数学II / 微分・積分の考え
3次関数のグラフ
要点整理
3次関数のグラフをかく手順
$f(x)=ax^3+bx^2+cx+d$($a\neq0$)のグラフをかくときは、次の手順で情報を集めていきます。
- $f'(x)$ を求め、$f'(x)=0$ を解いて、増減の変わり目になる可能性がある $x$ の値を求める。
- 増減表を作り、極大値・極小値を求める。
- $y$ 切片($x=0$ のときの $f(0)$ の値)や、分かれば $x$ 切片(方程式 $f(x)=0$ の解)も求めておく。
- これらの情報をもとに、なめらかな曲線でつなぐ。
3次関数のグラフの特徴として、最高次の係数 $a$ の符号によって、グラフ全体の向きが決まります。
- $a>0$ のとき: $x\to-\infty$ で $y\to-\infty$、$x\to\infty$ で $y\to\infty$(左下から右上に向かう)
- $a<0$ のとき: $x\to-\infty$ で $y\to\infty$、$x\to\infty$ で $y\to-\infty$(左上から右下に向かう)
極値を持つ場合と持たない場合
$f'(x)$ は $x$ の2次式なので、$f'(x)=0$ という方程式が実数解をいくつ持つかによって、もとの3次関数のグラフの形が3パターンに分かれます。
パターン1: $f'(x)=0$ が異なる2つの実数解を持つ場合
判別式が正の場合です。$f'(x)$ の符号がプラスからマイナス、マイナスからプラスへと変化するので、極大値と極小値の両方を持つ、おなじみの「山と谷」のあるグラフになります。
パターン2: $f'(x)=0$ が重解を持つ場合
判別式が $0$ の場合です。$f'(x)$ はその重解の前後で符号が変わりません(例えば $f'(x)=3(x-p)^2$ の形になり、常に $0$ 以上です)。このとき、$x=p$ では接線の傾きがちょうど $0$(水平)になりますが、その前後でグラフは増加(または減少)し続けるので、極値にはなりません。グラフは、その点で一瞬平らになりながらも、同じ向きに増え続ける(または減り続ける)形になります。
パターン3: $f'(x)=0$ が実数解を持たない場合
判別式が負の場合です。$f'(x)$ は常に同じ符号のままなので、$f(x)$ は定義域全体でずっと増加し続ける(または減少し続ける)、極値を全く持たないグラフになります。
例題
例題1(基本)
問題 $f(x)=x^3-3x^2+3x$ のグラフの概形をかくために、増減表を作り、特徴を調べなさい。
解答・解説を見る
導関数を求める: $f'(x)=3x^2-6x+3$
因数分解する: 共通因数 $3$ をくくり出すと $f'(x)=3(x^2-2x+1)$ となり、$x^2-2x+1=(x-1)^2$ なので、
$f'(x) = 3(x-1)^2$
$f'(x)=0$ を解く: $(x-1)^2=0$ より $x=1$(重解)
符号を調べる: $(x-1)^2$ は $2$ 乗の形なので、$x=1$ 以外ではつねに正です。よって $f'(x)\ge0$ が常に成り立ち、$x=1$ の前後で符号は変化しません(プラスのまま)。
増減表
| $x$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $0$ | $+$ |
| $f(x)$ | $\nearrow$ | (平ら) | $\nearrow$ |
$f(1)=1-3+3=1$ なので、点 $(1,1)$ で接線が水平になりますが、その前後もずっと増加し続けるので、極大値・極小値は存在しません。$f(x)$ は実数全体で単調に増加する関数です。$y$ 切片は $f(0)=0$ です。
例題2(標準)
問題 $f(x)=x^3-3x+1$ のグラフの概形をかくために、増減表を作り、極大値・極小値、$y$ 切片を求めなさい。
解答・解説を見る
導関数を求める: $f'(x)=3x^2-3=3(x-1)(x+1)$
$f'(x)=0$ を解く: $x=-1, 1$
符号を調べる:
- $x<-1$: 例えば $x=-2$ で $(x-1)(x+1)=(-3)(-1)=3>0$ より $f'(x)>0$
- $-1
- $x>1$: 例えば $x=2$ で $(x-1)(x+1)=(1)(3)=3>0$ より $f'(x)>0$
極値を求める: $f(-1)=(-1)^3-3\times(-1)+1=-1+3+1=3$、$f(1)=1^3-3\times1+1=1-3+1=-1$
増減表
| $x$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f(x)$ | $\nearrow$ | $3$ | $\searrow$ | $-1$ | $\nearrow$ |
$y$ 切片: $f(0)=1$
答え: $x=-1$ で極大値 $3$、$x=1$ で極小値 $-1$、$y$ 切片は $1$。グラフは左下から上がってきて $x=-1$ で山になり、いったん下がって $x=1$ で谷になり、その後は右上に上がり続ける形になります。
例題3(応用)
問題 $f(x)=x^3-4x$ について、$x$ 切片と極値を両方求め、グラフの概形の特徴を説明しなさい。
解答・解説を見る
$x$ 切片を求める: $f(x)=0$ を解きます。共通因数 $x$ をくくり出すと、
$x^3-4x = x(x^2-4) = x(x-2)(x+2)$
よって $f(x)=0$ の解は $x=0, 2, -2$ です。グラフは $x=-2, 0, 2$ で $x$ 軸と交わります。
極値を求める: $f'(x)=3x^2-4$。$f'(x)=0$ を解くと、
$x^2 = \frac43 \quad\Longrightarrow\quad x = \pm\sqrt{\frac43} = \pm\frac{2}{\sqrt3} = \pm\frac{2\sqrt3}{3}$
$x=\dfrac{2\sqrt3}{3}$ における値を求めます。$x^2=\dfrac43$ であることを使うと、
$f(x) = x^3-4x = x\left(x^2-4\right) = x\left(\frac43-4\right) = x\times\left(-\frac83\right)$
$x=\dfrac{2\sqrt3}{3}$ を代入すると、
$f\left(\frac{2\sqrt3}{3}\right) = \frac{2\sqrt3}{3}\times\left(-\frac83\right) = -\frac{16\sqrt3}{9}$
$f(x)=x^3-4x$ は奇関数(すべての $x$ で $f(-x)=-f(x)$ が成り立つ関数)なので、$x=-\dfrac{2\sqrt3}{3}$ での値は符号だけ反転して、
$f\left(-\frac{2\sqrt3}{3}\right) = \frac{16\sqrt3}{9}$
$f'(x)=3x^2-4$ の符号を調べると、$x<-\dfrac{2\sqrt3}{3}$ で正、$-\dfrac{2\sqrt3}{3}
答え: $x$ 切片は $x=-2,0,2$。$x=-\dfrac{2\sqrt3}{3}$ で極大値 $\dfrac{16\sqrt3}{9}$、$x=\dfrac{2\sqrt3}{3}$ で極小値 $-\dfrac{16\sqrt3}{9}$。原点に関して点対称なグラフになっており、左下から上がって山、谷を経て右上に抜ける形です。
練習問題
問題 $f(x)=-x^3+3x-2$ の増減表を作り、極大値・極小値を求めなさい。
答え
$f'(x)=-3x^2+3=-3(x-1)(x+1)$。$f'(x)=0$ より $x=-1,1$。符号は $x<-1$ で負、$-1
$f(-1)=1-3-2=-4$(極小値)、$f(1)=-1+3-2=0$(極大値)