数学I / 図形と計量

空間図形の計量

要点整理

これまでの単元(図形と計量)では、平面の上にかかれた三角形について、三角比の定義・正弦定理・余弦定理・面積公式を学んできました。ここからは、その道具を**空間図形(立体)**に応用していきます。立体は絵にかくと難しく見えますが、コツは1つだけです。

立体の中から、辺の長さがわかっている**平面図形(三角形)**を1つ取り出して考える。

これさえ意識できれば、あとはこれまで学んだ計算方法がそのまま使えます。

空間の中の三平方の定理

まずは一番シンプルな例で「立体から平面図形を取り出す」練習をしましょう。直方体(すべての面が長方形でできている箱の形)の対角線の長さを求める場面を考えます。

直方体の対角線(向かい合う頂点どうしを結ぶ線)は、1回の計算では求まりません。次の2ステップで求めます。

  1. まず、底面(長方形)の対角線の長さを、三平方の定理($(\text{斜辺})^2=(\text{他の2辺})^2の和$、中学校で学んだ直角三角形の関係)で求める。
  2. 次に、その底面の対角線と、それに垂直な高さの辺を2辺とする直角三角形をつくり、もう一度三平方の定理を使う。

つまり、直角三角形を2回取り出して、三平方の定理を2回使うということです。これが空間図形の計量の基本パターンです。

対称な立体では、垂線の足が中心にくる

正四面体や正四角錐(底面が正方形で、頂点が底面の中心の真上にある四角錐)のように、形が左右対称・回転対称になっている立体では、次の性質が成り立ちます。

頂点から底面に下ろした垂線の足は、底面の図形の中心(正三角形なら重心=外心、正方形なら対角線の交点)と一致する。

なぜそうなるかというと、対称な立体では、頂点から底面の各頂点までの距離がすべて等しいからです。もし垂線の足が中心からずれていたら、頂点から底面の各頂点までの距離がバラバラになってしまい、対称であることと矛盾してしまいます。この性質を使うと、頂点の真下にある点(垂線の足)から底面の頂点までの距離を、底面の図形だけを見て(正弦定理などを使って)求めることができます。

角錐・円錐の体積の公式

角錐(底面が多角形で、頂点が1つある立体)や円錐の体積は、底面積を$S$、高さを$h$とすると、次の公式で求められます。

$V = \frac{1}{3}Sh$

ここでいう「高さ」とは、頂点から底面をふくむ平面に下ろした垂線の長さのことです。底面に対してまっすぐ立てた垂線の長さであることに注意してください。斜めにはかった辺の長さ(側面の辺の長さなど)ではありません。

三垂線の定理

最後に、空間図形の中で「垂直」を見つけるための便利な定理を紹介します。

点$P$から平面$\alpha$に垂線を下ろし、その足(垂線と平面が交わる点)を$O$とします。そして、平面$\alpha$の中に直線$l$があるとします。このとき、

$OM \perp l \iff PM \perp l$

が成り立ちます($M$は直線$l$上の点、記号$\iff$は「同じ意味である」ということを表します)。これを三垂線の定理と呼びます。

直感的に確認してみましょう。$P$から平面$\alpha$に垂線を下ろしているので、$PO$は平面$\alpha$の中のどんな直線とも垂直です。ですから$PO \perp l$です。ここで、もし$OM \perp l$も成り立っていれば、直線$l$は平面$\alpha$の中の交わる2本の直線($PO$と$OM$がつくる平面)の両方に垂直になります。1つの直線が、ある平面の中の交わる2直線に垂直であれば、その直線はその平面全体に垂直になる、という性質があるので、$l$は平面$POM$に垂直です。すると、平面$POM$の中にある直線$PM$にも、当然$l$は垂直になります。つまり$PM \perp l$です。逆の向きも同じように確認できます。

この定理は、立体の中で「2つの平面がつくる角(二面角)」を求めるときに特に活躍します。二面角とは、2つの平面が交わってできる角のことで、交わる直線上の1点から、それぞれの平面の中でその直線に垂直な線を引いたときにできる角の大きさで測ります。三垂線の定理を使うと、その「垂直な線」を正しく見つけることができます。

以上の4つの考え方(平面図形を取り出す・対称性から垂線の足を求める・体積公式・三垂線の定理)を使って、実際に例題を解いていきましょう。

例題

例題1(基本)

問題 直方体ABCD-EFGHがあります(底面が長方形ABCD、真上の面が長方形EFGHで、辺AE, BF, CG, DHがそれぞれ垂直な辺です)。$AB=4$, $AD=3$, $AE=12$のとき、対角線AGの長さを求めなさい。

解答・解説を見る

対角線AGは、頂点Aと、Aから一番遠い頂点Gを結ぶ線です。これを直接求める公式はないので、直角三角形を2つ取り出して、三平方の定理を2回使います。

ステップ1:底面の対角線ACを求める

底面の長方形ABCDに注目します。長方形の内側の角はすべて90°なので、$\angle ABC=90^\circ$です。よって三角形ABCは、頂点Bを直角とする直角三角形です。$AB=4$, $BC=AD=3$(長方形の向かい合う辺は長さが等しいので、$BC=AD$)を使って、三平方の定理より、

$AC^2 = AB^2+BC^2$

に数値を代入します。

$AC^2 = 4^2+3^2$

$4^2=16$, $3^2=9$なので、

$AC^2 = 16+9 = 25$

$AC>0$なので、

$AC = \sqrt{25} = 5$

ステップ2:対角線AGを求める

次に、辺CGに注目します。辺CGは直方体の垂直な辺の1つなので、底面ABCDに垂直です。底面に垂直ということは、底面の中にある直線ACとも垂直になるので、$CG \perp AC$です。よって、三角形ACGは、頂点Cを直角とする直角三角形です。ここで、$CG=AE=12$(直方体の垂直な辺はすべて長さが等しい)であることに注意して、三平方の定理より、

$AG^2 = AC^2+CG^2$

ステップ1で求めた$AC=5$と、$CG=12$を代入します。

$AG^2 = 5^2+12^2$

$5^2=25$, $12^2=144$なので、

$AG^2 = 25+144 = 169$

$AG>0$なので、

$AG = \sqrt{169} = 13$

よって、対角線AGの長さは$13$です。このように、空間図形の対角線は「底面の対角線」と「垂直な高さ」を2辺とする直角三角形をつくることで、三平方の定理を2回使って求められます。

例題2(標準)

問題 1辺の長さが6の正四面体ABCDがあります。頂点Aから底面BCDに下ろした垂線の長さ(正四面体の高さ)と、この正四面体の体積を求めなさい。

解答・解説を見る

正四面体は4つの面がすべて合同な正三角形でできている、対称性の高い立体です。要点整理で確認した通り、対称な立体では、頂点から底面に下ろした垂線の足は、底面の図形の中心にきます。底面BCDは正三角形なので、その中心は重心であり、同時に外接円の中心(外心)でもあります。この点を$G$とします。

ステップ1:正弦定理で、外心Gから底面の各頂点までの距離を求める

底面の正三角形BCDに注目します。1辺は$BC=6$で、その対辺(向かい合う角)は$\angle BDC=60^\circ$です(正三角形の角はすべて60°)。三角形BCDの外接円の半径を$R$とすると、正弦定理より、

$\frac{BC}{\sin(\angle BDC)} = 2R$

に数値を代入します。

$\frac{6}{\sin60^\circ} = 2R$

$\sin60^\circ=\dfrac{\sqrt{3}}{2}$なので、

$\frac{6}{\frac{\sqrt{3}}{2}} = 2R$

分数の分母がさらに分数になっているので整理します。$6\div\dfrac{\sqrt{3}}{2}=6\times\dfrac{2}{\sqrt{3}}=\dfrac{12}{\sqrt{3}}$なので、

$\frac{12}{\sqrt{3}} = 2R$

両辺を2で割ると、

$R = \frac{6}{\sqrt{3}}$

分母に根号があるので、分母を有理化します(分母と分子に$\sqrt{3}$をかけます)。

$R = \frac{6\times\sqrt{3}}{\sqrt{3}\times\sqrt{3}} = \frac{6\sqrt{3}}{3} = 2\sqrt{3}$

外接円の中心Gは、外接円の周上にある頂点B, C, Dまで、どこも同じ距離($=$半径$R$)にあります。つまり、

$BG = 2\sqrt{3}$

ステップ2:三平方の定理で、正四面体の高さAGを求める

頂点Aから底面BCDに下ろした垂線の足はGなので、$AG \perp$ 底面BCDです。したがって、$AG$と、底面の中にある線分$BG$は垂直になります。よって、三角形ABGは、頂点Gを直角とする直角三角形です。三平方の定理より、

$AB^2 = AG^2+BG^2$

この式を、$AG^2$について解く形に変形します。両辺から$BG^2$を引くと、

$AG^2 = AB^2-BG^2$

$AB=6$(正四面体の1辺)、$BG=2\sqrt{3}$を代入します。

$AG^2 = 6^2-(2\sqrt{3})^2$

$6^2=36$、$(2\sqrt{3})^2=2^2\times(\sqrt{3})^2=4\times3=12$なので、

$AG^2 = 36-12 = 24$

$AG>0$なので、

$AG = \sqrt{24}$

$\sqrt{24}=\sqrt{4\times6}=\sqrt{4}\times\sqrt{6}=2\sqrt{6}$なので、

$AG = 2\sqrt{6}$

ステップ3:底面積を求める

底面BCDは1辺6の正三角形です。正三角形の面積は、面積公式$S=\dfrac{1}{2}ab\sin\theta$を、2辺BC, BDとその間の角$\angle DBC=60^\circ$に使うことで求められます。

$S = \frac{1}{2}\times BC\times BD\times\sin(\angle DBC) = \frac{1}{2}\times6\times6\times\sin60^\circ$

$\sin60^\circ=\dfrac{\sqrt{3}}{2}$を代入すると、

$S = \frac{1}{2}\times6\times6\times\frac{\sqrt{3}}{2}$

掛け算を順に計算します。$\dfrac{1}{2}\times6\times6=18$なので、

$S = 18\times\frac{\sqrt{3}}{2} = 9\sqrt{3}$

ステップ4:体積公式で体積を求める

角錐の体積公式$V=\dfrac{1}{3}Sh$に、底面積$S=9\sqrt{3}$、高さ$h=AG=2\sqrt{6}$を代入します。

$V = \frac{1}{3}\times9\sqrt{3}\times2\sqrt{6}$

まず$9\times2=18$を計算し、$\sqrt{3}\times\sqrt{6}=\sqrt{18}$を計算します。

$V = \frac{1}{3}\times18\times\sqrt{18}$

$\sqrt{18}=\sqrt{9\times2}=3\sqrt{2}$なので、

$V = \frac{1}{3}\times18\times3\sqrt{2}$

$\dfrac{1}{3}\times18=6$、$6\times3=18$なので、

$V = 18\sqrt{2}$

よって、正四面体の高さは$2\sqrt{6}$、体積は$18\sqrt{2}$です。

例題3(応用)

問題 底面が1辺4の正方形ABCD、高さが2の正四角錐P-ABCDがあります(頂点Pは、底面の対角線の交点Oの真上にあります)。辺BCの中点をMとするとき、$\angle PMO$の大きさを求めなさい。また、$\angle PMO$が面PBCと底面ABCDのつくる角(二面角)であることを、三垂線の定理を使って説明しなさい。

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ステップ1:OMの長さを求める

Oは正方形ABCDの対角線の交点(中心)、Mは辺BCの中点です。正方形の中心から1つの辺までの距離(中心から辺に垂線を下ろしたときの長さ)は、その辺の長さの半分になります。これは、正方形を4つの合同な直角三角形に分けて考えるとわかる性質です。底面の1辺は4なので、

$OM = \frac{4}{2} = 2$

また、OMは辺BCの中点に向かってまっすぐ引かれた線なので、$OM \perp BC$が成り立っています。

ステップ2:三垂線の定理で$PM\perp BC$を確認する

頂点Pは、底面ABCDの中心Oの真上にあるので、線分POは底面ABCDに垂直です。つまり、$PO\perp$平面ABCDです。

三垂線の定理は、「$PO\perp$平面ABCD」であることを前提として、「平面ABCDの中の直線BC上の点Mについて、$OM\perp BC$であることと、$PM\perp BC$であることが同じ意味になる」という定理でした。いま、ステップ1で$OM\perp BC$が確認できているので、三垂線の定理より、

$PM \perp BC$

も成り立ちます。

ステップ3:$\angle PMO$が二面角であることの説明

面PBCの中では、$PM\perp BC$($M$は辺BC上の点)が成り立っています。底面ABCDの中では、$OM\perp BC$($M$は辺BC上の点)が成り立っています。二面角とは、2つの平面が交わる直線(ここではBC)上の同じ1点から、それぞれの平面の中でその直線に垂直な線を引いたときにできる角のことでした。PMとOMはどちらも同じ点Mから引かれ、どちらもBCに垂直なので、$\angle PMO$は面PBCと底面ABCDがつくる二面角そのものです。

ステップ4:PMの長さを求める

$PO\perp$平面ABCDより、POは底面の中にあるOMとも垂直です($PO\perp OM$)。よって三角形POMは、頂点Oを直角とする直角三角形です。三平方の定理より、

$PM^2 = PO^2+OM^2$

$PO=2$(正四角錐の高さ)、$OM=2$(ステップ1の結果)を代入します。

$PM^2 = 2^2+2^2 = 4+4 = 8$

$PM>0$なので、

$PM = \sqrt{8} = 2\sqrt{2}$

ステップ5:$\angle PMO$の大きさを求める

三角形POMは、頂点Oを直角とする直角三角形で、直角をはさむ2辺が$PO=2$、$OM=2$です。$\angle PMO$についての三角比tan(タンジェント、「向かい合う辺の長さ」を「隣り合う辺の長さ」で割った値)を考えると、

$\tan(\angle PMO) = \frac{PO}{OM} = \frac{2}{2} = 1$

$\tan\theta=1$となる角は、$0^\circ<\theta<90^\circ$の範囲では$\theta=45^\circ$だけです(三角比の定義や、三角比の表・単位円で確認できます)。よって、

$\angle PMO = 45^\circ$

よって、面PBCと底面ABCDのつくる角(二面角)は$45^\circ$です。このように、頂点から底面に垂線を下ろすことができる立体では、三垂線の定理を使うことで、二面角を測るための正しい角($\angle PMO$)を見つけることができます。

練習問題

問題 1辺の長さが4の正四面体があります。この正四面体の体積を求めなさい。(例題2と同じ手順で求められます。)

答え

例題2と同じ手順で計算します。底面の正三角形(1辺4)について、正弦定理より外接円の半径は

$R = \frac{4}{2\sin60^\circ} = \frac{4}{\sqrt{3}} = \frac{4\sqrt{3}}{3}$

三平方の定理より、正四面体の高さ$h$は

$h^2 = 4^2-\left(\frac{4\sqrt{3}}{3}\right)^2 = 16-\frac{48}{9} = 16-\frac{16}{3} = \frac{48-16}{3} = \frac{32}{3}$

$h = \sqrt{\frac{32}{3}} = \frac{4\sqrt{2}}{\sqrt{3}} = \frac{4\sqrt{6}}{3}$

底面積は$S=\dfrac{1}{2}\times4\times4\times\sin60^\circ=4\sqrt{3}$なので、体積は

$V = \frac{1}{3}\times4\sqrt{3}\times\frac{4\sqrt{6}}{3} = \frac{16\sqrt{18}}{9} = \frac{16\times3\sqrt{2}}{9} = \frac{48\sqrt{2}}{9} = \frac{16\sqrt{2}}{3}$

よって、体積は$\dfrac{16\sqrt{2}}{3}$です。