数学C / 平面上の曲線と複素数平面

複素数平面と図形

要点整理

前のページで学んだ極形式とド・モアブルの定理を使うと、複素数平面上で図形の性質(内分点、回転、垂直条件など)を調べることができます。ベクトルのページで学んだ考え方と対応させながら見ていきましょう。

内分点・外分点の公式

複素数平面上の2点 $z_1$、$z_2$ を結ぶ線分を $m:n$ に内分する点 $z$ は、ベクトルのページで学んだ内分点の公式と同じ形で、

$z = \frac{nz_1+mz_2}{m+n}$

と表せます。複素数の和・差・実数倍が、成分ごとの計算という点でベクトルとまったく同じ性質を持っているためです。外分点も同様に $z=\dfrac{-nz_1+mz_2}{m-n}$ となります。

複素数の掛け算と点の回転

前のページで、極形式どうしの積は「絶対値どうしの積、偏角どうしの和」になることを学びました。ここから、次の重要な事実がわかります。

$z$ に $\cos\theta+i\sin\theta$(絶対値が $1$ の複素数)を掛けると、絶対値は変わらず(積は $1$ 倍のまま)、偏角だけが $\theta$ だけ増えます。これはつまり、複素数平面上で、原点を中心に点 $z$ を角 $\theta$ だけ回転させるという操作にほかなりません。

$w = (\cos\theta+i\sin\theta) \times z \quad \Longrightarrow \quad w \text{ は } z \text{ を原点中心に角 } \theta \text{ だけ回転した点}$

原点ではなく、点 $z_0$ を中心に角 $\theta$ だけ回転させたい場合は、いったん $z_0$ が原点に来るように平行移動し(引き算 $z-z_0$)、回転させてから、また元の位置に戻す(足し算)という手順を踏みます。

$w = z_0 + (\cos\theta+i\sin\theta)(z-z_0)$

2つの線分がつくる角と、複素数の商

点 $\mathrm{A}(z_1)$、$\mathrm{B}(z_2)$、$\mathrm{C}(z_3)$($z_1$、$z_2$、$z_3$ はそれぞれの点を表す複素数)について、$\dfrac{z_3-z_1}{z_2-z1}$ という商を考えます。$z_2-z_1$ を極形式で $r_1(\cos\alpha_1+i\sin\alpha_1)$、$z_3-z_1$ を $r_2(\cos\alpha_2+i\sin\alpha_2)$ と表すと、商の公式より、

$\frac{z_3-z_1}{z_2-z_1} = \frac{r_2}{r_1}\left[\cos(\alpha_2-\alpha_1)+i\sin(\alpha_2-\alpha_1)\right]$

この式の偏角 $\alpha_2-\alpha_1$ は、「$\mathrm{A}$ から $\mathrm{B}$ への向き」から「$\mathrm{A}$ から $\mathrm{C}$ への向き」までの角、つまり $\angle\mathrm{BAC}$(の向きも込めた角)を表しています。この性質から、次の2つの重要な条件が導かれます。

共線条件: $\angle\mathrm{BAC}$ が $0^\circ$ または $180^\circ$、つまり3点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$、$\mathrm{C}$ が一直線上にあるとき、$\dfrac{z_3-z_1}{z_2-z_1}$ の偏角が $0^\circ$ または $180^\circ$ になります。偏角が $0^\circ$ や $180^\circ$ の複素数は、虚部が $0$ の実数です。逆に、この商が実数であれば、3点は一直線上にあります。

$\text{3点 } \mathrm{A}, \mathrm{B}, \mathrm{C} \text{ が一直線上にある} \iff \frac{z_3-z_1}{z_2-z_1} \text{ が実数}$

これは、ベクトルのページで学んだ共線条件($\overrightarrow{\mathrm{AC}}=k\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ となる実数 $k$ が存在する)と、まったく同じ内容を複素数で表したものです。

垂直条件: $\angle\mathrm{BAC}=90^\circ$、つまり $\mathrm{AB}\perp\mathrm{AC}$ であるとき、$\dfrac{z_3-z_1}{z_2-z_1}$ の偏角は $90^\circ$(または $-90^\circ$)になります。偏角が $90^\circ$ の複素数は、実部が $0$ の純虚数です。

$\mathrm{AB}\perp\mathrm{AC} \iff \frac{z_3-z_1}{z_2-z_1} \text{ が純虚数}$

例題

例題1(基本)

問題

複素数平面上の2点 $z_1=1+2i$、$z_2=7+8i$ を結ぶ線分を $2:1$ に内分する点を求めなさい。

解答・解説を見る

内分点の公式 $z=\dfrac{nz_1+mz_2}{m+n}$ に、$m=2$、$n=1$ を代入します。

$z = \frac{1\times(1+2i)+2\times(7+8i)}{2+1}$

分子を計算します。

$1\times(1+2i) = 1+2i, \qquad 2\times(7+8i) = 14+16i$

$z = \frac{(1+2i)+(14+16i)}{3} = \frac{15+18i}{3}$

分母の $3$ で、実部・虚部それぞれを割ります。

$z = 5+6i$

答え: $z=5+6i$

例題2(標準)

問題

点 $z=3+i$ を、原点を中心として $90^\circ$ 回転させた点を求めなさい。

解答・解説を見る

原点中心の回転は、$\cos90^\circ+i\sin90^\circ$ を掛け算することで表せます。$\cos90^\circ=0$、$\sin90^\circ=1$ なので、

$\cos90^\circ+i\sin90^\circ = 0+i\times1 = i$

したがって、回転後の点 $w$ は、

$w = z\times i = (3+i)\times i$

かっこを展開します。

$w = 3\times i + i\times i = 3i+i^2$

$i^2=-1$ なので、

$w = 3i-1 = -1+3i$

答え: $w=-1+3i$

例題3(応用)

問題

複素数平面上に3点 $\mathrm{A}(2+i)$、$\mathrm{B}(5+5i)$、$\mathrm{C}(-6+7i)$ をとる。$\triangle\mathrm{ABC}$ は頂点 $\mathrm{A}$ で直角であることを示しなさい。

解答・解説を見る

垂直条件を使うために、$\dfrac{z_3-z_1}{z_2-z_1}$($z_1$ を $\mathrm{A}$、$z_2$ を $\mathrm{B}$、$z_3$ を $\mathrm{C}$ とします)が純虚数になることを示します。

まず、$z_2-z_1$(ベクトル $\mathrm{AB}$ にあたる)を計算します。

$z_2-z_1 = (5+5i)-(2+i) = (5-2)+(5-1)i = 3+4i$

次に、$z_3-z_1$(ベクトル $\mathrm{AC}$ にあたる)を計算します。

$z_3-z_1 = (-6+7i)-(2+i) = (-6-2)+(7-1)i = -8+6i$

商を計算します。

$\frac{z_3-z_1}{z_2-z_1} = \frac{-8+6i}{3+4i}$

分母を実数にするため、分母・分子に分母の共役複素数 $3-4i$ を掛けます。

$\frac{-8+6i}{3+4i} = \frac{(-8+6i)(3-4i)}{(3+4i)(3-4i)}$

分母を計算します。$(3+4i)(3-4i) = 3^2-(4i)^2 = 9-16i^2 = 9+16=25$ です。

分子を展開します。

$(-8+6i)(3-4i) = -8\times3 + (-8)\times(-4i) + 6i\times3 + 6i\times(-4i)$

$= -24 + 32i + 18i - 24i^2$

$i^2=-1$ なので $-24i^2=24$ です。

$= -24+32i+18i+24 = (-24+24)+(32i+18i) = 0+50i = 50i$

したがって、

$\frac{z_3-z_1}{z_2-z_1} = \frac{50i}{25} = 2i$

これは実部が $0$ の純虚数です。したがって、$\mathrm{AB}\perp\mathrm{AC}$、つまり $\triangle\mathrm{ABC}$ は頂点 $\mathrm{A}$ で直角であることが示されました。(証明終わり)

答え: $\dfrac{z_3-z_1}{z_2-z_1}=2i$(純虚数)となるので、$\triangle\mathrm{ABC}$ は $\mathrm{A}$ で直角である。

練習問題

問題1

複素数平面上の2点 $z_1=2+3i$、$z_2=8-3i$ を結ぶ線分を $1:2$ に内分する点を求めなさい。

答え

$4+i$

(解説: $z=\dfrac{2\times(2+3i)+1\times(8-3i)}{1+2} = \dfrac{(4+6i)+(8-3i)}{3}=\dfrac{12+3i}{3}=4+i$。)

問題2

点 $z=2-i$ を、原点を中心として $90^\circ$ 回転させた点を求めなさい。

答え

$1+2i$

(解説: $w=z\times i=(2-i)\times i = 2i-i^2=2i+1=1+2i$。)

問題3

複素数平面上の3点 $z_1=0$、$z_2=2+i$、$z_3=6+3i$ が一直線上にあることを示しなさい。

答え

$\dfrac{z_3-z_1}{z_2-z_1} = \dfrac{6+3i}{2+i}$ について、分母・分子に $2-i$ を掛けると、$\dfrac{(6+3i)(2-i)}{(2+i)(2-i)} = \dfrac{12-6i+6i-3i^2}{4+1} = \dfrac{12+3}{5}=\dfrac{15}{5}=3$。これは実数なので、3点は一直線上にある。