数学I / 二次関数

2次不等式の解き方

要点整理

前のトピックで、2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解の個数を判別式 $D$ を使って調べる方法を学びましたね。ここでは、その知識を使って「2次不等式」、つまり $ax^2+bx+c>0$ のような不等式を解く方法を学んでいきます。

2次不等式は「グラフのどこが条件を満たすか」を考える問題

2次不等式を解くコツは、方程式のときのように数字だけで考えるのではなく、$y=ax^2+bx+c$ のグラフ(放物線)を思い浮かべることです。

たとえば $ax^2+bx+c>0$ という不等式は、「$y=ax^2+bx+c$ のグラフが、$x$ 軸より上側(つまり $y$ の値が正)になっているのはどこか」を聞かれているのと同じことです。同じように考えると、次のように対応しています。

  • $ax^2+bx+c>0$ → グラフが $x$ 軸より上にある $x$ の範囲
  • $ax^2+bx+c<0$ → グラフが $x$ 軸より下にある $x$ の範囲
  • $ax^2+bx+c\geq 0$、$ax^2+bx+c\leq 0$ も同様に、境界(グラフが $x$ 軸と交わる点)を含めて考えます

解く手順

2次不等式 $ax^2+bx+c>0$(などの不等号)を解く手順は、次の4ステップです。

ステップ1:$x^2$ の係数を正にする

もし $a$ が負の数だったら、不等式の両辺に $-1$ を掛けます。このとき、不等号の向きが逆になることを絶対に忘れないでください(負の数を掛けると不等号は反転する、というのは1次不等式でも学んだ大切なルールです)。

ステップ2:対応する2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ を解く

因数分解できるならそれを使い、できなければ解の公式を使って解を求めます。このとき、判別式 $D=b^2-4ac$ の符号も確認しておきます。

ステップ3:$D$ の符号によって場合分けする

$x^2$ の係数を正にした後($a>0$ の状態)、$D$ の符号によってグラフの形と $x$ 軸との関係が変わります。

  • $D>0$ のとき:方程式は異なる2つの実数解 $\alpha, \beta$(ただし $\alpha<\beta$ とする)を持ちます。このとき $ax^2+bx+c=a(x-\alpha)(x-\beta)$ と因数分解できます。グラフは $x=\alpha$ と $x=\beta$ で $x$ 軸と交わり、その外側で $x$ 軸より上(正)、内側で $x$ 軸より下(負)になります。
  • $D=0$ のとき:方程式は重解 $x=\alpha$ を持ちます。$ax^2+bx+c=a(x-\alpha)^2$ と書け、グラフは $x=\alpha$ で $x$ 軸に接するだけで、それ以外の場所ではすべて正になります。
  • $D<0$ のとき:方程式は実数解を持ちません。グラフは $x$ 軸と一切交わらず、$a>0$ ならグラフ全体が $x$ 軸より上、つまりすべての $x$ で $ax^2+bx+c>0$ が成り立ちます。

ステップ4:不等号の向きに合わせて答えをまとめる

以上をまとめると、$a>0$ のときの2次不等式の解は次の表のようになります($\alpha \leq \beta$ を方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解とします)。

不等式 $D>0$(解は $\alpha<\beta$) $D=0$(解は $x=\alpha$) $D<0$(実数解なし)
$ax^2+bx+c>0$ $x<\alpha$ または $x>\beta$ $x\neq \alpha$ となるすべての実数 すべての実数
$ax^2+bx+c\geq 0$ $x\leq\alpha$ または $x\geq\beta$ すべての実数 すべての実数
$ax^2+bx+c<0$ $\alpha 解なし 解なし
$ax^2+bx+c\leq 0$ $\alpha\leq x\leq\beta$ $x=\alpha$ のみ 解なし

この表を丸暗記するよりも、「$a>0$ のグラフを頭に描いて、$x$ 軸より上か下かを考える」という考え方を身につける方が、応用が利くようになります。

例題

例題1(基本)

問題

次の2次不等式を解きなさい。

$x^2-5x+6>0$

解答・解説を見る

まず、左辺を因数分解します。かけて $6$、足して $-5$ になる2つの数を探すと、$-2$ と $-3$ が見つかります。

$x^2-5x+6=(x-2)(x-3)$

したがって、不等式は次のようになります。

$(x-2)(x-3)>0$

$x^2$ の係数はすでに $1$(正)なので、ステップ1はそのままで大丈夫です。方程式 $(x-2)(x-3)=0$ の解は $x=2, 3$ で、これが $\alpha=2, \beta=3$ にあたります。

不等号が「$>0$」なので、上の表の1行目(グラフが $x$ 軸より上側)にあたります。つまり、解は $\alpha=2$ より小さいか、$\beta=3$ より大きい範囲です。

$x<2 \text{ または } x>3$

検算のイメージ:たとえば $x=0$ を代入すると $(0-2)(0-3)=(-2)\times(-3)=6>0$ となり、確かに $x<2$ の範囲で不等式が成り立っていることが確認できます。

例題2(標準)

問題

次の2次不等式を解きなさい。

$-x^2+x+6\geq 0$

解答・解説を見る

$x^2$ の係数が $-1$(負)なので、まずステップ1として、両辺に $-1$ を掛けて係数を正にします。このとき不等号の向きが逆転することに注意してください。

$-x^2+x+6\geq 0$

$\downarrow \text{(両辺に }-1\text{ を掛けて不等号を反転)}$

$x^2-x-6\leq 0$

次に、左辺を因数分解します。かけて $-6$、足して $-1$ になる2つの数は $-3$ と $2$ です。

$x^2-x-6=(x-3)(x+2)$

よって不等式は

$(x-3)(x+2)\leq 0$

方程式 $(x-3)(x+2)=0$ の解は $x=3,\ -2$ です。小さい方から並べると $\alpha=-2,\ \beta=3$ になります。

不等号が「$\leq 0$」で、$D>0$(異なる2つの解を持つ)場合にあたるので、表の4行目「$\alpha\leq x\leq\beta$」を使います。

$-2\leq x\leq 3$

検算のイメージ:$x=0$ を元の不等式に代入すると $-0+0+6=6\geq0$ となり成立します。$x=0$ は $-2\leq x\leq3$ の範囲に入っているので、答えと矛盾しません。逆に $x=4$ を代入すると $-16+4+6=-6$ となり $\geq0$ を満たさず、$x=4$ が答えの範囲外であることとも一致しています。

例題3(応用)

問題

次の連立不等式(2つの不等式を同時に満たす $x$ の値の範囲)を解きなさい。

$2x^2-3x-2\leq 0 \quad \text{かつ} \quad x^2-4x+3>0$

解答・解説を見る

連立不等式では、それぞれの不等式を別々に解いてから、両方を同時に満たす範囲(共通範囲)を求めます。

(1) $2x^2-3x-2\leq 0$ を解く

左辺を因数分解します。$2x^2-3x-2=(2x+1)(x-2)$ となることを確認しましょう(展開すると $2x^2-4x+x-2=2x^2-3x-2$ となり、確かに一致します)。

$(2x+1)(x-2)\leq 0$

方程式 $(2x+1)(x-2)=0$ の解は、$2x+1=0$ より $x=-\dfrac{1}{2}$、$x-2=0$ より $x=2$ です。$x^2$ の係数 $2$ は正で、不等号は「$\leq0$」なので、解は2つの解の間になります。

$-\frac{1}{2}\leq x\leq 2 \quad \cdots ①$

(2) $x^2-4x+3>0$ を解く

左辺を因数分解すると、かけて $3$、足して $-4$ になる数は $-1$ と $-3$ なので、

$x^2-4x+3=(x-1)(x-3)$

よって不等式は $(x-1)(x-3)>0$ となります。方程式の解は $x=1,3$ で、係数は正、不等号は「$>0$」なので、解は2つの解の外側になります。

$x<1 \text{ または } x>3 \quad \cdots ②$

(3) ① と ② の共通範囲を求める

① の範囲 $-\dfrac{1}{2}\leq x\leq 2$ と、② の範囲「$x<1$ または $x>3$」を、頭の中(または実際に数直線を書いて)重ね合わせます。

  • ① の範囲のうち、② の「$x<1$」の部分と重なるのは $-\dfrac{1}{2}\leq x<1$ です。
  • ① の範囲のうち、② の「$x>3$」の部分と重なるかを見ると、① の範囲は $2$ までしかなく $3$ より大きい部分を含まないため、ここは重なりません。

したがって、共通範囲(連立不等式の解)は

$-\frac{1}{2}\leq x<1$

ポイント:連立不等式では、片方だけを解いて満足せず、必ず最後に「両方を同時に満たす範囲」まで求めることが大切です。数直線を実際に描いて、2つの範囲が重なっている部分に印をつけると間違いを防げます。

練習問題

問題

次の2次不等式を解きなさい。

$x^2-6x+9>0$

答え

左辺は $x^2-6x+9=(x-3)^2$ と因数分解できます(判別式を計算すると $D=(-6)^2-4\times1\times9=36-36=0$ となり、重解を持つことにも対応しています)。

不等式は $(x-3)^2>0$ となり、これは「$x=3$ のとき以外はすべて成り立つ」という意味です($x=3$ を代入すると $0$ になり、$>0$ を満たしません)。

$x\neq 3 \text{ となるすべての実数}$

すなわち $x<3$ または $x>3$ です。