数学II / 図形と方程式
円の方程式
要点整理
これまでの学習で、2点間の距離を求める公式を学んできました。この単元では、その公式を使って「円」を方程式で表す方法を考えていきます。
円とは何か
平面上で、ある1つの点から等しい距離にある点全体の集まりを「円」といいます。この基準となる点を円の中心、中心から円上の点までの距離を半径といいます。
円の方程式(標準形)を導く
中心を $\mathrm{C}(a, b)$、半径を $r$ とする円を考えます。この円上の点を $\mathrm{P}(x, y)$ とすると、点 $\mathrm{P}$ は「中心 $\mathrm{C}$ から距離 $r$ だけ離れた点」ということになります。
つまり、線分 $\mathrm{CP}$ の長さが $r$ に等しいということです。2点間の距離の公式を使うと、線分 $\mathrm{CP}$ の長さは
$\mathrm{CP} = \sqrt{(x-a)^2 + (y-b)^2}$
と表せます。これが $r$ に等しいので、
$\sqrt{(x-a)^2 + (y-b)^2} = r$
という式が成り立ちます。この式の両辺を2乗すると、根号(ルート)がはずれて、次の式が得られます。
$(x-a)^2 + (y-b)^2 = r^2$
これが、中心 $(a, b)$、半径 $r$ の円を表す方程式です。この形を円の方程式の標準形と呼びます。「標準形」と呼ぶのは、この式を見るだけで中心の座標と半径がそのまま読み取れるからです。
特に、中心が原点 $(0, 0)$ の場合は、$a=0$、$b=0$ を代入して、
$x^2 + y^2 = r^2$
というシンプルな式になります。
円の方程式(一般形)
標準形の式を実際に展開してみましょう。
$(x-a)^2 + (y-b)^2 = r^2$
左辺を展開すると、
$x^2 - 2ax + a^2 + y^2 - 2by + b^2 = r^2$
右辺の $r^2$ を左辺に移項すると、
$x^2 + y^2 - 2ax - 2by + (a^2 + b^2 - r^2) = 0$
ここで、$-2a$、$-2b$、$a^2+b^2-r^2$ はどれも定数(数字で決まる値)なので、これらを改めて $l$(エル)、$m$、$n$ という文字で置き直すと、
$x^2 + y^2 + lx + my + n = 0$
という形になります。この形を円の方程式の一般形と呼びます。一般形は展開されてしまっているので、この式だけを見ても中心や半径がどこにあるのかすぐには分かりません。中心や半径を求めるには、平方完成という操作を使って標準形に戻す必要があります。
一般形から標準形に戻す(平方完成)
$x^2 + y^2 + lx + my + n = 0$
という式が与えられたとき、$x$ の項と $y$ の項をそれぞれ平方完成します。
$x$ について平方完成すると、
$x^2 + lx = \left(x + \frac{l}{2}\right)^2 - \frac{l^2}{4}$
$y$ について平方完成すると、
$y^2 + my = \left(y + \frac{m}{2}\right)^2 - \frac{m^2}{4}$
これらを元の式に代入すると、
$\left(x + \frac{l}{2}\right)^2 - \frac{l^2}{4} + \left(y + \frac{m}{2}\right)^2 - \frac{m^2}{4} + n = 0$
定数の部分を右辺に移項すると、
$\left(x + \frac{l}{2}\right)^2 + \left(y + \frac{m}{2}\right)^2 = \frac{l^2}{4} + \frac{m^2}{4} - n = \frac{l^2 + m^2 - 4n}{4}$
この式を標準形 $(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$ と見比べると、中心は $\left(-\dfrac{l}{2}, -\dfrac{m}{2}\right)$、半径の2乗は $\dfrac{l^2+m^2-4n}{4}$ であることが分かります。
ただし、注意が必要です。半径の2乗である $r^2$ は、必ず0より大きい正の数でなければなりません(半径が0やマイナスの円は存在しないからです)。したがって、この式が本当に円を表すためには、
$l^2 + m^2 - 4n > 0$
という条件を満たしている必要があります。もしこの値が0なら図形はただ1つの点になり、0より小さければ、その式を満たす実数の点 $(x, y)$ は存在しません(円にはなりません)。
例題
例題1(基本)
問題
中心が点 $(1, 2)$ で、点 $(4, 6)$ を通る円の方程式を求めなさい。
解答・解説を見る
円の方程式を求めるには、中心の座標と半径が分かればよいのでした。中心の座標はすでに $(1, 2)$ と分かっているので、あとは半径を求めます。
半径とは「中心から円上の点までの距離」のことです。この円は点 $(4, 6)$ を通るので、半径は中心 $(1, 2)$ と点 $(4, 6)$ の間の距離に等しくなります。2点間の距離の公式を使って計算すると、
$r = \sqrt{(4-1)^2 + (6-2)^2}$
まず、かっこの中を計算します。
$4 - 1 = 3, \quad 6 - 2 = 4$
これらを代入すると、
$r = \sqrt{3^2 + 4^2} = \sqrt{9 + 16} = \sqrt{25} = 5$
したがって、半径は $r = 5$ です。
中心 $(a, b) = (1, 2)$、半径 $r = 5$ を、円の方程式の標準形
$(x-a)^2 + (y-b)^2 = r^2$
に代入します。
$(x-1)^2 + (y-2)^2 = 5^2$
$5^2 = 25$ なので、求める円の方程式は、
$(x-1)^2 + (y-2)^2 = 25$
です。
例題2(標準)
問題
方程式 $x^2 + y^2 - 4x + 6y + 4 = 0$ が表す図形の中心の座標と半径を求めなさい。
解答・解説を見る
この式は展開された形(一般形)になっているので、中心や半径を求めるには標準形に直す必要があります。そのために、$x$ の項と $y$ の項をそれぞれ平方完成します。
まず、$x$ の項と $y$ の項をまとめておきます。
$x^2 - 4x + y^2 + 6y + 4 = 0$
$x$ について平方完成します。$x^2 - 4x$ を $(x - \bigcirc)^2$ の形に近づけるために、$-4$ を2で割った $-2$ を使って、
$x^2 - 4x = (x-2)^2 - 2^2 = (x-2)^2 - 4$
念のため右辺を展開して確認します。$(x-2)^2 = x^2 - 4x + 4$ なので、$(x-2)^2 - 4 = x^2 - 4x + 4 - 4 = x^2 - 4x$ となり、確かに元の式と一致しています。
次に、$y$ について平方完成します。$y^2 + 6y$ を $(y + \bigcirc)^2$ の形に近づけるために、$6$ を2で割った $3$ を使って、
$y^2 + 6y = (y+3)^2 - 3^2 = (y+3)^2 - 9$
こちらも確認します。$(y+3)^2 = y^2 + 6y + 9$ なので、$(y+3)^2 - 9 = y^2+6y+9-9 = y^2+6y$ となり、一致しています。
これらを元の式に代入すると、
$(x-2)^2 - 4 + (y+3)^2 - 9 + 4 = 0$
定数の部分をまとめます。$-4 - 9 + 4 = -9$ なので、
$(x-2)^2 + (y+3)^2 - 9 = 0$
$-9$ を右辺に移項すると、
$(x-2)^2 + (y+3)^2 = 9$
これは標準形 $(x-a)^2 + (y-b)^2 = r^2$ の形になっています。見比べると、$a = 2$、$b = -3$、$r^2 = 9$ です。
$(y+3)^2$ は $(y-(-3))^2$ と同じ形なので、$b = -3$ であることに注意してください。また、$r^2 = 9$ より $r = 3$ です($r$ は距離を表すので、必ず正の値をとります)。
したがって、この円の中心は $(2, -3)$、半径は $3$ です。
例題3(応用)
問題
2点 $\mathrm{A}(-1, 2)$、$\mathrm{B}(5, -4)$ を直径の両端とする円の方程式を求めなさい。
解答・解説を見る
「線分 $\mathrm{AB}$ が直径である」という条件から、円の中心と半径を求めていきます。
まず中心について考えます。直径とは、円の中心を通り、円周上の2点を結ぶ線分のことです。つまり、円の中心は線分 $\mathrm{AB}$ のちょうど真ん中の点、すなわち $\mathrm{AB}$ の中点です。中点は2点間の内分点のうち、線分を $1:1$ に分ける点なので、中点の座標は $x$ 座標どうし、$y$ 座標どうしをそれぞれ平均すれば求められます。
$\left(\frac{-1+5}{2}, \ \frac{2+(-4)}{2}\right)$
$x$ 座標を計算すると、
$\frac{-1+5}{2} = \frac{4}{2} = 2$
$y$ 座標を計算すると、
$\frac{2+(-4)}{2} = \frac{-2}{2} = -1$
したがって、円の中心は $(2, -1)$ です。
次に半径を求めます。直径の長さは線分 $\mathrm{AB}$ の長さそのものなので、まず $\mathrm{AB}$ の長さを2点間の距離の公式で求めます。
$\mathrm{AB} = \sqrt{(5-(-1))^2 + (-4-2)^2}$
かっこの中を計算すると、
$5 - (-1) = 6, \quad -4 - 2 = -6$
これらを代入すると、
$\mathrm{AB} = \sqrt{6^2 + (-6)^2} = \sqrt{36+36} = \sqrt{72}$
$\sqrt{72}$ を簡単な形に直します。$72 = 36 \times 2$ なので、
$\sqrt{72} = \sqrt{36 \times 2} = \sqrt{36}\times\sqrt{2} = 6\sqrt{2}$
これが直径の長さなので、半径 $r$ はこの半分です。
$r = \frac{6\sqrt{2}}{2} = 3\sqrt{2}$
半径を2乗すると、円の方程式に必要な $r^2$ が求まります。
$r^2 = (3\sqrt{2})^2 = 3^2 \times (\sqrt{2})^2 = 9 \times 2 = 18$
中心 $(2, -1)$、$r^2 = 18$ を標準形に代入すると、求める円の方程式は、
$(x-2)^2 + (y+1)^2 = 18$
です。
練習問題
問題
方程式 $x^2 + y^2 + 2x - 8y + 8 = 0$ が表す円の中心の座標と半径を求めなさい。
答え
$x^2+2x = (x+1)^2 - 1$、$y^2-8y = (y-4)^2-16$ なので、これらを元の式に代入すると、
$(x+1)^2 - 1 + (y-4)^2 - 16 + 8 = 0$
整理すると、
$(x+1)^2 + (y-4)^2 = 9$
したがって、中心は $(-1, 4)$、半径は $3$ です。