数学II / 図形と方程式

よくある間違い

数学IIの「図形と方程式」は、座標平面上の点や図形を方程式という数式の言葉で表す単元です。公式の数がとても多く、しかも似たような形の公式が並んでいるため、符号を1つ間違えたり、公式の一部を書き忘れたりといったミスがとても起こりやすくなります。ここでは、この単元でよくある間違いを9個取り上げます。「自分もこれ、やったことがあるかも」と思いながら読んでみてください。

間違い1:2点間の距離を求めるとき、座標の差をそのまま足してしまう

よくある誤答例

2点 $\mathrm{A}(1,2)$、$\mathrm{B}(4,6)$ の距離を求める問題で、

$\mathrm{AB} = |4-1|+|6-2| = 3+4=7$

のように、$x$座標の差と$y$座標の差を、そのまま足し算してしまう。

なぜ間違いなのか

2点間の距離は、三平方の定理を使って「$x$座標の差の2乗」と「$y$座標の差の2乗」を足してから平方根をとる、という手順で求めるものであり、差をそのまま足すものではありません。実際に正しい方法で計算すると、

$\mathrm{AB} = \sqrt{(4-1)^2+(6-2)^2} = \sqrt{3^2+4^2} = \sqrt{9+16}=\sqrt{25}=5$

となり、誤答の $7$ とは異なる値になります。座標平面上で2点$\mathrm{A}$, $\mathrm{B}$と、直角三角形を作るためのもう1点を図にかいてみると、$\mathrm{AB}$ が直角三角形の斜辺にあたることが分かり、単純な足し算ではなく三平方の定理が必要になる理由が納得できます。

正しい考え方

2点間の距離の公式 $\mathrm{AB}=\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2}$ を必ず使います。座標の差を先に2乗してから、足し算し、最後に平方根をとる、という順番を守りましょう。正しい答えは $\mathrm{AB}=5$ です。

間違い2:内分点の公式で、$m$ と $n$ を逆に代入してしまう

よくある誤答例

2点 $\mathrm{A}(0,0)$、$\mathrm{B}(5,0)$ を結ぶ線分を、$\mathrm{AP}:\mathrm{PB}=2:3$ に内分する点 $\mathrm{P}$ の座標を求める問題で、内分点の公式 $\left(\dfrac{nx_1+mx_2}{m+n},\ \dfrac{ny_1+my_2}{m+n}\right)$ に、$m=2$, $n=3$ のところを $m$ と $n$ を逆にして代入してしまう。

$x = \frac{2\times0+3\times5}{2+3} = \frac{15}{5}=3$

なぜ間違いなのか

内分点の公式では、比 $\mathrm{AP}:\mathrm{PB}=m:n$ の $m$ は点 $\mathrm{A}$ 側の比の値、$n$ は点 $\mathrm{B}$ 側の比の値です。ところが公式の分子は $nx_1+mx_2$ となっていて、$\mathrm{A}$ の座標 $x_1$ には反対側の比の値 $n$ が、$\mathrm{B}$ の座標 $x_2$ には反対側の比の値 $m$ がかけられる形になっています。これを取り違えると、比が逆になった点を計算してしまいます。

今回、点 $\mathrm{A}(0,0)$ から点 $\mathrm{B}(5,0)$ までの距離は $5$ で、$\mathrm{AP}:\mathrm{PB}=2:3$ ということは、$\mathrm{AP}$ の長さは全体の $\dfrac{2}{2+3}=\dfrac25$、つまり $5\times\dfrac25=2$ のはずです。したがって点 $\mathrm{P}$ の $x$座標は $0+2=2$ になるはずですが、誤答例では $x=3$ となっており、これは比を $3:2$ で計算してしまった結果と一致してしまっています。

正しい考え方

$m=2$(点$\mathrm{A}$側)、$n=3$(点$\mathrm{B}$側)を、公式の正しい位置に代入します。

$x = \frac{nx_1+mx_2}{m+n} = \frac{3\times0+2\times5}{2+3} = \frac{10}{5}=2$

したがって、正しくは $\mathrm{P}(2,0)$ です。内分点の公式を使うときは、「比の中で、$\mathrm{A}$に近い側の数($m$)が、実は$\mathrm{B}$の座標にかけられる」という、少しねじれた対応関係を意識するようにしましょう。

間違い3:直線の方程式 $y-y_1=m(x-x_1)$ に、座標の符号をそのまま代入してしまう

よくある誤答例

点 $(-2,3)$ を通り、傾き $4$ の直線の方程式を求める問題で、

$y-3 = 4(x-2)$

のように、$x_1=-2$ の符号を反映せずに代入してしまう。

なぜ間違いなのか

公式は $y-y_1=m(x-x_1)$ であり、$x_1=-2$ を代入するときは $x-x_1=x-(-2)$ となるはずです。誤答例では、$x-2$ としてしまっており、これは $x_1=2$(符号が反対の数)を代入したのと同じ結果になってしまっています。実際に $x=-2$ を代入して、直線が点 $(-2,3)$ を通るかどうか確認すると、誤答の式 $y-3=4(x-2)$ に $x=-2$ を代入すると $y-3=4\times(-4)=-16$ より $y=-13$ となり、$y=3$ にはならないので、この直線は点 $(-2,3)$ を通っていません。

正しい考え方

$x_1=-2$, $y_1=3$, $m=4$ を、符号に注意して公式に代入します。

$y-3 = 4\big(x-(-2)\big)$

かっこの中を整理します。

$y-3 = 4(x+2)$

右辺を展開します。

$y-3=4x+8$

両辺に $3$ を足します。

$y=4x+11$

検算:$x=-2$ を代入すると $y=4\times(-2)+11=-8+11=3$ となり、確かに点 $(-2,3)$ を通っています。マイナスの座標を代入するときは、かっこを1つ増やして、符号をそのまま残すことを習慣にしましょう。

間違い4:垂直条件を、傾きの積が $1$ になることだと勘違いする

よくある誤答例

直線 $y=x$ に垂直な直線の傾きを求める問題で、垂直条件を「傾きの積が $1$」だと思い込み、

$1\times m=1 \quad\Rightarrow\quad m=1$

として、垂直な直線の傾きも $1$ だと誤答してしまう。

なぜ間違いなのか

直線 $y=x$ に垂直な直線の傾きが、もとの直線と同じ $1$ になるはずがありません。傾きが同じ($m_1=m_2$)であることは、平行の条件であって垂直の条件ではないからです。実際に $y=x$ と、傾き $-1$ の直線 $y=-x$ を思い浮かべると、この2直線は原点で交わり、$x$軸に対してそれぞれ $45°$ 傾いているので、2直線がなす角はちょうど $90°$(直角)になっていることがイメージできます。垂直条件は、傾きの積が $-1$ になることです。

正しい考え方

垂直条件 $m_1m_2=-1$ を使います。

$1\times m=-1 \quad\Rightarrow\quad m=-1$

したがって、直線 $y=x$ に垂直な直線の傾きは $-1$ です。「垂直」は傾きの積が $-1$、「平行」は傾きが等しい、という違いを混同しないようにしましょう。

間違い5:点と直線の距離の公式で、絶対値や根号を忘れてしまう

よくある誤答例

点 $(1,1)$ と直線 $3x+4y-20=0$ の距離を求める問題で、絶対値をつけずに、

$d = \frac{3\times1+4\times1-20}{5} = \frac{-13}{5}=-\frac{13}{5}$

のように、マイナスの値のまま答えにしてしまう。

なぜ間違いなのか

距離は、必ず $0$ 以上の値になる量です。マイナスの距離というものは存在しません。点と直線の距離の公式 $d=\dfrac{|ax_1+by_1+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}$ の分子には、絶対値の記号がついています。これは、$ax_1+by_1+c$ の値がマイナスになる場合でも、符号を無視して正の値に直すためのものです。この絶対値を忘れると、点の位置によっては距離がマイナスの値になってしまい、明らかにおかしな答えになります。

正しい考え方

分子には必ず絶対値をつけます。

$d = \frac{|3\times1+4\times1-20|}{\sqrt{3^2+4^2}} = \frac{|3+4-20|}{\sqrt{9+16}} = \frac{|-13|}{\sqrt{25}} = \frac{13}{5}$

したがって、正しい距離は $\dfrac{13}{5}$ です。あわせて、分母の $\sqrt{a^2+b^2}$ の根号($\sqrt{\ }$)を忘れて $a^2+b^2$ のまま(今回なら $25$)でわってしまうミスもよく見られます。分母は「2乗の和」ではなく「2乗の和の平方根」であることも、あわせて確認しておきましょう。

間違い6:円の標準形から中心の座標を読み取るとき、符号を反対にしてしまう

よくある誤答例

円の方程式 $(x+3)^2+(y-2)^2=16$ の中心の座標を求める問題で、

「中心は $(3,2)$」

のように、$x$ 座標の符号を反転させずに読み取ってしまう。

なぜ間違いなのか

円の標準形は $(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$ であり、中心は $(a,b)$ です。ここで大事なのは、公式の中の $x$ の隣にあるのは「引き算」の形、つまり $x-a$ だという点です。$(x+3)^2$ は、$x-a$ の形に書き直すと $x-(-3)$ となるので、$a=-3$ です。$(x+3)^2$ の $+3$ をそのまま中心の座標だと思ってしまうと、符号が反対になってしまいます。実際、中心を $(3,2)$ だとして、この点が円周からどれだけ離れているかを確認すると、$(3+3)^2+(2-2)^2=36+0=36\neq16$ となり、半径の2乗と一致しないため、中心が違うことが分かります。

正しい考え方

$(x+3)^2$ を $(x-(-3))^2$ の形に読み替えます。

$(x+3)^2+(y-2)^2=16 \quad\Longrightarrow\quad \big(x-(-3)\big)^2+(y-2)^2=4^2$

したがって、正しい中心は $(-3,2)$、半径は $4$ です。実際に確認すると、中心 $(-3,2)$ から円周までの距離、たとえば $y$ 座標だけずらした点 $(-3, 2+4)=(-3,6)$ を円の式に代入すると $(-3+3)^2+(6-2)^2=0+16=16$ となり、確かに円周上にあります。$(x+○)^2$ の形を見たら、必ず頭の中で $x-(-○)$ に読み替える癖をつけましょう。

間違い7:円と直線の共有点の個数を、判別式の不等号の向きを逆にして覚えてしまう

よくある誤答例

円と直線の式を連立させてできた2次方程式の判別式が $D=-8$(つまり $D<0$)になった問題で、「$D<0$ だから、円と直線は2点で交わる」のように、判別式の符号と共有点の個数の対応を逆に覚えてしまう。

なぜ間違いなのか

判別式 $D$ は、2次方程式の実数解の個数を表すものであり、$D>0$ のとき異なる2つの実数解、$D=0$ のとき1つの実数解(重解)、$D<0$ のとき実数解なし、という対応でした。円と直線を連立させた2次方程式の実数解は、そのまま円と直線の共有点の $x$座標(または$y$座標)に対応するので、$D<0$ のときは実数解が存在せず、共有点も存在しない(円と直線は離れている)という結論になります。「2点で交わる」と「共有点をもたない」を逆に覚えてしまうと、まったく反対の結論を出してしまいます。

正しい考え方

$D>0$ のとき2点で交わる、$D=0$ のとき接する(共有点1個)、$D<0$ のとき共有点をもたない、という対応を正確に覚えます。今回のように $D=-8<0$ であれば、正しくは「この円と直線には共有点がない」という結論になります。不安なときは、簡単な具体例(たとえば原点を中心とする小さい円と、その円からずっと離れた場所を通る直線)を思い浮かべて、$D<0$ が「交わらない」場合に対応することを確認するとよいでしょう。

間違い8:軌跡の問題で、動く点に制限があることを見落としてしまう

よくある誤答例

点 $\mathrm{A}(2,6)$ と、円 $x^2+y^2=4$ の**上半分($y\geqq0$ の部分)**を動く点 $\mathrm{Q}$ に対して、線分 $\mathrm{AQ}$ の中点 $\mathrm{P}$ の軌跡を求める問題で、$y\geqq0$ という制限を見落として、計算した円の方程式をそのまま(円全体を)答えにしてしまう。

なぜ間違いなのか

点 $\mathrm{Q}$ の座標を $(s,t)$ とおいて計算を進めると、点 $\mathrm{P}(x,y)$ との関係から $s=2x-2$, $t=2y-6$ が得られ、円の式 $s^2+t^2=4$ に代入すると、$\mathrm{P}$ の軌跡の方程式として $(x-1)^2+(y-3)^2=1$ が求まります。しかし、この計算では、点 $\mathrm{Q}$ が円の全体を動くという前提で式を立てています。実際には $\mathrm{Q}$ は $y\geqq0$ の部分(上半分)しか動けないので、それに連動する $\mathrm{P}$ の軌跡も、円全体ではなく、その一部分に制限されるはずです。動く点に何らかの制約条件がある問題では、その制約が最終的な軌跡にどう影響するかを、必ず最後に確認する必要があります。

正しい考え方

$\mathrm{Q}$ の $y$座標の条件 $t\geqq0$ に、$t=2y-6$ を代入して、$\mathrm{P}$ の $y$座標がどう制限されるかを調べます。

$2y-6\geqq0$

両辺に $6$ を足します。

$2y\geqq6$

両辺を $2$ でわります。

$y\geqq3$

したがって、正しい答えは「円 $(x-1)^2+(y-3)^2=1$ のうち、$y\geqq3$ の部分(上半分)」です。円の中心の $y$座標がちょうど $3$ なので、$y\geqq3$ は確かにこの円の上半分に対応しています。動く点をおいて軌跡を求める問題では、式変形だけに集中せず、動く点が持っていた制限が答えにどう反映されるかを、最後に必ず見直しましょう。

間違い9:不等式を負の数でわる(かける)とき、不等号の向きを変え忘れる

よくある誤答例

不等式 $-3x-y>-12$ が表す領域を、$y$ について解く形に直す問題で、両辺に $-1$ をかけるときに不等号の向きをそのままにして、

$3x+y>12$

としてしまい、この式を $y$ について解いて「$y>-3x+12$」と誤答してしまう。

なぜ間違いなのか

不等式の両辺に負の数をかけたり、両辺を負の数でわったりするときは、不等号の向きが逆転する、という中学校以来のルールがあります。ここでは両辺に $-1$ をかけているので、向きを逆転させる必要があるのに、それを忘れてしまっています。実際に、原点 $(0,0)$ がもとの不等式を満たすかどうか確認すると、$-3\times0-0=0>-12$ となり成り立つので、原点はこの領域に含まれるはずです。しかし誤答の式 $y>-3x+12$ に原点を代入すると、$0>-3\times0+12=12$ となり、これは成り立ちません。つまり、誤答の式は、本当は領域に含まれるはずの原点を除外してしまっており、明らかにおかしいことが分かります。

正しい考え方

両辺に $-1$ をかけるときは、不等号の向きを逆にします。

$-3x-y>-12$

両辺に $-1$ をかけて、不等号を逆にします。

$3x+y<12$

これを $y$ について解きます。

$y<-3x+12$

検算:原点 $(0,0)$ を代入すると $0<-3\times0+12=12$ となり成り立つので、先ほど確認した「原点はこの領域に含まれる」という結果と一致します。負の数をかけたりわったりする操作をしたときは、必ず不等号の向きが変わっていないか、確認する習慣をつけましょう。