数学A / 図形の性質
2つの円の位置関係
要点整理
前の項目「円と接線」では、1つの円とその接線の関係(接点を通る半径は接線と垂直に交わる、など)を学びました。この項目では、円を2つに増やして、2つの円がお互いにどんな位置関係になるのかを調べていきます。
登場する3つの量
2つの円について考えるとき、次の3つの量に注目します。
- 円 $O$ の半径 $r$
- 円 $O'$ の半径 $r'$
- 2つの円の中心 $O$ と $O'$ の間の距離 $d$(これを「中心間の距離」と呼びます)
ここでは、話を整理しやすくするために「円 $O$ のほうが円 $O'$ より大きいか、同じ大きさ」、つまり $r \geq r'$ であるとして説明します(もし逆だったとしても、円の名前を入れ替えればよいだけなので、考え方は変わりません)。
円を近づけていくとどうなるか(具体例で確認)
たとえば、半径 $5$ の円 $O$ を固定して、半径 $2$ の円 $O'$ を遠くから少しずつ近づけていく場面を想像してみましょう。$r + r' = 5 + 2 = 7$、$r - r' = 5 - 2 = 3$ です。中心間の距離 $d$ を $10 \to 7 \to 5 \to 3 \to 1$ と変化させると、次のように見え方が変わっていきます。
- $d = 10$($7$より大きい):2つの円はまだ遠く離れていて、まったく重なりません。
- $d = 7$(ちょうど $r+r'$):2つの円がぴったり1点だけで触れ合います。これを外接すると言います。
- $d = 5$($3$より大きく$7$より小さい):2つの円が重なり合い、2つの点で交わります。
- $d = 3$(ちょうど $r-r'$):円 $O'$ が円 $O$ の内側にすっぽり入り込み、1点だけで触れ合います。これを内接すると言います。
- $d = 1$($3$より小さい):円 $O'$ が円 $O$ の内側に完全に入ってしまい、もう2つの円は触れ合いません。
この5段階の変化は、半径がどんな値であっても同じ順番で起こります。そこで、$r$、$r'$、$d$ の文字を使って一般的にまとめると、次のようになります。
$d > r + r' \quad \text{(2つの円は離れている)}$
$d = r + r' \quad \text{(2つの円は外接する)}$
$|r - r'| < d < r + r' \quad \text{(2つの円は2点で交わる)}$
$d = |r - r'| \quad \text{(2つの円は内接する。ただし } r \neq r' \text{)}$
$d < |r - r'| \quad \text{(一方の円が他方の円の内部にある)}$
判定するときのコツは、「$d$ を $r+r'$(半径の和)と比べる」ことと、「$d$ を $|r-r'|$(半径の差の絶対値)と比べる」ことの2つだけです。この2つの比較だけで、5つのどの場合になるかがすべて決まります。
なお、内接の式で「$r \neq r'$」という条件をつけているのは、もし $r = r'$(半径が等しい)なら $|r-r'| = 0$ となり、これは2つの円の中心が一致してしまう($d=0$)特別な場合になるからです。中心が一致する2つの円は「同心円」と呼ばれ、これは上の分類では「一方が他方の内部にある」場合に含まれます。
共有点の数と共通接線の本数
上の5つの場合について、2つの円が共有する点の個数と、共通接線の本数を整理すると、次の表のようになります。
| 位置関係 | 共有点の数 | 共通接線の本数 |
|---|---|---|
| 離れている | 0個 | 4本 |
| 外接する | 1個 | 3本 |
| 2点で交わる | 2個 | 2本 |
| 内接する | 1個 | 1本 |
| 一方が他方の内部にある | 0個 | 0本 |
共通接線の本数は、次のようにイメージすると覚えやすいです。2つの円が離れているときは、両方の円の外側だけを通る接線(共通外接線)が2本、2つの円の間を横切るように通る接線(共通内接線)が2本引けるので、合計4本です。円を近づけていくと、まず円の間を横切る内接線から先に引けなくなり(2点で交わるようになると内接線は0本になる)、さらに近づいて一方が他方の内部に入ってしまうと、外接線も引けなくなります(0本)。ちょうど外接・内接する瞬間だけ、接する点を通る接線が1本だけ「共通」の接線として残ります。
例題
例題1(基本)
問題
円 $O$(半径 $7$)と円 $O'$(半径 $3$)があり、中心間の距離 $OO'$ が $4$ であるとき、この2つの円の位置関係を答えなさい。
解答・解説を見る
まず、判定に必要な2つの量を計算します。
$r + r' = 7 + 3 = 10$
$|r - r'| = |7 - 3| = 4$
次に、中心間の距離 $d = 4$ を、この2つの値と比べます。
$d = 4, \qquad |r - r'| = 4$
$d$ と $|r-r'|$ がちょうど等しくなっています。要点整理の分類より、
$d = |r - r'|$
が成り立つときは「内接する」場合でした。したがって、この2つの円は内接するという関係にあります(半径が異なる $7 \neq 3$ ので、内接の条件として問題ありません)。共有点は1個、共通接線は1本です。
例題2(標準)
問題
半径 $7\,\text{cm}$ の円と、半径 $x\,\text{cm}$($x>0$)の円があり、中心間の距離は $10\,\text{cm}$ です。この2つの円が2点で交わるとき、$x$ の値の範囲を求めなさい。
解答・解説を見る
「2点で交わる」ための条件は、要点整理より
$|r - r'| < d < r + r'$
でした。ここで $r = 7$、$r' = x$、$d = 10$ を当てはめます。
$|7 - x| < 10 < 7 + x$
この式は、実は2つの不等式が同時に成り立つことを表しています。1つずつ順番に解いていきます。
(i) $10 < 7+x$ を解く
両辺から $7$ を引きます。
$10 - 7 < x$
$3 < x$
(ii) $|7-x| < 10$ を解く
絶対値の不等式 $|A| < 10$ は、「$A$ が $-10$ より大きく $10$ より小さい」という意味でした。ここでは $A = 7-x$ なので、
$-10 < 7-x < 10$
3つの辺すべてから $7$ を引きます。
$-10-7 < -x < 10-7$
$-17 < -x < 3$
すべての辺に $-1$ をかけます。このとき、負の数をかけているので不等号の向きが逆になることに注意します。
$17 > x > -3$
つまり、
$-3 < x < 17$
(i)と(ii)、さらに $x>0$ という条件をまとめる
(i)より $x > 3$、(ii)より $-3 < x < 17$、さらに問題の条件 $x>0$ もあります。これらすべてを同時に満たす範囲は、数直線をイメージすると、$x>3$ の部分と $-3 $3 < x < 17$ となります($x>0$ は $x>3$ に含まれているので、あらためて考える必要はありません)。 答え:$3 < x < 17$
例題3(応用)
問題
円 $O$(半径 $8$)と円 $O'$(半径 $3$)があり、この2つの円は共通外接線を持ちます。円 $O$ との接点を $A$、円 $O'$ との接点を $B$ とし、線分 $AB$(共通接線のうち、2つの接点の間の部分)の長さが $12$ であるとき、中心間の距離 $OO'$ を求め、2つの円の位置関係と共通接線の本数を答えなさい。
解答・解説を見る
ステップ1:前提知識(円と接線の性質)を確認する
直線 $AB$ は円 $O$ の接線で、接点が $A$ なので、半径 $OA$ は接線 $AB$ と垂直に交わります。
$OA \perp AB$
同じように、直線 $AB$ は円 $O'$ の接線で、接点が $B$ なので、
$O'B \perp AB$
ステップ2:補助線を引いて直角三角形を作る
$OA$ と $O'B$ は、どちらも同じ直線 $AB$ に垂直なので、$OA$ と $O'B$ は互いに平行です。
そこで、点 $O'$ を通り、直線 $AB$ に平行な直線を引き、線分 $OA$ との交点を $C$ とします。
四角形 $O'BAC$ を見ると、$O'B \parallel CA$(どちらも $AB$ に垂直だから)、$O'C \parallel BA$(引き方よりそうなるように作ったから)であり、さらに角 $B$ が直角($O'B\perp AB$ より)なので、この四角形は長方形です。
ステップ3:長方形の性質から長さを求める
長方形の向かい合う辺の長さは等しいので、
$O'C = BA = 12$
$CA = O'B = 3$
また、$C$ は線分 $OA$ 上の点なので、
$OC = OA - CA = 8 - 3 = 5$
ステップ4:三平方の定理を使う
長方形の頂点なので、角 $OCO'$ は直角です。よって、直角三角形 $OO'C$ について三平方の定理を使うと、
$OO'^2 = OC^2 + O'C^2$
$OO'^2 = 5^2 + 12^2 = 25 + 144 = 169$
$OO'$ は長さなので正の値をとり、
$OO' = \sqrt{169} = 13$
ステップ5:位置関係を判定する
$d = OO' = 13$ が求まったので、これを $r+r'$ と $|r-r'|$ と比べます。
$r + r' = 8 + 3 = 11$
$|r - r'| = |8 - 3| = 5$
$d = 13$ は $r+r' = 11$ より大きいので、
$d > r + r'$
要点整理の分類より、これは「離れている」場合です。
答え:中心間の距離は $13$、2つの円は離れている、共通接線の本数は $4$本
練習問題
問題
円 $O$(半径 $6$)と円 $O'$(半径 $2$)があり、中心間の距離 $OO'$ が $5$ であるとき、この2つの円の位置関係と、共通接線の本数を答えなさい。
答え
$r+r' = 6+2 = 8$、$|r-r'| = |6-2| = 4$ であり、$d=5$ はこの2つの間($4 < 5 < 8$)にあるので、2つの円は2点で交わる。共通接線の本数は2本。