数学II / いろいろな式
高次方程式の解法
要点整理
前のページ「剰余の定理と因数定理」で、整式 $f(x)$ を $x-a$ で割った余りが $f(a)$ になること(剰余の定理)、そして $f(a)=0$ ならば $f(x)$ が $x-a$ を因数に持つこと(因数定理)を学びました。このページでは、その知識を実際に使って、3次以上の方程式を解いていきます。3次以上の整式でできた方程式のことを、高次方程式〈こうじほうていしき〉と呼びます。
高次方程式を解く基本の流れ
3次以上の方程式 $f(x)=0$ を解くときは、次の手順で進めます。
- $f(x)=0$ の解の候補を1つ見つけます(代入して $f(a)=0$ となる数 $a$ を探します)。
- 因数定理より、$f(x)$ は $x-a$ を因数に持つとわかるので、$f(x)$ を $x-a$ で割り、$f(x)=(x-a)g(x)$ の形に因数分解します。
- $g(x)=0$ を解きます。$g(x)$ の次数がまだ2次より高ければ、もう一度手順1・2を繰り返して次数を下げます。
- 最終的に2次式(または1次式)まで次数を下げたら、これまで通りの方法(因数分解や解の公式)で解きます。
ポイントは、「次数を1つずつ下げていく」という考え方です。3次方程式なら1回、4次方程式なら2回この手順を繰り返せば、必ず2次方程式まで次数を下げることができます。
解の候補の見つけ方
手順1で「解の候補を見つける」とき、いきなり適当な数を代入するのは大変です。整数係数の方程式
$a_n x^n + a_{n-1}x^{n-1} + \cdots + a_1 x + a_0 = 0 \quad (a_n \neq 0)$
が整数の解 $x=k$ を持つならば、$k$ は定数項 $a_0$ の約数(正・負の両方)になっている、という性質を使います。教科書レベルの問題では最高次の係数 $a_n$ が $1$ であることがほとんどなので、このページでもその場合を扱います。
つまり、定数項の約数を順番に $f(x)$ に代入していき、$f(k)=0$ となる $k$ を探せばよいということです。
特別な形の高次方程式
高次方程式の中には、工夫すると素早く解けるものがあります。代表的な2つを紹介します。
1つ目は、$x^3=1$ や $x^3=-8$ のように、$x^3=$(ある数)の形をした方程式です。3乗の因数分解公式
$a^3-b^3=(a-b)(a^2+ab+b^2), \qquad a^3+b^3=(a+b)(a^2-ab+b^2)$
を使うと、すぐに1次式×2次式の形に分解できます。2次式の部分は判別式が負になることが多く、複素数の解が出てきます。
2つ目は、係数が左右対称になっている方程式です。これを相反方程式〈そうはんほうていしき〉といいます。たとえば $x^4-5x^3+6x^2-5x+1=0$ は、係数を左から並べると $1,\ -5,\ 6,\ -5,\ 1$ となっていて、左右対称(相反的)になっています。
このタイプの方程式は、次のように解きます。まず、$x=0$ を代入すると成り立たないので($1=0$ となってしまいます)、$x=0$ はこの方程式の解ではありません。そこで、方程式の両辺を $x^2$ で割っても同値な式が得られます。割ると、
$\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)-5\left(x+\frac{1}{x}\right)+6=0$
という形になります。ここで $t=x+\frac{1}{x}$ と置くと、
$t^2=\left(x+\frac{1}{x}\right)^2=x^2+2\cdot x\cdot\frac{1}{x}+\frac{1}{x^2}=x^2+2+\frac{1}{x^2}$
なので、
$x^2+\frac{1}{x^2}=t^2-2$
という関係が得られます。これを先ほどの式に代入すると、$t$ についての2次方程式になり、次数を下げることができます。この続きの具体的な計算は、例題3で確認しましょう。
例題
例題1(基本)
問題
次の3次方程式を解きなさい。
$x^3-6x^2+11x-6=0$
解答・解説を見る
まず、解の候補を探します。左辺を $f(x)=x^3-6x^2+11x-6$ とおくと、最高次の係数は $1$ なので、解の候補は定数項 $-6$ の約数、つまり $\pm1,\ \pm2,\ \pm3,\ \pm6$ です。
$x=1$ を代入してみます。
$f(1)=1^3-6\cdot1^2+11\cdot1-6=1-6+11-6=0$
$f(1)=0$ となったので、因数定理より $f(x)$ は $x-1$ を因数に持ちます。
そこで、$f(x)$ を $x-1$ で割ります。割り算を1つずつ確認していきましょう。
商の最初の項を求めます。$x^3 \div x = x^2$ なので、商の最初の項は $x^2$ です。
$x^2\times(x-1)=x^3-x^2$
これを $f(x)$ から引きます。
$(x^3-6x^2+11x-6)-(x^3-x^2)=-5x^2+11x-6$
次に、商の2番目の項を求めます。$-5x^2\div x=-5x$ です。
$-5x\times(x-1)=-5x^2+5x$
これを引きます。
$(-5x^2+11x-6)-(-5x^2+5x)=6x-6$
最後に、商の3番目の項を求めます。$6x\div x=6$ です。
$6\times(x-1)=6x-6$
これを引くと、
$(6x-6)-(6x-6)=0$
余りが $0$ になったので、割り算はここで終わりです。商は $x^2-5x+6$ でした。よって、
$f(x)=(x-1)(x^2-5x+6)$
さらに $x^2-5x+6$ を因数分解します。積が $6$、和が $-5$ になる2つの数は $-2$ と $-3$ なので、
$x^2-5x+6=(x-2)(x-3)$
したがって、
$f(x)=(x-1)(x-2)(x-3)=0$
これが成り立つのは、$x-1=0$ または $x-2=0$ または $x-3=0$ のときです。よって、
$x=1,\ 2,\ 3$
例題2(標準)
問題
次の4次方程式を解きなさい。
$x^4-5x^3+5x^2+5x-6=0$
解答・解説を見る
$f(x)=x^4-5x^3+5x^2+5x-6$ とおきます。最高次の係数は $1$ なので、解の候補は定数項 $-6$ の約数 $\pm1,\ \pm2,\ \pm3,\ \pm6$ です。
$x=1$ を代入します。
$f(1)=1-5+5+5-6=0$
$f(1)=0$ なので、$f(x)$ は $x-1$ を因数に持ちます。$f(x)$ を $x-1$ で割ります。
商の1番目の項は $x^4\div x=x^3$ です。
$x^3\times(x-1)=x^4-x^3$
$(x^4-5x^3+5x^2+5x-6)-(x^4-x^3)=-4x^3+5x^2+5x-6$
商の2番目の項は $-4x^3\div x=-4x^2$ です。
$-4x^2\times(x-1)=-4x^3+4x^2$
$(-4x^3+5x^2+5x-6)-(-4x^3+4x^2)=x^2+5x-6$
商の3番目の項は $x^2\div x=x$ です。
$x\times(x-1)=x^2-x$
$(x^2+5x-6)-(x^2-x)=6x-6$
商の4番目の項は $6x\div x=6$ です。
$6\times(x-1)=6x-6$
$(6x-6)-(6x-6)=0$
余りが $0$ になったので、商は $x^3-4x^2+x+6$ です。よって、
$f(x)=(x-1)(x^3-4x^2+x+6)$
まだ $x^3-4x^2+x+6$ の次数が2次より高いので、もう一度同じ手順を繰り返します。$g(x)=x^3-4x^2+x+6$ とおき、解の候補(定数項 $6$ の約数 $\pm1,\ \pm2,\ \pm3,\ \pm6$)を代入していきます。
$x=-1$ を代入します。
$g(-1)=(-1)^3-4\cdot(-1)^2+(-1)+6=-1-4-1+6=0$
$g(-1)=0$ なので、$g(x)$ は $x-(-1)$、つまり $x+1$ を因数に持ちます。$g(x)$ を $x+1$ で割ります。
商の1番目の項は $x^3\div x=x^2$ です。
$x^2\times(x+1)=x^3+x^2$
$(x^3-4x^2+x+6)-(x^3+x^2)=-5x^2+x+6$
商の2番目の項は $-5x^2\div x=-5x$ です。
$-5x\times(x+1)=-5x^2-5x$
$(-5x^2+x+6)-(-5x^2-5x)=6x+6$
商の3番目の項は $6x\div x=6$ です。
$6\times(x+1)=6x+6$
$(6x+6)-(6x+6)=0$
余りが $0$ になったので、商は $x^2-5x+6$ です。よって、
$g(x)=(x+1)(x^2-5x+6)=(x+1)(x-2)(x-3)$
(最後の因数分解は例題1と同じ計算です。)まとめると、
$f(x)=(x-1)(x+1)(x-2)(x-3)=0$
よって、
$x=1,\ -1,\ 2,\ 3$
例題3(応用)
問題
次の相反方程式を解きなさい。
$x^4-5x^3+6x^2-5x+1=0$
解答・解説を見る
係数を左から並べると $1,\ -5,\ 6,\ -5,\ 1$ となっていて左右対称です。このような相反方程式は、$x^2$ で割って次数を下げます。まず、$x=0$ をこの方程式に代入すると $1=0$ となって成り立たないので、$x=0$ はこの方程式の解ではありません。したがって、方程式の両辺を $x^2$ で割っても同値な式が得られます。
$\frac{x^4-5x^3+6x^2-5x+1}{x^2}=\frac{0}{x^2}$
左辺を項ごとに割ります。
$x^2-5x+6-\frac{5}{x}+\frac{1}{x^2}=0$
順番を並べ替えて、$x^2$ を含む項どうし、$x$ を含む項どうしをまとめます。
$\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)-5\left(x+\frac{1}{x}\right)+6=0$
ここで $t=x+\frac{1}{x}$ とおきます。すると、
$t^2=\left(x+\frac{1}{x}\right)^2=x^2+2\cdot x\cdot\frac{1}{x}+\frac{1}{x^2}=x^2+2+\frac{1}{x^2}$
この式を変形すると、
$x^2+\frac{1}{x^2}=t^2-2$
が得られます。これを先ほどの式に代入すると、
$(t^2-2)-5t+6=0$
整理すると、
$t^2-5t+4=0$
左辺を因数分解します。積が $4$、和が $-5$ になる2つの数は $-1$ と $-4$ なので、
$(t-1)(t-4)=0$
よって、$t=1$ または $t=4$ です。
(i) $t=1$ のとき
$x+\frac{1}{x}=1$ です。両辺に $x$ をかけると、
$x^2+1=x$
移項して、
$x^2-x+1=0$
解の公式を使います。$a=1,\ b=-1,\ c=1$ として、
$x=\frac{-(-1)\pm\sqrt{(-1)^2-4\cdot1\cdot1}}{2\cdot1}=\frac{1\pm\sqrt{1-4}}{2}=\frac{1\pm\sqrt{-3}}{2}$
ルートの中が負の数なので、複素数を使って表します。$\sqrt{-3}=\sqrt{3}\,i$ なので、
$x=\frac{1\pm\sqrt{3}\,i}{2}$
(ii) $t=4$ のとき
$x+\frac{1}{x}=4$ です。両辺に $x$ をかけると、
$x^2+1=4x$
移項して、
$x^2-4x+1=0$
解の公式を使います。$a=1,\ b=-4,\ c=1$ として、
$x=\frac{-(-4)\pm\sqrt{(-4)^2-4\cdot1\cdot1}}{2\cdot1}=\frac{4\pm\sqrt{16-4}}{2}=\frac{4\pm\sqrt{12}}{2}$
$\sqrt{12}=2\sqrt{3}$ なので、
$x=\frac{4\pm2\sqrt{3}}{2}=2\pm\sqrt{3}$
以上をまとめると、この4次方程式の解は次の4つです。
$x=\frac{1\pm\sqrt{3}\,i}{2},\ \ 2\pm\sqrt{3}$
練習問題
問題
次の3次方程式を解きなさい。
$x^3-2x^2-5x+6=0$
答え
$f(x)=x^3-2x^2-5x+6$ とおくと、$f(1)=1-2-5+6=0$ なので $f(x)$ は $x-1$ を因数に持ちます。$f(x)$ を $x-1$ で割ると、商は $x^2-x-6$ になります。これを因数分解すると $x^2-x-6=(x-3)(x+2)$ なので、
$f(x)=(x-1)(x-3)(x+2)=0$
よって、
$x=1,\ 3,\ -2$