$\log_927$ を計算せよ。
解答: 底の変換公式を使って、底を$3$にそろえます。
$\log_927 = \frac{\log_327}{\log_39}$
$3^3=27$ なので $\log_327=3$、$3^2=9$ なので $\log_39=2$ です。
$\log_927 = \frac32$
パターン7: 桁数・最高位の数字の問題は $\log_{10}$ を計算し、整数部分と小数部分に分ける
こんな問題で使う
$7^{50}$ のように、実際に計算するのが大変な大きな数の桁数や、最高位の数字を求める問題で使います。
解法の手順
- 求めたい数の常用対数($\log_{10}$)を、積・商・累乗の法則を使って計算する。
- 計算結果を、整数部分 $k$ と小数部分 $f$($0\leqq f<1$)に分ける。
- 桁数を聞かれていれば、$k+1$ 桁と答える。
- 最高位の数字を聞かれていれば、$f$ の値を $\log_{10}1,\log_{10}2,\dots,\log_{10}9$ と比較して、$f$ がどの数字とどの数字の間に入るかを調べる。
具体例
問題:$7^{50}$ の桁数を求めよ($\log_{10}7=0.8451$ とする)。
解答:
$\log_{10}(7^{50}) = 50\times\log_{10}7 = 50\times0.8451 = 42.255$
整数部分は $k=42$ です。$42\leqq42.255<43$ なので、桁数は $k+1=43$ 桁です。