数学II / 指数関数・対数関数

累乗根と指数の拡張

要点整理

数学Iでは、2乗すると $a$ になる数、つまり「平方根」($\sqrt{a}$ など)を学びました。数学IIでは、この考え方を「2乗」だけでなく「3乗」「4乗」……と、もっと一般の乗数にまで広げていきます。この考え方は、後で学ぶ指数関数・対数関数の土台になる、とても重要な部分です。

n乗根とは何か

$n$ を $2$ 以上の整数とします。$n$ 個かけ合わせる、つまり$n$乗すると $a$ になる数のことを、$a$ の$n$乗根と呼びます。式で書くと、

$x^n = a$

を満たす $x$ が、$a$ の $n$乗根です。$n=2$ のときは「平方根」、$n=3$ のときは「立方根」と呼ばれますが、$n=4,5,6,\dots$ のときも同じ考え方で「4乗根」「5乗根」……と呼びます。これらをまとめて累乗根と言います。

ここで注意したいのは、「$x^n=a$ を満たす実数 $x$ が、実際にいくつ存在するか」は、$n$ が偶数か奇数か、そして $a$ が正・負・$0$ のどれかによって変わってくる、という点です。1つずつ整理していきましょう。

(1) $n$ が奇数のとき

$n$ が奇数($3,5,7,\dots$)のときは、$a$ がどんな実数(正でも負でも $0$ でも)であっても、$x^n=a$ を満たす実数 $x$ はただ1つに決まります。たとえば $x^3=8$ を満たす実数は $x=2$ だけですし、$x^3=-8$ を満たす実数も $x=-2$ だけです。このただ1つの $n$乗根を、記号 $\sqrt[n]{a}$ で表します。

$\sqrt[3]{8}=2, \qquad \sqrt[3]{-8}=-2$

(2) $n$ が偶数のとき

$n$ が偶数($2,4,6,\dots$)のときは、$a$ の符号によって話が変わります。

  • $a>0$ のとき:$x^n=a$ を満たす実数 $x$ は、正の数と負の数の2つあります(たとえば $x^2=4$ の解は $x=2$ と $x=-2$ の2つです)。このうち、正の方の値だけを記号 $\sqrt[n]{a}$ で表すと約束します(これを「主値」と呼ぶこともあります)。負の方は $-\sqrt[n]{a}$ と表します。
  • $a=0$ のとき:$x^n=0$ を満たす実数は $x=0$ の1つだけです。$\sqrt[n]{0}=0$ とします。
  • $a<0$ のとき:$n$ が偶数だと、実数を偶数回かけ合わせた結果は必ず $0$ 以上になるため、$x^n=a<0$ を満たす実数 $x$ は存在しません

まとめると、$n$ が偶数のとき、$\sqrt[n]{a}$ という記号は $a\geqq0$ のときにしか(実数の範囲では)定義できない、ということになります。一方、$n$ が奇数のときは、$a$ がどんな実数でも $\sqrt[n]{a}$ が定義できます。

累乗根の計算法則

$a>0$, $b>0$ とし、$m,n$ を正の整数、$n,l$ を $2$ 以上の整数とすると、次の法則が成り立ちます(数学Iで学んだ平方根の法則を、そのまま一般の $n$ 乗根に広げたものです)。

$\sqrt[n]{a}\times\sqrt[n]{b}=\sqrt[n]{ab}$

$\frac{\sqrt[n]{a}}{\sqrt[n]{b}}=\sqrt[n]{\frac{a}{b}}$

$\left(\sqrt[n]{a}\right)^m=\sqrt[n]{a^m}$

$\sqrt[l]{\sqrt[n]{a}}=\sqrt[ln]{a}$

最後の法則は、「$n$乗根の、さらに$l$乗根をとる」という操作が、「$ln$乗根を1回とる」という操作と同じ結果になる、という意味です。たとえば $\sqrt[3]{\sqrt[2]{a}}$ は、$2\times3=6$ 乗根、つまり $\sqrt[6]{a}$ と同じです。

具体例で確認しましょう。 $\sqrt[3]{2}\times\sqrt[3]{4}$ を計算すると、

$\sqrt[3]{2}\times\sqrt[3]{4} = \sqrt[3]{2\times4} = \sqrt[3]{8} = 2$

($2^3=8$ なので $\sqrt[3]{8}=2$ です。)

奇数乗根($n$が奇数)のときは、$a,b$ が負の数であってもこれらの法則は成り立ちます。ただし偶数乗根($n$が偶数)のときは、$a\geqq0$, $b\geqq0$ という前提が必要です。

例題

例題1(基本)

問題

次の値を求めなさい。

(1) $\sqrt[3]{-27}$

(2) $\sqrt[4]{81}$

解答・解説を見る

(1)の解答

$n=3$ は奇数なので、負の数の3乗根も実数の範囲で1つに決まります。3乗して $-27$ になる実数を探すと、

$(-3)^3 = (-3)\times(-3)\times(-3) = 9\times(-3) = -27$

したがって、$\sqrt[3]{-27}=-3$ です。

(2)の解答

$n=4$ は偶数で、$81>0$ なので、$\sqrt[4]{81}$ は「4乗して $81$ になる正の数」を表します。4乗して $81$ になる数を探すと、

$3^4 = 3\times3\times3\times3 = 81$

したがって、$\sqrt[4]{81}=3$ です($-3$ も4乗すると $81$ になりますが、記号 $\sqrt[4]{81}$ は正の方だけを表す約束でした)。

例題2(標準)

問題

$\sqrt[3]{16}\times\sqrt[3]{4}$ を計算しなさい。

解答・解説を見る

累乗根の積の法則 $\sqrt[n]{a}\times\sqrt[n]{b}=\sqrt[n]{ab}$ を使います。ここでは $n=3$, $a=16$, $b=4$ です。

$\sqrt[3]{16}\times\sqrt[3]{4} = \sqrt[3]{16\times4} = \sqrt[3]{64}$

$64$ を3乗して $64$ になる数で表すと、$4\times4\times4=64$ なので、

$\sqrt[3]{64} = 4$

したがって、$\sqrt[3]{16}\times\sqrt[3]{4}=4$ です。

例題3(応用)

問題

$\sqrt[3]{54}-\sqrt[3]{16}+\sqrt[3]{2}$ を計算しなさい。

解答・解説を見る

数学Iで平方根の計算(たとえば $\sqrt{12}=2\sqrt3$ のように、中身をできるだけ簡単な数に直す計算)を学びましたが、同じ考え方が3乗根にも使えます。$54$ と $16$ を、それぞれ「ある数の3乗」と「残りの数」の積に分解できないか考えます。

$\sqrt[3]{54}$ を簡単にする

$54 = 27\times2$ であり、$27=3^3$ です。累乗根の積の法則を逆向きに使うと、

$\sqrt[3]{54} = \sqrt[3]{27\times2} = \sqrt[3]{27}\times\sqrt[3]{2}$

$\sqrt[3]{27}=3$($3^3=27$ より)なので、

$\sqrt[3]{54} = 3\sqrt[3]{2}$

$\sqrt[3]{16}$ を簡単にする

$16=8\times2$ であり、$8=2^3$ です。同じように、

$\sqrt[3]{16} = \sqrt[3]{8\times2} = \sqrt[3]{8}\times\sqrt[3]{2}$

$\sqrt[3]{8}=2$($2^3=8$ より)なので、

$\sqrt[3]{16} = 2\sqrt[3]{2}$

まとめて計算する

もとの式に、簡単にした結果を代入します。

$\sqrt[3]{54}-\sqrt[3]{16}+\sqrt[3]{2} = 3\sqrt[3]{2}-2\sqrt[3]{2}+\sqrt[3]{2}$

$\sqrt[3]{2}$ を共通の部分として、係数だけを計算します。

$= (3-2+1)\sqrt[3]{2} = 2\sqrt[3]{2}$

したがって、答えは $2\sqrt[3]{2}$ です。

練習問題

問題

$\sqrt[3]{-27}\times\sqrt[3]{8}$ を計算しなさい。

答え

$-6$

簡単な解説

$n=3$ は奇数なので、負の数を含んでいても積の法則 $\sqrt[n]{a}\times\sqrt[n]{b}=\sqrt[n]{ab}$ がそのまま使えます。$\sqrt[3]{-27}\times\sqrt[3]{8}=\sqrt[3]{-27\times8}=\sqrt[3]{-216}$。$(-6)^3=-216$ なので、$\sqrt[3]{-216}=-6$。