数学II / いろいろな式

整式の除法

要点整理

数学Iでは、整式(文字式のうち、+, -, × だけで作られている式)の因数分解の基本公式を学びました。この単元では、整式どうしの「割り算」について学んでいきます。

整数の割り算を思い出そう

いきなり文字式の割り算を考えるとイメージしづらいので、まずは小学校で習った整数の割り算を思い出してみましょう。

$25 \div 7$ を計算すると、商(答え)が $3$、余りが $4$ になります。これは、次の式が成り立っているということです。

$25 = 7 \times 3 + 4$

つまり、「割られる数 $=$ 割る数 $\times$ 商 $+$ 余り」という関係が成り立っています。また、余りの $4$ は割る数の $7$ より小さい数になっていますね(もし余りが割る数以上だったら、まだ割り切れる余地が残っているということなので、商をもっと大きくできてしまいます)。

整式の除法の原理

整数のときと同じ考え方が、整式どうしの割り算でも成り立ちます。整式 $A$(割られる式)を、$0$ でない整式 $B$(割る式)で割るとき、次の式を満たす整式 $Q$(商)と整式 $R$(余り)がただ1組だけ存在します。

$A = BQ + R$

ただし、$R$ の次数(式の中で文字が掛け合わされている個数の最大値のことでしたね)は $B$ の次数より小さくなります(または $R = 0$ になります)。これを整式の除法の原理と呼びます。整数の割り算のときと同じ形をしていることに注目してください。

余り $R$ が $0$ になるとき、つまり $A = BQ$ となるとき、「$A$ は $B$ で割り切れる」といいます。このとき $B$ は $A$ の因数になっています。因数分解の基本公式で学んだ「因数」という考え方と、ここでつながってくるわけです。

実際に割り算をしてみよう(筆算の手順)

では、実際に整式の割り算をどうやって計算するのか、具体例で確認していきましょう。

例: $A = 2x^3 - 3x^2 + 4x - 5$ を $B = x - 2$ で割る。

整式の割り算は、次の手順を繰り返します。

  1. 割られている式の中で、最も次数が高い項(最高次の項)を、割る式の最高次の項で割り、商の一部を決める。
  2. その商の一部を割る式全体に掛ける。
  3. 割られている式から、2で計算した式を引き算する。
  4. 引き算した結果(次の割られる式)の次数が、割る式の次数以上であれば、1に戻って繰り返す。次数より小さくなったら、そこで終了。そのときの式が余りになる。

これを $A = 2x^3-3x^2+4x-5$、$B=x-2$ で実行してみます。

1回目

最高次の項どうしを割ります。

$2x^3 \div x = 2x^2$

これが商の1番目の項です。この $2x^2$ を割る式 $B$ 全体に掛けます。

$2x^2 \times (x-2) = 2x^3 - 4x^2$

これを $A$ から引きます。

$(2x^3-3x^2+4x-5) - (2x^3-4x^2) = x^2+4x-5$

新しくできた式 $x^2+4x-5$ の次数は $2$ で、まだ割る式 $B$ の次数($1$)以上なので、続けます。

2回目

同じように、最高次の項どうしを割ります。

$x^2 \div x = x$

これが商の2番目の項です。この $x$ を $B$ 全体に掛けます。

$x \times (x-2) = x^2-2x$

1回目で得た式から、これを引きます。

$(x^2+4x-5)-(x^2-2x) = 6x-5$

新しくできた式 $6x-5$ の次数は $1$ で、まだ割る式 $B$ の次数($1$)以上なので、もう一度続けます。

3回目

$6x \div x = 6$

これが商の3番目の項です。$6$ を $B$ 全体に掛けます。

$6 \times (x-2) = 6x-12$

2回目で得た式から、これを引きます。

$(6x-5)-(6x-12) = 7$

新しくできた式は定数 $7$ で、次数は $0$ です。これは割る式 $B$ の次数($1$)より小さくなったので、ここで計算終了です。

結果をまとめる

商は、これまでに出てきた項をすべて足したものです。

$Q = 2x^2 + x + 6$

余りは、最後に残った式です。

$R = 7$

検算をしよう

計算が正しいかどうかは、除法の原理 $A=BQ+R$ に当てはめて確かめることができます。

$BQ+R = (x-2)(2x^2+x+6)+7$

まず $(x-2)(2x^2+x+6)$ を展開します。

$(x-2)(2x^2+x+6) = 2x^3+x^2+6x-4x^2-2x-12 = 2x^3-3x^2+4x-12$

これに余り $7$ を足します。

$2x^3-3x^2+4x-12+7 = 2x^3-3x^2+4x-5$

最初の $A=2x^3-3x^2+4x-5$ と一致しました。このように、割り算をしたら $BQ+R$ を計算して $A$ に戻るかどうか確かめる習慣をつけると、計算ミスを防げます。

割る式が2次式以上になっても、同じ手順(最高次の項どうしを割る → 割る式全体に掛ける → 引く → 次数を確認する)を繰り返すだけなので、怖がらずに1つずつ処理していきましょう。

例題

例題1(基本)

問題

次の割り算をして、商と余りを求めなさい。

$(x^3-2x^2+3x-4) \div (x-1)$

解答・解説を見る

割られる式を $A=x^3-2x^2+3x-4$、割る式を $B=x-1$ とします。要点整理と同じ手順で計算します。

1回目

最高次の項どうしを割ります。

$x^3 \div x = x^2$

これを $B$ 全体に掛けます。

$x^2 \times (x-1) = x^3-x^2$

$A$ から引きます。

$(x^3-2x^2+3x-4)-(x^3-x^2) = -x^2+3x-4$

次数は $2$ で、$B$ の次数($1$)以上なので続けます。

2回目

$-x^2 \div x = -x$

これを $B$ 全体に掛けます。

$-x \times (x-1) = -x^2+x$

1回目の結果から引きます。

$(-x^2+3x-4)-(-x^2+x) = 2x-4$

次数は $1$ で、$B$ の次数($1$)以上なので、もう一度続けます。

3回目

$2x \div x = 2$

これを $B$ 全体に掛けます。

$2 \times (x-1) = 2x-2$

2回目の結果から引きます。

$(2x-4)-(2x-2) = -2$

次数は $0$ で、$B$ の次数($1$)より小さくなったので終了です。

結果

商はこれまでの項をすべて足したものです。

$Q = x^2-x+2$

余りは最後に残った式です。

$R = -2$

検算

$(x-1)(x^2-x+2)+(-2) = (x^3-x^2+2x-x^2+x-2)-2 = x^3-2x^2+3x-4$

最初の式と一致するので、正しく計算できています。

答え:商 $x^2-x+2$、余り $-2$

例題2(標準)

問題

次の割り算をして、商と余りを求めなさい。

$(2x^4-x^3+3x^2-x+5) \div (x^2-x+2)$

解答・解説を見る

今度は割る式が2次式になりますが、手順は同じです。$A=2x^4-x^3+3x^2-x+5$、$B=x^2-x+2$ とします。

1回目

最高次の項どうしを割ります。

$2x^4 \div x^2 = 2x^2$

これを $B$ 全体に掛けます。1つずつ分配して計算しましょう。

$2x^2 \times (x^2-x+2) = 2x^4-2x^3+4x^2$

$A$ から引きます。同じ次数の項どうしをまとめて計算します。

$(2x^4-x^3+3x^2-x+5)-(2x^4-2x^3+4x^2) = x^3-x^2-x+5$

次数は $3$ で、$B$ の次数($2$)以上なので続けます。

2回目

$x^3 \div x^2 = x$

これを $B$ 全体に掛けます。

$x \times (x^2-x+2) = x^3-x^2+2x$

1回目の結果から引きます。

$(x^3-x^2-x+5)-(x^3-x^2+2x) = -3x+5$

次数は $1$ で、$B$ の次数($2$)より小さくなったので、ここで終了です。

結果

商はこれまでの項の和です。

$Q = 2x^2+x$

余りは最後に残った式です。

$R = -3x+5$

検算

まず $BQ$ を計算します。

$(x^2-x+2)(2x^2+x) = 2x^4+x^3-2x^3-x^2+4x^2+2x = 2x^4-x^3+3x^2+2x$

これに余りを足します。

$2x^4-x^3+3x^2+2x+(-3x+5) = 2x^4-x^3+3x^2-x+5$

最初の式と一致しました。

答え:商 $2x^2+x$、余り $-3x+5$

例題3(応用)

問題

整式 $A=x^3+ax^2+bx-2$ を整式 $x^2-x+1$ で割ったところ、商が $x+3$、余りが $x-5$ になった。定数 $a$, $b$ の値を求めなさい。

解答・解説を見る

この問題は、実際に割り算を実行するのではなく、除法の原理 $A=BQ+R$ の式を逆向きに使う問題です。

$B=x^2-x+1$、$Q=x+3$、$R=x-5$ なので、まず $BQ$ を計算します。分配法則を使って、すべての項の組み合わせを計算しましょう。

$BQ = (x^2-x+1)(x+3)$

$x^2-x+1$ の各項に $x+3$ の各項を掛けて展開します。

$(x^2-x+1)(x+3) = x^3+3x^2-x^2-3x+x+3$

同類項(文字の部分が同じ項)をまとめます。

$x^3+3x^2-x^2-3x+x+3 = x^3+2x^2-2x+3$

次に、除法の原理 $A=BQ+R$ にしたがって、これに余り $R=x-5$ を足します。

$A = (x^3+2x^2-2x+3)+(x-5)$

同類項をまとめます。

$A = x^3+2x^2+(-2x+x)+(3-5) = x^3+2x^2-x-2$

一方、問題文より $A=x^3+ax^2+bx-2$ でした。この2つの $A$ の表し方は、同じ整式を表しているので、次数ごとの係数(文字の前についている数)がそれぞれ等しくなるはずです。

$x^3+2x^2-x-2 = x^3+ax^2+bx-2$

$x^2$ の項の係数を比べると $a=2$、$x$ の項の係数を比べると $b=-1$ となります。定数項はどちらも $-2$ で確かに一致しており、矛盾がないことも確認できます。

答え:$a=2$、$b=-1$

練習問題

問題

次の割り算をして、商と余りを求めなさい。

$(3x^3+2x^2-5x+4) \div (x+2)$

答え

商 $3x^2-4x+3$、余り $-2$

(検算: $(x+2)(3x^2-4x+3)+(-2) = 3x^3-4x^2+3x+6x^2-8x+6-2 = 3x^3+2x^2-5x+4$ となり、元の式と一致します。)