数学II / 指数関数・対数関数
指数法則の拡張(有理数・実数指数)
要点整理
前のページでは、$\sqrt[n]{a}$ という記号を使って、$n$乗根の考え方を学びました。数学Iまでの「指数」は $2, 3, -1, 0$ のような整数だけでしたが、このページでは、その指数を分数(有理数)、さらには無理数を含む実数全体にまで広げていきます。指数を広げても、これまで使ってきた指数法則(たとえば $a^pa^q=a^{p+q}$ など)がそのまま使えるように定義する、というのが基本の考え方です。
分数指数の定義
$a>0$ とし、$m$ を整数、$n$ を $2$ 以上の整数とします。このとき、指数が分数 $\dfrac{1}{n}$ や $\dfrac{m}{n}$ である累乗を、次のように定義します。
$a^{\frac1n} = \sqrt[n]{a}$
$a^{\frac{m}{n}} = \left(a^{\frac1n}\right)^m = \left(\sqrt[n]{a}\right)^m = \sqrt[n]{a^m}$
なぜこのように定義するのでしょうか。理由は、指数法則 $(a^p)^q=a^{pq}$ が、指数が分数になっても成り立ってほしいからです。もし $a^{1/n}$ という数を $n$乗したとき、指数法則が成り立つならば、
$\left(a^{\frac1n}\right)^n = a^{\frac1n \times n} = a^1 = a$
となるはずです。つまり、「$n$乗すると $a$ になる数」ということになり、これはまさに前のページで学んだ $n$乗根 $\sqrt[n]{a}$ の定義そのものです。ですから、$a^{1/n}=\sqrt[n]{a}$ と定義すれば、指数法則をこわさずに、指数を分数にまで広げることができるのです。
負の指数の定義
指数が負の数(マイナスの数)であるときは、次のように定義します。$a>0$、$r$ を有理数とすると、
$a^{-r} = \frac{1}{a^r}$
負の指数は「マイナスをつける」という意味ではなく、「逆数にする」という意味であることに注意してください。たとえば $a^{-2}$ は $-a^2$ ではなく、$\dfrac{1}{a^2}$ を表します。
これも、指数法則 $a^pa^q=a^{p+q}$ が成り立ってほしいことから導かれる定義です。もし $a^{-r}\times a^r$ を計算したとき、指数法則が成り立つならば、
$a^{-r}\times a^r = a^{-r+r} = a^0 = 1$
となるはずです。積が $1$ になる数どうしは、互いに逆数の関係にあるので、$a^{-r}=\dfrac{1}{a^r}$ と定義すれば、この関係が成り立ちます。
指数法則(有理数指数)
$a>0$, $b>0$ とし、$p,q$ を有理数(分数や整数を含む数)とすると、数学Iで学んだ指数法則が、指数を有理数にまで広げても、そのまま成り立ちます。
$a^pa^q=a^{p+q}, \qquad \frac{a^p}{a^q}=a^{p-q}, \qquad (a^p)^q=a^{pq}, \qquad (ab)^p=a^pb^p$
さらに、指数を無理数(たとえば $\sqrt2$ のような、分数で表せない数)にまで広げた $a^{\sqrt2}$ のような数も定義することができ(値は $\sqrt2$ に近い分数を指数にした値にどんどん近づいていく、という考え方で定義されます)、上の指数法則は指数が実数全体であっても成り立つことが知られています。高校の学習では、このことを事実として認めて、法則を計算に使えるようになることが目標です。
具体例で確認する
$8^{2/3}$ を計算してみましょう。定義 $a^{m/n}=(\sqrt[n]{a})^m$ を使うと、$a=8$, $m=2$, $n=3$ なので、
$8^{\frac23} = \left(\sqrt[3]{8}\right)^2$
$\sqrt[3]{8}=2$($2^3=8$ より)なので、
$8^{\frac23} = 2^2 = 4$
例題
例題1(基本)
問題
$8^{\frac23}$ を計算しなさい。
解答・解説を見る
分数指数の定義 $a^{m/n}=\left(\sqrt[n]{a}\right)^m$ を使います。$a=8$, $m=2$, $n=3$ です。
$8^{\frac23} = \left(\sqrt[3]{8}\right)^2$
$\sqrt[3]{8}$ を先に計算します。$2^3=8$ なので、$\sqrt[3]{8}=2$ です。
$8^{\frac23} = 2^2 = 4$
したがって、$8^{\frac23}=4$ です。
例題2(標準)
問題
$27^{-\frac23}\times9^{\frac12}$ を計算しなさい。
解答・解説を見る
$27^{-\frac23}$ を計算する
負の指数の定義 $a^{-r}=\dfrac{1}{a^r}$ を使います。
$27^{-\frac23} = \frac{1}{27^{\frac23}}$
$27^{\frac23}$ を、分数指数の定義で計算します。$27=3^3$ なので $\sqrt[3]{27}=3$ です。
$27^{\frac23} = \left(\sqrt[3]{27}\right)^2 = 3^2=9$
したがって、
$27^{-\frac23} = \frac19$
$9^{\frac12}$ を計算する
$a^{1/2}$ は $2$乗根、つまり平方根を表すので、
$9^{\frac12} = \sqrt9 = 3$
まとめて計算する
$27^{-\frac23}\times9^{\frac12} = \frac19\times3 = \frac{3}{9} = \frac13$
したがって、答えは $\dfrac13$ です。
例題3(応用)
問題
$\sqrt[3]{4}\times\sqrt2$ を、$2^k$ の形(指数を分数にしたもの)で表しなさい。また、その結果を根号を使った形でも表しなさい。
解答・解説を見る
根号を、底が $2$ の分数指数に直す
$4=2^2$ なので、
$\sqrt[3]4 = 4^{\frac13} = \left(2^2\right)^{\frac13}$
指数法則 $(a^p)^q=a^{pq}$ を使って整理します。
$\left(2^2\right)^{\frac13} = 2^{2\times\frac13} = 2^{\frac23}$
また、
$\sqrt2 = 2^{\frac12}$
指数法則を使って掛け算する
指数法則 $a^pa^q=a^{p+q}$ を使うと、
$\sqrt[3]4\times\sqrt2 = 2^{\frac23}\times2^{\frac12} = 2^{\frac23+\frac12}$
指数の部分を、通分して足し算します。分母を$6$にそろえると、$\dfrac23=\dfrac46$、$\dfrac12=\dfrac36$ なので、
$\frac23+\frac12 = \frac46+\frac36 = \frac76$
したがって、
$\sqrt[3]4\times\sqrt2 = 2^{\frac76}$
根号を使った形に戻す
$2^{7/6}$ を、整数部分と分数部分に分けます。$\dfrac76 = 1+\dfrac16$ なので、指数法則 $a^{p+q}=a^pa^q$ を使うと、
$2^{\frac76} = 2^{1+\frac16} = 2^1\times2^{\frac16} = 2\times\sqrt[6]2$
したがって、$\sqrt[3]4\times\sqrt2 = 2^{\frac76} = 2\sqrt[6]2$ です。
練習問題
問題
$16^{\frac34}\div8^{\frac13}$ を計算しなさい。
答え
$4$
簡単な解説
$16=2^4$ なので $16^{3/4}=(2^4)^{3/4}=2^{4\times3/4}=2^3=8$。$8=2^3$ なので $8^{1/3}=(2^3)^{1/3}=2^{3\times1/3}=2^1=2$。よって $16^{3/4}\div8^{1/3}=8\div2=4$。