数学II / いろいろな式

章末問題

章末問題

問題1

問題

整式 $P(x) = x^3 - 2x^2 + 3x - 5$ を、1次式 $x-2$ で割った商と余りを求めなさい。また、剰余の定理(整式 $P(x)$ を $x-a$ で割った余りは $P(a)$ の値に等しい、という定理です)を使って、求めた余りの値が正しいことを確認しなさい。

解答・解説を見る

まず、$P(x)=x^3-2x^2+3x-5$ を $x-2$ で実際に割り算します。割り算は、最高次の項から順に1つずつ処理していきます。

ステップ1: 最高次の項に着目する

$x^3$ を $x$ で割ると $x^2$ になります。これが商の最初の項です。

$x^2 \times (x-2) = x^3-2x^2$

これをもとの式から引き算します。

$(x^3-2x^2+3x-5) - (x^3-2x^2) = 3x-5$

ステップ2: 残った式に同じ操作をくり返す

残った式は $3x-5$ です。$3x$ を $x$ で割ると $3$ になるので、商の次の項は $3$ です。

$3 \times (x-2) = 3x-6$

これを引き算します。

$(3x-5) - (3x-6) = 1$

もう $x$ の項が残っていない(次数が $x-2$ の次数である1より低い)ので、ここで割り算は終わりです。

結果

商は $x^2+3$、余りは $1$ です。式で表すと次のようになります。

$x^3-2x^2+3x-5 = (x-2)(x^2+3)+1$

剰余の定理による確認

剰余の定理を使うと、$P(x)$ を $x-2$ で割った余りは、$x-2=0$ となる $x=2$ を $P(x)$ に代入した値 $P(2)$ に等しいはずです。実際に計算してみます。

$P(2) = 2^3 - 2\times 2^2 + 3\times 2 - 5$

1つずつ計算します。

$= 8 - 8 + 6 - 5$

$= 1$

筆算で求めた余り $1$ と一致しました。したがって、商 $x^2+3$、余り $1$ という答えは正しいと確認できます。

問題2

問題

次の式を計算し、できるだけ簡単な分数式で表しなさい。

$\frac{x+1}{x-1} - \frac{x-1}{x+1}$

解答・解説を見る

分母が異なる分数(分数式)を引き算するには、まず分母をそろえる「通分」という操作をする必要があります。

ステップ1: 分母をそろえる

1つ目の分数の分母・分子の両方に $(x+1)$ をかけます。分母・分子に同じものをかけても、分数の値は変わりません。

$\frac{x+1}{x-1} = \frac{(x+1)(x+1)}{(x-1)(x+1)} = \frac{(x+1)^2}{(x-1)(x+1)}$

同じように、2つ目の分数の分母・分子の両方に $(x-1)$ をかけます。

$\frac{x-1}{x+1} = \frac{(x-1)(x-1)}{(x+1)(x-1)} = \frac{(x-1)^2}{(x-1)(x+1)}$

ステップ2: 分子どうしを引き算する

分母がそろったので、分子だけを引き算します。

$\frac{x+1}{x-1} - \frac{x-1}{x+1} = \frac{(x+1)^2}{(x-1)(x+1)} - \frac{(x-1)^2}{(x-1)(x+1)} = \frac{(x+1)^2 - (x-1)^2}{(x-1)(x+1)}$

ステップ3: 分子を展開する

$(x+1)^2$ と $(x-1)^2$ をそれぞれ展開します。

$(x+1)^2 = x^2+2x+1$

$(x-1)^2 = x^2-2x+1$

これらを引き算します。

$(x+1)^2-(x-1)^2 = (x^2+2x+1) - (x^2-2x+1)$

かっこをはずすとき、後ろのかっこの中の符号がすべて反転することに注意します。

$= x^2+2x+1 - x^2+2x-1$

同類項(文字の部分が同じ項)どうしをまとめます。

$= 4x$

ステップ4: 分母を展開する

$(x-1)(x+1) = x^2-1$

ステップ5: 答えをまとめる

以上より

$\frac{x+1}{x-1} - \frac{x-1}{x+1} = \frac{4x}{x^2-1}$

となります。(ただし、分母が0にならないように $x \neq 1,\ x \neq -1$ とします。)

問題3

問題

$(2x-1)^5$ を展開したとき、$x^3$ の項の係数を求めなさい。

解答・解説を見る

$(2x-1)^5$ のように $(a+b)^n$ の形をした式をすべて展開するのは大変ですが、「二項定理」を使うと、特定の項だけをピンポイントで求めることができます。

二項定理とは、$(a+b)^n$ を展開したときの一般項(いろいろな項の中の代表となる1つの項)が

$\binom{n}{k} a^{n-k} b^{k} \quad (k=0,1,2,\dots,n)$

と表される、という定理です。ここで $\binom{n}{k}$ は「$n$個のものから$k$個を選ぶ組合せの数」を表し、

$\binom{n}{k} = \frac{n!}{k!\,(n-k)!}$

で計算します($n!$ は $n$ から $1$ までの整数をすべてかけ合わせたものです)。

ステップ1: $a,b,n$ を確認する

今回は $(2x-1)^5$ なので、$a=2x$、$b=-1$、$n=5$ です。一般項は

$\binom{5}{k}(2x)^{5-k}(-1)^{k}$

となります。

ステップ2: $x^3$ になる $k$ を求める

$(2x)^{5-k}$ の部分から $x^{5-k}$ が出てくるので、これが $x^3$ になるためには

$5-k=3$

これを解くと

$k=2$

ステップ3: $k=2$ を一般項に代入する

$\binom{5}{2}(2x)^{5-2}(-1)^{2} = \binom{5}{2}(2x)^{3}(-1)^{2}$

ステップ4: それぞれの部分を計算する

まず $\binom{5}{2}$ を計算します。

$\binom{5}{2} = \frac{5!}{2!\,3!} = \frac{5\times4\times3\times2\times1}{(2\times1)\times(3\times2\times1)} = \frac{120}{2\times6} = \frac{120}{12} = 10$

次に $(2x)^3$ を計算します。

$(2x)^3 = 2^3 \times x^3 = 8x^3$

最後に $(-1)^2$ を計算します。

$(-1)^2 = 1$

ステップ5: すべてをかけ合わせる

$10 \times 8x^3 \times 1 = 80x^3$

したがって、$x^3$ の項は $80x^3$ であり、その係数は $80$ です。

問題4

問題

次の式を計算し、$a+bi$ の形($a,b$ は実数)で表しなさい。

$(1+2i)(3-i) - \frac{4}{1+i}$

ここで $i$ は虚数単位と呼ばれる数で、$i^2=-1$ を満たします。

解答・解説を見る

この式は「かけ算の部分」と「わり算の部分」に分けて、それぞれ計算してから最後に引き算します。

ステップ1: $(1+2i)(3-i)$ を計算する

分配法則(かっこをはずして、すべての組み合わせをかけ合わせる方法)を使って展開します。

$(1+2i)(3-i) = 1\times3 + 1\times(-i) + 2i\times3 + 2i\times(-i)$

$= 3 - i + 6i - 2i^2$

ここで $i^2=-1$ なので、$-2i^2 = -2\times(-1) = 2$ となります。

$= 3 - i + 6i + 2$

実部(虚数単位 $i$ がついていない部分)どうし、虚部($i$ がついている部分の係数)どうしをそれぞれまとめます。

$= (3+2) + (-1+6)i = 5+5i$

ステップ2: $\dfrac{4}{1+i}$ を計算する

分母に虚数単位が含まれる分数を実数の分母に直すには、分母・分子の両方に、分母の共役複素数(虚部の符号だけを反転させた複素数のことです)をかけます。$1+i$ の共役複素数は $1-i$ です。

$\frac{4}{1+i} = \frac{4(1-i)}{(1+i)(1-i)}$

分母を計算します。

$(1+i)(1-i) = 1^2 - i^2 = 1-(-1) = 2$

したがって

$\frac{4}{1+i} = \frac{4(1-i)}{2} = 2(1-i) = 2-2i$

ステップ3: 2つの結果を引き算する

$(5+5i) - (2-2i)$

かっこをはずすとき、後ろのかっこの符号がすべて反転することに注意します。

$= 5+5i-2+2i$

実部どうし、虚部どうしをまとめます。

$= (5-2) + (5+2)i = 3+7i$

したがって、答えは $3+7i$ です。

問題5

問題

2次方程式 $x^2-4x+7=0$ の2つの解を $\alpha,\beta$ とします。次の問いに答えなさい。

(1) 解と係数の関係を用いて、$\alpha+\beta$ と $\alpha\beta$ の値を求めなさい。

(2) $\alpha^2+\beta^2$ の値を求めなさい。

(3) 実際に解の公式を使って $\alpha,\beta$ を求め、(1)の結果が正しいことを確かめなさい。

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(1) 解と係数の関係を使う

解と係数の関係とは、2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の2つの解を $\alpha,\beta$ とするとき

$\alpha+\beta = -\frac{b}{a}, \qquad \alpha\beta = \frac{c}{a}$

が成り立つ、という関係です(左辺の $ax^2+bx+c$ を $a(x-\alpha)(x-\beta)$ の形に書き直して展開し、係数を比較することで導かれます)。

今回の方程式 $x^2-4x+7=0$ は $a=1,\ b=-4,\ c=7$ です。これを代入します。

$\alpha+\beta = -\frac{-4}{1} = 4$

$\alpha\beta = \frac{7}{1} = 7$

(2) $\alpha^2+\beta^2$ を求める

$(\alpha+\beta)^2$ を展開すると

$(\alpha+\beta)^2 = \alpha^2+2\alpha\beta+\beta^2$

となるので、これを $\alpha^2+\beta^2$ について解くと

$\alpha^2+\beta^2 = (\alpha+\beta)^2 - 2\alpha\beta$

という変形ができます。(1)で求めた値を代入します。

$\alpha^2+\beta^2 = 4^2 - 2\times7$

1つずつ計算します。

$= 16 - 14 = 2$

(3) 解の公式で実際に解を求める

2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解の公式は

$x = \frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$

です。$a=1,\ b=-4,\ c=7$ を代入します。まず、ルートの中身($判別式$と呼ばれます)を計算します。

$b^2-4ac = (-4)^2 - 4\times1\times7 = 16-28 = -12$

ルートの中身が負の数になったので、この方程式は実数の解を持たず、複素数の解を持ちます。$\sqrt{-1}=i$ であることを使うと

$\sqrt{-12} = \sqrt{12}\times\sqrt{-1} = \sqrt{4\times3}\times i = 2\sqrt3\,i$

と変形できます。これを解の公式に代入します。

$x = \frac{4\pm2\sqrt3\,i}{2}$

分母の $2$ で、分子の $4$ と $2\sqrt3$ の両方を割ります。

$x = 2\pm\sqrt3\,i$

したがって、$\alpha=2+\sqrt3\,i,\ \beta=2-\sqrt3\,i$(どちらを $\alpha$ としても構いません)。

確認

$\alpha+\beta = (2+\sqrt3\,i)+(2-\sqrt3\,i) = 4$

これは(1)の結果と一致します。

$\alpha\beta = (2+\sqrt3\,i)(2-\sqrt3\,i) = 2^2-(\sqrt3\,i)^2 = 4-3i^2 = 4-3\times(-1) = 4+3=7$

これも(1)の結果と一致しました。

問題6

問題

整式 $P(x) = x^3-3x^2-4x+12$ について、次の問いに答えなさい。

(1) 剰余の定理を用いて、$P(x)$ を $x-2$ で割った余りを求めなさい。

(2) (1)の結果を利用して、方程式 $P(x)=0$ を解きなさい。

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(1) 剰余の定理で余りを求める

剰余の定理より、$P(x)$ を $x-2$ で割った余りは、$P(2)$ の値に等しくなります。実際に計算します。

$P(2) = 2^3 - 3\times2^2 - 4\times2 + 12$

1つずつ計算します。

$= 8 - 12 - 8 + 12$

$= 0$

余りは $0$ です。

余りが $0$ になるということは、$P(x)$ は $x-2$ でちょうど割り切れる、つまり $x-2$ は $P(x)$ の因数(かけ算のもとになっている式)である、ということを意味します。これを因数定理と言います。因数定理とは、「$P(a)=0$ ならば $x-a$ は $P(x)$ の因数である」という定理です。

(2) $P(x)=0$ を解く

$x-2$ が因数であることが分かったので、実際に $P(x)$ を $x-2$ で割り算して、もう1つの因数を求めます。

ステップ1: 最高次の項に着目する

$x^3$ を $x$ で割ると $x^2$ です。

$x^2\times(x-2) = x^3-2x^2$

引き算します。

$(x^3-3x^2-4x+12) - (x^3-2x^2) = -x^2-4x+12$

ステップ2: 残った式に同じ操作をくり返す

$-x^2$ を $x$ で割ると $-x$ です。

$-x\times(x-2) = -x^2+2x$

引き算します。

$(-x^2-4x+12) - (-x^2+2x) = -6x+12$

ステップ3: さらにくり返す

$-6x$ を $x$ で割ると $-6$ です。

$-6\times(x-2) = -6x+12$

引き算します。

$(-6x+12) - (-6x+12) = 0$

余りが $0$ になったので、割り算は終わりです。商は $x^2-x-6$ です。つまり

$P(x) = (x-2)(x^2-x-6)$

ステップ4: $x^2-x-6$ をさらに因数分解する

かけて $-6$、足して $-1$ になる2つの整数を探します。$-3$ と $2$ に着目すると

$(-3)\times2 = -6, \qquad (-3)+2=-1$

となり、条件を満たします。したがって

$x^2-x-6 = (x-3)(x+2)$

ステップ5: $P(x)$ を完全に因数分解する

$P(x) = (x-2)(x-3)(x+2)$

ステップ6: $P(x)=0$ を解く

3つの因数の積が $0$ になるのは、少なくとも1つの因数が $0$ になるときです。それぞれを $0$ とおきます。

$x-2=0 \ \Longrightarrow\ x=2$

$x-3=0 \ \Longrightarrow\ x=3$

$x+2=0 \ \Longrightarrow\ x=-2$

したがって、方程式 $P(x)=0$ の解は $x=2,\ 3,\ -2$ です。

問題7

問題

(1) 次の等式が、$x$ についての恒等式となるように、定数 $a,b,c$ の値を求めなさい。

$x^2+3x+5 = a(x-1)^2+b(x-1)+c$

(2) 実数 $x,y$ に対して、次の不等式が成り立つことを証明しなさい。また、等号が成り立つのはどのようなときか答えなさい。

$x^2+y^2 \geq 2xy$

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(1) 恒等式の係数を求める

恒等式とは、含まれている文字にどんな値を代入しても、両辺が常に等しくなる等式のことです(特定の $x$ の値でしか成り立たない「方程式」とは違うものです)。この問題は、両辺の $x^2$ の係数どうし、$x$ の係数どうし、定数項どうしをそれぞれ比較する「係数比較法」で解きます。

ステップ1: 右辺を展開する

まず $(x-1)^2$ を展開します。

$(x-1)^2 = x^2-2x+1$

これを使って $a(x-1)^2$ を展開します。

$a(x-1)^2 = a(x^2-2x+1) = ax^2-2ax+a$

右辺全体を書き直します。

$a(x-1)^2+b(x-1)+c = (ax^2-2ax+a) + (bx-b) + c$

ステップ2: $x$ について整理する

$x^2$ の項、$x$ の項、定数項に分けてまとめます。

$= ax^2 + (-2a+b)x + (a-b+c)$

ステップ3: 左辺と係数を比較する

左辺は $x^2+3x+5$ でした。両辺の $x^2$ の係数、$x$ の係数、定数項がそれぞれ等しくなる必要があります。

$x^2\text{の係数}:\quad a=1$

$x\text{の係数}:\quad -2a+b=3$

$\text{定数項}:\quad a-b+c=5$

ステップ4: 順番に値を求める

1つ目の式より

$a=1$

これを2つ目の式に代入します。

$-2\times1+b=3$

$-2+b=3$

$b=5$

$a=1,\ b=5$ を3つ目の式に代入します。

$1-5+c=5$

$-4+c=5$

$c=9$

したがって $a=1,\ b=5,\ c=9$ です。

検算

$x=1$ を代入して確かめます。左辺は

$1^2+3\times1+5 = 1+3+5=9$

右辺は

$a(1-1)^2+b(1-1)+c = a\times0+b\times0+c = c = 9$

両辺とも $9$ になり、一致しました。

(2) 不等式を証明する

不等式を証明するときによく使われるのは、「(左辺)$-$(右辺)を計算して、その結果が $0$ 以上(または $0$ 以下)であることを示す」という方法です。今回は左辺が $x^2+y^2$、右辺が $2xy$ なので、その差を計算します。

$x^2+y^2-2xy$

この式が、実は $(x-y)^2$ を展開した形と同じであることを確認します。

$(x-y)^2 = x^2-2xy+y^2$

これは $x^2+y^2-2xy$ と同じ式です(足し算の順番が違うだけです)。したがって

$x^2+y^2-2xy = (x-y)^2$

という等式が成り立ちます。ここで、$x-y$ がどのような実数であっても、実数を2乗した値は必ず $0$ 以上になる、という性質があります。つまり

$(x-y)^2 \geq 0$

が常に成り立ちます。先ほどの等式と合わせると

$x^2+y^2-2xy \geq 0$

が成り立つことが分かります。この不等式の両辺に $2xy$ を加えます。

$x^2+y^2-2xy+2xy \geq 0+2xy$

$x^2+y^2 \geq 2xy$

これで、証明したかった不等式が示せました。

等号が成り立つ条件

等号(すなわち $x^2+y^2=2xy$)が成り立つのは、$(x-y)^2=0$ となるときです。$2$乗して $0$ になるのは、もとの数が $0$ のときだけなので

$x-y=0$

すなわち

$x=y$

のときに等号が成り立ちます。

問題8

問題

$a,b$ を実数の定数とします。3次方程式

$x^3+ax^2+bx+10=0$

が $x=1+2i$ を解の1つに持つとき、$a,b$ の値を求めなさい。また、この方程式の解をすべて求めなさい。

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ステップ1: もう1つの複素数解を見つける

この方程式の係数 $1,\,a,\,b,\,10$ はすべて実数です。実数を係数とする方程式が虚数解(実数でない複素数の解)を持つとき、その解の共役複素数(虚部の符号だけを反転させた複素数)も必ずその方程式の解になる、という性質があります。

$1+2i$ の共役複素数は $1-2i$ なので、$x=1-2i$ もこの方程式の解です。

3次方程式には解が(重なりも含めて)3つあります。すでに $1+2i$ と $1-2i$ という2つの解が分かったので、残り1つの解を実数 $r$ とおきます。

ステップ2: 解と係数の関係を確認する

3次方程式 $x^3+ax^2+bx+c=0$ の3つの解を $p,q,r$ とすると、次の関係が成り立ちます。

$p+q+r=-a, \qquad pq+qr+rp=b, \qquad pqr=-c$

(これは、$x^3+ax^2+bx+c=(x-p)(x-q)(x-r)$ の右辺を展開し、左辺と係数を比較することで導けます。)

今回は $c=10$ で、3つの解は $1+2i,\ 1-2i,\ r$ です。

ステップ3: 複素数解どうしの和と積を先に計算する

$(1+2i)+(1-2i) = 1+2i+1-2i = 2$

$(1+2i)(1-2i) = 1^2-(2i)^2 = 1-4i^2$

$i^2=-1$ なので

$= 1-4\times(-1) = 1+4=5$

ステップ4: 3つの解の積の関係から $r$ を求める

$pqr = -c$

より

$(1+2i)(1-2i)\times r = -10$

ステップ3の結果を代入します。

$5r=-10$

$r=-2$

ステップ5: 3つの解の和の関係から $a$ を求める

$p+q+r=-a$

より

$(1+2i)+(1-2i)+r = -a$

ステップ3・ステップ4の結果を代入します。

$2+(-2) = -a$

$0=-a$

$a=0$

ステップ6: 3つの解の2つずつの積の和から $b$ を求める

$pq+qr+rp = b$

$pq$ はステップ3で求めた $5$ です。$qr+rp$ は共通因数 $r$ でくくることができます。

$qr+rp = r(q+p) = r\big[(1+2i)+(1-2i)\big] = r\times2$

したがって

$b = pq+qr+rp = 5+2r$

$r=-2$ を代入します。

$b = 5+2\times(-2) = 5-4=1$

ステップ7: 結果をまとめる

$a=0,\qquad b=1$

方程式は

$x^3+x+10=0$

となり、解は

$x=1+2i,\ \ 1-2i,\ \ -2$

の3つです。

確認

$r=-2$ を方程式に代入して確かめます。

$(-2)^3+0\times(-2)^2+1\times(-2)+10 = -8+0-2+10=0$

たしかに成り立っています。