数学A / 場合の数と確率

頻出解法パターン

数学Aの「場合の数と確率」は、集合の要素の個数から始まり、順列・組合せ、確率の基本性質、独立試行・反復試行、条件付き確率、期待値へと話が広がっていく単元です。公式の数はそれほど多くありませんが、「どの場面でどの考え方を使えばいいのか」を自分で見分けられるようにならないと、テストで手が止まってしまいます。ここでは、この単元全体からテストでよく出る「型」を8つ取り上げます。「こんな問題を見たらこのパターンだ」という感覚を、具体例を通してつかんでいきましょう。

パターン1: 「並べる」か「選ぶだけ」かを見極めて、順列と組合せを使い分ける

こんな問題で使う

「〜人の中から〜人を選んで一列に並べる」「代表と副代表を選ぶ」のように順番や役割の違いがある場面と、「〜人の中から〜人を選んでグループを作る」「委員を選ぶ(役割の区別なし)」のように選んだあとの中身だけに注目する場面を見分ける必要がある問題です。この2つを混同してしまうミスは、この単元でいちばん多い失敗の1つです。

解法の手順

  • 問題文が「並べる」「順番をつける」ことを求めているのか、「選ぶだけ」「グループを作る」ことを求めているのかを確認します。
  • 選んだあとに区別がつくかどうかも判断材料になります。区別がつく(役職が違う、位置が決まっているなど)なら順列 ${}_{n}\mathrm{P}_{r}$、区別がつかない(同じ役割・同じ扱い)なら組合せ ${}_{n}\mathrm{C}_{r}$ を使います。
  • 1つの問題の中に順列の場面と組合せの場面が両方混じっている(役職のある人と、役職のない人を同時に選ぶなど)ときは、それぞれ別々に計算してから、積の法則(同時に行う場合の数はかけ算する、という法則)で掛け合わせます。

具体例(順列)

生徒8人の中から、文化祭実行委員長1人と副委員長1人を選ぶとき、選び方は何通りありますか。

解答: 委員長と副委員長は仕事の内容が異なる(区別がある)ので、順序を区別する順列の考え方を使います。$n=8$、$r=2$ として、

${}_{8}\mathrm{P}_{2} = 8 \times 7 = 56$

よって、選び方は56通りです。

具体例(組合せ)

同じ8人の中から、会場設営係を2人選ぶとき(2人の間に役割の違いはありません)、選び方は何通りありますか。

解答: 2人の間に区別がないので、組合せの考え方を使います。

${}_{8}\mathrm{C}_{2} = \frac{8 \times 7}{2 \times 1} = 28$

よって、選び方は28通りです。同じ8人・同じ2人という設定でも、「区別があるかどうか」だけで答えが56通りと28通りに変わることに注目してください。


パターン2: 「隣り合う」条件はひとまとめに、「両端・特定の位置」の条件は先に確定させる

こんな問題で使う

順列や円順列の問題で、「AとBは隣り合う」「女子はすべて続けて並ぶ」「両端には男子が並ぶ」「特定の人は端に来ない」のように、並べる位置に制限がついている問題です。

解法の手順

  • 「隣り合う」「続けて並ぶ」という条件がある場合は、その人(もの)たちをひとまとめにして1つの塊とみなし、他の人と合わせて「塊を含めた全体」を先に並べます。
  • そのあとで、塊の中の並び方を別に計算し、積の法則で掛け合わせます(塊の外の並べ方 × 塊の中の並べ方)。
  • 「両端」「特定の位置に何が来るか」という条件がある場合は、先にその位置を決めてしまい、残った位置に残った人・ものを並べる、という順番で計算します。どちらの場合も、「制限が強い部分から先に処理する」のがコツです。

具体例(隣り合う)

男子3人、女子2人の合計5人を1列に並べるとき、女子2人が隣り合う並び方は何通りありますか。

解答: 女子2人をひとまとめにして1つの塊と考えると、並べる「もの」は男子3人+女子の塊1つ=4個になります。

$4個を1列に並べる並べ方 = 4! = 24$

塊の中で女子2人が並ぶ順番は

$2! = 2$

通りです。積の法則より、

$24 \times 2 = 48$

よって、女子2人が隣り合う並べ方は48通りです。

具体例(両端の条件)

同じ男子3人、女子2人の合計5人を1列に並べるとき、両端に男子が来るように並べる方法は何通りありますか。

解答: 先に両端を決めます。両端の2か所は左端・右端で区別のある位置なので、3人の男子の中からどの2人がどちらの端に来るかを考える順列になります。

${}_{3}\mathrm{P}_{2} = 3 \times 2 = 6$

残った3人(男子1人と女子2人)を、真ん中の3つの位置に1列に並べる並べ方は、

$3! = 6$

です。積の法則より、

$6 \times 6 = 36$

よって、両端に男子が来る並べ方は36通りです。


パターン3: 「AまたはBまたはC」の個数は、ベン図と包除原理で重なりを整理する

こんな問題で使う

「〜部に入っている生徒」「〜の倍数」のように、2つ以上の条件のうち少なくとも1つに当てはまる要素の個数(和集合の要素の個数)を求める問題です。特に条件が3つになると、頭の中だけで数えようとして重複や漏れが出やすいので注意が必要です。

解法の手順

  • 求めたいものが「AまたはB(またはC)」の個数、つまり和集合 $A \cup B$(または $A \cup B \cup C$)の要素の個数であることを確認します。
  • 頭の中でベン図(円が重なった図)をイメージし、「そのまま足すと重なった部分を2回以上数えてしまう」ことを意識します。
  • 2つの集合のときは、

$n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)$

3つの集合のときは、

$n(A\cup B\cup C)=n(A)+n(B)+n(C)-n(A\cap B)-n(B\cap C)-n(C\cap A)+n(A\cap B\cap C)$

という公式(足す・引く・足すの順番が決まっています)に、分かっている個数をそのまま当てはめます。

具体例

ある学年で、英語部に入っている生徒が18人、数学部に入っている生徒が15人、科学部に入っている生徒が12人います。英語部と数学部の両方に入っている生徒が7人、数学部と科学部の両方に入っている生徒が5人、英語部と科学部の両方に入っている生徒が4人、3つの部すべてに入っている生徒が2人います。英語部・数学部・科学部のうち、少なくとも1つに入っている生徒は何人ですか。

解答: 英語部・数学部・科学部の集合をそれぞれA, B, Cとして、3つの集合の和集合の公式に当てはめます。

$n(A\cup B\cup C)=n(A)+n(B)+n(C)-n(A\cap B)-n(B\cap C)-n(C\cap A)+n(A\cap B\cap C)$

数値を代入します。

$n(A\cup B\cup C)=18+15+12-7-5-4+2$

左から順に計算します。$18+15+12=45$、次に $45-7-5-4=29$、最後に $29+2=31$ です。 よって、少なくとも1つの部に入っている生徒は31人です。


パターン4: ○+□+△=n の非負整数解の個数は、玉と仕切りの重複組合せで数える

こんな問題で使う

「$x+y+z=n$ を満たす0以上の整数の組は何組あるか」というような方程式の解の個数を求める問題や、「同じ種類のものを、何人かに(0個でもよいものとして)配る」という文章題です。一見すると場合の数の問題に見えない方程式の形をしていることが、このパターンを見逃しやすいポイントです。

解法の手順

  • 「$x+y+z=n$」のような式を、「$n$個の同じもの(玉)を、変数の数だけの部屋に分ける」というイメージに置きかえます。
  • 部屋を仕切るための仕切り棒を、(部屋の数-1)本用意します。
  • 玉$n$個と仕切り(部屋の数-1)本を合わせて1列に並べたとき、その中から仕切りを置く場所を選ぶ組合せの数として計算します。これは重複組合せの公式

${}_{n}\mathrm{H}_{r} = {}_{n+r-1}\mathrm{C}_{r}$

の考え方そのもの(種類の数=部屋の数、選ぶ個数=玉の個数)なので、玉の個数と部屋の数を正しく当てはめて計算します。

具体例

同じ種類のおにぎりが12個あります。これを3人の子どもに、1人も0個でもよいものとして分けるとき、分け方は何通りありますか。

解答: 3人それぞれがもらう個数を $x, y, z$ とすると、これは

$x+y+z=12 \quad (x, y, z は0以上の整数)$

を満たす整数の組の個数を求める問題です。おにぎり12個を○、部屋を仕切る棒を2本(3人だから仕切りは3-1=2本)として、○12個と|2本、合計14個を1列に並べ、そのうち仕切りの場所2か所を選ぶと考えると、

${}_{14}\mathrm{C}_{2} = \frac{14\times13}{2\times1} = 91$

よって、分け方は91通りです。


パターン5: 「少なくとも1つ」は余事象、「AまたはB」はまず排反かどうかを確認する

こんな問題で使う

「少なくとも1回は〜が起こる確率」「少なくとも1つは〜である確率」という言い回しが出てきたときと、「AまたはBが起こる確率」を求めるときです。どちらも、正面から数えようとすると場合分けが多くて大変になりやすい場面です。

解法の手順

  • 「少なくとも1つ」という言葉を見たら、まず余事象(反対の事柄、つまり「1つも起こらない」事象)の確率を考えられないか疑います。余事象の確率が求めやすければ、

$P(\text{少なくとも1つ}) = 1 - P(\text{1つも起こらない})$

で計算します。

  • 「AまたはBが起こる確率」($P(A \cup B)$)を求めるときは、まず**AとBが同時に起こりうるか(排反かどうか)**を確認します。
    • 同時に起こりえない(排反)なら、シンプルな足し算 $P(A \cup B) = P(A) + P(B)$ を使います。
    • 同時に起こりうるなら、重なった部分を引く一般の加法定理 $P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B)$ を使います。

具体例(少なくとも1つ)

3枚の硬貨を同時に投げるとき、少なくとも1枚は表が出る確率を求めなさい。

解答: 「少なくとも1枚は表」の余事象は「3枚とも裏」です。1枚が裏になる確率は $\dfrac{1}{2}$ で、3枚は独立なので、

$P(\text{3枚とも裏}) = \left(\frac{1}{2}\right)^{3} = \frac{1}{8}$

よって、

$P(\text{少なくとも1枚は表}) = 1 - \frac{1}{8} = \frac{7}{8}$

具体例(AまたはB)

ジョーカーを除く52枚のトランプから1枚引くとき、引いたカードがハートである事象をA、絵札(J, Q, Kのいずれか)である事象をBとします。$P(A \cup B)$ を求めなさい。

解答: ハートは13枚なので $P(A) = \dfrac{13}{52}$、絵札はJ・Q・Kの3種類×4スート=12枚なので $P(B) = \dfrac{12}{52}$ です。ハートの絵札(ハートのJ, Q, K)は3枚あるので、AとBは同時に起こりえます(排反ではありません)。よって、

$P(A \cap B) = \frac{3}{52}$

一般の加法定理より、

$P(A \cup B) = \frac{13}{52} + \frac{12}{52} - \frac{3}{52} = \frac{22}{52} = \frac{11}{26}$


パターン6: 「n回中ちょうどr回」と見たら反復試行の確率の公式

こんな問題で使う

「さいころをn回投げて、ある目がちょうどr回出る確率」「コインをn回投げて、表がちょうどr回出る確率」のように、同じ独立な試行を何回もくり返して、そのうちある事象が「ちょうど何回」起こるかを問う問題です。

解法の手順

  • 1回の試行で注目する事象が起こる確率を $p$、起こらない確率を $q=1-p$ とします。
  • 試行回数 $n$、起こってほしい回数 $r$ を問題文から読み取ります。
  • 反復試行の確率の公式に当てはめます。

$P(X=r) = {}_{n}\mathrm{C}_{r}\, p^{r} q^{n-r}$

  • 「3回以上」「少なくとも1回」のように範囲を問われている場合は、あてはまる $r$ の値それぞれについてこの公式を計算し、最後に足し合わせます(排反な事象の和なので、加法定理で足してよいのでした)。

具体例

1個のさいころを5回投げるとき、偶数の目がちょうど3回出る確率を求めなさい。

解答: 1回の試行で偶数の目(2, 4, 6のいずれか)が出る確率は $p = \dfrac{3}{6} = \dfrac{1}{2}$、偶数の目が出ない(奇数の目が出る)確率も $q = \dfrac{1}{2}$ です。$n=5$、$r=3$ として公式に代入します。

$P(X=3) = {}_{5}\mathrm{C}_{3}\left(\frac{1}{2}\right)^{3}\left(\frac{1}{2}\right)^{2}$

まず ${}_{5}\mathrm{C}_{3}$ を計算します。

${}_{5}\mathrm{C}_{3} = \frac{5\times4\times3}{3\times2\times1} = 10$

$\left(\dfrac{1}{2}\right)^{3}\times\left(\dfrac{1}{2}\right)^{2} = \left(\dfrac{1}{2}\right)^{5} = \dfrac{1}{32}$ なので、

$P(X=3) = 10 \times \frac{1}{32} = \frac{10}{32} = \frac{5}{16}$

よって、答えは $\dfrac{5}{16}$ です。


パターン7: 条件付き確率・ベイズは、樹形図で「原因→結果」の流れを整理してから逆算する

こんな問題で使う

「〜という条件のもとで、〜が起こる確率を求めよ」のように条件付き確率そのものを問う問題や、「結果(たとえば不良品が出た、白玉が出た)が分かっているとき、それがどちらの原因(どちらの機械・どちらの箱)から来たものである確率か」を問う、いわゆるベイズ的な問題です。「結果から原因をさかのぼる」という文の流れが目印です。

解法の手順

  • 原因にあたる事象(2つ以上に分かれるもの)を $E_1$, $E_2$, …とし、結果にあたる事象を $W$ など別の文字でおきます。
  • まず「原因が起こる確率」$P(E_1)$, $P(E_2)$ と、「その原因のもとで結果が起こる条件付き確率」$P_{E_1}(W)$, $P_{E_2}(W)$ を、それぞれ問題文から整理します(頭の中で「原因→結果」の樹形図を描くとミスが減ります)。
  • 乗法定理 $P(E_k \cap W) = P(E_k) \times P_{E_k}(W)$ を使って、それぞれの「原因が$E_k$で、かつ結果$W$が起こる」確率を計算します。
  • これらをすべて足し合わせて、結果$W$が起こる確率全体 $P(W)$ を求めます。
  • 求めたい「結果$W$が起こったときに原因が$E_k$である確率」は、条件付き確率の定義にしたがって、

$P_W(E_k) = \frac{P(E_k \cap W)}{P(W)}$

で計算します。分子には「その原因のときの結果が起こる確率」だけを、分母には「全部の原因を合わせた、結果が起こる確率」を置く、という形を覚えておくと迷いません。

具体例

ある工場では、機械Aが製品全体の $\dfrac{7}{10}$ を、機械Bが残りの $\dfrac{3}{10}$ を作っています。機械Aが作る製品が不良品である確率は $\dfrac{1}{50}$、機械Bが作る製品が不良品である確率は $\dfrac{1}{20}$ です。できた製品から1個を検査したところ不良品でした。この製品が機械Bで作られたものである確率を求めなさい。

解答: 「機械Aで作られる」事象を $E_1$、「機械Bで作られる」事象を $E_2$、「不良品である」事象を $W$ とします。

まず、$P(E_1)=\dfrac{7}{10}$、$P(E_2)=\dfrac{3}{10}$、$P_{E_1}(W)=\dfrac{1}{50}$、$P_{E_2}(W)=\dfrac{1}{20}$ です。

乗法定理より、

$P(E_1 \cap W) = \frac{7}{10}\times\frac{1}{50} = \frac{7}{500}$

$P(E_2 \cap W) = \frac{3}{10}\times\frac{1}{20} = \frac{3}{200}$

分母を1000にそろえます。$\dfrac{7}{500}=\dfrac{14}{1000}$、$\dfrac{3}{200}=\dfrac{15}{1000}$ なので、

$P(W) = \frac{14}{1000}+\frac{15}{1000} = \frac{29}{1000}$

求める確率は、

$P_W(E_2) = \frac{P(E_2\cap W)}{P(W)} = \frac{\dfrac{15}{1000}}{\dfrac{29}{1000}} = \frac{15}{29}$

よって、不良品が機械Bで作られたものである確率は $\dfrac{15}{29}$ です。


パターン8: 期待値は確率分布の表をつくってから $\sum x_k p_k$ で計算する

こんな問題で使う

「〜の期待値を求めよ」「平均していくらもらえるか」のように、確率変数の期待値(平均)を問う問題です。式をいきなり立てようとせず、確率分布の表を作るところから始めるのが失敗しないコツです。

解法の手順

  • 何を確率変数 $X$ とするかを決めます(出た目、当たった回数、もらえる金額など)。
  • $X$ がとりうる値をすべて書き出します。
  • それぞれの値になる確率を求め、確率分布の表にまとめます。表の確率をすべて足すと必ず1になることを確認します(検算になります)。
  • 期待値の公式

$E(X) = x_1 p_1 + x_2 p_2 + \cdots + x_n p_n = \sum_{k=1}^{n} x_k p_k$

に、表の値と確率をそのまま当てはめて計算します。

具体例

1個のさいころを1回投げて、出た目に応じて次のようにポイントがもらえるゲームを行います:出た目が1, 2, 3のときは0点、出た目が4, 5のときは10点、出た目が6のときは50点。もらえるポイントの期待値を求めなさい。

解答: もらえるポイントを確率変数 $X$ とすると、$X$ は $0$, $10$, $50$ のいずれかの値をとります。

  • $X=0$ になるのは目が1, 2, 3のときなので、$P(X=0) = \dfrac{3}{6} = \dfrac{1}{2}$
  • $X=10$ になるのは目が4, 5のときなので、$P(X=10) = \dfrac{2}{6} = \dfrac{1}{3}$
  • $X=50$ になるのは目が6のときなので、$P(X=50) = \dfrac{1}{6}$

確率の合計は $\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{6} = \dfrac{3}{6}+\dfrac{2}{6}+\dfrac{1}{6} = 1$ となっており、正しく作れています。

期待値の公式に代入します。

$E(X) = 0\times\frac{1}{2} + 10\times\frac{1}{3} + 50\times\frac{1}{6}$

$10\times\dfrac{1}{3} = \dfrac{10}{3} = \dfrac{20}{6}$、$50\times\dfrac{1}{6} = \dfrac{50}{6}$ なので、

$E(X) = 0 + \frac{20}{6} + \frac{50}{6} = \frac{70}{6} = \frac{35}{3}$

よって、期待値は $\dfrac{35}{3}$ 点です。