数学III / 微分法

積・商の微分法

要点整理

数学IIでは、関数 $f(x)$ の導関数を、次の極限で定義しました。

$f'(x) = \lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}$

そして、$x^n$ の導関数が $(x^n)'=nx^{n-1}$ になることや、$\{af(x)+bg(x)\}'=af'(x)+bg'(x)$($a,b$は定数)のように、定数倍・和・差については導関数がそのまま分配できることを学びました。これらのおかげで、多項式の導関数は簡単に計算できました。

しかし、$y=(x^2+1)(x^3-2x)$ のように、2つの関数のになっている関数はどうでしょうか。展開してから微分することもできますが、複雑な式では展開が大変です。ここでは、展開しなくても積のまま微分できる公式を学びます。

積の微分法

2つの関数 $f(x)$、$g(x)$ がともに微分可能であるとき、その積 $f(x)g(x)$ の導関数は、次の式で求められます。

$\{f(x)g(x)\}' = f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$

つまり、「前の関数を微分してそのまま(微分していない)後ろの関数を掛けたもの」と、「そのまま(微分していない)前の関数と、後ろの関数を微分したものを掛けたもの」を足し合わせる、という公式です。$f(x)g(x)$ を微分するときに $f'(x)g'(x)$(両方とも微分してから掛ける)としてしまうのはよくある間違いなので、注意しましょう。

公式の導き方

この公式が成り立つ理由を、導関数の定義に戻って確認しておきます。

$\{f(x)g(x)\}' = \lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}$

分子に、$-f(x+h)g(x)+f(x+h)g(x)$(値は $0$ なので、足しても全体は変わりません)を挿入します。

$f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x) = \{f(x+h)g(x+h)-f(x+h)g(x)\}+\{f(x+h)g(x)-f(x)g(x)\}$

それぞれの $\{\ \}$ の中を、共通因数でくくります。

$= f(x+h)\{g(x+h)-g(x)\} + \{f(x+h)-f(x)\}g(x)$

したがって、

$\{f(x)g(x)\}' = \lim_{h\to 0}\left[f(x+h)\cdot\frac{g(x+h)-g(x)}{h} + \frac{f(x+h)-f(x)}{h}\cdot g(x)\right]$

$h\to 0$ のとき、$f(x+h)\to f(x)$(微分可能な関数は連続なので)、$\dfrac{g(x+h)-g(x)}{h}\to g'(x)$、$\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}\to f'(x)$ となるので、

$\{f(x)g(x)\}' = f(x)g'(x)+f'(x)g(x)$

これは求めたい公式そのものです。

商の微分法

2つの関数 $f(x)$、$g(x)$ について($g(x)\neq 0$)、商 $\dfrac{f(x)}{g(x)}$ の導関数は、次の式で求められます。

$\left\{\frac{f(x)}{g(x)}\right\}' = \frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2}$

積の微分法と似ていますが、分子は引き算であること、そして順番(先に $f'(x)g(x)$、次に $f(x)g'(x)$ を引く)を間違えないことが重要です。分母は $g(x)$ を2乗したものになります。

公式の導き方

まず、特別な場合として $f(x)=1$ のとき、つまり $\dfrac{1}{g(x)}$ の導関数を定義に戻って求めます。

$\left\{\frac{1}{g(x)}\right\}' = \lim_{h\to 0}\frac{\dfrac{1}{g(x+h)}-\dfrac{1}{g(x)}}{h}$

分子を通分します。

$\frac{1}{g(x+h)}-\frac{1}{g(x)} = \frac{g(x)-g(x+h)}{g(x+h)g(x)}$

したがって、

$\left\{\frac{1}{g(x)}\right\}' = \lim_{h\to 0}\left[-\frac{g(x+h)-g(x)}{h}\times\frac{1}{g(x+h)g(x)}\right] = -g'(x)\times\frac{1}{\{g(x)\}^2} = -\frac{g'(x)}{\{g(x)\}^2}$

次に、一般の $\dfrac{f(x)}{g(x)}=f(x)\times\dfrac{1}{g(x)}$ とみなして、積の微分法を使います。

$\left\{\frac{f(x)}{g(x)}\right\}' = f'(x)\times\frac{1}{g(x)} + f(x)\times\left(-\frac{g'(x)}{\{g(x)\}^2}\right) = \frac{f'(x)}{g(x)} - \frac{f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2}$

右辺の第1項を、分母を $\{g(x)\}^2$ にそろえるために、分子・分母に $g(x)$ を掛けます。

$\frac{f'(x)}{g(x)} = \frac{f'(x)g(x)}{\{g(x)\}^2}$

したがって、

$\left\{\frac{f(x)}{g(x)}\right\}' = \frac{f'(x)g(x)}{\{g(x)\}^2} - \frac{f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2} = \frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2}$

これで商の微分法の公式が確認できました。

例題

例題1(基本)

問題

$y=(x^2+1)(x^3-2x)$ を微分しなさい。

解答・解説を見る

$f(x)=x^2+1$、$g(x)=x^3-2x$ とおきます。それぞれの導関数は、

$f'(x) = 2x,\qquad g'(x) = 3x^2-2$

積の微分法 $\{f(x)g(x)\}'=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$ に代入します。

$y' = 2x(x^3-2x) + (x^2+1)(3x^2-2)$

それぞれの項を展開します。

$2x(x^3-2x) = 2x^4-4x^2$

$(x^2+1)(3x^2-2) = 3x^4-2x^2+3x^2-2 = 3x^4+x^2-2$

2つの式を足し合わせます。

$y' = (2x^4-4x^2) + (3x^4+x^2-2) = 5x^4-3x^2-2$

答え:$y'=5x^4-3x^2-2$

例題2(標準)

問題

$y=\dfrac{2x+1}{x^2+3}$ を微分しなさい。

解答・解説を見る

$f(x)=2x+1$、$g(x)=x^2+3$ とおきます。それぞれの導関数は、

$f'(x)=2,\qquad g'(x)=2x$

商の微分法 $\left\{\dfrac{f(x)}{g(x)}\right\}'=\dfrac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2}$ に代入します。

$y' = \frac{2(x^2+3)-(2x+1)(2x)}{(x^2+3)^2}$

分子を計算します。

$2(x^2+3) = 2x^2+6$

$(2x+1)(2x) = 4x^2+2x$

$2x^2+6-(4x^2+2x) = 2x^2+6-4x^2-2x = -2x^2-2x+6$

分子を $-2$ でくくると見やすくなります。

$y' = \frac{-2x^2-2x+6}{(x^2+3)^2} = \frac{-2(x^2+x-3)}{(x^2+3)^2}$

答え:$y'=\dfrac{-2(x^2+x-3)}{(x^2+3)^2}$

例題3(応用)

問題

$y=(x+1)(x-2)(x+3)$ を微分しなさい。

解答・解説を見る

3つの関数の積になっています。このような場合は、まず2つをひとまとめにして、積の微分法を2回使います。$u=(x+1)(x-2)$、$v=x+3$ とおいて、$y=uv$ とみなします。

まず $u$ を計算し、その導関数を求めます。

$u = (x+1)(x-2) = x^2-x-2$

$u' = 2x-1$

$v=x+3$ の導関数は $v'=1$ です。積の微分法 $\{uv\}'=u'v+uv'$ を使います。

$y' = u'v+uv' = (2x-1)(x+3) + (x^2-x-2)\times 1$

それぞれの項を計算します。

$(2x-1)(x+3) = 2x^2+6x-x-3 = 2x^2+5x-3$

$(x^2-x-2)\times 1 = x^2-x-2$

2つの式を足し合わせます。

$y' = (2x^2+5x-3) + (x^2-x-2) = 3x^2+4x-5$

答え:$y'=3x^2+4x-5$

(検算:$y$ を先に展開すると $(x+1)(x-2)=x^2-x-2$、これに $(x+3)$ を掛けて $y=x^3+2x^2-5x-6$ となり、これを直接微分すると $y'=3x^2+4x-5$ となって、一致することが確認できます。)

練習問題

問題1

$y=(3x-1)(x^2+2)$ を微分しなさい。

答え

$f'(x)=3$、$g'(x)=2x$ を積の微分法に代入して、$y'=3(x^2+2)+(3x-1)(2x)=3x^2+6+6x^2-2x=9x^2-2x+6$ です。

問題2

$y=\dfrac{x}{x^2+1}$ を微分しなさい。

答え

商の微分法より $y'=\dfrac{1\times(x^2+1)-x\times 2x}{(x^2+1)^2}=\dfrac{x^2+1-2x^2}{(x^2+1)^2}=\dfrac{1-x^2}{(x^2+1)^2}$ です。