数学I / 二次関数

制限された定義域での最大・最小

要点整理

前回の「2次関数の最大・最小」では、xがすべての実数を動けるという前提で、2次関数の最大値・最小値を考えました。今回学ぶのは、xの動ける範囲(これを定義域と呼びます)があらかじめ $a \leq x \leq b$ のように制限されている場合です。この制限があるかないかで、答えの出し方が大きく変わってきます。

まず基本の考え方を確認しましょう。2次関数は、平方完成という式変形によって

$f(x) = a(x-p)^2 + q$

という形(頂点の形、頂点形式と呼びます)に直すことができます。ここで $(p, q)$ が頂点の座標です。この形にすれば、グラフがどこを通ってどちらに開いているかが一目で分かります。

定義域が制限されているとき、最大値・最小値を求めるために一番大事なのは、「頂点のx座標 $p$ が、定義域 $a \leq x \leq b$ の内側にあるか、外側にあるか」を確認することです。これによって、次の3つの場合に分かれます。

以下では、上に開いた放物線(頂点形式で $a>0$、つまり $x^2$ の係数が正の場合)で考えます。

場合1:頂点が定義域の中にあるとき($a \leq p \leq b$)

頂点は放物線全体で見ても一番低い点です。その頂点が定義域の中に含まれているので、その値がそのまま定義域内での最小値になります。

$\text{最小値} = q \quad (x = p \text{ のとき})$

最大値は、頂点から遠い方の端点で決まります。頂点から離れれば離れるほど $y$ の値は大きくなっていくので、両端の値 $f(a)$ と $f(b)$ を実際に計算し、大きい方が最大値になります。

場合2:頂点が定義域より左にあるとき($p < a$)

放物線は頂点より右側ではずっと増加していきます。定義域 $a \leq x \leq b$ は頂点より右側にすっぽり入っているので、この範囲では $f(x)$ はずっと増加し続けます。つまり

$\text{最小値} = f(a), \qquad \text{最大値} = f(b)$

場合3:頂点が定義域より右にあるとき($p > b$)

今度は逆に、放物線は頂点より左側ではずっと減少しています。定義域は頂点より左側にすっぽり入っているので、この範囲では $f(x)$ はずっと減少し続けます。つまり

$\text{最小値} = f(b), \qquad \text{最大値} = f(a)$

下に開いた放物線($x^2$ の係数が負の場合)のときは、この「最大」と「最小」がちょうど入れ替わります。頂点が定義域の中にあれば、そこが最大値になり、頂点が外にあるときの端点での値の役割も、最大と最小が入れ替わるだけで考え方はまったく同じです。

大事なのは公式を丸暗記することではなく、「グラフをイメージして、頂点が定義域の中か外かを確認してから、増加・減少の向きを考える」という手順そのものです。次の例題で、実際に手を動かしながら確認していきましょう。

例題

例題1(基本)

問題

関数 $f(x) = x^2 - 4x + 5$ について、定義域が $0 \leq x \leq 3$ のときの最大値と最小値を求めなさい。

解答・解説を見る

ステップ1:平方完成する

まず、頂点の位置を調べるために平方完成をします。

$x^2 - 4x + 5$

$x^2-4x$ の部分を $(x-2)^2$ の形に直すことを考えます。$(x-2)^2 = x^2 - 4x + 4$ なので、

$x^2 - 4x = (x-2)^2 - 4$

となります。これを元の式に代入すると、

$f(x) = (x-2)^2 - 4 + 5 = (x-2)^2 + 1$

したがって、頂点は $(2, 1)$ で、$x^2$ の係数は $1$ で正なので、上に開いた放物線です。

ステップ2:頂点の位置と定義域を比べる

定義域は $0 \leq x \leq 3$ です。頂点のx座標は $2$ なので、

$0 \leq 2 \leq 3$

となり、頂点は定義域の中にあります(要点整理の「場合1」です)。

ステップ3:最小値を求める

頂点が定義域の中にあり、上に開いた放物線なので、頂点の $y$ 座標がそのまま最小値になります。

$\text{最小値} = 1 \quad (x = 2 \text{ のとき})$

ステップ4:最大値を求める

最大値は、頂点から遠い方の端点で決まります。両端の値を実際に計算します。

$f(0) = (0-2)^2 + 1 = 4 + 1 = 5$

$f(3) = (3-2)^2 + 1 = 1 + 1 = 2$

$f(0) = 5$、$f(3) = 2$ なので、大きい方の $5$ が最大値です。

$\text{最大値} = 5 \quad (x = 0 \text{ のとき})$

答え:最大値 $5$($x=0$ のとき)、最小値 $1$($x=2$ のとき)

例題2(標準)

問題

関数 $f(x) = -x^2 + 2x + 3$ について、定義域が $2 \leq x \leq 5$ のときの最大値と最小値を求めなさい。

解答・解説を見る

ステップ1:平方完成する

$x^2$ の係数が $-1$ なので、まず $-1$ をくくり出します。

$f(x) = -x^2 + 2x + 3 = -(x^2 - 2x) + 3$

$x^2-2x$ の部分を平方完成します。$(x-1)^2 = x^2-2x+1$ なので、

$x^2 - 2x = (x-1)^2 - 1$

これを代入すると、

$f(x) = -\left((x-1)^2 - 1\right) + 3 = -(x-1)^2 + 1 + 3 = -(x-1)^2 + 4$

頂点は $(1, 4)$ で、$x^2$ の係数は $-1$ で負なので、下に開いた放物線です。

ステップ2:頂点の位置と定義域を比べる

定義域は $2 \leq x \leq 5$ です。頂点のx座標は $1$ なので、

$1 < 2$

となり、頂点は定義域よりも左にあります(要点整理の「場合2」に対応する位置関係です)。

ステップ3:増減の向きを確認する

下に開いた放物線は、頂点より右側ではずっと減少していきます。定義域 $2 \leq x \leq 5$ は頂点($x=1$)より右側にすっぽり入っているので、この範囲では $f(x)$ はずっと減少し続けます。

ステップ4:最大値・最小値を求める

ずっと減少しているので、一番左の端点 $x=2$ で最大、一番右の端点 $x=5$ で最小になります。

$f(2) = -(2-1)^2 + 4 = -1 + 4 = 3$

$f(5) = -(5-1)^2 + 4 = -16 + 4 = -12$

答え:最大値 $3$($x=2$ のとき)、最小値 $-12$($x=5$ のとき)

例題3(応用)

問題

$a$ を定数とする。関数 $f(x) = x^2 - 2ax + 3$ の定義域が $0 \leq x \leq 2$ であるとき、$f(x)$ の最小値を $a$ の値によって場合分けして求めなさい。

解答・解説を見る

ステップ1:平方完成する

$f(x) = x^2 - 2ax + 3$

$x^2-2ax$ の部分を平方完成します。$(x-a)^2 = x^2 - 2ax + a^2$ なので、

$x^2 - 2ax = (x-a)^2 - a^2$

これを代入すると、

$f(x) = (x-a)^2 - a^2 + 3$

頂点は $(a,\ 3-a^2)$ です。$x^2$ の係数は $1$ で正なので、上に開いた放物線です。

ステップ2:何が変わるのかを確認する

今回、定義域 $0 \leq x \leq 2$ は固定されていますが、頂点のx座標が $a$ という文字になっています。$a$ の値によって頂点が定義域の左にあったり、中にあったり、右にあったりするので、$a$ の値で場合分けが必要になります。要点整理の「場合1〜3」を、今度は文字 $a$ を使って考えることになります。

ステップ3:場合1 ―― 頂点が定義域より左にあるとき($a < 0$)

頂点のx座標 $a$ が $0$ より小さいとき、頂点は定義域 $0 \leq x \leq 2$ より左にあります。上に開いた放物線は頂点より右側でずっと増加するので、定義域の中では $f(x)$ はずっと増加します。よって最小値は左端 $x=0$ で決まります。

$f(0) = 0^2 - 2a \cdot 0 + 3 = 3$

$a < 0 \text{ のとき、最小値は } 3 \ (x=0 \text{ のとき})$

ステップ4:場合2 ―― 頂点が定義域の中にあるとき($0 \leq a \leq 2$)

このとき頂点そのものが定義域に含まれているので、頂点の $y$ 座標がそのまま最小値になります。

$0 \leq a \leq 2 \text{ のとき、最小値は } 3-a^2 \ (x=a \text{ のとき})$

ステップ5:場合3 ―― 頂点が定義域より右にあるとき($a > 2$)

頂点のx座標 $a$ が $2$ より大きいとき、頂点は定義域より右にあります。上に開いた放物線は頂点より左側でずっと減少するので、定義域の中では $f(x)$ はずっと減少します。よって最小値は右端 $x=2$ で決まります。

$f(2) = 2^2 - 2a \cdot 2 + 3 = 4 - 4a + 3 = 7-4a$

$a > 2 \text{ のとき、最小値は } 7-4a \ (x=2 \text{ のとき})$

ステップ6:答えをまとめる

以上をまとめると、最小値を $m(a)$ とすると次のようになります。

$ m(a) = \begin{cases} 3 & (a < 0) \\ 3-a^2 & (0 \leq a \leq 2) \\ 7-4a & (a > 2) \end{cases} $

境目の $a=0$ と $a=2$ でも値がつながっていることを確認しておくと安心です。例えば $a=2$ のとき、場合2の式では $3-2^2=-1$、場合3の式でも $7-4\cdot2=-1$ となり、一致します。

練習問題

問題

関数 $f(x) = x^2 - 6x + 10$ について、定義域が $1 \leq x \leq 4$ のときの最大値と最小値を求めなさい。

答え

平方完成すると $f(x) = (x-3)^2 + 1$ となり、頂点は $(3,1)$ です。頂点のx座標 $3$ は定義域 $1 \leq x \leq 4$ の中にあるので、最小値はそのまま頂点の値になります。

$\text{最小値} = 1 \quad (x=3 \text{ のとき})$

最大値は両端を比べます。$f(1) = (1-3)^2+1 = 5$、$f(4) = (4-3)^2+1 = 2$ なので、大きい方が最大値です。

$\text{最大値} = 5 \quad (x=1 \text{ のとき})$