数学II / 指数関数・対数関数
対数の定義と性質
要点整理
これまでのページでは、指数を分数や実数全体に広げる方法や、指数関数の性質を学びました。今回学ぶ「対数」は、指数の考え方を逆向きから見たものです。「$2$ を何乗すれば $8$ になるか」という問いの答え($3$ です、$2^3=8$ なので)を、そのまま数として扱えるようにしたのが対数です。
対数の定義
$a$ を $1$ ではない正の数、$M$ を正の数とします。「$a$ を $p$乗すると $M$ になる」という関係、つまり $a^p=M$ が成り立つとき、この $p$ の値を、$a$ を底とする $M$ の対数と呼び、次のように書きます。
$\log_a M = p$
まとめると、次の関係が成り立ちます。
$\log_a M = p \iff a^p=M \qquad (a>0,\ a\neq1,\ M>0)$
$\log_a M$ の $M$ を真数と呼びます。真数 $M$ は必ず正の数でなければいけません。これは、指数関数 $y=a^x$($a>0$)の値が常に正の数($y>0$)であり、$a^p$ がマイナスや $0$ になることはないためです。同じ理由で、底 $a$ も $1$ ではない正の数でなければいけません($a=1$ だと $1^p$ はいつも $1$ にしかならず、$p$ が定まらないためです)。
具体例:$\log_2 8$ の値を考えます。「$2$ を何乗すれば $8$ になるか」を考えると、$2^3=8$ なので、
$\log_28 = 3$
です。
対数の基本的な性質
定義から、すぐに次の2つの性質が分かります。
$\log_a a = 1 \qquad (\text{なぜなら} \ a^1=a \text{ だから})$
$\log_a 1 = 0 \qquad (\text{なぜなら} \ a^0=1 \text{ だから})$
対数の法則(積・商・累乗)
対数には、次の3つの重要な法則があります。$a>0,\ a\neq1$、$M>0,\ N>0$、$k$ は実数とします。
$\log_a(MN) = \log_a M + \log_a N$
$\log_a\frac{M}{N} = \log_a M - \log_a N$
$\log_a M^k = k\log_a M$
これらの法則は、指数法則から導くことができます。積の法則を、途中の計算を1つも飛ばさずに確認してみましょう。
積の法則の証明
$\log_a M = p$、$\log_a N = q$ とおきます。対数の定義より、これは
$a^p = M, \qquad a^q=N$
ということです。$MN$ を計算すると、
$MN = a^p \times a^q$
指数法則 $a^pa^q=a^{p+q}$ を使うと、
$MN = a^{p+q}$
この式は、「$a$ を $p+q$ 乗すると $MN$ になる」ということを表しています。これを対数の定義を使って書き直すと、
$\log_a(MN) = p+q$
最初に $p=\log_aM$、$q=\log_aN$ とおいたので、これを代入すると、
$\log_a(MN) = \log_a M + \log_a N$
これで積の法則が示せました。商の法則、累乗の法則も、同じように指数法則($\dfrac{a^p}{a^q}=a^{p-q}$、$(a^p)^k=a^{pk}$)から、まったく同じ手順で導くことができます。
底の変換公式
対数を計算していると、底がそろっていない対数どうしを比べたり、計算したりしたい場面が出てきます。そこで役に立つのが、底を別の数に変換する公式です。$a,b,c$ はすべて正の数で $a\neq1,\ c\neq1$ とすると、
$\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$
底の変換公式の証明
$\log_a b = x$ とおきます。対数の定義より、
$a^x = b$
この両辺に、底を $c$ とする対数をとります(両辺が等しいので、同じ計算をしても等式は保たれます)。
$\log_c(a^x) = \log_c b$
左辺に、すでに証明した累乗の法則 $\log_a M^k=k\log_aM$ を使います。
$x\log_c a = \log_c b$
両辺を $\log_c a$ でわります($a\neq1$ より $\log_c a \neq 0$ なので、わり算ができます)。
$x = \frac{\log_c b}{\log_c a}$
最初に $x=\log_a b$ とおいたので、
$\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$
これで底の変換公式が示せました。
例題
例題1(基本)
問題
$\log_2 32$ の値を求めなさい。
解答・解説を見る
対数の定義より、$\log_2 32$ は「$2$ を何乗すると $32$ になるか」を表す数です。
$2^5 = 2\times2\times2\times2\times2 = 32$
したがって、$\log_2 32 = 5$ です。
例題2(標準)
問題
$2\log_5 3 + \log_5\dfrac{25}{9}$ を計算しなさい。
解答・解説を見る
$2\log_53$ を、累乗の法則を使って1つの対数にまとめる
累乗の法則 $k\log_aM=\log_aM^k$(先ほどの法則を逆向きに使います)を使うと、
$2\log_53 = \log_53^2 = \log_59$
もとの式に代入する
$2\log_53+\log_5\frac{25}{9} = \log_59+\log_5\frac{25}{9}$
積の法則で1つの対数にまとめる
積の法則 $\log_aM+\log_aN=\log_a(MN)$ を使うと、
$\log_59+\log_5\frac{25}{9} = \log_5\left(9\times\frac{25}{9}\right)$
かっこの中を計算します。$9$ と分母の $9$ が約分できるので、
$9\times\frac{25}{9} = 25$
$\log_59+\log_5\frac{25}{9} = \log_525$
値を求める
$\log_525$ は「$5$ を何乗すると $25$ になるか」を表す数です。$5^2=25$ なので、
$\log_525 = 2$
したがって、答えは $2$ です。
例題3(応用)
問題
底の変換公式を使って、$\log_4 8$ の値を求めなさい。
解答・解説を見る
$\log_48$ は、そのままでは「$4$ を何乗すると $8$ になるか」がすぐには分かりません($4^1=4$, $4^2=16$ で、$8$ はその間にあります)。そこで、底の変換公式を使って、計算しやすい底 $2$ の対数に直します。
底の変換公式 $\log_ab=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}$ に、$a=4$, $b=8$, $c=2$ を当てはめます。
$\log_48 = \frac{\log_28}{\log_24}$
分子・分母をそれぞれ計算します。$2^3=8$ なので $\log_28=3$、$2^2=4$ なので $\log_24=2$ です。
$\log_48 = \frac32$
検算:$4^{3/2}$ を計算すると、$4^{3/2}=(4^{1/2})^3=(\sqrt4)^3=2^3=8$ となり、確かに $4$ を $\dfrac32$ 乗すると $8$ になっています。
したがって、$\log_48=\dfrac32$ です。
練習問題
問題
$\log_2 12 - \log_2 3$ を計算しなさい。
答え
$2$
簡単な解説
商の法則より $\log_212-\log_23=\log_2\dfrac{12}{3}=\log_24=2$($2^2=4$ より)。