数学I / 数と式

実数と数直線・絶対値

要点整理

1. 実数の分類を整理しよう

中学校までに、次のような数を学んできました。

  • 自然数:1, 2, 3, ... のように、ものを数えるときに使う正の整数のこと
  • 整数:..., -2, -1, 0, 1, 2, ... のように、自然数と0、そして負の数を合わせたもの

高校では、この整数の仲間をさらに広げて、実数(じっすう)という数の集まり全体を扱います。実数は、大きく2つのグループに分けられます。

1つ目のグループは、有理数です。有理数とは、2つの整数 $p$, $q$($q \neq 0$)を使って

$\frac{p}{q}$

の形で表せる数のことです。整数はすべて有理数です(例えば $3$ は $\frac{3}{1}$ と書けます)。また、$0.5$ や $-1.25$ のような有限小数、$\frac{1}{3} = 0.333\ldots$ のような循環小数(同じ数字の並びがずっと繰り返される小数)も有理数です。

2つ目のグループは、無理数です。無理数とは、分数の形では表せない数のことです。小数で表すと、同じ並びが繰り返されることなく無限に続きます。代表例は $\sqrt{2} = 1.41421356\ldots$ や $\pi = 3.14159265\ldots$ です。

実数 = 有理数 + 無理数、という関係になっています。

2. 数直線と実数の対応

数直線とは、1本の直線の上に実数を目盛りとして並べたもののことです。数直線には、次のような性質があります。

  • どんな実数にも、数直線上の点がただ1つ対応する
  • どんな数直線上の点にも、実数がただ1つ対応する

つまり、実数と数直線上の点は、もれなく1対1で対応しています。だから、実数の大小関係を「右にあるほど大きい」というふうに、目で見て判断できるのです。

3. 絶対値とは何か

数直線の上で、ある実数 $a$ に対応する点と、原点(0が対応する点)との距離のことを、$a$ の絶対値と呼び、$|a|$ という記号で表します。距離を表す値なので、絶対値は必ず0以上の数になります。

これを式で正確に定義すると、次のようになります。

$|a| = \begin{cases} a & (a \geq 0 \text{ のとき}) \\ -a & (a < 0 \text{ のとき}) \end{cases}$

この定義を、1行ずつ確認しましょう。

  • $a$ が0以上のとき、$a$ 自身がすでに0以上の数なので、絶対値は $a$ をそのまま使えばよく、$|a| = a$ となります。
  • $a$ が0より小さい(つまり負の)とき、$a$ そのものは負の数なので、距離として使うには符号を反転させる必要があります。そこで $|a| = -a$ とします。$a$ が負の数なら $-a$ は正の数になるので、これで確かに0以上の値になります。

具体的な数で確認してみましょう。

  • $a = 5$ のとき、$5 \geq 0$ なので $|5| = 5$
  • $a = -5$ のとき、$-5 < 0$ なので $|-5| = -(-5) = 5$

このように、$5$ も $-5$ も、原点からの距離はどちらも $5$ なので、絶対値はどちらも $5$ になります。符号を取り払って、大きさだけを取り出したものが絶対値だ、とイメージしてもよいでしょう。

4. 絶対値の性質

絶対値については、次のような性質が成り立ちます。

  • $|a| \geq 0$(絶対値は必ず0以上)
  • $|-a| = |a|$($a$ と $-a$ は原点からの距離が等しいため)
  • $|a - b|$ は、数直線上で $a$ に対応する点と $b$ に対応する点との間の距離を表す

3つ目の性質はとても大切です。例えば $|x - 4|$ という式は、「$x$ に対応する点と、$4$ に対応する点との間の距離」を意味しています。この見方は、絶対値を含む方程式を解くときの強力なヒントになります。

5. 絶対値を含む方程式の考え方

$k$ を正の数とするとき、方程式

$|x| = k$

は、「原点からの距離が $k$ である点」を求める方程式です。数直線上で原点から距離 $k$ だけ離れた点は、右側に1つ、左側に1つの、合わせて2つあります。したがって、

$|x| = k \iff x = k \text{ または } x = -k$

が成り立ちます(これをまとめて $x = \pm k$ と書きます)。$|x - a| = k$ のように中身が $x - a$ になっている場合も同じ考え方が使え、$x - a = k$ または $x - a = -k$ という2つの方程式に分けて解くことができます。次の例題で、実際の解き方を1つずつ確認していきましょう。

例題

例題1(基本)

問題

次の値を求めなさい。 (1) $|9|$ (2) $|-6|$ (3) $|4 - 10|$

解答・解説を見る

(1) $|9|$ を求める

絶対値の定義を確認すると、$a \geq 0$ のとき $|a| = a$ でした。 $9 \geq 0$ なので、この場合にあてはまります。 よって、

$|9| = 9$

(2) $|-6|$ を求める

絶対値の定義で、$a < 0$ のとき $|a| = -a$ でした。 $-6 < 0$ なので、この場合にあてはまります。 よって、

$|-6| = -(-6) = 6$

負の数の前についているマイナスを取り除くと、その数自体を1回マイナスしたことになるので、符号が反転して正の数になります。

(3) $|4 - 10|$ を求める

絶対値の記号の中身を、先に計算します。

$4 - 10 = -6$

したがって、

$|4 - 10| = |-6|$

$-6 < 0$ なので、(2)と同じように、

$|-6| = -(-6) = 6$

よって、

$|4 - 10| = 6$

まとめ: (1) $9$ (2) $6$ (3) $6$

例題2(標準)

問題

方程式 $|x - 4| = 7$ を解きなさい。

解答・解説を見る

絶対値の記号 $| \ |$ の中身である $x - 4$ の符号によって、絶対値の外し方が変わります。そこで、$x - 4$ が0以上の場合と、0より小さい場合とに分けて考えます。

場合分け(i): $x - 4 \geq 0$ のとき(つまり $x \geq 4$ のとき)

このとき、絶対値の定義($a \geq 0$ なら $|a| = a$)より、

$|x - 4| = x - 4$

なので、方程式は

$x - 4 = 7$

両辺に $4$ を足すと、

$x = 11$

$x = 11$ は、この場合分けの条件である「$x \geq 4$」を満たしています。したがって、これは解として認められます。

場合分け(ii): $x - 4 < 0$ のとき(つまり $x < 4$ のとき)

このとき、絶対値の定義($a < 0$ なら $|a| = -a$)より、

$|x - 4| = -(x - 4) = -x + 4$

なので、方程式は

$-x + 4 = 7$

両辺から $4$ を引くと、

$-x = 3$

両辺に $-1$ をかけると、

$x = -3$

$x = -3$ は、この場合分けの条件である「$x < 4$」を満たしています。したがって、これも解として認められます。

確認(距離のイメージで見直す)

$|x - 4|$ は「$x$ と $4$ の間の距離」を表すのでした。距離が $7$ になるのは、$4$ から右に $7$ 進んだ点 $4 + 7 = 11$ と、$4$ から左に $7$ 進んだ点 $4 - 7 = -3$ の2つです。これは、場合分けで求めた答えと一致しています。

答え: $x = 11, -3$

例題3(応用)

問題

方程式 $|2x - 1| = |x + 5|$ を解きなさい。

解答・解説を見る

今度は、絶対値の記号が両辺に1つずつあります。このタイプの方程式では、次の性質を使います。

$|A| = |B| \iff A = B \text{ または } A = -B$

なぜこの性質が成り立つのか、簡単に確認しておきましょう。2つの数の絶対値(原点からの距離)が等しいということは、その2つの数が「まったく同じ数」であるか、「符号だけが逆で大きさが等しい数」であるかの、どちらかしかありません。この2つの可能性が、それぞれ $A = B$ と $A = -B$ に対応しています。

この問題では $A = 2x - 1$、$B = x + 5$ として、2つの場合に分けて解きます。

場合(i): $2x - 1 = x + 5$ のとき

両辺から $x$ を引くと、

$2x - x - 1 = 5$

$x - 1 = 5$

両辺に $1$ を足すと、

$x = 6$

場合(ii): $2x - 1 = -(x + 5)$ のとき

右辺を展開すると、$-(x+5) = -x - 5$ なので、

$2x - 1 = -x - 5$

両辺に $x$ を足すと、

$3x - 1 = -5$

両辺に $1$ を足すと、

$3x = -4$

両辺を $3$ で割ると、

$x = -\frac{4}{3}$

検算しておこう

$x = 6$ のとき:

$|2 \times 6 - 1| = |12 - 1| = |11| = 11, \qquad |6 + 5| = |11| = 11$

両辺とも $11$ になり、一致しています。

$x = -\dfrac{4}{3}$ のとき:

$2 \times \left(-\frac{4}{3}\right) - 1 = -\frac{8}{3} - \frac{3}{3} = -\frac{11}{3}, \qquad \left|-\frac{11}{3}\right| = \frac{11}{3}$

$-\frac{4}{3} + 5 = -\frac{4}{3} + \frac{15}{3} = \frac{11}{3}, \qquad \left|\frac{11}{3}\right| = \frac{11}{3}$

両辺とも $\dfrac{11}{3}$ になり、一致しています。

答え: $x = 6, -\dfrac{4}{3}$

練習問題

問題

方程式 $|3x - 2| = 7$ を解きなさい。

答え

$3x - 2 = 7$ のとき、両辺に $2$ を足して $3x = 9$、両辺を $3$ で割って $x = 3$。

$3x - 2 = -7$ のとき、両辺に $2$ を足して $3x = -5$、両辺を $3$ で割って $x = -\dfrac{5}{3}$。

よって、$x = 3, -\dfrac{5}{3}$