数学A / 図形の性質
円周角の定理
要点整理
円Oと、その円周上の2点A, Bを考えます。A, Bを結ぶ弦(円周上の2点を結ぶ線分)によって、円周は2つの弧に分けられます。このうち一方の弧を「弧AB」と呼ぶことにします。
すでに学んだ「円に内接する四角形」では、円周上に4つの点をとって図形を考えましたね。ここでは、円周上の1点から弧の両端を見たときにできる角に注目します。
- 中心角……円の中心Oから、弧ABの両端A, Bへ半径OA, OBを引いたときにできる角 $\angle AOB$ のことです。
- 円周角……弧AB上にはない円周上の点P(弧ABを見ている側の点)から、A, Bへ線分PA, PBを引いたときにできる角 $\angle APB$ のことです。
この中心角と円周角の間には、次の2つの重要な性質が成り立ちます。これらをまとめて円周角の定理と呼びます。
性質1:円周角は中心角の半分
弧ABに対する円周角 $\angle APB$ は、点Pを弧AB上のどこにとっても、常に同じ弧ABに対する中心角 $\angle AOB$ のちょうど半分になります。式で書くと次のようになります。
$\angle APB = \frac{1}{2}\angle AOB$
例えば、中心角が $\angle AOB = 80^\circ$ であれば、円周角は $\angle APB = 80^\circ \div 2 = 40^\circ$ です。中心角がどんな大きさであっても、対応する円周角は必ずその半分になる、という点がポイントです。
性質2:同じ弧に対する円周角はすべて等しい
性質1から、次のことが導かれます。弧ABに対する円周角は、点Pの位置(弧AB上ではない円周上のどこか)によらず、すべて同じ大きさになります。なぜなら、どの円周角も「同じ中心角 $\angle AOB$ の半分」という同じ値になるからです。
点Pと点Qがどちらも弦ABに関して同じ側(つまりどちらも弧ABに対する円周角を作る側)にあるとき、次の式が成り立ちます。
$\angle APB = \angle AQB$
特別な場合:直径に対する円周角は90°
弧ABが半円(円周のちょうど半分)であるとき、つまり線分ABが円の直径であるとき、中心角は $\angle AOB = 180^\circ$ になります。このとき、性質1を使うと円周角は
$\angle APB = \frac{1}{2} \times 180^\circ = 90^\circ$
となります。「直径に対する円周角は直角(90°)である」という、とてもよく使われる性質です。逆に、円周角が90°であれば、その弦は直径である、ということも成り立ちます(これを円周角の定理の逆の一種として使うこともあります)。
円周角の定理の逆
円周角の定理には、次のような「逆」の性質もあります。2点C, Dが直線ABに関して同じ側にあり、
$\angle ACB = \angle ADB$
が成り立つならば、4点A, B, C, Dは同一円周上にある(1つの円の周上にすべて乗っている)ことがわかります。この性質は、「4点が同じ円周上にあるかどうか」を調べたいときの強力な道具になります。
例題
例題1(基本)
問題
円Oの周上に3点A, B, Pがあり、円周角 $\angle APB = 35^\circ$ である。このとき、中心角 $\angle AOB$ の大きさを求めなさい。
解答・解説を見る
円周角の定理より、円周角は中心角のちょうど半分になります。式で書くと次の通りです。
$\angle APB = \frac{1}{2}\angle AOB$
これは逆に言うと、中心角は円周角の2倍である、ということです。
$\angle AOB = 2 \times \angle APB$
ここに $\angle APB = 35^\circ$ を代入します。
$\angle AOB = 2 \times 35^\circ = 70^\circ$
したがって、$\angle AOB = 70^\circ$ です。
例題2(標準)
問題
円Oの周上に、この順に4点A, B, C, Dがある。$\angle ADB = 35^\circ$、$\angle BDC = 40^\circ$ であるとき、$\angle ACB$ と $\angle BAC$ の大きさをそれぞれ求めなさい。
解答・解説を見る
まず、$\angle ACB$ を求めます。
$\angle ACB$ と $\angle ADB$ は、どちらも弦ABを底辺とする角で、弧ABに対する円周角です。点C, Dは円周上でA, Bの順のあとに並んでいるので、どちらも弦ABに関して同じ側(弧AB以外の側)にあります。
したがって、円周角の定理(同じ弧に対する円周角は等しい)より、
$\angle ACB = \angle ADB$
が成り立ちます。$\angle ADB = 35^\circ$ なので、
$\angle ACB = 35^\circ$
です。
次に、$\angle BAC$ を求めます。
$\angle BAC$ と $\angle BDC$ は、どちらも弦BCを底辺とする角で、弧BCに対する円周角です。4点がA, B, C, Dの順に並んでいるので、点A, Dはどちらも弦BCに関して同じ側(弧BC以外の側)にあります。
したがって、同じく円周角の定理より、
$\angle BAC = \angle BDC$
が成り立ちます。$\angle BDC = 40^\circ$ なので、
$\angle BAC = 40^\circ$
です。
以上より、$\angle ACB = 35^\circ$、$\angle BAC = 40^\circ$ となります。
例題3(応用)
問題
線分ABを直径とする円Oの周上に、A, Bとは異なる点Cをとる。$\angle CAB : \angle CBA = 2 : 3$ であるとき、次の問いに答えなさい。
(1) $\angle ACB$ の大きさを求めなさい。 (2) $\angle CAB$、$\angle CBA$ の大きさをそれぞれ求めなさい。 (3) 中心角 $\angle COB$ の大きさを求めなさい。
解答・解説を見る
(1) $\angle ACB$ を求める
線分ABは円Oの直径なので、弧ABは半円です。このとき、円周角 $\angle ACB$ は、直径に対する円周角の性質より
$\angle ACB = 90^\circ$
となります。
(2) $\angle CAB$、$\angle CBA$ を求める
三角形ACBに注目します。三角形の内角の和は $180^\circ$ なので、
$\angle CAB + \angle CBA + \angle ACB = 180^\circ$
が成り立ちます。(1)で求めた $\angle ACB = 90^\circ$ を代入すると、
$\angle CAB + \angle CBA + 90^\circ = 180^\circ$
両辺から $90^\circ$ を引きます。
$\angle CAB + \angle CBA = 90^\circ$
ここで、$\angle CAB : \angle CBA = 2 : 3$ という比の条件を使います。比の合計は $2 + 3 = 5$ なので、$90^\circ$ を5等分した1つ分は
$90^\circ \div 5 = 18^\circ$
です。したがって、
$\angle CAB = 18^\circ \times 2 = 36^\circ$
$\angle CBA = 18^\circ \times 3 = 54^\circ$
となります。念のため確かめると、$36^\circ + 54^\circ = 90^\circ$ となり、条件と一致します。
(3) 中心角 $\angle COB$ を求める
中心角 $\angle COB$ は、弧CB(点Aを含まない側の弧)に対する中心角です。この弧CBに対する円周角は、点Aから見た角、つまり $\angle CAB$ です。
円周角の定理より、円周角は中心角の半分なので、逆に中心角は円周角の2倍になります。
$\angle COB = 2 \times \angle CAB$
(2)で求めた $\angle CAB = 36^\circ$ を代入します。
$\angle COB = 2 \times 36^\circ = 72^\circ$
したがって、$\angle COB = 72^\circ$ です。
練習問題
問題
円Oの周上に3点A, B, Pがあり、円周角 $\angle APB = 27^\circ$ である。このとき、中心角 $\angle AOB$ の大きさを求めなさい。また、弦ABに関して点Pと同じ側にある円周上の点Qをとるとき、$\angle AQB$ の大きさを求めなさい。
答え
$\angle AOB = 54^\circ$(円周角の定理より $\angle AOB = 2 \times \angle APB = 2 \times 27^\circ = 54^\circ$)
$\angle AQB = 27^\circ$(同じ弧ABに対して、弦ABに関して同じ側にある円周角はすべて等しいので、$\angle AQB = \angle APB = 27^\circ$)