数学C / 平面上の曲線と複素数平面
よくある間違い
間違い1: 放物線の標準形で $4p$ を $p$ だと勘違いする
よくある誤答例
放物線 $y^2=8x$ の焦点を求めるときに、$y^2=4px$ の $4p$ の部分をそのまま $p$ だと思い込み、焦点を $(8,0)$ としてしまう。
なぜ間違いなのか
標準形は $y^2=4px$ であり、$x$ の係数は $p$ そのものではなく $4p$ です。係数をそのまま $p$ として扱うと、焦点までの距離を $4$ 倍間違えてしまいます。
正しい考え方
まず「係数 $=4p$」という等式を作り、それを解いて $p$ を求めてから、焦点 $(p,0)$、準線 $x=-p$ に当てはめましょう。$y^2=8x$ なら $4p=8$ より $p=2$ なので、焦点は $(2,0)$ です。公式の形を丸ごと覚えるのではなく、「$4p$ という1つのかたまりが係数になっている」と理解しておくと、ミスを防げます。
間違い2: 楕円の焦点はいつも $x$ 軸上にあると思い込む
よくある誤答例
楕円 $\dfrac{x^2}{9}+\dfrac{y^2}{25}=1$ について、$x^2$ の項が先に書かれているからという理由だけで、焦点は $x$ 軸上にあると判断してしまう。
なぜ間違いなのか
楕円の焦点がどちらの軸上にあるかは、$a$ と $b$ の大小関係、つまり分母の大小で決まります。長軸(長い方の軸)が焦点のある軸になるので、$x^2$ の分母と $y^2$ の分母のどちらが大きいかを確認しなければなりません。この例では $x^2$ の分母が $9$、$y^2$ の分母が $25$ で、$25>9$ なので、実は長軸は $y$ 軸方向であり、焦点は $y$ 軸上にあります。
正しい考え方
$\dfrac{x^2}{A}+\dfrac{y^2}{B}=1$ の形の楕円では、必ず $A$ と $B$ の大小を比較しましょう。大きい方の分母に対応する軸が長軸であり、焦点はその軸上にあります。$A>B$ なら焦点は $x$ 軸上、$A
間違い3: 双曲線で $c^2=a^2-b^2$ と、楕円と同じ式を使ってしまう
よくある誤答例
双曲線 $\dfrac{x^2}{16}-\dfrac{y^2}{9}=1$ の焦点を求めるときに、楕円の公式のまま $c^2=a^2-b^2=16-9=7$ として計算してしまう。
なぜ間違いなのか
楕円は「距離の和」で定義されるため $c^2=a^2-b^2$($b^2=a^2-c^2$)ですが、双曲線は「距離の差」で定義されるため、関係式の符号が逆になり $c^2=a^2+b^2$ となります。楕円の公式をそのまま流用すると、符号を間違えてしまいます。
正しい考え方
「楕円は引き算($c^2=a^2-b^2$)、双曲線は足し算($c^2=a^2+b^2$)」と、対比させてセットで覚えましょう。双曲線では $a$、$b$、$c$ を辺の長さとする直角三角形を思い浮かべる($a^2+b^2=c^2$ は三平方の定理そのものの形)と覚えやすくなります。
間違い4: 双曲線の漸近線の傾きの公式を、$x^2$ と $y^2$ のどちらが先かで混同する
よくある誤答例
$\dfrac{y^2}{a^2}-\dfrac{x^2}{b^2}=1$(縦に開くタイプ)の双曲線の漸近線を、横に開くタイプと同じ $y=\pm\dfrac{b}{a}x$ だと思い込んでしまう。
なぜ間違いなのか
漸近線の傾きの公式は、標準形の $x^2$、$y^2$ のどちらの分母が $a^2$ で、どちらが $b^2$ かによって変わります。$\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$ なら傾きは $\pm\dfrac{b}{a}$ ですが、$\dfrac{y^2}{a^2}-\dfrac{x^2}{b^2}=1$ なら傾きは $\pm\dfrac{a}{b}$ と、分子と分母が入れかわります。
正しい考え方
漸近線の傾きを丸暗記するのではなく、方程式の右辺を $0$ に近づける($1$ を $0$ に置きかえて考える)と、$\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=0$ から $y=\pm\dfrac{b}{a}x$ が導かれる、という導出の流れを思い出しましょう。どちらの項が $a^2$ で割られているかを毎回確認する癖をつければ、混同を防げます。
間違い5: 直線を代入した式が2次方程式になっていないケースを見落とす
よくある誤答例
放物線 $y^2=4px$ と、放物線の軸に平行な直線($x=k$ の形)の共有点の個数を、判別式 $D$ を使って調べようとしてしまう。
なぜ間違いなのか
放物線の軸に平行な直線を代入すると、$x$(または $y$)についての方程式が2次式ではなく1次式になることがあります。1次方程式には判別式という概念がなく、常にただ1つの解を持つので、$D$ を計算しようとすること自体が誤りです。
正しい考え方
直線の式を曲線の式に代入したら、まず「本当に2次方程式になっているか(2次の項の係数が $0$ でないか)」を確認しましょう。2次の項の係数が $0$ になってしまう場合は、その1次方程式を直接解いて、共有点が $1$ 個であることを確認します。
間違い6: 媒介変数の消去で、変数の変域を無視してしまう
よくある誤答例
$x=\cos\theta$、$y=\sin\theta$($0\leq\theta\leq\pi$ のように範囲が制限されている場合)から $x^2+y^2=1$ を導いたあと、これを「単位円全体」と答えてしまう。
なぜ間違いなのか
媒介変数の消去で得られる $x$、$y$ の関係式は、あくまで「もし媒介変数がすべての値を取れるなら」という条件のもとでの図形です。媒介変数の範囲が制限されている場合、実際に描かれるのは曲線の一部分だけになります。上の例では $0\leq\theta\leq\pi$ なので $y=\sin\theta\geq0$ となり、描かれるのは単位円の上半分だけです。
正しい考え方
媒介変数を消去したあとも、必ず元の媒介変数の変域から、$x$ や $y$ がどんな範囲の値を取りうるかを確認し、答えに書き添えましょう。「方程式は同じでも、範囲が違えば図形としては別物」という意識を持つことが大切です。
間違い7: 極座標の偏角を $\tan\theta$ だけで判断し、象限を見落とす
よくある誤答例
直交座標 $(-1, -\sqrt{3})$ を極座標に直すときに、$\tan\theta=\dfrac{-\sqrt{3}}{-1}=\sqrt{3}$ から、$\theta=60^\circ$ だと答えてしまう。
なぜ間違いなのか
$\tan\theta=\sqrt{3}$ を満たす角は、$60^\circ$ だけでなく $60^\circ+180^\circ=240^\circ$ もあります。$\tan$ の値だけでは、点がどちらの象限にあるかまでは判断できません。この例の点 $(-1,-\sqrt{3})$ は $x<0$、$y<0$ なので第3象限にあり、正しい偏角は $240^\circ$ です。
正しい考え方
偏角を求めるときは、$\tan\theta$ の値だけでなく、必ず $x$、$y$ の符号(点がどの象限にあるか)も合わせて確認しましょう。可能であれば $\cos\theta=\dfrac{x}{r}$、$\sin\theta=\dfrac{y}{r}$ の両方を計算し、その符号の組み合わせから角を特定するのが確実です。
間違い8: $|z_1-z_2|$ を $|z_1|-|z_2|$ と計算してしまう
よくある誤答例
複素数平面上の2点 $z_1$、$z_2$ 間の距離を求めるときに、$|z_1-z_2|$ ではなく $|z_1|-|z_2|$(それぞれの絶対値の差)を計算してしまう。
なぜ間違いなのか
2点間の距離は「差のベクトルの大きさ」であって、「大きさの差」ではありません。$|z_1|-|z_2|$ は原点からの距離どうしの引き算に過ぎず、$z_1$ と $z_2$ の位置関係(向き)をまったく考慮していないので、一般には正しい距離になりません。
正しい考え方
2点間の距離を求めるときは、必ず先に $z_1-z_2$(複素数の引き算)を計算して1つの複素数にまとめてから、その絶対値 $|z_1-z_2|$ を求めましょう。「引き算してから絶対値」という順番を、ベクトルの大きさの計算(始点・終点の差を先に取る)と同じ感覚で覚えておくと安全です。