数学II / いろいろな式

複素数と2次方程式の解

要点整理

判別式と解の種類のおさらい

数学Iの2次関数の単元で、2次方程式 $ax^2+bx+c=0$($a$, $b$, $c$ は実数の定数で $a \neq 0$)は、次の解の公式で解けることを学びました。

$x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}$

そして、根号の中身 $b^2-4ac$ を判別式と呼び、$D$ という文字で表すのでした。

$D = b^2-4ac$

判別式 $D$ の符号によって、実数解の個数が次のように決まります。

  • $D>0$ のとき、異なる2つの実数解を持ちます。
  • $D=0$ のとき、1つの実数解(重解)を持ちます。
  • $D<0$ のとき、根号の中が負の数になり、実数の範囲では平方根を考えられませんでした。

数学Iでは、$D<0$ の場合はここで話が終わり、「実数解はない」という結論で片付けていました。しかし今のみなさんは、すでに複素数の計算(2乗すると $-1$ になる数 $i$ を使った計算)を学んでいます。複素数まで数の範囲を広げれば、$D<0$ の場合にも解を求めることができます。

D<0のとき、複素数の範囲で解を求める

複素数の計算のところで、正の数 $k$ に対して $\sqrt{-k} = \sqrt{k}\,i$ と考えることを確認しました($\left(\sqrt{k}\,i\right)^2 = k\,i^2 = -k$ となり、たしかに2乗すると $-k$ になるからです)。

この考え方を、判別式が負の場合にそのまま当てはめてみましょう。$D<0$ のとき、$-D$ は正の数になります。ですから、$D$ の平方根を次のように複素数として表すことができます。

$\sqrt{D} = \sqrt{-D}\,i$

これを解の公式にそのまま代入します。

$x = \frac{-b \pm \sqrt{D}}{2a} = \frac{-b \pm \sqrt{-D}\,i}{2a}$

右辺を実部と虚部に分けて書くと、次のようになります。

$x = -\frac{b}{2a} \pm \frac{\sqrt{-D}}{2a}\,i$

具体的な数で確認してみましょう。2次方程式 $x^2+1=0$ を考えます。$a=1$, $b=0$, $c=1$ なので、

$D = b^2-4ac = 0^2-4\times1\times1 = -4$

$D=-4<0$ なので、$-D=4$ です。$\sqrt{-D}=\sqrt{4}=2$ なので、解の公式に代入すると、

$x = \frac{-0 \pm 2i}{2\times1} = \pm i$

これは、$i$ が「2乗すると $-1$ になる数」として定義されていたこと($x^2=-1$ の解が $x=\pm i$ であること)と、ちょうど一致しています。

もう1つ、$x^2+x+1=0$ も確認しておきましょう。$a=1$, $b=1$, $c=1$ なので、

$D = 1^2-4\times1\times1 = 1-4 = -3$

$-D=3$ なので $\sqrt{-D}=\sqrt{3}$ です。解の公式に代入すると、

$x = \frac{-1 \pm \sqrt{3}\,i}{2}$

このように、$D<0$ であっても、複素数の範囲では必ず2つの解が求められます。

判別式と解の種類の対応(まとめ)

複素数まで数の範囲を広げると、判別式と解の種類の対応は次のようにまとめられます。

判別式 $D=b^2-4ac$ 解の種類
$D>0$ 異なる2つの実数解
$D=0$ 1つの実数解(重解)
$D<0$ 異なる2つの虚数解(互いに共役)

虚数解は必ず共役な複素数のペアになる

先ほど求めた $D<0$ のときの解をもう一度見てみましょう。

$x = -\frac{b}{2a} + \frac{\sqrt{-D}}{2a}\,i, \qquad x = -\frac{b}{2a} - \frac{\sqrt{-D}}{2a}\,i$

2つの解を比べると、実部はどちらも同じ $-\dfrac{b}{2a}$ で、虚部だけが $+\dfrac{\sqrt{-D}}{2a}$ と $-\dfrac{\sqrt{-D}}{2a}$ のように符号だけが反対になっています。これはまさに、実部が同じで虚部の符号だけが反対の複素数どうし、つまり共役複素数の関係です。

このことから、次の重要な事実が分かります。

$a$, $b$, $c$ が実数である2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ が虚数解を持つとき、その2つの解は必ず互いに共役な複素数になります。

この事実は、次の単元で学ぶ「解と係数の関係」でも活躍しますので、ここでしっかり押さえておきましょう。

例題

例題1(基本)

問題

2次方程式 $x^2-4x+5=0$ を解きなさい。

解答・解説を見る

$a=1$, $b=-4$, $c=5$ です。まず判別式を計算します。

$D = b^2-4ac = (-4)^2-4\times1\times5 = 16-20 = -4$

$D=-4<0$ なので、この方程式は異なる2つの虚数解(互いに共役)を持ちます。

$-D=4$ なので、$\sqrt{-D}=\sqrt{4}=2$ です。解の公式に代入します。

$x = \frac{-b\pm\sqrt{-D}\,i}{2a} = \frac{-(-4)\pm2i}{2\times1} = \frac{4\pm2i}{2}$

分子の各項を分母の $2$ で割ります。

$x = \frac{4}{2}\pm\frac{2}{2}i = 2\pm i$

よって、答えは $x=2\pm i$ です。

検算: $x=2+i$ を元の式に代入すると、$(2+i)^2-4(2+i)+5 = (4+4i-1)-(8+4i)+5 = (3+4i)-8-4i+5 = 0$ となり、たしかに成り立ちます。

例題2(標準)

問題

2次方程式 $2x^2-2x+1=0$ を解きなさい。

解答・解説を見る

$a=2$, $b=-2$, $c=1$ です。判別式を計算します。

$D = b^2-4ac = (-2)^2-4\times2\times1 = 4-8 = -4$

$D=-4<0$ なので、異なる2つの虚数解(互いに共役)を持ちます。

$-D=4$ なので $\sqrt{-D}=2$ です。解の公式に代入します。

$x = \frac{-b\pm\sqrt{-D}\,i}{2a} = \frac{-(-2)\pm2i}{2\times2} = \frac{2\pm2i}{4}$

分子と分母を $2$ で約分します。

$x = \frac{1\pm i}{2} = \frac{1}{2}\pm\frac{1}{2}i$

よって、答えは $x=\dfrac{1}{2}\pm\dfrac{1}{2}i$ です。この2つの解の実部はどちらも $\dfrac{1}{2}$ で、虚部の符号だけが反対になっており、たしかに共役な複素数のペアになっています。

例題3(応用)

問題

$a$, $b$ を実数の定数とする。2次方程式 $x^2+ax+b=0$ の1つの解が $3+i$ であるとき、$a$, $b$ の値を求めなさい。

解答・解説を見る

$x=3+i$ がこの方程式の解であることから、方程式に $x=3+i$ を代入すると等式が成り立ちます。

$(3+i)^2+a(3+i)+b = 0$

まず $(3+i)^2$ を計算します。

$(3+i)^2 = 3^2+2\times3\times i+i^2 = 9+6i+i^2$

$i^2=-1$ を使うと、

$(3+i)^2 = 9+6i-1 = 8+6i$

これをもとの式に戻します。

$8+6i+a(3+i)+b = 0$

$a(3+i)$ を展開すると $3a+ai$ になるので、

$8+6i+3a+ai+b = 0$

実部(虚数単位 $i$ が付いていない項)と虚部($i$ が付いている項)にそれぞれ整理します。実部は $8+3a+b$、虚部の係数は $6+a$ なので、

$(8+3a+b)+(6+a)i = 0$

$a$, $b$ は実数の定数なので、$8+3a+b$ と $6+a$ はどちらも実数です。複素数が $0$ になるのは実部と虚部がともに $0$ のときだけなので(複素数の計算で学んだ性質です)、次の2つの式が同時に成り立ちます。

$6+a=0 \quad \cdots ①$

$8+3a+b=0 \quad \cdots ②$

①より、

$a=-6$

これを②に代入します。

$8+3\times(-6)+b=0$

左辺を計算すると、

$8-18+b=0$

$-10+b=0$

両辺に $10$ を足すと、

$b=10$

したがって、答えは $a=-6$, $b=10$ です。

検算: このとき方程式は $x^2-6x+10=0$ です。判別式は $D=(-6)^2-4\times1\times10=36-40=-4<0$ なので、虚数解を持ちます。$-D=4$、$\sqrt{-D}=2$ より、解は $x=\dfrac{6\pm2i}{2}=3\pm i$ となり、たしかに $3+i$ を解に持つことが確認できます。また、もう一方の解が自動的に共役な $3-i$ になっていることも、要点整理で確認した「虚数解は共役なペアになる」という事実と一致しています。

練習問題

問題

2次方程式 $x^2+2x+3=0$ を解きなさい。

答え

$a=1$, $b=2$, $c=3$ より、判別式は

$D = 2^2-4\times1\times3 = 4-12 = -8$

$D=-8<0$ なので、$-D=8$、$\sqrt{-D}=\sqrt{8}=2\sqrt{2}$ です。解の公式に代入すると、

$x = \frac{-2\pm2\sqrt{2}\,i}{2} = -1\pm\sqrt{2}\,i$

よって、答えは $x=-1\pm\sqrt{2}\,i$ です。