数学I / 数と式

根号を含む式の計算

要点整理

「実数と数直線・絶対値」ですでに学んだように、実数には根号($\sqrt{\ }$)を使わないと表せない数(無理数)がたくさんあります。ここでは、その根号を含む式をどうやって計算していくかを、順番に見ていきましょう。

平方根とは何か

正の数 $a$ について、2乗すると $a$ になる数を $a$ の平方根といいます。方程式 $x^2 = a$ の解は $x = \sqrt{a}$ と $x = -\sqrt{a}$ の2つあり、このうち根号を使って表される $\sqrt{a}$ は「正の方の平方根」を指す記号です。たとえば $\sqrt{9}$ は「2乗すると9になる正の数」という意味なので、$\sqrt{9} = 3$ です($-3$ ではないことに注意してください)。

ここで、以前に学んだ絶対値の考え方とつながる、大事な関係があります。

$\sqrt{a^2} = |a|$

たとえば $\sqrt{(-3)^2}$ を計算してみましょう。まず中身を計算すると $(-3)^2 = 9$ なので、$\sqrt{(-3)^2} = \sqrt{9} = 3$ となります。ここで、もし単純に「2乗が外れて $-3$ になる」と考えてしまうと間違いです。根号の中の2乗が外れるときは、符号を考えて絶対値、つまり「符号を取った正の値」になる、と覚えておきましょう。

根号の積・商の性質

根号どうしの掛け算・割り算には、次の性質があります(前提として $a \geq 0$, $b \geq 0$ とします)。

$\sqrt{a}\sqrt{b} = \sqrt{ab}$

$\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}} = \sqrt{\frac{a}{b}} \quad (b > 0)$

たとえば $\sqrt{2} \times \sqrt{8}$ を計算してみます。積の性質を使うと、1ステップ目で中身を掛け合わせて $\sqrt{2} \times \sqrt{8} = \sqrt{2 \times 8} = \sqrt{16}$ となります。2ステップ目で $\sqrt{16} = 4$ と計算できるので、答えは $4$ です。

根号の中を簡単にする(平方数をくくり出す)

根号の中に、ある数の2乗(平方数)がかけ算の形で含まれているときは、その数を根号の外に出すことができます。たとえば $\sqrt{72}$ を簡単にしてみましょう。

1ステップ目として、$72$ を「平方数 $\times$ 残りの数」の形に分解します。$72 = 36 \times 2$ で、$36 = 6^2$ は平方数なので、

$\sqrt{72} = \sqrt{36 \times 2}$

2ステップ目で、積の性質を逆向きに使って根号を分けます。

$\sqrt{36 \times 2} = \sqrt{36}\sqrt{2}$

3ステップ目で $\sqrt{36} = 6$ を計算すると、

$\sqrt{36}\sqrt{2} = 6\sqrt{2}$

したがって、$\sqrt{72} = 6\sqrt{2}$ です。このように、根号の中の数はできるだけ小さくしておくのがルールです。

根号を含む式の足し算・引き算

根号を含む数の足し算・引き算は、文字式の同類項をまとめるときと同じ考え方をします。つまり、根号の中身(根号の中の数)が同じもの同士だけを、係数(根号の前についている数)を足し引きしてまとめることができます。根号の中身が違うものは、それ以上まとめることができません。

たとえば $\sqrt{8} + \sqrt{18}$ を計算してみましょう。まず、それぞれを簡単にします。$\sqrt{8} = \sqrt{4 \times 2} = 2\sqrt{2}$、$\sqrt{18} = \sqrt{9 \times 2} = 3\sqrt{2}$ です。どちらも根号の中身が $2$ で同じになったので、同類項のようにまとめられます。

$\sqrt{8} + \sqrt{18} = 2\sqrt{2} + 3\sqrt{2} = (2+3)\sqrt{2} = 5\sqrt{2}$

根号を含む式の展開

根号を含む式のかけ算は、これまで学んできた乗法公式や分配法則をそのまま使って展開できます。たとえば $(\sqrt{3}+1)(\sqrt{3}-2)$ を展開してみましょう。分配法則を使って、1つずつ順番に掛けていきます。

$(\sqrt{3}+1)(\sqrt{3}-2) = \sqrt{3}\times\sqrt{3} + \sqrt{3}\times(-2) + 1\times\sqrt{3} + 1\times(-2)$

次に、それぞれの項を計算します。$\sqrt{3}\times\sqrt{3} = 3$、$\sqrt{3}\times(-2) = -2\sqrt{3}$、$1\times\sqrt{3} = \sqrt{3}$、$1\times(-2) = -2$ なので、

$= 3 - 2\sqrt{3} + \sqrt{3} - 2$

最後に、根号のない項どうし($3$ と $-2$)、根号がある項どうし($-2\sqrt{3}$ と $\sqrt{3}$)をそれぞれまとめると、

$= (3-2) + (-2\sqrt{3}+\sqrt{3}) = 1 - \sqrt{3}$

分母の有理化

分数の分母に根号が入っている形は、そのままだと計算しにくいので、分母に根号がない形に直します。これを分母の有理化といいます。

分母が根号1つだけのとき、たとえば $\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ は、分母と分子の両方に $\sqrt{3}$ をかけます(これは $\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{3}} = 1$ をかけているだけなので、値は変わりません)。

$\frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{1 \times \sqrt{3}}{\sqrt{3} \times \sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}}{3}$

分母が $\sqrt{a}+\sqrt{b}$ のように根号を含む2つの項の和・差になっているときは、「符号を反対にした式」を分母・分子の両方にかけます。これを分母の共役(きょうやく)な式といいます。たとえば分母が $\sqrt{5}+\sqrt{2}$ なら $\sqrt{5}-\sqrt{2}$ をかけると、$(\sqrt{a}+\sqrt{b})(\sqrt{a}-\sqrt{b}) = a - b$ の形になり、根号が消えます。この計算は、例題2でくわしく見ていきます。

二重根号の外し方

根号の中にさらに根号が入っている式(二重根号)は、うまく数を見つけると、根号が1つだけの形に書き直せることがあります。$a>0$, $b>0$ として、$\sqrt{a}+\sqrt{b}$ を2乗すると、

$(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2 = a + 2\sqrt{a}\sqrt{b} + b = a+b+2\sqrt{ab}$

となります。この式の両辺で根号を取ると、次の公式が得られます。

$\sqrt{a+b+2\sqrt{ab}} = \sqrt{a}+\sqrt{b}$

同じように $(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2 = a+b-2\sqrt{ab}$ となることを使うと、

$\sqrt{a+b-2\sqrt{ab}} = |\sqrt{a}-\sqrt{b}|$

という公式も得られます(2乗を根号で外すときは、必ず絶対値になることを思い出しましょう)。

使い方を、$\sqrt{7+2\sqrt{10}}$ を例に確認します。この式を公式の形 $\sqrt{a+b+2\sqrt{ab}}$ と見比べると、$a+b=7$ かつ $ab=10$ となる $a$, $b$ を探せばよいことが分かります。かけて $10$、足して $7$ になる2つの数は $5$ と $2$ です($5\times2=10$、$5+2=7$)。したがって、

$\sqrt{7+2\sqrt{10}} = \sqrt{5}+\sqrt{2}$

となります。マイナスの場合(例:$\sqrt{7-2\sqrt{10}}$)も同じように $a=5$, $b=2$ が見つかるので、$\sqrt{7-2\sqrt{10}} = |\sqrt{5}-\sqrt{2}|$ となります。ここで $5>2$ なので $\sqrt{5}>\sqrt{2}$ となり、絶対値の中身はすでに正なので、$|\sqrt{5}-\sqrt{2}| = \sqrt{5}-\sqrt{2}$ です。

例題

例題1(基本)

問題

次の式を簡単にしなさい。

$\sqrt{18} + \sqrt{50} - \sqrt{8}$

解答・解説を見る

まず、それぞれの根号の中の平方数をくくり出して、根号の中身をできるだけ小さくします。

1ステップ目、$\sqrt{18}$ について、$18 = 9 \times 2$ と分解できて $9=3^2$ は平方数なので、

$\sqrt{18} = \sqrt{9\times2} = \sqrt{9}\sqrt{2} = 3\sqrt{2}$

2ステップ目、$\sqrt{50}$ について、$50 = 25 \times 2$ と分解できて $25=5^2$ は平方数なので、

$\sqrt{50} = \sqrt{25\times2} = \sqrt{25}\sqrt{2} = 5\sqrt{2}$

3ステップ目、$\sqrt{8}$ について、$8 = 4 \times 2$ と分解できて $4=2^2$ は平方数なので、

$\sqrt{8} = \sqrt{4\times2} = \sqrt{4}\sqrt{2} = 2\sqrt{2}$

これで、すべての項の根号の中身が $2$ にそろいました。4ステップ目として、元の式に代入します。

$\sqrt{18}+\sqrt{50}-\sqrt{8} = 3\sqrt{2}+5\sqrt{2}-2\sqrt{2}$

最後に、根号の中身が同じ項どうしなので、同類項をまとめるのと同じように係数($3$, $5$, $-2$)だけを計算します。

$= (3+5-2)\sqrt{2} = 6\sqrt{2}$

したがって、答えは $6\sqrt{2}$ です。

例題2(標準)

問題

次の式の分母を有理化しなさい。

$\frac{3}{\sqrt{5}+\sqrt{2}}$

解答・解説を見る

分母が $\sqrt{5}+\sqrt{2}$ のように根号を含む2項の和になっているので、符号を反対にした式(共役な式)である $\sqrt{5}-\sqrt{2}$ を、分母と分子の両方にかけます。分母・分子に同じ数をかけているだけなので、式全体の値は変わりません。

$\frac{3}{\sqrt{5}+\sqrt{2}} = \frac{3(\sqrt{5}-\sqrt{2})}{(\sqrt{5}+\sqrt{2})(\sqrt{5}-\sqrt{2})}$

1ステップ目として、分母を計算します。$(\sqrt{a}+\sqrt{b})(\sqrt{a}-\sqrt{b}) = (\sqrt{a})^2-(\sqrt{b})^2 = a-b$ の形になることを使うと、

$(\sqrt{5}+\sqrt{2})(\sqrt{5}-\sqrt{2}) = (\sqrt{5})^2-(\sqrt{2})^2 = 5-2 = 3$

2ステップ目として、分子を展開します。分配法則を使って、

$3(\sqrt{5}-\sqrt{2}) = 3\sqrt{5}-3\sqrt{2}$

3ステップ目として、分母・分子の結果をまとめます。

$\frac{3(\sqrt{5}-\sqrt{2})}{3} = \frac{3\sqrt{5}-3\sqrt{2}}{3}$

4ステップ目として、分子の各項を分母の $3$ で割ります。

$\frac{3\sqrt{5}}{3}-\frac{3\sqrt{2}}{3} = \sqrt{5}-\sqrt{2}$

したがって、答えは $\sqrt{5}-\sqrt{2}$ です。分母から根号がなくなっていることを確認しておきましょう。

例題3(応用)

問題

次の式を簡単にしなさい。

$\sqrt{6-2\sqrt{5}}$

解答・解説を見る

この式は根号の中にさらに根号がある「二重根号」の形をしています。要点整理で見た公式 $\sqrt{a+b-2\sqrt{ab}} = |\sqrt{a}-\sqrt{b}|$ が使えないか考えてみましょう。

1ステップ目として、$6-2\sqrt{5}$ を「$a+b-2\sqrt{ab}$」の形と見比べます。$-2\sqrt{ab}$ の部分が $-2\sqrt{5}$ に対応するので、$ab=5$ です。また、根号がついていない部分が $a+b=6$ に対応します。

2ステップ目として、足して $6$、かけて $5$ になる2つの数を探します。$5=5\times1$ で $5+1=6$ となるので、$a=5$, $b=1$ が条件に合います。実際に確かめると、

$(\sqrt{5}-\sqrt{1})^2 = (\sqrt{5})^2 - 2\sqrt{5}\sqrt{1} + (\sqrt{1})^2 = 5-2\sqrt{5}+1 = 6-2\sqrt{5}$

となり、たしかに元の式と一致します。

3ステップ目として、根号の中がぴったり2乗の形になったので、根号を外します。

$\sqrt{6-2\sqrt{5}} = \sqrt{(\sqrt{5}-1)^2}$

ここで、$\sqrt{5}-1$ は根号の中身が2乗になっている式を根号で外すので、これまで学んだ「実数と数直線・絶対値」の内容を思い出すと、

$\sqrt{(\sqrt{5}-1)^2} = |\sqrt{5}-1|$

としなければいけません(中身の符号が分からない段階では、勝手に $\sqrt{5}-1$ と外してはいけません)。

4ステップ目として、絶対値の中身の符号を調べます。$\sqrt{5}$ はおよそ $2.236$ なので、$\sqrt{5}-1$ はおよそ $1.236$ となり、これは正の数です。絶対値の中身が正のときは、そのまま絶対値記号を外すことができるので、

$|\sqrt{5}-1| = \sqrt{5}-1$

したがって、答えは $\sqrt{5}-1$ です。

練習問題

問題

次の式を計算しなさい。

$\sqrt{45}+\sqrt{20}-\sqrt{5}$

答え

$4\sqrt{5}$

(考え方:$\sqrt{45}=\sqrt{9\times5}=3\sqrt{5}$、$\sqrt{20}=\sqrt{4\times5}=2\sqrt{5}$ なので、根号の中身がすべて $5$ にそろいます。あとは係数をまとめて、$3\sqrt{5}+2\sqrt{5}-\sqrt{5}=(3+2-1)\sqrt{5}=4\sqrt{5}$ となります。)