数学II / 三角関数

三角関数のグラフ(周期・振幅)

要点整理

$y=\sin\theta$ のグラフ

単位円上の点 $\mathrm{P}(\cos\theta, \sin\theta)$ を思い出してください。$\theta$ を $0$ から少しずつ増やしていくと、点 $\mathrm{P}$ の $y$ 座標(つまり $\sin\theta$ の値)がどう変化するかを追跡すると、$y=\sin\theta$ のグラフが描けます。

$\sin\theta$ の値は、$\theta=0$ で $0$、$\theta=\dfrac{\pi}{2}$ で最大値 $1$、$\theta=\pi$ で $0$、$\theta=\dfrac{3\pi}{2}$ で最小値 $-1$、$\theta=2\pi$ で再び $0$ に戻ります。つまり、なめらかな波のような形になります。

さらに、$\theta$ が $2\pi$ 増えると動径はちょうど1周してもとの位置に戻るので、$\sin(\theta+2\pi)=\sin\theta$ が常に成り立ちます。このように、グラフが同じ形を繰り返す1回分の幅を周期といい、$y=\sin\theta$ の周期は $2\pi$ です。

また、$y=\sin\theta$ のグラフは、最大値が $1$、最小値が $-1$ なので、中心の高さ($y=0$)から山・谷までの高さはどちらも $1$ です。この高さを振幅といい、$y=\sin\theta$ の振幅は $1$ です。

$y=\cos\theta$ のグラフ

同じように、点 $\mathrm{P}(\cos\theta,\sin\theta)$ の $x$ 座標の変化を追うと $y=\cos\theta$ のグラフが得られます。形は $y=\sin\theta$ のグラフを $\theta$ 軸方向に $-\dfrac{\pi}{2}$ だけ平行移動したものと一致します(山の位置が $\theta=0$ からスタートする点が異なります)。周期は $\sin$ と同じ $2\pi$、振幅も同じ $1$ です。

$y=\tan\theta$ のグラフ

$\tan\theta = \dfrac{\sin\theta}{\cos\theta}$ なので、$\cos\theta=0$ となる $\theta=\dfrac{\pi}{2}, \dfrac{3\pi}{2}, \ldots$ では $\tan\theta$ の値が定義できません(分母が $0$ になるため)。これらの $\theta$ の位置には、グラフが限りなく上下に伸びていく漸近線(グラフが限りなく近づくが交わらない直線)があります。

$\tan\theta$ の周期は $\pi$ です($\sin,\cos$ の周期 $2\pi$ の半分であることに注意しましょう)。また $\tan\theta$ には最大値・最小値がなく(漸近線の間で $-\infty$ から $+\infty$ まで値をとる)、振幅という概念は考えません。

グラフの変形: $y=a\sin(b\theta+c)+d$

三角関数のグラフに、係数 $a,b,c,d$ を付けて変形させたグラフもよく扱います。$y=a\sin(b\theta+c)+d$ の形($a>0, b>0$ とします)を考えると、それぞれの係数の役割は次のようになります。

  • $a$(振幅): $y=\sin\theta$ を $y$ 軸方向に $a$ 倍したものなので、振幅が $|a|$ になります。
  • $b$(周期): $\theta$ の代わりに $b\theta$ が入ることで、グラフが横方向に $\dfrac{1}{b}$倍に縮む(または伸びる)ため、周期は $\dfrac{2\pi}{b}$ になります。周期を求める式は「もとの周期 $\div\ b$」と覚えておくとよいでしょう。
  • $c$(位相のずれ・横方向の移動): $b\theta+c = b\left(\theta+\dfrac{c}{b}\right)$ と変形できるので、グラフを $\theta$ 軸方向に $-\dfrac{c}{b}$ だけ平行移動したものになります。
  • $d$(縦方向の移動): グラフ全体を $y$ 軸方向に $d$ だけ平行移動します。中心の高さ($グラフが上下に振れる基準線)が $y=d$ になります。

例題

例題1(基本)

問題 $y=3\sin\theta$ のグラフの周期と振幅を求めなさい。

解答・解説を見る

$y=3\sin\theta$ は $y=\sin\theta$ を $y$ 軸方向に $3$ 倍しただけのグラフです。横方向(周期)には変化がないので、周期は $y=\sin\theta$ と同じ $2\pi$ のままです。

一方、縦方向には $3$ 倍されているので、最大値は $3$、最小値は $-3$ になります。よって振幅は $3$ です。

答え: 周期 $2\pi$、振幅 $3$

例題2(標準)

問題 $y=\sin 2\theta$ のグラフの周期を求めなさい。また、$y=\cos\left(\theta - \dfrac{\pi}{3}\right)$ のグラフは $y=\cos\theta$ のグラフをどのように平行移動したものか答えなさい。

解答・解説を見る

$y=\sin 2\theta$ の周期: 一般に $y=\sin(b\theta)$ の周期は $\dfrac{2\pi}{b}$ です。ここでは $b=2$ なので、

$\text{周期} = \frac{2\pi}{2} = \pi$

つまり、$\theta$ が $\pi$ 増えるごとに同じ形を繰り返します(もとの $\sin\theta$ の半分の幅で1周期分の波ができるということです)。

$y=\cos\left(\theta-\dfrac{\pi}{3}\right)$ の平行移動: $\cos(\theta - c)$ の形は、$y=\cos\theta$ のグラフを $\theta$ 軸方向に $+c$ だけ平行移動したグラフです。ここでは $c=\dfrac{\pi}{3}$ なので、$y=\cos\theta$ のグラフを $\theta$ 軸方向に $\dfrac{\pi}{3}$ だけ平行移動したものになります。

例題3(応用)

問題 $y=2\sin\left(3\theta+\dfrac{\pi}{2}\right)-1$ のグラフの周期、振幅、および $\theta$ 軸方向の平行移動量を求めなさい。

解答・解説を見る

まず、$\theta$ の係数をくくり出して、$y=a\sin(b(\theta+e))+d$ の形に整理します。

$3\theta + \frac{\pi}{2} = 3\left(\theta + \frac{\pi}{6}\right)$

(確認: $3 \times \dfrac{\pi}{6} = \dfrac{3\pi}{6} = \dfrac{\pi}{2}$ となり、もとの式と一致します。)

よって、与えられた式は

$y = 2\sin\left(3\left(\theta+\frac{\pi}{6}\right)\right) - 1$

と書き直せます。

  • 振幅: $\sin$ の前の係数の絶対値なので、$|2|=2$
  • 周期: $\dfrac{2\pi}{b} = \dfrac{2\pi}{3}$($b=3$ より)
  • $\theta$ 軸方向の平行移動: $\theta+\dfrac{\pi}{6}$ の形なので、$y=2\sin 3\theta$ のグラフを $\theta$ 軸方向に $-\dfrac{\pi}{6}$ だけ平行移動したもの
  • (参考)$y$ 軸方向の平行移動: $-1$ なので、グラフ全体を $y$ 軸方向に $-1$ だけ平行移動している

答え: 周期 $\dfrac{2\pi}{3}$、振幅 $2$、$\theta$ 軸方向に $-\dfrac{\pi}{6}$ だけ平行移動

練習問題

問題 $y=\dfrac{1}{2}\cos\left(2\theta-\pi\right)$ のグラフの周期、振幅、$\theta$ 軸方向の平行移動量を求めなさい。

答え

$2\theta-\pi = 2\left(\theta-\dfrac{\pi}{2}\right)$ と変形できるので、

周期: $\dfrac{2\pi}{2}=\pi$、振幅: $\dfrac{1}{2}$、$\theta$ 軸方向に $+\dfrac{\pi}{2}$ だけ平行移動