数学A / 図形の性質

頻出解法パターン

「図形の性質」という単元は、公式や定理の数がとても多く、「どの場面でどの定理を使えばいいのか」で迷ってしまう人が多い単元です。ここでは、三角形の辺と角の関係、重心・内心・外心、チェバの定理・メネラウスの定理、円に内接する四角形、円と接線、円周角の定理、方べきの定理、2つの円の位置関係、空間図形の位置関係といったトピック全体から、テストでよく出る「型」を8つ取り上げます。「こんな問題を見たらこのパターンだ」という感覚を、具体例を通してつかんでいきましょう。

パターン1: 角の二等分線が出てきたら「辺の比」に翻訳する

こんな問題で使う

三角形の中に「角を半分に分ける線(角の二等分線)」が引かれていて、辺の長さや線分の比を求めさせる問題です。図の中に、ある角のところに同じ大きさを示す印(小さい弧の印など)が2つ並んで描かれているときは、この形だと考えてよいです。

解法の手順

  • 三角形ABCのどの角の二等分線が、どの辺(対辺)と交わっているかを確認します。
  • 「角の二等分線の定理」を使います。三角形ABCで角Aの二等分線が辺BCと交わる点をDとすると、次の関係が成り立ちます。

$BD:DC = AB:AC$

これは、「二等分している角をはさむ2つの辺の長さの比」が「対辺を分ける比」と等しくなる、という意味です。

  • 求めたい長さを $x$ などの文字でおき、比例式をつくって解きます。

具体例

三角形ABCにおいて、AB=9, AC=6, BC=10 とします。角Aの二等分線と辺BCとの交点をDとするとき、BDの長さを求めなさい。

解答: 角の二等分線の定理より、

$BD:DC = AB:AC = 9:6 = 3:2$

BDとDCを足すとBCになるので、BD+DC=10です。比の合計は $3+2=5$ なので、BDはBC全体10のうち3/5の部分にあたります。

$BD = 10 \times \frac{3}{5} = 6$

よって、BD=6(このときDC=4)です。


パターン2: 「重心・内心・外心」は定義に立ち返って比や距離を使い分ける

こんな問題で使う

問題文に「重心」「内心」「外心」という言葉が出てきたときや、「3本の中線は1点で交わることを示せ」「内接円の半径を求めよ」「外接円の半径を求めよ」のように、三角形の中にある特別な点(五心とよばれるものの一部)についての長さ・角度・比を求める問題です。

解法の手順

  • どの心について聞かれているかを確認し、それぞれの定義を思い出します。
    • 重心G: 3本の中線(頂点と対辺の中点を結ぶ線)の交点。頂点から中線を 2:1 に内分する点です。
    • 内心I: 3つの内角の二等分線の交点。三角形の内側に接する円(内接円)の中心で、3辺までの距離がすべて等しいです。
    • 外心O: 3辺それぞれの垂直二等分線の交点。3つの頂点までの距離(外接円の半径)がすべて等しいです。
  • その性質を、長さの比や等しい距離として式に表します。
  • 分かっている数値を代入して、求めたい長さや角度を計算します。

具体例

三角形ABCの頂点Aから辺BCの中点Mへ引いた中線AM上に、重心Gがあります。AM=12のとき、AGとGMの長さをそれぞれ求めなさい。

解答: 重心は中線を頂点から2:1に内分するので、

$AG:GM = 2:1$

AGとGMを足すとAMになるので、AG+GM=12です。比の合計は $2+1=3$ なので、

$AG = 12 \times \frac{2}{3} = 8, \quad GM = 12 \times \frac{1}{3} = 4$

よって、AG=8, GM=4です。


パターン3: 三角形の「内部の1点」から出る3直線はチェバの定理

こんな問題で使う

三角形の内部に点Pがあり、頂点A, B, Cのそれぞれから点Pを通って対辺(またはその延長)まで引いた3本の直線が、対辺と交わる点の比が問題文に与えられているときです。「3本の直線が1点で交わることを証明せよ」というタイプの証明問題にもよく使われます。ポイントは「三角形の頂点から出発して、内部の1点を通る3本の線」という形になっていることです。

解法の手順

  • 三角形ABCの内部にある点をPとし、直線AP, BP, CPが辺BC, CA, ABとそれぞれ交わる点をD, E, Fとします。
  • チェバの定理を使います。

$\frac{BD}{DC}\times\frac{CE}{EA}\times\frac{AF}{FB}=1$

  • この式は、「B→D→C, C→E→A, A→F→B」というように、頂点をぐるっと一周する順番で比をかけ算すると1になる、という覚え方をすると忘れにくいです。
  • 分かっている比を代入し、残りの比についての方程式として解きます。

具体例

三角形ABCの内部の点Pを通る直線AP, BP, CPが、辺BC, CA, ABとそれぞれD, E, Fで交わっています。BD:DC=2:3, CE:EA=3:4のとき、AF:FBを求めなさい。

解答: チェバの定理より、

$\frac{BD}{DC}\times\frac{CE}{EA}\times\frac{AF}{FB}=1$

比を分数の形になおして代入すると、

$\frac{2}{3}\times\frac{3}{4}\times\frac{AF}{FB}=1$

先に分かっている部分を計算します。

$\frac{2}{3}\times\frac{3}{4} = \frac{6}{12} = \frac{1}{2}$

よって、

$\frac{1}{2}\times\frac{AF}{FB}=1$

両辺に2をかけると、

$\frac{AF}{FB}=2$

よって、AF:FB=2:1です。


パターン4: 三角形を「横切る1本の直線」はメネラウスの定理

こんな問題で使う

パターン3のチェバの定理とよく似た場面ですが、こちらは三角形の内部の1点ではなく、三角形の辺(またはその延長)を横切っていく1本の直線が問題に出てきたときに使います。「辺の延長」という言葉が出てきたら、メネラウスの定理を疑ってよいサインです。

解法の手順

  • 三角形ABCの3辺(BC, CA, AB)またはその延長と交わる1本の直線を見つけ、交点をそれぞれD(直線BC上), E(直線CA上), F(直線AB上)とします。
  • メネラウスの定理を使います。式の形はチェバの定理と同じです。

$\frac{BD}{DC}\times\frac{CE}{EA}\times\frac{AF}{FB}=1$

  • チェバの定理との違いは「3本の線が三角形の内部の1点に集まるかどうか」であって、式の形そのものは同じだと覚えておくと混乱しません。
  • 分かっている比を代入して、残りの比を求めます。

具体例

三角形ABCの辺BC上に点D, 辺CA上に点Eがあります。直線DEを延長した直線が、辺ABを延長した直線と交わる点をFとします。BD:DC=2:1, CE:EA=1:3のとき、AF:FBを求めなさい。

解答: メネラウスの定理より、

$\frac{BD}{DC}\times\frac{CE}{EA}\times\frac{AF}{FB}=1$

比を分数の形になおして代入すると、

$\frac{2}{1}\times\frac{1}{3}\times\frac{AF}{FB}=1$

先に分かっている部分を計算します。

$\frac{2}{1}\times\frac{1}{3} = \frac{2}{3}$

よって、

$\frac{2}{3}\times\frac{AF}{FB}=1$

両辺に $\frac{3}{2}$ をかけると、

$\frac{AF}{FB}=\frac{3}{2}$

よって、AF:FB=3:2です。


パターン5: 「円に内接する四角形」は対角の和180°を疑う

こんな問題で使う

問題文に「円に内接する四角形ABCDにおいて」という書き出しがあり、角度を求めさせる問題です。図では、4つの点がすべて同じ円周上にのっている四角形として描かれています。

解法の手順

  • 四角形が円に内接していること(4つの頂点がすべて同じ円周上にあること)を確認します。
  • 円に内接する四角形の性質「向かい合う角(対角)の和は180°である」を使います。四角形ABCDでは、

$\angle A + \angle C = 180°, \quad \angle B + \angle D = 180°$

が成り立ちます。

  • 分かっている角度を代入して、求めたい角度を計算します。

具体例

円に内接する四角形ABCDにおいて、角A=70°, 角B=95°です。角Cと角Dをそれぞれ求めなさい。

解答: 円に内接する四角形の対角の和は180°なので、

$\angle A + \angle C = 180°$

$70° + \angle C = 180°$

$\angle C = 110°$

同じように、

$\angle B + \angle D = 180°$

$95° + \angle D = 180°$

$\angle D = 85°$

よって、角C=110°, 角D=85°です。


パターン6: 接線が出てきたら「半径⊥接線」と「接弦定理」

こんな問題で使う

円の外側にある点から円に接線を引く問題(接線の長さを求める問題)や、接線と、接点を通る弦との間の角度を求める問題です。「接線」という言葉に加えて、円の中心が図に示されているときは(1)の性質、接線と弦がつくる角が示されているときは(2)の性質を使う合図です。

解法の手順

接線の長さを求めるとき:

  • 接点と円の中心を結ぶ半径を、補助線として引きます。
  • 「接点を通る半径は、接線と垂直に交わる」という性質を使い、直角三角形をつくります。
  • 三平方の定理を使って、求めたい長さを計算します。

角度を求めるとき(接弦定理):

  • 接線と、接点を通る弦がつくる角に注目します。
  • 「接弦定理」を使います。これは、円の接線と接点を通る弦がつくる角が、その角と反対側にある弧に対する円周角に等しい、という性質です。
  • 円周角の定理(同じ弧に対する円周角はすべて等しい)と組み合わせて、求めたい角度を計算します。

具体例(接線の長さ)

円の中心をO、半径を5とします。円の外側にある点Pから円に引いた接線の接点をTとし、OP=13であるとき、接線の長さPTを求めなさい。

解答: 半径OTと接線PTは垂直に交わるので、三角形OTPは角Tを直角とする直角三角形です。三平方の定理より、

$OP^2 = OT^2 + PT^2$

$13^2 = 5^2 + PT^2$

$169 = 25 + PT^2$

$PT^2 = 144$

$PT = 12$

よって、接線の長さは12です。

具体例(接弦定理)

円の接線と、接点Aを通る弦ABがつくる角が50°です。この角と反対側にある弧AB上の点Cから見た角ACBを求めなさい。

解答: 接弦定理より、接線と弦ABがつくる角は、反対側の弧ABに対する円周角と等しいので、

$\angle ACB = 50°$


パターン7: 円の中で線分が交わったら「方べきの定理」

こんな問題で使う

円の内部や外部で、2本の弦・割線(円と2点で交わる直線)・接線が交わっていて、そこにできる線分の長さを求める問題です。「方べきの定理」という言葉が出てこなくても、円と複数の直線が交わっていて長さの一部が分かっている問題では、この定理を疑ってみましょう。

解法の手順

  • 交点が円の内部にあるか、外部にあるかをまず確認します。
  • 交わっている直線の組み合わせが、次の3つのうちどれにあたるかを見分けます。
    1. 円の内部で2本の弦AB, CDが点Pで交わる場合: $PA \times PB = PC \times PD$
    2. 円の外部の点Pから2本の割線を引き、それぞれ円と2点(A, B)、(C, D)で交わる場合: $PA \times PB = PC \times PD$
    3. 円の外部の点Pから割線(円と2点A, Bで交わる)と接線(接点T)を1本ずつ引く場合: $PA \times PB = PT^2$
  • あてはまる式を立て、分かっている長さを代入して方程式を解きます。

具体例

円の内部で、弦ABと弦CDが点Pで交わっています。PA=4, PB=6, PC=3であるとき、PDを求めなさい。

解答: 方べきの定理より、

$PA \times PB = PC \times PD$

$4 \times 6 = 3 \times PD$

$24 = 3 \times PD$

$PD = 8$

よって、PD=8です。


パターン8: 位置関係を聞かれたら、距離や本数を比較して機械的に分類する

こんな問題で使う

「2つの円の位置関係を答えよ」「共通接線は何本引けるか」「直線ABと直線CDの位置関係を答えよ」のように、図形どうしの位置関係そのものを問う問題です。感覚だけで判断せず、数値の比較や定義への当てはめで機械的に答えを出せるのがこのパターンの特徴です。

解法の手順

2つの円の位置関係を調べるとき(半径をR, r、ただし $R \geqq r$ とし、中心間の距離をdとします):

  • $R+r$(半径の和)と $R-r$(半径の差)を計算します。
  • dの値と比較して、次の表にあてはめます。
    • $d > R+r$ のとき: 2つの円は互いに離れていて交わらない(共通接線は4本)
    • $d = R+r$ のとき: 外接する(共通接線は3本)
    • $R-r < d < R+r$ のとき: 2点で交わる(共通接線は2本)
    • $d = R-r$ のとき: 内接する(共通接線は1本)
    • $d < R-r$ のとき: 一方の円がもう一方の円の内部にある(共通接線は0本)

空間内の2直線、または直線と平面の位置関係を調べるとき:

  • 2直線の場合は、まず「同じ平面上にあるかどうか」を確認します。同じ平面上になければ、交わることも平行になることもない「ねじれの位置」です。同じ平面上にあれば、交わるか平行かのどちらかです。
  • 直線と平面の場合は、「直線が平面に含まれる」「1点で交わる」「平行である(交わらない)」の3つのうちどれかに分類します。

具体例(2つの円)

半径5の円と半径3の円があり、中心間の距離が6であるとき、2つの円の位置関係を答えなさい。

解答: $R+r = 5+3=8$, $R-r=5-3=2$ なので、

$R-r < d < R+r \quad \Longleftrightarrow \quad 2 < 6 < 8$

が成り立ちます。よって、2つの円は2点で交わり、共通接線は2本引けます。

具体例(空間図形)

1辺の長さが1の立方体ABCD-EFGH(頂点A, B, C, Dの真上に、それぞれE, F, G, Hがある)において、辺ABと辺CGの位置関係を答えなさい。

解答: 辺ABは底面ABCD上にある辺で、辺CGは頂点Cから真上に向かって伸びる辺です。この2つの直線は、向きが異なるので平行ではなく、また同じ平面上にないので交わることもありません。よって、辺ABと辺CGは「ねじれの位置」にあります。