数学II / 図形と方程式
2直線の平行・垂直
要点整理
前のページ「直線の方程式」では、直線を $y = mx + b$ の形(傾きと切片を使った形)や $ax + by + c = 0$ の形(一般形)で表せることを学びました。このページでは、その直線が2本あるとき、2本の位置関係が「平行」なのか「垂直」なのかを、式だけを見て判定する方法を学びます。図をかかなくても判定できるようになるので、とても便利な内容です。
平行条件(傾きを使う場合)
2つの直線を $l_1$、$l_2$ とし、それぞれの傾きを $m_1$、$m_2$ とします。直感的にも分かる通り、2直線が平行であるということは「傾き具合が同じ」ということです。これを式で表すと、次のようになります。
$l_1 \parallel l_2 \iff m_1 = m_2$
ここで記号 $\parallel$ は「平行である」ことを表す記号です。また $\iff$ は「必要十分条件である」こと、つまり「左が成り立つならば右も成り立ち、右が成り立つならば左も成り立つ」ことを表す記号です。
ただし注意点が1つあります。$m_1 = m_2$ で、さらに切片(直線が $y$ 軸と交わる点の $y$ 座標)まで一致していると、2直線は平行なのではなく、完全に同じ直線(一致する直線)になってしまいます。この単元では、通常「平行」と言うときは「同じ直線ではないが、傾きが等しい直線」を指すことが多いので、問題を解くときは一致していないかも確認するようにしましょう。
垂直条件(傾きを使う場合)
2直線が垂直であるとき、傾き同士には次の関係が成り立ちます。
$l_1 \perp l_2 \iff m_1 m_2 = -1$
記号 $\perp$ は「垂直である」ことを表します。この式は「傾きをかけ算すると $-1$ になる」という意味です。たとえば傾き $2$ の直線に垂直な直線の傾きは $-\dfrac{1}{2}$ です($2 \times \left(-\dfrac{1}{2}\right) = -1$ になっていますね)。このように、垂直な直線の傾きは「符号を逆にして、分母と分子を入れ替えた数(逆数に $-1$ をかけた数)」になります。
なぜこの関係が成り立つのか、途中の計算を1つずつ確認しながら導いてみましょう。
原点 $O(0, 0)$ を通り、傾きが $m_1$ の直線 $l_1$ と、同じく原点を通り傾きが $m_2$ の直線 $l_2$ を考えます(2直線とも垂直で、かつ原点を通る場合で考えても、一般の場合と同じ結論が得られます)。$l_1$ 上に $x$ 座標が $1$ の点 $A(1, m_1)$ をとり、$l_2$ 上に $x$ 座標が $1$ の点 $B(1, m_2)$ をとります。
$l_1 \perp l_2$ なので、角 $AOB$ は直角です。よって三角形 $AOB$ に三平方の定理(直角三角形で「直角をはさむ2辺の長さの2乗の和」が「斜辺の長さの2乗」に等しくなるという定理)を使うと、次の式が成り立ちます。
$OA^2 + OB^2 = AB^2$
ここで、2点間の距離の公式(2点 $(x_1, y_1)$、$(x_2, y_2)$ の距離は $\sqrt{(x_2-x_1)^2 + (y_2-y_1)^2}$ で求められるという公式)を使って、$OA^2$、$OB^2$、$AB^2$ をそれぞれ計算します。
$O(0,0)$ と $A(1, m_1)$ の距離の2乗は、次のようになります。
$OA^2 = (1-0)^2 + (m_1-0)^2 = 1 + m_1^2$
同じように、$O(0,0)$ と $B(1, m_2)$ の距離の2乗は、次のようになります。
$OB^2 = (1-0)^2 + (m_2-0)^2 = 1 + m_2^2$
$A(1, m_1)$ と $B(1, m_2)$ は $x$ 座標が同じ $1$ なので、距離の2乗は $y$ 座標の差だけで決まります。
$AB^2 = (1-1)^2 + (m_2-m_1)^2 = (m_2-m_1)^2$
これらを先ほどの $OA^2 + OB^2 = AB^2$ に代入します。
$(1+m_1^2) + (1+m_2^2) = (m_2-m_1)^2$
右辺の $(m_2-m_1)^2$ を展開の公式 $(a-b)^2 = a^2 - 2ab + b^2$ を使って展開します。
$1 + m_1^2 + 1 + m_2^2 = m_2^2 - 2m_1m_2 + m_1^2$
左辺を整理します(定数をまとめます)。
$2 + m_1^2 + m_2^2 = m_1^2 + m_2^2 - 2m_1m_2$
両辺から $m_1^2 + m_2^2$ を引きます。
$2 = -2m_1m_2$
両辺を $-2$ で割ります。
$m_1 m_2 = -1$
こうして、垂直な2直線の傾きの積が $-1$ になることが確認できました。
傾きが定義できない直線(垂直な直線)の場合
直線が $x$ 軸に垂直(つまり $y$ 軸に平行)な場合、その直線は $x = k$($k$ は定数)という形になり、傾きという考え方自体が使えません(傾きは「$x$ が $1$ 増えたときの $y$ の変化量」ですが、$x=k$ の直線では $x$ がそもそも変化しないためです)。この場合は、次のように別に考えます。
- $x = k_1$ と $x = k_2$ は、どちらも $y$ 軸に平行なので、常に平行です。
- $x = k$ と $y = c$($c$ は定数)は、一方が縦向き、もう一方が横向きなので、常に垂直です。
一般形 $ax+by+c=0$ を使った判定
直線を $ax+by+c=0$ の形(一般形)で表す場合も、いちいち $y=mx+b$ の形に直さなくても、そのまま平行・垂直を判定できる条件があります。2直線を
$l_1: a_1x + b_1y + c_1 = 0, \qquad l_2: a_2x + b_2y + c_2 = 0$
とすると、次の条件が成り立ちます。
$l_1 \parallel l_2 \iff a_1b_2 - a_2b_1 = 0$
$l_1 \perp l_2 \iff a_1a_2 + b_1b_2 = 0$
この条件は、$b_1 \neq 0$、$b_2 \neq 0$ のとき、$ax+by+c=0$ を $y = -\dfrac{a}{b}x - \dfrac{c}{b}$ の形に直すと傾きが $m = -\dfrac{a}{b}$ になることを使って、先ほどの傾きの条件から導くことができます。たとえば垂直条件であれば、
$m_1 m_2 = -1 \iff \left(-\frac{a_1}{b_1}\right)\left(-\frac{a_2}{b_2}\right) = -1 \iff \frac{a_1a_2}{b_1b_2} = -1 \iff a_1a_2 = -b_1b_2 \iff a_1a_2 + b_1b_2 = 0$
となり、一般形の条件と一致します。この一般形の条件は、$b_1=0$ や $b_2=0$(つまり直線が $y$ 軸に平行)のときでも、そのまま同じ式が使えるという利点があります。分数を作らずに済むので、係数がそのまま整数のときは計算が楽になります。
例題
例題1(基本)
問題
次の問いに答えなさい。
(1) 2直線 $l_1: y = 3x - 2$ と $l_2: y = 3x + 5$ の位置関係(平行・垂直・どちらでもない)を判定しなさい。
(2) 点 $(2, -1)$ を通り、直線 $y = 2x - 3$ に平行な直線の方程式を求めなさい。
解答・解説を見る
(1)の解答
$l_1: y=3x-2$ の傾きは $3$、$l_2: y=3x+5$ の傾きも $3$ です。傾きが等しいので、この2直線は平行の条件を満たしています。
さらに、$l_1$ の切片は $-2$、$l_2$ の切片は $5$ であり、切片が異なるので2直線は一致していません。
以上より、$l_1$ と $l_2$ は平行です($l_1 \parallel l_2$)。
(2)の解答
求める直線を $l$ とします。$l$ は直線 $y=2x-3$(傾き $2$)に平行なので、$l$ の傾きも $2$ です。
傾きが $2$ で、点 $(2, -1)$ を通る直線の方程式は、直線の方程式の基本形(点 $(x_1, y_1)$ を通り傾き $m$ の直線は $y - y_1 = m(x-x_1)$ と書けるという公式)を使うと、次のように書けます。
$y - (-1) = 2(x-2)$
左辺の $-(-1)$ を計算します。
$y + 1 = 2(x-2)$
右辺を展開します。
$y + 1 = 2x - 4$
両辺から $1$ を引きます。
$y = 2x - 5$
よって、求める直線の方程式は $y = 2x - 5$ です。
例題2(標準)
問題
2直線 $l_1: ax + 2y - 1 = 0$ と $l_2: 3x - y + 4 = 0$ が垂直であるとき、定数 $a$ の値を求めなさい。
解答・解説を見る
まず、それぞれの直線を $y = mx + b$ の形に直して、傾きを求めます。
$l_1$ について、$ax + 2y - 1 = 0$ の両辺から $ax - 1$ を移項すると、
$2y = -ax + 1$
両辺を $2$ で割ります。
$y = -\frac{a}{2}x + \frac{1}{2}$
よって、$l_1$ の傾きは $m_1 = -\dfrac{a}{2}$ です。
$l_2$ について、$3x - y + 4 = 0$ から $y$ 以外を移項すると、
$-y = -3x - 4$
両辺に $-1$ をかけます。
$y = 3x + 4$
よって、$l_2$ の傾きは $m_2 = 3$ です。
$l_1 \perp l_2$ なので、垂直条件 $m_1 m_2 = -1$ を使うと、
$\left(-\frac{a}{2}\right) \times 3 = -1$
左辺を計算します。
$-\frac{3a}{2} = -1$
両辺に $-2$ をかけます。
$3a = 2$
両辺を $3$ で割ります。
$a = \frac{2}{3}$
よって、$a = \dfrac{2}{3}$ です。
別解(一般形の条件を使う方法)
一般形の垂直条件 $a_1a_2 + b_1b_2 = 0$ を直接使うこともできます。$l_1$ の係数は $a_1=a$、$b_1=2$、$l_2$ の係数は $a_2=3$、$b_2=-1$ なので、
$a \times 3 + 2 \times (-1) = 0$
$3a - 2 = 0$
$a = \frac{2}{3}$
同じ答えが、傾きに直す手間をかけずに求められます。
例題3(応用)
問題
3点 $A(0,0)$、$B(8,8)$、$C(2,8)$ がある。頂点 $C$ から直線 $AB$ に下ろした垂線の方程式を求め、その垂線と直線 $AB$ との交点(垂線の足)$H$ の座標を求めなさい。
解答・解説を見る
ステップ1:直線 $AB$ の方程式を求める
直線 $AB$ は2点 $A(0,0)$、$B(8,8)$ を通るので、傾きは次のように計算できます。
$\text{(直線 }AB\text{ の傾き)} = \frac{8-0}{8-0} = 1$
原点 $A(0,0)$ を通り傾き $1$ の直線なので、直線 $AB$ の方程式は次のようになります。
$y = x$
ステップ2:垂線の傾きを求める
求める垂線を $l$ とすると、$l$ は直線 $AB$ に垂直です。直線 $AB$ の傾きを $m_1=1$、$l$ の傾きを $m_2$ とすると、垂直条件 $m_1 m_2 = -1$ より、
$1 \times m_2 = -1$
よって、
$m_2 = -1$
ステップ3:垂線 $l$ の方程式を求める
$l$ は傾き $-1$ で、点 $C(2, 8)$ を通るので、
$y - 8 = -1(x-2)$
右辺を展開します。
$y - 8 = -x + 2$
両辺に $8$ を足します。
$y = -x + 10$
これが垂線 $l$ の方程式です。
ステップ4:垂線の足 $H$ の座標を求める
点 $H$ は、直線 $AB$($y=x$)と垂線 $l$($y=-x+10$)の交点なので、この2つの式を同時に満たす $x$、$y$ を求めます。$y=x$ を $y=-x+10$ に代入すると、
$x = -x + 10$
両辺に $x$ を足します。
$2x = 10$
両辺を $2$ で割ります。
$x = 5$
$y=x$ より $y=5$ なので、
$H(5, 5)$
確認
$H(5,5)$ は $x$ 座標が $0$ と $8$ の間にあるので、線分 $AB$ の内側に垂線の足があることが分かり、図形的にも自然な結果になっています。このように、垂直条件を使うと、垂線の方程式を作ってから連立方程式を解くだけで、垂線の足の座標を求めることができます。
練習問題
問題
2直線 $l_1: 2x - y + 3 = 0$ と $l_2: x + ay - 5 = 0$ について、次の問いに答えなさい。
(1) $l_1$ と $l_2$ が平行であるとき、定数 $a$ の値を求めなさい。
(2) $l_1$ と $l_2$ が垂直であるとき、定数 $a$ の値を求めなさい。
答え
(1) $a = -\dfrac{1}{2}$
(2) $a = 2$
簡単な解説
$l_1$ の係数は $a_1=2$、$b_1=-1$、$l_2$ の係数は $a_2=1$、$b_2=a$ です。
平行条件 $a_1b_2 - a_2b_1=0$ より、$2a - 1\times(-1) = 2a+1=0$ となり、$a=-\dfrac{1}{2}$。
垂直条件 $a_1a_2+b_1b_2=0$ より、$2\times1 + (-1)\times a = 2-a=0$ となり、$a=2$。