数学III / 微分法
第2次導関数とグラフの凹凸
要点整理
前のページでは、第1次導関数 $f'(x)$ の符号から、関数の増加・減少を調べました。ここでは、それをさらに1回微分した第2次導関数 $f''(x)$ の符号から、グラフの凹凸(丸まり方)を調べる方法を学びます。
凹凸とは何か
グラフには、増加・減少とは別に、「ふくらみ方」という性質があります。
- 下に凸:グラフが、お椀を上向きに置いたような形にふくらんでいる状態。このとき、曲線上のどの点で接線を引いても、その接線は曲線より下側(または接している点でのみ触れる)にあります。
- 上に凸:グラフが、山のように上向きにふくらんでいる状態。このとき、どの点で接線を引いても、接線は曲線より上側にあります。
この凹凸は、次のように第2次導関数の符号で判定できます。
$f''(x)>0\ \text{である区間}\implies \text{下に凸}$
$f''(x)<0\ \text{である区間}\implies \text{上に凸}$
直感的には、$f''(x)$ は「$f'(x)$(傾き)の変化の割合」を表しています。$f''(x)>0$ ならば傾き $f'(x)$ 自身が増加している、つまり左から右に進むにつれて接線がどんどん急な上向きに変わっていく(お椀型)、というイメージです。
変曲点
グラフの凹凸が、下に凸から上に凸へ(またはその逆に)切り替わる点を、変曲点といいます。変曲点になる可能性がある点は、$f''(x)=0$ を満たす点ですが、極値のときと同様に、その前後で $f''(x)$ の符号が実際に変わっているかを確認する必要があります。符号が変わらなければ、その点は変曲点ではありません。
第2次導関数を使った極値の判定法
前のページでは、$f'(x)$ の符号が正から負(または負から正)に変わる点を探すことで、極大・極小を判定しました。実は、$f''(x)$ を使うと、もっと素早く判定できる場合があります。
$f'(a)=0\ \text{かつ}\ f''(a)<0 \implies x=a\ \text{で極大}$
$f'(a)=0\ \text{かつ}\ f''(a)>0 \implies x=a\ \text{で極小}$
これは、「傾きが $0$ になる点で、グラフが上に凸(山型)ならば頂上=極大、下に凸(お椀型)ならば谷底=極小になっている」という考え方です。
ただし、$f''(a)=0$ になってしまった場合は、この判定法では何も分かりません(極大かもしれないし、極小かもしれないし、どちらでもないかもしれません)。その場合は、前のページで学んだ「$f'(x)$ の符号の変化を直接調べる」方法に戻る必要があります(例題2で確認します)。
増減表と凹凸表を組み合わせたグラフの分析
$f'(x)$ の符号(増加・減少)と $f''(x)$ の符号(凹凸)を1つの表にまとめることで、グラフの概形をかなり正確に把握できます。極大・極小・変曲点をすべて書き込んだ表を作る方法を、例題3で確認します。
例題
例題1(基本)
問題
関数 $f(x)=x^3-6x^2+9x+1$ の凹凸を調べ、変曲点を求めなさい。
解答・解説を見る
$f''(x)$ を求める
まず1回微分します。
$f'(x) = 3x^2-12x+9$
もう一度微分します。
$f''(x) = 6x-12$
$f''(x)=0$ となる $x$ を求める
$6x-12=0 \implies x=2$
符号を調べる
$f''(x)=6x-12=6(x-2)$ です。
- $x<2$ のとき:$x-2<0$ なので $f''(x)<0$ → 上に凸
- $x>2$ のとき:$x-2>0$ なので $f''(x)>0$ → 下に凸
$x=2$ の前後で符号が変わっているので、$x=2$ は変曲点です。
変曲点の $y$ 座標を求める
$f(2) = 2^3-6\times 2^2+9\times 2+1 = 8-24+18+1 = 3$
答え:$x<2$ で上に凸、$x>2$ で下に凸。変曲点は $(2,3)$。
例題2(標準)
問題
関数 $f(x)=x^4-4x^3$ の極値を、第2次導関数を利用して調べなさい。
解答・解説を見る
$f'(x)$、$f''(x)$ を求める
$f'(x) = 4x^3-12x^2 = 4x^2(x-3)$
$f''(x) = 12x^2-24x = 12x(x-2)$
$f'(x)=0$ となる $x$ を求める
$4x^2(x-3)=0 \implies x=0,\ 3$
$x=3$ を第2次導関数で判定する
$f''(3) = 12\times 3\times(3-2) = 36\times 1 = 36 > 0$
$f''(3)>0$ なので、$x=3$ で極小です。極小値は、
$f(3) = 3^4-4\times 3^3 = 81-108 = -27$
$x=0$ を第2次導関数で判定する
$f''(0) = 12\times 0\times(0-2) = 0$
$f''(0)=0$ となってしまい、この判定法だけでは極大か極小かどちらでもないか判断できません。そこで、$f'(x)$ の符号を直接調べます。
$f'(x) = 4x^2(x-3)$
$x^2$ は $x$ がどんな値でも $0$ 以上なので、$f'(x)$ の符号は $(x-3)$ の符号だけで決まります。$x=0$ の前後(例えば $x=-1$ でも $x=1$ でも)、いずれも $x<3$ の範囲なので $(x-3)<0$ となり、$f'(x)\leq 0$ です。つまり、$x=0$ の前後で $f'(x)$ の符号は変化せず、負のままです(ちょうど $x=0$ でだけ $f'(x)=0$ になり、一瞬グラフの傾きが水平になるだけ)。
符号が変化していないので、$x=0$ は極大でも極小でもありません。
答え:$x=3$ で極小値 $-27$。$x=0$ は極値ではない(第2次導関数の判定法が使えない例外的なケース)。
例題3(応用)
問題
関数 $f(x)=x^3-3x^2$ について、増減・凹凸をすべて調べ、極大値・極小値・変曲点を求めなさい。
解答・解説を見る
$f'(x)$、$f''(x)$ を求める
$f'(x) = 3x^2-6x = 3x(x-2)$
$f''(x) = 6x-6 = 6(x-1)$
$f'(x)=0$、$f''(x)=0$ となる $x$ を求める
$f'(x)=0 \implies x=0,\ 2\qquad f''(x)=0 \implies x=1$
$f'(x)$ の符号を調べる
- $x<0$(例えば $x=-1$):$f'(-1)=3(-1)(-1-2)=3(-1)(-3)=9>0$ → 増加
- $0
- $x>2$(例えば $x=3$):$f'(3)=3(3)(3-2)=9>0$ → 増加
$f''(x)$ の符号を調べる
- $x<1$:$f''(x)=6(x-1)<0$ → 上に凸
- $x>1$:$f''(x)=6(x-1)>0$ → 下に凸
それぞれの点での $y$ の値を求める
$f(0)=0,\qquad f(1)=1-3=-2,\qquad f(2)=8-12=-4$
増減表と凹凸表をまとめる
| $x$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ | $2$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $-$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f''(x)$ | $-$ | $-$ | $-$ | $0$ | $+$ | $+$ | $+$ |
| $f(x)$ | 増加 | 極大 $0$ | 減少 | 変曲点 $-2$ | 減少 | 極小 $-4$ | 増加 |
$x=0$ の前後で $f'(x)$ が正から負に変わるので極大、$x=2$ の前後で負から正に変わるので極小です。$x=1$ の前後で $f''(x)$ が負から正に変わるので変曲点です。
答え:$x=0$ で極大値 $0$、$x=2$ で極小値 $-4$、変曲点は $(1,-2)$。$x<1$ で上に凸、$x>1$ で下に凸。
練習問題
問題1
関数 $f(x)=x^3-3x+2$ の凹凸を調べ、変曲点を求めなさい。
答え
$f''(x)=6x$ より $x<0$ で上に凸、$x>0$ で下に凸。変曲点は $f(0)=2$ より $(0,2)$ です。
問題2
関数 $f(x)=-x^4+2x^2$ の極値を、第2次導関数を利用して調べなさい。
答え
$f'(x)=-4x^3+4x=-4x(x^2-1)=-4x(x-1)(x+1)$ より候補は $x=0,\pm1$。$f''(x)=-12x^2+4$。$f''(1)=-8<0$ で極大、$f(1)=-1+2=1$。$f''(-1)=-8<0$ で極大、$f(-1)=1$。$f''(0)=4>0$ で極小、$f(0)=0$。よって $x=\pm1$ で極大値 $1$、$x=0$ で極小値 $0$ です。